パワー・オブ・ザ・ドッグ

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パワー・オブ・ザ・ドッグ
The Power of the Dog
監督 ジェーン・カンピオン
脚本 ジェーン・カンピオン
原作 トーマス・サヴェージ英語版
製作 エミール・シャーマン英語版
イアン・カニング
ロジェ・フラピエ英語版
ジェーン・カンピオン
タニヤ・セガッチアン英語版
出演者 ベネディクト・カンバーバッチ
キルスティン・ダンスト
ジェシー・プレモンス
コディ・スミット=マクフィー
音楽 ジョニー・グリーンウッド
撮影 アリ・ウェグナー
編集 ピーター・シベラス
製作会社 ニュージーランド・フィルム・コミッション英語版
BBCフィルムズ
クロス・シティ・フィルムズ
シーソー・フィルムズ英語版
バッド・ガール・ギーク
マックス・フィルムズ
ブライト・スター
配給 世界の旗Netflix
公開 イタリアの旗2021年9月2日 (ヴェネツィア国際映画祭)
アメリカ合衆国の旗2021年11月17日 (劇場公開)
日本の旗2021年11月 (劇場公開)
世界の旗2021年12月1日
上映時間 128分[1]
製作国 イギリスの旗 イギリス
オーストラリアの旗 オーストラリア
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カナダの旗 カナダ
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
言語 英語
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パワー・オブ・ザ・ドッグ』(The Power of the Dog)は、2021年合作のドラマ映画。監督はジェーン・カンピオン。主演はベネディクト・カンバーバッチ。共演はキルスティン・ダンストジェシー・プレモンスコディ・スミット=マクフィーら。

本作は第78回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品され[1]銀獅子賞を受賞した[2]

あらすじ[編集]

舞台は1920年代のモンタナ州。そのカリスマ性と威圧的な態度で恐れられている兄のフィルと、対照的に地味な弟のジョージのバーバンク兄弟は、大牧場を共に経営して暮らしていた。ある日、ジョージが未亡人のローズと結婚することになり、家に越してくる事になった。しかし、それを訝しく思ったフィルは、ジョージやローズ、さらにローズの息子のピーターまでにも執拗な攻撃を仕掛けだす。人間関係に亀裂が生じて行く中、フィルはある事件を機に、人を愛することの可能性と自分が人々を傷つけた意識を感じ始める。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹替。

製作[編集]

2019年5月、ジェーン・カンピオンが脚本と監督を務め、ベネディクト・カンバーバッチエリザベス・モスが主演することが発表された[3]。9月、ポール・ダノが出演交渉に入った[4]。10月、降板したモスの後任として、キルスティン・ダンストがキャストに加わった[5]。11月、ダノが『THE BATMAN-ザ・バットマン-』とのスケジュールとの兼ね合いで降板し、後任としてジェシー・プレモンスがキャストに加わった[6]。2020年2月、コディ・スミット=マクフィートーマサイン・マッケンジーフランセス・コンロイキース・キャラダインピーター・キャロル英語版アダム・ビーチがキャストに加わった[7]

撮影[編集]

主要な撮影は、2020年1月10日にニュージーランドダニーデンを含むオタゴ地方で開始された[8]。撮影は、新型コロナウイルス感染症の流行を受け中断されたが、カンバーバッチ、ダンスト、プレモンスは、ニュージーランドがロックダウンに入ってからも同国に滞在していたと報じられた。キャストとスタッフの隔離免除が認められた後、6月22日に撮影が再開された[9]

公開[編集]

本作は、2021年9月2日にヴェネツィア国際映画祭で世界初上映され、同月4日のテルライド映画祭と10日のトロント国際映画祭でも、特別招待作品として上映された[10][11]。さらに、10月1日のニューヨーク映画祭では、映画祭の目玉作品として上映される後[12]、アメリカでは、11月17日に限定劇場公開英語版され、12月1日にNetflixでストリーミング配信が開始される[13][14]

評価[編集]

本作は批評家から絶賛されている。Rotten Tomatoesでは27個の批評家レビューのうち96%が支持評価を下し、平均評価は10点中8.5点となった。サイトの批評家の見解は「ベネディクト・カンバーバッチを中心とした輝かしいアンサンブルによって生命を吹き込まれた『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、ジェーン・カンピオンが、同世代の作家の中で、最も優れているうちの1人であることを観客に再確認させる。」となっている[15]MetacriticのMetascoreは14個の批評家レビューに基づき、加重平均値は100点中90点となった。サイトは本作の評価を「幅広い絶賛」と示している[16]

インディワイヤー英語版』のデヴィッド・エーリッヒは、「『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、あまりにも早くいそいそと観客に牙を突き立ててくるので、エンドクレジットが終わるまで、あなたは自分の肌が刺されていることに気付かないかも知れない。しかし、この映画のエンディングが齎すゆっくりとした嚙みつきは、見る者に十分な傷跡を残すことには変わりない。」と表現し、映画の鋭さを賞賛した[17]

ザ・テレグラフ』のロビー・コリン英語版は、映画に満点となる5つ星を与え、「しばしば見るのが辛くなる作品だが、カンピオンと一様に優れたキャスト陣によって、"我々の前で繰り広げられているものは正確には何なのか"、"この儀式がどこに行き着くのか"という、観客のひりひりする様な絶え間ない好奇心を呼び起こし、その不快感を和らげている。」と評し[18]、『ハリウッド・レポーター』のデヴィッド・ルーニーは、「憂鬱、孤独、苦痛、嫉妬、恨みなどが、音として響き渡り、作品の淡々としたリズムが刻々と変化していく、絶妙に作られた映画だ。カンピオンは素材を完全に操り、登場人物がそれぞれ持つ激動する内面を、確かな繊細さで深く掘り下げている。」と評した[19]

ヴァルチャー』のビルゲ・エビリ英語版は、「カンピオンは、サヴェージのシンプルな文体を、自身の控えめなストーリーテリングで再現しており、同時に、原作が持つ時代遅れなフロイト的発想を、現代に説得力ある形にするよう、上手く切り抜ける。」と原作と比較した上で賞賛した[20]

一方で、『バラエティ』のオーウェン・グレイバーマンは、カンバーバッチの演技やカンピオンのこれまでのキャリアを賞賛した上で、「本来は全てゆっくりと、無理なく、そして力強く、感情を高めていくべき作品なのだが、本質的には、三角関係の駆け引きにおいて、整然とされ古風なタイプの映画である『パワー・オブ・ザ・ドッグ』には、もっと痛烈なカタルシスが必要だった。」とし、「肝心のラストで斜に構えすぎている。」と指摘した[21]

受賞・ノミネート[編集]

日付 部門 対象 結果 出典
ヴェネツィア国際映画祭 2021年9月11日 金獅子賞 ジェーン・カンピオン ノミネート [2][22]
銀獅子賞 (監督賞) 受賞
クィア獅子賞 ノミネート
トロント国際映画祭 2021年9月18日 観客賞 ジェーン・カンピオン 次点3位 [23]

出典[編集]

  1. ^ a b The Power of the Dog”. Venice International Film Festival (2021年7月16日). 2021年7月26日閲覧。
  2. ^ a b OFFICIAL AWARDS OF THE 78TH VENICE FILM FESTIVAL”. Venice International Film Festival. 2021年9月12日閲覧。
  3. ^ Kroll, Justin (2019年5月6日). “Benedict Cumberbatch, Elisabeth Moss to Star in Jane Campion's New Film (EXCLUSIVE)”. Variety. https://variety.com/2019/film/news/benedict-cumberbatch-elisabeth-moss-jane-campion-power-of-the-dog-1203205974/ 2020年1月25日閲覧。 
  4. ^ Kroll, Justin (2019年9月29日). “Paul Dano in Talks to Join Jane Campion's 'The Power of the Dog' (EXCLUSIVE)”. Variety. https://variety.com/2019/film/news/paul-dano-power-of-the-dog-jane-campion-1203342446/ 2020年1月25日閲覧。 
  5. ^ Kroll, Justin (2019年10月8日). “Kirsten Dunst to Replace Elisabeth Moss in Benedict Cumberbatch's 'Power of the Dog' (EXCLUSIVE)”. Variety. https://variety.com/2019/film/news/kirsten-dunst-benedict-cumberbatch-power-of-the-dog-1203363622/ 2020年1月25日閲覧。 
  6. ^ Kroll, Justin (2019年11月21日). “Jesse Plemons Joins Benedict Cumberbatch in Jane Campion's 'Power of the Dog' (EXCLUSIVE)”. Variety. https://variety.com/2019/film/news/jesse-plemons-benedict-cumberbatch-power-of-the-dog-jane-campion-1203412172/ 2020年1月25日閲覧。 
  7. ^ N'Duka, Amanda (2020年2月12日). “'The Power Of The Dog': 'Jojo Rabbit's Thomasin McKenzie, Kodi Smit-McPhee & More Join Benedict Cumberbatch In Netflix Drama”. Deadline Hollywood. 2020年2月12日閲覧。
  8. ^ “Work starts on Netflix drama in Maniototo”. Otago Daily Times英語版. (2020年1月10日). https://www.odt.co.nz/regions/central-otago/work-starts-netflix-drama-maniototo 2020年1月25日閲覧。 
  9. ^ Hunt, Tom (2020年6月18日). “Jane Campion movie starring Cumberbatch, Dunst is second film allowed in”. Stuff英語版. 2020年6月18日閲覧。
  10. ^ Vivarelli, Nick (2021年7月26日). “Venice Film Festival Full Lineup Unveiled – Live Updates”. Variety. 2021年7月26日閲覧。
  11. ^ Hammond, Pete (2021年9月1日). “Telluride Film Festival: Will Smith's 'King Richard', Peter Dinklage Musical 'Cyrano', Joaquin Phoenix In 'C'mon C'mon', Ken Branagh's 'Belfast' Set To Premiere”. Deadline. 2021年9月2日閲覧。
  12. ^ Hayes, Dade (2021年7月27日). “Jane Campion's 'The Power Of The Dog' Chosen As New York Film Festival Centerpiece”. Deadline Hollywood. 2021年7月27日閲覧。
  13. ^ Fleming Jr, Mike (2021年8月23日). “Netflix Dates Fall Movies: A Whopping 42 Movies Coming At You”. Deadline Hollywood. 2021年8月23日閲覧。
  14. ^ Canfeld, David (2021年8月23日). “Jane Campion Finally Made a New Movie. She Gave It "Everything"”. Vanity Fair. 2021年8月23日閲覧。
  15. ^ The Power of the Dog”. Rotten Tomatoes. Fandango英語版. 2021年9月4日閲覧。
  16. ^ The Power of the Dog”. Metacritic. 2021年9月11日閲覧。
  17. ^ David Ehrlich. “‘The Power of the Dog’ Review: Jane Campion Returns to the Big Screen with a Wickedly Great Western”. 2021年9月11日閲覧。
  18. ^ Robbie Collin. “The Power of the Dog, review: a sly, blistering, career-best performance from Benedict Cumberbatch”. 2021年9月11日閲覧。
  19. ^ David Rooney. “Benedict Cumberbatch in Jane Campion’s ‘The Power of the Dog’: Film Review”. 2021年9月11日閲覧。
  20. ^ Bilge Ebiri. “Jane Campion Makes a Triumphant Return to the Big Screen With The Power of the Dog”. 2021年9月11日閲覧。
  21. ^ Owen Gleiberman. “‘The Power of the Dog’ Review: Jane Campion’s Psychodramatic Western Is Impeccably Crafted but Lacks the Major Voices of ‘The Piano’”. 2021年9月11日閲覧。
  22. ^ 15° QUEER LION AWARD A “LA DERNIÈRE SÉANCE” DI GIANLUCA MATARRESE”. 2021年9月12日閲覧。
  23. ^ Steve Pond, "‘Belfast’ Wins Toronto Film Festival’s People’s Choice Award". TheWrap, September 18, 2021.

外部リンク[編集]