ザ・フライ
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ザ・フライ | |
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The Fly | |
監督 | デヴィッド・クローネンバーグ |
脚本 |
チャールズ・エドワード・ポーグ デヴィッド・クローネンバーグ |
製作 | スチュアート・コーンフェルド |
製作総指揮 | メル・ブルックス |
出演者 |
ジェフ・ゴールドブラム ジーナ・デイヴィス |
音楽 | ハワード・ショア |
撮影 | マーク・アーウィン |
編集 | ロナルド・サンダース |
配給 | 20世紀フォックス |
公開 |
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上映時間 | 95分 |
製作国 |
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言語 | 英語 |
製作費 | $15,000,000 |
次作 | ザ・フライ2 二世誕生 |
『ザ・フライ』(The Fly)は、1986年のアメリカ映画。1958年に公開されたホラー映画『ハエ男の恐怖』のリメイク作品。
公開時のコピーは「Be afraid. Be very afraid.(怖がってください・・・とても、とても怖がってください・・・)」。
ストーリー
上手くいけばノーベル化学賞を受賞できたかもしれないと言われた天才科学者セス・ブランドルは、「隣り合う2つのポッドの片方に収めた物体を細胞レベルで分解し、もう片方へ送った後、元の状態に再構築する」という物質転送機「テレポッド」を開発中。無機物の転送実験には成功していたセスだが、有機物では失敗が続いていた。
ある日、自分を取材した記者であり後に恋人となるヴェロニカの助言を得たセスは、それをヒントに改良を重ね、遂に生物の転送に成功。しかし、ヴェロニカと彼女の上司で元恋人のステイシスとの関係に嫉妬し泥酔したセスは、その勢いで自らの身体を実験台とした転送を行う。
転送直後は何一つ不具合はなく、むしろ転送前より強靭となった事で成功を収めたかに見えたこの実験だったが、その後セスの身体に数々の異変が発生。調査の結果、実験時に彼の入った転送ポッドに1匹のハエがまぎれ込んでおり、再構築にあたって、遺伝子レベルでセスとハエが融合したことが判明した。
異常な身体能力を得ると共に肉体は変貌し、爪は剥がれ、髪が抜け、耳が剥がれ、溶解液を吐くようになり、歯や性器までも抜け落ち、日ごとに人間ではなくなっていくセス。それでも彼の身を案じるヴェロニカだが自身の妊娠が発覚、彼女の胎内に宿ったセスとの子供もハエの遺伝子を受け継いでいる可能性があると知る。ヴェロニカは「妊娠したが堕胎する」とセスに伝えに行くが、そのあまりの無残な姿と「昆虫は残忍で、同情も妥協もない。君を傷付けることが怖い」という彼の言葉に対し、堕胎を伝えられないままステイシスの助けを得て堕胎手術に臨む。しかし思考までハエと化しつつあるセスがそれを妨害し、彼女に出産を迫る。ヴェロニカが「恐ろしくてとてもできない」と断ると、セスは彼女を研究所へ連れ去る。
一方、ステイシスはショットガンを用意して研究所へ忍び込んだが、セスに手足を溶かされ気を失う。セスは、完全な人間に戻ることを諦め、“人間に近い生物”になるべく「テレポッドを使ったヴェロニカ及び胎児との融合」を画策する。しかしヴェロニカの抵抗により下顎が剥がれ、それを皮切りに、かろうじて形を保っていたセスの肉体を突き破り完全なハエ人間ブランドルフライが羽化する。ブランドルフライはヴェロニカをポッドへ押し込み、自身ももう1つのポッドに入るが、意識を取り戻したステイシスがヴェロニカのポッドのケーブルを破壊する。ブランドルフライがガラスを破って外へ出ようとしたところで、装置のタイマーが作動。ポッドの部品と異常な融合を果たす。
もはや這うようにしか動けなくなったブランドルフライにヴェロニカは銃口を向けるが、それでもセスを愛しているヴェロニカは撃てずに泣き崩れる。ブランドルフライは銃口をつかみ、自身の頭部へ向ける。ヴェロニカは躊躇するが、彼の願いを受け入れ、これに応える。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え |
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フジテレビ版[注釈 1] | ||
セス・ブランドル | ジェフ・ゴールドブラム | 津嘉山正種 |
ヴェロニカ・クエイフ | ジーナ・デイヴィス | 高島雅羅 |
ステイシス・ボランズ | ジョン・ゲッツ | 樋浦勉 |
トニー | ジョイ・ブーシェル | 山田栄子 |
マーキー | ジョージ・チュバロ | 島香裕 |
ブレント・シーバース医師 | レスリー・カールソン | 仲村秀生 |
産婦人科医 | デヴィッド・クローネンバーグ | 牛山茂 |
その他 | 藤田幹子 | |
日本語版制作スタッフ | ||
演出 | 山田悦司 | |
調整 | 杉原日出弥 | |
翻訳 | トランスグローバル | |
制作 | ||
初回放送 | 1988年11月5日 『ゴールデン洋画劇場』 ノーカット |
作品解説
「物質転送の研究者が、実験中のアクシデントにより悲劇に見舞われる」という大筋はオリジナルと同様だが、「主人公の急激な変化と苦悩」を回想形式で描いたオリジナルと異なり、本作は「徐々に変化してゆく主人公と、その周囲を取り巻く事象」を時系列に沿って追う。
レンタルビデオ版では、出産のシーンがグロテスクであるとして、妊娠者に対して鑑賞を控えるよう警告文が付加されていた。
監督のクローネンバーグにとって最大のヒット作となった。
1989年には続編『ザ・フライ2 二世誕生』が公開された。
評価
レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは71件のレビューで支持率は93%、平均点は8.40/10となった[1]。Metacriticでは11件のレビューを基に加重平均値が79/100となった[2]。
賞歴
- 1986年第59回アカデミー賞 メイクアップ賞(クリス・ウェイラス、ステファン・デュプイ)受賞。
- 1986年度第14回サターン賞
- ホラー映画賞受賞
- 主演男優賞(ジェフ・ゴールドブラム)受賞
- 最優秀メイクアップ賞(クリス・ウェイラス)受賞
- 1986年度アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭特別審査員賞(デイヴィッド・クローネンバーグ)受賞
- 1986年度カナダ撮影監督協会賞 最優秀劇映画撮影賞(マーク・アーウィン)受賞
脚注
注釈
出典
- ^ “The Fly (1986)”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年7月21日閲覧。
- ^ “The Fly Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2022年7月21日閲覧。