エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
Everything Everywhere All at Once
Everything everywhere all at once logo.jpg
監督 ダニエル・クワン
ダニエル・シャイナート
脚本 ダニエル・クワン
ダニエル・シャイナート
製作 アンソニー・ルッソ
ジョー・ルッソ

マイク・ラロッカ英語版
ダニエル・クワン
ダニエル・シャイナート
ジョナサン・ワン
ピーター・タム・リー
出演者 ミシェル・ヨー
キー・ホイ・クァン
ステファニー・スー
ジェニー・スレイト
ハリー・シャム・ジュニア
ジェームズ・ホン
ジェイミー・リー・カーティス
音楽 サン・ラックス
撮影 ラーキン・サイプル英語版
編集 ポール・ロジャーズ
製作会社 IACフィルムズ英語版
AGBO英語版
イヤー・オブ・ザ・ラット
レイ・ライン・エンターテインメント
配給 アメリカ合衆国の旗 A24
日本の旗 ギャガ
公開 アメリカ合衆国の旗 2022年3月11日SXSW映画祭)
アメリカ合衆国の旗 2022年3月25日
日本の旗 2023年3月3日
上映時間 140分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
官話
広東語
興行収入 アメリカ合衆国の旗 $73,436,202[1]
世界の旗 $106,351,524[1]
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(原題: Everything Everywhere All at Once)は、2022年製作アメリカ合衆国SF映画ダニエル・クワンとダニエル・シャイナートが脚本・監督を担当した。出演はミシェル・ヨーキー・ホイ・クァンステファニー・スージェニー・スレイトハリー・シャム・ジュニアジェームズ・ホンジェイミー・リー・カーティス

2022年3月11日に開催されたサウス・バイ・サウスウエスト映画祭のオープニングを飾った[2]日本での略称は「エブエブ」[3]

2023年3月12日ロサンゼルス近郊のハリウッドで開催された第95回アカデミー賞において、作品賞監督賞主演女優賞など7部門を受賞した[4]

あらすじ[編集]

コインランドリーや家族の問題と、トラブルを抱えるエヴリン。ある日、夫に乗り移った"別の宇宙の夫"から全宇宙の命運を託されてしまう。そして彼女はマルチバースに飛び込み、カンフーの達人の"別の宇宙のエヴリン"の力を得て、マルチバースの脅威ジョブ・トゥパキと戦うこととなるが、その正体は"別の宇宙の娘"だった。

キャスト[編集]

エヴリン・ワン・クワン
演 - ミシェル・ヨー
コインランドリーを経営する女性。マルチバースの他のバースでは、カンフーの達人、歌手、シェフなど、様々なバージョンの彼女が存在する。
映画本編では明言されていないが、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を患っているという設定になっている[5][6]
ジョイ・ワン / ジョブ・トゥパキ
演 - ステファニー・スー
エヴリンとウェイモンドの娘。エヴリンからはいつも「太り過ぎ」と注意を受けている。他のバースにおいて、マルチバースへの脅威となるジョブ・トゥパキとして行動を起こしている。
ウェイモンド・ワン
演 - キー・ホイ・クァン
エヴリンの夫。エヴリンとは過去、駆け落ちして結婚した。間が抜けたところがあるが、善良で優しい人物。IRSを訪れた際に、"別の宇宙の夫"を名乗り、エヴリンを導く。
ゴンゴン
演 - ジェームズ・ホン
エヴリンの厳しい父親。高齢により車椅子で移動している。
ディアドラ・ボーベアドラ
演 - ジェイミー・リー・カーティス
IRSの監察官。不正を見抜くことが評価され、いくつも表彰されている。別のバースでは、エヴリンとパートナーになっている。
ベッキー・スリガー
演 - タリー・メデル
ジョイのガールフレンド。ゴンゴンの世話を買って出る。
デビー・ザ・ドッグ・マム / ビッグ・ノーズ
演 - ジェニー・スレイト
コインランドリーの顧客。
キャラクターの元の名前(「ビッグ・ノーズ」)は、ユダヤ人のステレオタイプ英語版との関連性から、デジタルリリース時に変更された[7]
チャド
演 - ハリー・シャム・ジュニア
別のバースでエヴリンと一緒に働く鉄板焼きシェフ。優秀なシェフだが、その器用さには秘密がある。

製作[編集]

ダニエル・クワンとダニエル・シャイナートによる「異次元間アクション映画」にミシェル・ヨーオークワフィナが出演し、アンソニーとジョー・ルッソが製作を担当することが2018年8月に発表された[8]

当初、この脚本はジャッキー・チェンが主演を務めることを想定して書かれていたものだったが、ヨーに変更したため、内容が大幅に書き換えられることになった[9]

本作は、2019年3月に税額控除を受け、カリフォルニア州で撮影することになった[10]。同年9月には、クワンとシャイナートが、本作の製作に対してゴーサインを待っている状態だと述べた[11]

しかし、オークワフィナは2020年1月にスケジュールの都合でプロジェクトから外れた。ステファニー・スージェームズ・ホンキー・ホイ・クァンジェイミー・リー・カーティスがキャストに追加され、オークワフィナの代わりにスーが出演することになった。撮影は2020年1月に始まり、A24が本作の配給権を獲得した[12]

評価[編集]

第95回アカデミー賞で11部門でノミネートされ、アジア人女性初の主演女優賞をはじめ、作品賞、監督賞、助演男優賞助演女優賞脚本賞編集賞の計7部門で受賞した(演技部門における三冠達成は、1951年の『欲望という名の電車』と1976年の『ネットワーク』に次いで、3度目となる)[4]。『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003年)を上回り、史上最も多くの賞を獲得した映画となった[13]。また、アカデミー作品賞を受賞した初めてのSF映画でもある[14]

出典[編集]

  1. ^ a b Everything Everywhere All at Once”. Box Office Mojo. 2023年3月11日閲覧。
  2. ^ Grobar (2021年12月8日). “‘Everything Everywhere All At Once’: SXSW Sets Daniel Kwan and Daniel Scheinert’s A24 Pic As Opening Night Film” (英語). Deadline. 2021年12月8日閲覧。
  3. ^ 映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』公式”. 2023年2月11日閲覧。
  4. ^ a b 日本放送協会 (2023年3月14日). “米 アカデミー賞 ミシェル・ヨーさんが主演女優賞 アジア系初”. NHKニュース. 2023年3月15日閲覧。
  5. ^ Oba, Mina (2023年3月3日). “『エブエブ』監督ダニエル・クワン、映画制作がきっかけでADHDと診断”. Vogue Japan. 2023年3月14日閲覧。
  6. ^ 篠儀直子 (2023年3月13日). “第95回アカデミー賞で最多7冠! 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』という名の、めくるめくジェットコースター・ライドが始まる!”. GQ JAPAN. 2023年3月14日閲覧。
  7. ^ Everything Everywhere All at Once Will Fix Problematic Credit” (英語). 2023年2月11日閲覧。
  8. ^ Michelle Yeoh, Awkwafina in Talks for Film From 'Swiss Army Man' Directors
  9. ^ 『エブエブ』もともとはジャッキー・チェンのために書かれた脚本だった!キャスティング秘話”. シネマトゥデイ (2023年3月3日). 2023年3月15日閲覧。
  10. ^ Leonardo DiCaprio EP’d ‘Akira’ Scores In Latest California Tax Credits Allocation
  11. ^ ‘Swiss Army Man’ Directors Passed on ‘Deadpool 2’ to Make a Sci-Fi Movie With Michelle Yeoh
  12. ^ A24 Reunites With ‘Swiss Army Man’ Directors; Finance & Distribute AGBO’s ‘Everything Everywhere All At Once’
  13. ^ Michaela Zee (2023年3月10日). “『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』を上回り、史上最も多くの賞を獲得した映画に”. IGN Japan. 2023年3月13日閲覧。
  14. ^ Nast, Condé (2023年3月14日). “映画賞のレースを席巻、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の快挙が示していること”. WIRED.jp. 2023年3月18日閲覧。

外部リンク[編集]