地場衛

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地場 衛ちば まもる
美少女戦士セーラームーンのキャラクター
登場(最初) 原作・アニメ共に第1話から
作者 武内直子
声優 古谷徹(テレビアニメ)
野島健児(『Crystal』)
俳優 #キャストを参照
プロフィール
愛称 まもちゃん
別名 タキシード仮面
プリンス・エンディミオン
キング・エンディミオン
月影のナイト(テレビアニメ)
性別
種類 地球人
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地場 衛(ちば まもる)は、武内直子漫画作品『美少女戦士セーラームーン』および、それを原作とするメディアミックス作品のキャラクター

全メディアミックス作品で第1話から登場。DICエンターテイメントによる北米版の名前はDarien Shields(ダリアン・シールズ)。

人物

月野うさぎ(セーラームーン)の運命の恋人にして、タキシード仮面に変身する青年。黒い髪[注 1]と青い目[注 2]の美男子。クールで頭がよく、不思議な力を持っている。原作での初登場は元麻布高校二年生、テレビアニメでは東西大学一年生(想定年齢は原作の一歳上らしい[1])、実写版では高校三年生。

面倒見のよさで後輩受けがよく、原作ではスポーツも万能。普段の一人称は「オレ」だが、タキシード仮面の時は基本的に「私」。原作と『Crystal』では高校の制服やブランドものの服を着用し、学習時には眼鏡をかける。テレビアニメでは主にモスグリーンのジャケットと黒のタートルネックを着ている。

6歳の誕生日に自動車事故で両親を亡くして記憶喪失になり、現在は両親の遺産で高層マンションに一人暮らし。ある時期を境に「幻の銀水晶を、お願い…」と語りかける謎の少女(プリンセス・セレニティ)の夢を見るようになり、気づけばタキシードを着て夢遊病者のように「幻の銀水晶」を探して夜の街を徘徊していた。消えた記憶の手がかりになると思って銀水晶を探していたが、思い出したのは前世の記憶で、幼少期の記憶までも思い出したかは最後まで明かされなかった。実写版では記憶喪失になってすぐにプリンセス・セレニティの夢を見ている。

うさぎとは銀水晶の探索中に、うさぎが投げ捨てた赤点のテストにぶつかって以来の腐れ縁[2][注 3]。うさぎを「おだんご頭」と呼んでいがみ合うが、セーラームーンの正体がうさぎと知ると惹かれ合い[注 4]、前世の秘密を知って結ばれる。以降はうさぎに「まもちゃん」の愛称で呼ばれるが、テレビアニメでは魔界樹編終了まで「衛さん」、実写版では「衛」と呼ばれる。未来の娘・ちびうさの登場後は父親の自覚が芽生えた。

ルックスがいいのでかなりモテる。前世からはクイン・ベリルに愛され、実の娘のちびうさの理想の男性像にもなった。原作ではセーラープルートにも愛された。火野レイと一時的に交際したテレビアニメでは男女問わず愛され、幼馴染のフィオレとうさぎに取り合われる様子を見た水野亜美には「衛さんって男の人にもモテるのね」と発言される。実写版では幼馴染の日下陽菜と一時的に婚約していた。テレビアニメとミュージカルでは、セーラームーン達のピンチに現れると「タキシード仮面様!」と歓声が上がる。

原作者の武内直子によると衛のイメージは東山紀之で、タキシード仮面は『まじっく快斗』と『名探偵コナン』に登場する怪盗キッド(黒羽快斗)のイメージ[3](原作初登場時にはうさぎに「まるで怪盗ルパンみたい」と言われている)。テレビアニメ初代SDの佐藤順一によると、テレビアニメでのバラを投げて現れるタキシード仮面は、『水戸黄門』に登場する風車の弥七がイメージされている。

前世・未来

前世は地球国の王子プリンス・エンディミオン。「月と地球の人間は通じてはならない」という掟を破り、の王国『シルバー・ミレニアム』の王女、プリンセス・セレニティ(月野うさぎの前世)と禁断の恋に落ちた。

その仲を妬んでダーク・キングダムに操られたクイン・ベリルの扇動で地球国が月に侵攻し、セレニティを庇って命を落とす。テレビアニメでは、クイン・メタリアの攻撃でセレニティと命を落とした。その後クイーン・セレニティの「幻の銀水晶」の力で、現在の「地場衛」として生まれ変わった。

ダーク・キングダム四天王は本来部下であるが、テレビアニメでこの設定は触れられない(ゲーム版ではこの設定を使用したストーリーが展開されている)。原作第四期によると王国の名前は『ゴールデン・キングダム』で、守護星が地球太陽らしい。

テレビアニメでは、プリンセス・セレニティに贈られた「星のオルゴール」をタキシード仮面が所持していた。『アニメイトカセットコレクション3』では、地球国が滅びる数年前にプリンセス・セレニティとの密会を糾弾され、魔の穴「安らぎの井戸」に投じられる試練を与えられるが、うさぎの銀水晶に呼ばれて20世紀にタイムスリップした。

30世紀の未来ではクリスタル・トーキョーのであるキング・エンディミオンとなり、ネオ・クイーン・セレニティ(月野うさぎの未来の姿)との間に娘のスモール・レディ(ちびうさ)が誕生している。原作・『Crystal』で銀水晶の力で不老長寿になっているが、テレビアニメでは大変動の影響で千年眠っていたという設定である。

プロフィール

原作・『Crystal』版

初登場時は超進学校・私立元麻布高校の2年生。第四期でKO大学の医学部に進学、第五期でハーバード大学に留学する。前世の記憶が戻ってからは地球の王子の自覚が芽生え、セーラームーンのパートナーでセーラー戦士のサブリーダーとして振る舞う。うさぎと恋仲になってからは第二期では「うさこ」、第三期以降は「うさ」と呼ぶ。原作ではピアスをつけるイラストもある。

透視ヒーリングチャネリングといったサイコメトリー超能力)の持ち主で、高校ではスポーツ万能な上に偏差値90の頭脳を持ち、浅沼一等を始めとする後輩たちの憧れの存在である。高校へはバスで通学している。キザな台詞が特技のクールな伊達男だが、うさぎには意地悪で涙もろい面もある。うさぎとの間には肉体関係もあるが、強くなっていくうさぎを見て「自分は足手まといではないか」と寂しく思っている。

初登場時は宝石専門の怪盗・タキシード仮面に変装して「幻の銀水晶」を探しており、宝石店の「OSA-PI」を下見に来た時にうさぎと出会った。身につけていたムーンフェイズ懐中時計をうさぎに贈り、ハンカチとのトレードを約束していた。懐中時計が前世の記憶を呼び覚ますアイテムとなる。

第一期後半で敵の攻撃からセーラームーンを庇って倒れ、彼女がプリンセス・セレニティに覚醒すると前世の記憶が戻るが、ダーク・キングダムに拉致される。クイン・ベリルに洗脳を受けて配下のエンディミオンを名乗り、古幡元基の親友の遠藤を殺害(『Crystal』では暗示で記憶を改変)して成り替わり、暗示で操った木野まことに司令室を案内させた。伝説の聖剣を抱えたセーラームーンに心中されるが、四天王の宝石のおかげで生き延びて正気を取り戻した代わりに失明する(『Crystal』では失明しない)。四天王の幻にクイン・メタリアの急所を聞き、銀水晶を使ってメタリアと戦うセーラームーンを支えた。銀水晶の真の力で目が治ると、メタリアを倒して失神したうさぎをキスで目覚めさせ、ヒーリング能力で傷ついた地球を癒やしてうさぎと結ばれる。

第二期では突然現れたちびうさに戸惑うが、ブラック・ムーン一族に怯えたちびうさにタキシード仮面人形をあげて「セーラームーンは無敵だよ」と励まし、セーラームーンとの愛の力で彼女の武器・ムーンロッドを生み出す。未来の自分キング・エンディミオンの力でサイコメトリーを応用した必殺技「タキシード・ラ・スモーキングボンバー」を手に入れ、力が使えないセーラームーンの代わりに戦った。時空の狭間に消えたちびうさを探してちびうさが変身したブラックレディに洗脳されるが、セーラープルートが時間を止めるとムーンロッドのエナジーで正気に返り、世界を消そうとしたプリンス・デマンドをセーラームーンとの愛の力で倒した。

第三期ではちびうさの宿題の紙粘土の聖杯作りをうさぎと手伝い、セーラームーンとちびムーンと力を合わせて伝説の聖杯を生み出した。ミストレス9に銀水晶を奪われたちびうさにエナジーを与え、銀水晶を返しに来た土萠ほたるに出会う。回復して決戦に向かったセーラーちびムーンをさみしく見送るが、うさぎ達を助けたいという願いで新しい力を目覚めさせ、タキシード仮面に変身して決戦に参加する。

第四期ではエンディミオンの守護祭祀・エリオスが登場。うさぎとちびうさにガラスの万華鏡をねだられて購入するが、エリオスにかけられたデッド・ムーンの首領ネヘレニアの呪いがうつり、肺の中に黒いバラが生えてしまう。セーラームーンの助言で銀水晶に近い力を持つ地球国の守護石「ゴールデン・クリスタル」を目覚めさせ、セーラームーン達をパワーアップさせた。エリュシオンの呪いが解けるとゴールデン・クリスタルの力でキング・エンディミオンの姿に変身し、ネオ・クイーン・セレニティの姿のうさぎと仮の戴冠式をする。

第五期ではハーバード大学への留学が決まり、渡米する直前にうさぎに指輪を渡すが、直後にシャドウ・ギャラクティカにゴールデン・クリスタルを抜かれて消滅する。ギャラクシアの傀儡としてセーラームーンを襲うが、ギャラクシアにコルドロンの海へと還されてしまう。コスモスの力でコルドロンから再生し、数年後にうさぎと結婚式を挙げた。エピローグでセーラームーンに「きみはきっと永遠に不滅だ」と独白し、結婚式でうさぎがちびうさを懐妊したと思われる描写がある。

テレビアニメ

初登場時は東西大学[4]の1年生で、遺伝子工学専攻[5]。『スターズ』でハーバード大学に留学する。古幡元基は同じ大学に通う親友。愛車はアルファロメオ・SZBimota Tesi 1D[注 5]。シャイで落ち着いた雰囲気だが、家族がいない寂しさを抱えている。野暮ったい服を好んで特にブラック・ムーン編からはズレた感性を見せる。『無印』ではうさぎを「お団子頭」「たんこぶ頭」とからかうが、正体を知ってからは「うさぎ」と呼ぶ。ブラック・ムーン編から原作に合わせて「うさこ」と呼び始めた。

懐に入れた赤い薔薇にはセーラームーン(うさぎ)を想う愛のエナジーを込め、敵に投げつけて浄化の力を生じさせる。多くは単独行動を取り、セーラー戦士の変身に応じて出動するが、タキシード仮面のみの出演回もしばしば。御曹司にも関わらずアルバイトで交際費を稼ぎ、うさぎのおねだりで財布が空になることもある。中学生組とちびうさの保護者代わりで、うさぎ達の友情を応援しているが、作戦の一環で全員分の焼肉をおごらされてタキシード仮面の姿で「私のバイト代を無駄にするな」と言ったことも。

優しく正義感がある人物を好み、女性にも厳しい意見を言うタイプ。ちびうさ登場からはうさぎとの結婚を意識しているが、友人に中学生との恋愛を否定される描写がいくつかあり、両想いになってからも人前ではうさぎといちゃつきたがらない。『劇場版R』では自動車事故直後のうさぎとの出会いが描かれ、妊娠中の育子を見舞いに来たうさぎに「幸せのおすそ分け」とバラをもらい、当時の親友フィオレへの餞別に譲っている。

『無印』ではうさぎと相性が合わないと言い、うさぎ達を子供扱いしていたがレイの押しに負けて何度かデートに応じた。特にレイを好きなわけでもなく、微妙にうさぎを気にしている[6]。後半では四天王のゾイサイトに正体を知られて罠にはまり、心配してついてきたうさぎと正体を明かし合うが、ゾイサイトの攻撃からうさぎを庇って倒れ、彼女がプリンセスに覚醒すると前世の記憶を取り戻す(この時に衛がうさぎに惹かれていると知ったレイとは自然消滅する)。

クイン・ベリルに洗脳され、ダーク・キングダム最高司令官ダーク・エンディミオンとして戻って来るが、騎士道精神からうさぎに手出しはしなかった。最終決戦では暗黒のエナジーに支配されてうさぎを襲うが、星空のオルゴールの思い出で意識を取り戻す。うさぎを襲ったベリルと相打ちに近い形で倒れ、「普通の女の子に戻ってかっこいい彼氏を見つけろ」と言い残した後、うさぎの最後の願いでダーク・キングダムとの戦いの記憶を消されて転生した。

『R』魔界樹編ではうさぎと腐れ縁だったが、記憶を取り戻したうさぎに告白され、銀河夏美にも好かれて困惑する。うさぎを相手にしないものの、うさぎにアタックする銀河星十郎を複雑に思っていた。タキシード仮面に変身しない代わりに、「うさぎを守りたい」という想いが分裂した「月影の騎士」がセーラー戦士を助けた。魔界樹編終盤で月影の騎士と合体してうさぎと結ばれ、再びタキシード仮面に変身できるようになる。

『R』ブラック・ムーン編では、結婚式を迎えたうさぎが月の王女の姿で破滅していく内容のお告げを受け、愛想尽かしを偽ってうさぎと別れる。諦められないうさぎを避け続けるが、セーラームーンのピンチには必ず助けに現れている。うさぎは憔悴していくが[注 6]、同じ悪夢を見られて真実を打ち明け復縁した。実はこの悪夢は、未来の自分であるキング・エンディミオンが二人の絆を確かめるために見せたものだった。プリンス・デマンドにさらわれたうさぎを救出し、キング・エンディミオンにちびうさの正体がうさぎとの娘と聞く。ブラック・レディをうさぎと抱きしめてちびうさの姿に戻し、銀水晶を使ってデス・ファントムと戦ううさぎとちびうさを支えた。

劇場版『R』では少年時代の親友・フィオレと再会し、うさぎとの仲を受け入れられないフィオレにさらわれる。エナジーを奪われたうさぎをバラ攻撃で助け出し、フィオレに落とされた小惑星から地球を守ろうとするうさぎを支えた。改心したフィオレにエナジーの花の蜜を差し出され、銀水晶の力を使い果たしたうさぎに口移しで飲ませた。

『S』では負傷した状態でうさぎと庇い合い、二人の愛の力でスパイラルハートムーンロッドを生み出す。うさぎの誕生日を知らずに怒らせてしまい、レイの協力でうさぎが欲しがっていたガラスの靴をプレゼントした。バラ攻撃でハイパーテルルンからセーラー戦士を救ったがデス・バスターズ幹部テルルを死なせてしまう。セーラームーンに協力して土萌ほたるを助け、最終決戦ではミストレス9に「ピュアな心」を抜かれて仮死状態のちびうさにエナジーを与え、ほたるが変身したセーラーサターンに出会う。戦いには参加しなかったが、ウラヌス・ネプチューンに襲われたうさぎに駆け出そうとした仲間を止め、様子を見させる。

『SuperS』ではデッド・ムーンの幹部タイガーズ・アイに「女ったらしのような恰好」と言われてから度々衝突している。高校時代からの同級生・沙織(声 - 小林優子)と後輩の小林(声 - 高木渉)にうさぎとちびうさを紹介するが、「中学生と交際している」という事実に気まずい空気が流れた。衛に想いを寄せる沙織はうさぎとの交際を信じられなかったが、衛を命がけで庇ったセーラームーンの正体を知って身を引き、その後も二人との交流は続いている[7]

人間の少女に変身したデッド・ムーンの幹部フィッシュ・アイに火遊びの恋を求められて「そういうのは夢がない」と拒絶し、うさぎを愛する理由を聞かれ「夢をいっぱい持っているから」と答え、夢を持たないフィッシュ・アイを絶望させてしまう。夢の中で聖地エリュシオンとエリオスに出会い、ネヘレニアの呪いで黒く染まったバラの中に一輪の赤いバラを見つけてエリオスを励ます。

『スターズ』ではネヘレニアの夢の鏡の破片が目に入り、ネヘレニアにさらわれて魔術で心を支配されるが、うさぎの愛に共鳴して正気を取り戻し、セーラー戦士と協力してネヘレニアを悪夢から解放する。その後ハーバード大学の留学に出発し、飛行機の中でシャドウ・ギャラクティカのギャラクシアに襲われてスターシード[8]を抜かれて消えてしまう。うさぎは衛の死を知らず、終盤でギャラクシアの口から告げられるまで衛はアメリカにいると思っていた。ギャラクシアが心を取り戻すと、スターシードを返されてうさぎに再会する。いつも通りうさぎとデートし、どれくらいうさぎが好きか聞かれて「一緒にいると元気になるくらい」と答える場面で物語は終了する。

実写版

初登場時は高校3年生だが、学校名は不明。テレビアニメ同様、同じ学校の古幡元基とは親友で、バイクを愛用する。事故の後は日下家の後見を受けて育ち、日下家の娘・陽菜とは婚約していた。ぶっきらぼうだが責任感が強く、地球の王子として星を守ろうとする意識が強い。

高校卒業と同時に陽菜とロンドン留学しようとするなど、オリジナルの設定が追加された。うさぎとの出会いも、銀水晶の内偵中にモデルの衣裳部屋に侵入したうさぎと遭遇した出来事に変わっている。うさぎと交際してからも口喧嘩はやめず、テレビアニメと同じく「うさぎ」と呼び続け、デタラメなタキシード仮面誕生秘話を教えてからかったこともある。

四天王を人質にされてクイン・ベリルの配下に自ら下り、うさぎを想うたびにエナジーを吸い取る石を胸に埋め込まれてしまう。石にほとんどのエナジーを吸い取られ、クイン・ベリルに「最後に一度だけうさぎに会いたい、その間だけ石の力を止めてほしい」と頼んでうさぎとの最後のデートをした。うさぎと愛を信じ合うことを約束し、うさぎの前世セレニティの負の心がクイン・メタリアの正体だと教えた。

ベリルの下に戻り、暴走したメタリアを体の中に取り込んで自害しようとするが、体を乗っ取られて「メタリア・エンディミオン」になってしまった。自ら望んでセーラームーンに倒されたが、ショックを受けたセレニティの意思(プリンセス・セーラームーン)が星を滅ぼしてしまう。正気に帰ったうさぎの前に衛の幻が現れ、銀水晶の力なら世界を戻せるが命の危険があると教えた。再生した世界の外にうさぎと残されるが、セレニティと亜美たちの意思でうさぎが命を得ると、吸い取られたエナジーを四天王に返されてよみがえった。

SpecialAct.ではうさぎとの結婚直前に四天王にさらわれ、ダーク・キングダムを再建したベリルの分身・黒木ミオに結婚を迫られる。本物の四天王の到着を待ちながら様子を伺い、うさぎを守りながら四天王を率いてミオの妖魔と戦った。駆けつけたセーラー戦士がミオを倒すと、元基達や四天王に祝福されてうさぎと結婚し、うさぎをバイクに乗せてハネムーンへと旅立つ。

ミュージカル版

バンダイ制作版のミュージカルは基本的にテレビアニメ版を踏襲しているが、タキシード・ラ・スモーキングボンバーやゴールデン・クリスタルなどの原作設定の一部も使われている。反対にネルケ制作版のミュージカルは、基本的に原作版を踏襲している。

平光琢也脚本の作品には、前世でのエンディミオンとクイン・ベリルが国の事情で婚約していた設定があり、バンダイミュージカルではギャラクシアがクイン・ベリルを蘇らせ、操った衛を用意して従わせるシナリオが登場する。

『愛の戦士への道』ではデス・バスターズのデス・マネッチャーズが変装した偽タキシード仮面が大勢登場し、その内の一人にうさぎに貰ったミサンガを着せ、デス・マネッチャーズに紛れてアジトに潜入した。

『夢戦士〜愛・永遠に〜』の通常版ではデッド・ムーンに操られていたほたるを救い、セーラームーンに30世紀での再会を約束して死に完結する。改訂版ではセーラーサターンに蘇生され、観客の子供たちの声援とゴールデン・クリスタルの力でセーラームーンをエターナルセーラームーンにパワーアップさせた。

『セーラースターズ』ではアメリカからうさぎに手紙を送るが、実はシャドウ・ギャラクティカの一員・MCフライに変装してアジトに潜入していた。ギャグパートではちびうさとほたるが飛ばされた江戸時代にそっくりさんが登場(通常版ではバカ殿風の麻布城の城主でうさぎ似の魚屋の少年一心うさの助と恋に落ちる。改訂版はバラの入れ墨の遊び人のキンさん鼠小僧うさ吉と結ばれた)。

『永遠伝説』の通常版ではクイン・ベリルがキング・エンディミオンを洗脳するが、その後ギャラクシアに操られたタキシード仮面にすり替えられ、ベリルを抹殺してセーラームーンに倒された。改訂版では、テレビアニメ版同様冒頭でギャラクシアにスターシードを抜かれた後で操られ、十番高校の体育教師に変装してレイを陥れる。通常版と同じ流れでクイン・ベリルを抹殺し、さらにセーラームーンの力を奪おうとしたが、セーラームーンのキスで意思を取り戻して消滅する。

『かぐや島伝説』ではうさぎたちとかぐや島の宝探しツアーに行くが、うますぎる話に敵の罠ではないかと怪しんでいた。また、30世紀からキング・エンディミオンが「スペースナイト」という姿で助っ人に現れている。30世紀のキングの家庭生活が描かれ、家事が苦手な妻の代わりに主夫をやっており、機嫌の悪い妻と反抗期の娘に困っていた。

タキシード仮面

セーラー戦士をサポートする黒装束の青年。第一期では「幻の銀水晶」を探して宝石専門の怪盗をしていた。原作・実写版番外編・『Crystal』ではただ着替えていたが、テレビアニメではフラメンコ調のBGMで変身する。その後原作にも変身するシーンが登場した。

シルクハットタキシード(実際は燕尾服)、黒いマント(裏面は赤)を着て、白い仮面をつけている。原作・実写・『Crystal』では画面の目元が透けているが、テレビアニメでは重要な場面以外は目元が隠れている。実写版ではセーラー戦士のティアラのように仮面に藍色の石がついている。

テレビアニメと実写では伸縮可能なステッキを武器に使う。原作と『Crystal』ではヒーリングによる回復役だったが、第二期からサイコメトリーを応用した浄化技「タキシード・ラ・スモーキングボンバー」を手に入れた。

テレビアニメではセーラームーンを見守るように現れた衛の別人格で、怪盗ではないが銀水晶を求めて虹水晶を手に入れようとした。セーラー戦士がピンチになると赤いバラを手裏剣のように投げて現れ、敵に隙を作って助言すると大抵はそのまま去っていく。衛の意志に関係なく、セーラー戦士のメイクアップに反応して変身していたが、衛の意識と一体化してからは自分の意思で変身する(メイクアップを感知すると、バラの花びらを浴びながらセーラー戦士の居場所にテレポートする描写がある)。

プリンス・エンディミオン(実写版ではマスター・エンディミオン)
地場衛の前世の姿。地球の王国「ゴールデン・キングダム」の王子。原作によると地球と太陽を守護星に持つ。紺色の服に鎧と赤いマントを羽織り、帯剣している。
実写版では白い服にエメラルドグリーン色のマントを羽織り、物語終盤のSpecial Actではマスター・エンディミオンとしてこのスタイルになる。
キング・エンディミオン
地場衛の未来の姿。クリスタル・トーキョーの王。ネオ・クイーン・セレニティの夫で、ちびうさの父親。
タキシード仮面がシルクハットを脱いだような恰好だが、白いタキシードと薄紫のマントを着ている。テレビアニメでは薄紫のタキシードと白いマントを着用。原作のセーラープルートによると薄紫のマントは美しい朝焼けの色。
ダーク・エンディミオン
テレビアニメ第一期後半に登場。地場衛がクイン・ベリルに洗脳され、ダーク・キングダムの最高司令官となっていた時の姿。普段はプリンス・エンディミオンの姿だが、戦闘時はタキシード仮面に変身し、黒いバラ[注 7]を投げる。
騎士道精神が強く、妖魔の卑怯な作戦を嫌ってセーラー戦士を助けたり、戦いが苦手なセーラームーンを襲うこともしなかった。終盤ではクイン・メタリアの暗黒のエナジーを注ぎ込まれ、ダーク・キングダムの従順な配下になってしまう。
月影の騎士(つきかげのナイト)
テレビアニメ『R』の「魔界樹編」に登場。うさぎを守りたいという潜在意識が一人歩きした分身で、無印前半のタキシード仮面と似たような存在。月光仮面をイメージした白いアラビア民族衣装を着用し、短剣を所持する。
白いバラを投げてセーラー戦士を助け、5・7・5で一句詠んでから「アデュー(adieu)」と言い残して去っていく。最後は暴走した魔界樹との戦いで衛と融合・消滅した。
メタリア・エンディミオン
実写版の終盤に登場。クイン・メタリア(実写版ではプリンセス・セレニティの憎しみから生まれた設定)を体内に取り込み、逆に支配されてしまった姿。
マスター・エンディミオンの容姿に似ているが、それとは対照的に黒い服を着ている。
スペース・ナイト
バンダイ版ミュージカル『かぐや島伝説』に登場。30世紀のキング・エンディミオンが現代のセーラー戦士を助けに来た時の変装。
プリンス・エンディミオンと似た姿だが、黒いゴーグルと銀色のマントを着用。
備考
エンディミオンは、ギリシア神話で月の女神セレネ(Σελήνη, Selene)に愛され永遠の眠りについた羊飼いの青年エンデュミオーン(Ἐνδυμίων, Endymion)に由来。技「ラ・スモーキング・ボンバー」は服飾史上のタキシードの原型「スモーキングジャケット(喫煙服)」に由来。なお、服飾学的に言えば、彼が着用しているのは、尾のない燕尾服であり「スペンサージャケット」と呼ばれるものでタキシードではない。

アイテム

シルクハット(原作第一期、アニメ、実写ドラマ・ミュージカル全てに登場)
タキシード仮面がつけているシルクハット。原作やミュージカルなどではすぐに取れてしまうことが多く、第二期以降は被っていない。
ステッキ(原作第二期、アニメ、実写ドラマ・ミュージカル全てに登場)
タキシード仮面の武器で、テレビアニメで登場した伸縮可能なステッキ。主に棒術を用いた攻撃や、バトンのように回して敵の攻撃を防御する用途に使うが、ビリヤードキューのように使用することもある。
原作および『Crystal』では第二期のみ登場。伸縮可能かどうかは不明だが、Act15にてセーラームーンが放ったムーン・ティアラ・ブーメランがコーアンの炎によって弾き返された際、セーラームーンを助けるために使用するなど武器として多用している。
赤いバラ(テレビアニメ、ミュージカル)
テレビアニメのタキシード仮面が手裏剣のように使う赤いバラ。セーラームーンへの愛をこめたエナジーから作られ、コンクリートに突き刺さったり、浄化の力を発する。ダーク・キングダムの幹部だった時は黒いバラ、月影の騎士の時は白いバラを使用している。
ブラック・ムーン編からはタキシード・ラ・スモーキング・ボンバーの代わりに使用され、複数輪を一度に投げると爆発する。敵の動きを封じる結界を作ったり、赤い光線に変わって物体を消滅させる描写もある。
原作でも「タキシード仮面人形」(下記)がバラを持っていたり、扉絵のタキシード仮面がバラを持っているイラストが存在し、一部逆輸入されている。
懐中時計(原作第一期・第二期冒頭、『Crystal』・実写ドラマ)
衛が持ち歩いていたムーンフェイズ懐中時計。満月と星の夜空をイメージした星型の金の時計。
原作ではうさぎを抱き上げた時に壊れてうさぎに譲った。ハンカチとのトレードを約束するが、実際にトレードしたかは不明(『Crystal』ではメタリア戦後にトレードした)。うさぎを庇った時に割れると逆向きに動いて前世の記憶を呼び覚まし、うさぎ達が月から帰って止まった。うさぎとダーク・キングダムに操られた衛が出会って動き出し、衛と心中したうさぎの身代わりに大破した。第二期冒頭で修理され、キング・エンディミオンが似た時計を持っている。
実写版ではマフラーのお礼にうさぎに渡した物で、原作とは色や大きさ、チェーンの長さが異なる。
星空のオルゴール(テレビアニメ第一期)
タキシード仮面が落とした星型の金のオルゴールロケット。蓋を開けると空の色に光り、宝珠入りの三日月が回りながら「ムーンライト伝説」のメロディーが流れる。
セレニティがエンディミオンに贈った宝物で、夢野ユメミのお姫様と王子様の絵にも登場している。ダーク・キングダムに操られた衛の意識を惹きつけ、エナジーの光で元の記憶を呼び覚ました。
四天王の宝石(原作第一期以降・『Crystal』・PCエンジン・ANOTHER STORY)
セーラー戦士たちに倒された四天王(ジェダイト、ネフライト、ゾイサイト、クンツァイト)が姿を変えた四つの宝石。
第一部後半で衛がベリルの配下になるとポケットの中に入り、第二部からは衛の部屋に安置された。普段は瞑想しながら衛を見守り、時々サイコメトリーによる幻が現れて衛に助言している。
PCエンジン版では内部戦士に力を貸すと石の姿になり、衛に別れを告げてうさぎの銀水晶の力で転生していった。SFCゲーム『ANOTHER STORY』では衛の部屋に安置され、衛が倒れるとうさぎたちに話しかける。
タキシード仮面人形(原作第二期、『Crystal』・テレビアニメ『R』)
ちびうさをあやす為に衛が手作りした人形。未来に帰るちびうさにプレゼントした。
腕時計型通信機(原作第三期・『Crystal』)
第三期で初登場するが、殆ど使用されなかった。『Crystal』での配色はネイビー。
ゴールデン・クリスタル(原作第四期以降・『Eternal』・ミュージカル)
地球と太陽を司る地場衛の守護石(セーラークリスタル)。太陽のように輝く黄金の宝石で、幻の銀水晶と同じ力を持っている。衛の胸の中から出てきてセーラー戦士をパワーアップさせた。
テレビアニメではエリオスが守護する地上の人間達の美しい夢の結晶として登場。ただし、『スターズ』での衛のスターシードは金色だった[注 8]。ミュージカル版『SuperS』では観客の声と衛のゴールデン・クリスタルがうさぎをエターナルセーラームーンに変身させた。
バラ水晶(ANOTHER STORY)
SFCゲーム『ANOTHER STORY』に登場。遠い昔、ゴールデンキングダムにあったプリンス・エンディミオンの宝石。赤い薔薇の花の形をしている。

タキシード仮面の技

サイコメトリー(原作第二期以降、テレビアニメ)
衛の超能力。手で触れた物の情報を読み取る。指先からオーラパワーを発して傷を癒したり、傷つけることもできる。念力で物体を移動させることもできる。
原作では第二期で初めて言及されるが、能力自体は第一期中盤、記憶の覚醒前から見られる。記憶の覚醒前の例として、第一期でゾイサイトの攻撃に倒れたうさぎの復活、第二期で浅沼の入試合格を予言する、などが挙げられる。また、四天王の宝石を媒介に、彼らの思念と会話をする。
テレビアニメでは明言こそされないが、能力を持つような描写がある。
タキシード・ラ・スモーキング・ボンバー(原作第二期以降)
キング・エンディミオンにサイコメトリーの力を覚醒させられ、手に入れた必殺技。手の平からエネルギー球を打ち込む。ミュージカル版でも採用されている。
リンク(原作第三期)
聖体と心の結晶を抜き取られたちびうさの体を維持する為に、サイコメトリーの力を使い、自主的に自分とちびうさの体を繋げた。
ピンクシュガー・タキシード・アタック(原作「かぐや姫の恋人」より)
ちびうさの「ピンクシュガー・ハート・アタック」との合体技。ちびムーンと二人でピンク・ムーン・スティックを持って使った。

キャスト

声優
俳優

脚注

注釈

  1. ^ テレビアニメでは青みを帯びた黒髪。
  2. ^ 原作のプリンセス・セレニティや海王みちるに地球の色に例えられている。
  3. ^ 実写版では、モデル用の衣裳部屋に迷い込んだうさぎを目撃してからの腐れ縁。
  4. ^ テレビアニメでは、かなりの頻度で街中で遭遇しては口喧嘩していたが、途中から無意識に惹かれ合う描写がある。
  5. ^ 劇中ではビモータ・テージ1Dで二人乗りするシーンが見られるが、実際のTesi 1Dはシングルシーターで二人乗りには対応していない。
  6. ^ 第69話ではブラック・ムーン一族のドロイド・アクムーダがうさぎを攻撃し、子供の姿のセーラームーンが遠ざかる衛を永遠に追い続ける悪夢を見せた。
  7. ^ 黒バラの花言葉は「恨み・憎しみ」だが、独占欲を伝える「あなたはあくまで私のもの」と、永遠の愛を伝える「滅びることのない永遠の愛」という花言葉もある。
  8. ^ 『スターズ』を前に主要スタッフが降板してしまい、設定のすり合わせが不十分だったと思われる。
  9. ^ 「ダーク・キングダム復活編」の初代クンツァイト役から同公演改訂版で二代目タキシード仮面役に抜擢され、卒業後は「新伝説降臨」「かぐや島伝説」のキング・エンディミオン / スペースナイトと「ラスト・ドラクル」のドラクル伯爵を演じている。
  10. ^ ネルケミュージカルでは冥王せつな / セーラープルートを演じた。
  11. ^ ネルケミュージカルでは紅のルベウスタイガーズ・アイ、大気光 / セーラースターメイカーを演じた。

出典

  1. ^ a b 『劇場版美少女戦士セーラームーンR メモリアルアルバム』
  2. ^ 『無印』1話
  3. ^ 『青山剛昌 30周年記念本』三〇〇〇〇字インタビューより。
  4. ^ 『SuperS』147話
  5. ^ 『美少女戦士セーラームーン20周年記念BOOK』
  6. ^ 第29話では、うさぎに好かれている元基の気持ちを確かめようとして「相手は中学生だよ」と否定され、レイの顔を思い浮かべて冷や汗をかいている。
  7. ^ カードダスより。
  8. ^ 原作の衛のスターシードであるゴールデン・クリスタルはテレビアニメ『SuperS』では無関係だが、『スターズ』ではゴールデン・クリスタルと似た形状を持つ。これについては『SuperS』で主要スタッフが降板したため、設定のすり合わせが不十分だったものと思われる。