ダーク・ボガード

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ダーク・ボガード
Dirk Bogarde
Dirk Bogarde
1964年の宣伝写真
本名 Sir Derek Jules Gaspard Ulric Niven van den Bogaerde
生年月日 (1921-03-28) 1921年3月28日
没年月日 (1999-05-08) 1999年5月8日(78歳没)
出生地 イングランドの旗 イングランド・ウエスト・ハムステッド
死没地 イングランドの旗 イングランドチェルシー
国籍 イギリスの旗 イギリス
職業 俳優、小説家
活動期間 1939 -1990
主な作品
できごと』(1967年)
ベニスに死す
愛の嵐
デスペア 光明への旅』(1978年)
 
受賞
英国アカデミー賞
英国男優賞
1963年召使
1965年ダーリング
その他の賞
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ダーク・ボガードSir Derek Jules Gaspard Ulric Niven van den Bogaerde, Dirk Bogarde, 1921年3月28日 - 1999年5月8日)は、イギリス俳優作家

ロンドンハムステッド出身。本名、デレク・ファン・デン・ボガール。父親はオランダ人タイムズの編集者、母親は元女優・マーガレット・ニーヴェン。ドイツ人と勘違いされることもあったが、イギリス人の俳優である。

生涯[編集]

チェルシー美術学校で舞台美術などを学び、1939年にはロンドンの舞台で裏方として働いていた。ある時、俳優の一人が急遽出演出来なくなったため代役として舞台に立って俳優としてのキャリアをスタートさせた。しかし同年、第二次世界大戦に従軍、ベルゲン・ベルゼン強制収容所[1]に辿り着いた最初の連合国将校の一人でもあった。また公式命令により戦争画を描き、そのうち二点は大英博物館に保存されているという。

大戦終了後の1947年に再び俳優として活動を始め、舞台出演が高い評価を得て、同年映画デビュー。以降イギリスを代表する名優として活躍した。1950年代から1970年代の彼の作品のいくつかで、ボガードは有名な役柄を演じたが、映画のいくつかは、スタジオまたはそのスクリプトによって設定された制限のために、不均一な品質だった。1958年の映画『風は知らない』で日本の女優谷洋子と共演。 The Angel Wore Red (1960)、スペイン内戦中にキャバレーのエンターテイナーであるエヴァ・ガードナーと恋に落ちる役柄を演じた。1963年の『召使』と1965年の『ダーリング』で英国アカデミー賞を受賞。ハリウッドから誘われ続けたが、アメリカ映画は『わが恋は終りぬ』一本のみ出演。主にイギリス・フランス・イタリアなどヨーロッパ映画で活躍した。ルキノ・ヴィスコンティ監督作品では1969年の『地獄に堕ちた勇者ども』で元ナチスのマックス・アルドーファーを演じ、1971年の『ベニスに死す』ではグスタフ・フォン・アッシェンバッハを好演しいずれも高い評価を得た。リリアーナ・カヴァーニ監督の『愛の嵐』(1974)ではシャーロット・ランプリングと共演した。アラン・レネ監督の多面的なフランス映画『プロビデンス』(1977) で、酔っ払って瀕死の作家 (ジョン・ギールグッド) の弁護士の息子であるクロードとして登場した。また、『デスペア 光明への旅』(1978)で狂気に陥る実業家を演じた。そしてベルトラン・タヴェルニエの『ダディ・ノスタルジー』(1991)のダディとして、ジェーン・バーキンと共演した。

ボガードは長い間マネージャーのアンソニー・フォーウッドと同居し、一度も結婚しなかったため、ゲイであると噂されていた[2]。ボガード自身は常に、フォーウッドは単なる友人関係にあると語っていた(なおフォーウッドは1942年から1948年まで女優のグリニス・ジョンズと結婚していた)。1988年5月18日、フォーウッドは72歳で死去。1999年5月8日、ボガードは心臓発作により死去。

人物[編集]

  • 『わが恋は終りぬ』で共演した女優のキャプシーヌと交際していたことがある。

フィルモグラフィ[編集]

映画[編集]

公開年 邦題
原題
役名 備考
1948 四重奏
Quartet
ジョージ・ブランド
1950 兇弾
The Blue Lamp
トム・ライリー
1952 ジェントル・ガンマン
The Gentle Gunman
マット・サリヴァン 日本劇場未公開
1953 空軍爆撃中隊
Appointment in London
ティム・メイソン 日本劇場未公開
1954 断固戦う人々
They Who Dare
グラハム
ダーク・ボガードの 求婚物語/エンゲージリング・ストーリー
For Better, for Worse
トニー・ハワード 日本劇場未公開
1955 暗黒大陸/マウマウ族の反乱
Simba
アラン・ハワード
わたしのお医者さま
Doctor at Sea
サイモン・スパロウ
1957 将軍月光に消ゆ
Ill Met by Moonlight
パトリック・リー・ファーマー
キャンベル渓谷の激闘
Campbell's Kingdom
ブルース・キャンベル
1958 二都物語
A Tale of Two Cities
シドニー・カートン
風は知らない
The Wind Cannot Read
マイケル・クイン
1960 夜と昼の間
The Angel Wore Red
アルトゥーロ・カレラ
わが恋は終りぬ
Song Without End
フランツ・リスト ゴールデングローブ賞 映画部門 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)ノミネート
1961 黒い狼
The Singer Not the Song
アナクレート・コマチ
1962 合言葉は勇気
The Password Is Courage
チャールズ・カウワード
戦艦デファイアント号の反乱
H.M.S. Defiant
1963 マインド・ベンダース
The Mind Benders
ヘンリー・ロングマン 日本劇場未公開
愛と歌の日々
I Could Go On Singing
デイヴィッド・ダン 日本劇場未公開
召使
The Servant
ヒューゴー・バレット 英国アカデミー賞 主演男優賞受賞
1964 地獄のガイドブック
Hot Enough for June
ニコラス・ウィスラー
銃殺
King and Country
チャールズ・ハーグリーヴズ
キプロス脱出作戦
The High Bright Sun
マクガイア
1965 ダーリング
Darling
ロバート・ゴールド
1966 唇からナイフ
Modesty Blaise
ガブリエル
1967 できごと
Accident
スティーヴン 英国アカデミー賞 主演男優賞ノミネート
1968 フィクサー
The Fixer
ボリス・ビビコフ
1969 素晴らしき戦争
Oh! What a Lovely War
スティーヴン
アレキサンドリア物語
Justine
パースウォーデン
地獄に堕ちた勇者ども
The Damned
フリードリヒ・ブルックマン
1971 ベニスに死す
Death in Venice
グスタフ・フォン・アッシェンバッハ 英国アカデミー賞 主演男優賞ノミネート
1973 エスピオナージ
Night Flight from Moscow
フィリップ・ボイル
1974 愛の嵐
The Night Porter
マクシミリアン
1975 殺しの許可証
Permission to Kill
アラン・カーティス
1977 プロビデンス
Providence
クロード・ランガム
遠すぎた橋
A Bridge Too Far
フレデリック・ブラウニング中将
1978 デスペア 光明への旅
Despair
ヘルマン・ヘルマン
1981 パトリシア物語
The Patricia Neal Story
ロアルド・ダール テレビ映画
1988 ザ・ビジョン/衛星テレビの陰謀
The Vision
ジェームズ・マリナー テレビ映画
1990 ダディ・ノスタルジー
Daddy Nostalgie

著書[編集]

自伝[編集]

  • Snakes and Ladders (1978)
  • An Orderly Man (1983)
  • Backcloth (1986)
  • レターズ ミセスXとの友情 A Particular Friendship ISBN 978-4896670653 (1989)
  • Great Meadow (1992)
  • A Short Walk from Harrods (1993)
  • Cleared for Take-Off (1995)

小説[編集]

  • A Gentle Occupation (1980)
  • Voices in the Garden (1981)
  • West of Sunset (1984)
  • Jericho (1991)
  • A Period of Adjustment (1994)
  • Closing Ranks (1997)

脚注[編集]

  1. ^ アウシュビッツと並ぶナチスの収容所。ユダヤ人に対するホロコーストが行われた。
  2. ^ Review by Mansel Stimpson of Dirk Bogarde: The Authorised Biography, by John Coldstream [1]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]