ガンジス川
| ガンジス(ガンガー) | |
|---|---|
| 延長 | 2506 km |
| 平均流量 | 18、490 m³/s |
| 流域面積 | 1730000 (840000) km² |
| 水源 | ヒマラヤ山脈 |
| 河口(合流先) | ベンガル湾 |
| 流路 | |
| 流域 | *ブラマプトラ川水系のみ |
ガンジス川(ガンジスがわ)は、インド亜大陸北部を流れる大河。
ヒンディー語やサンスクリットではガンガー(गंगा)と呼び、これはヒンドゥー教の川の女神の名でもある。 また漢語ではこれを音写し恒河(こうが、中国語音は Hénghé)と呼ぶ。 英語では the Ganges と呼び、これは和名の由来でもある。 the Nile などと同様、それだけで完結する固有名であり、本来は Ganges River のような言い方はしない。
[編集] 流域
ヒマラヤ山脈の南麓ガンゴートリー氷河を水源とし、上流部ではバーギーラティー(भागीरथी)の名がある。デーオプラヤーグ付近で支流アラクナンダー川と合流し、そこからガンガーと呼ばれるようになる。ここまでがガンジス川の上流部である。
ここからは河口部まで急流もなく、北インドの平原地帯(ガンジス平野の名がある。ヒンドスタン平野の一部)を流れる。イラーハーバードで最大の支流ヤムナー川と合流し、東へと向きを変えてさらに多くの河川を集める。中流域には網の目のように支流が走っており、灌漑に利用されているが、流路が安定しているために交通路としての利用は鉄道や道路の整備によって少なくなった。ビハール州北東部にてデカン高原の北東端にあたり、そこからは南東へと流れを変える。ここまでがガンジス川の中流域であり、これより下流は下流域とされる。
下流域ではブラフマプトラ川と合流し、また多くの分流を作り、バングラデシュへ入り、ベンガル湾へ流れ込む。下流部ではブラフマプトラ川、メグナ川および分流により広大な三角州地帯を形成する。分流のうち代表的なものには、コルカタ付近を流れるフグリー川、バングラデシュに流れるパドマー川がある。流量が最も多いのはパドマ川であり、現在ではこの川が本流となっている。全長は2506km、流域面積は1730000km²(ブラマプトラ川水系を除けば840000km²)。ベンガル湾に近いデルタ地帯は世界自然遺産に登録されているシュンドルボン(ベンガル語で「美しい森」の意。シュンダバンズとも)として知られる世界最大級のマングローブ林で、ベンガルトラの生息地のひとつである。下流域においては勾配が少ないことと3大河川が合流することによる流量の巨大さ、さらに主にブラマプトラ川によるチベット高原からの巨大な量の土砂の堆積によって流路が安定せず、そのため鉄道や道路の整備が困難で、ガンジス本支流の水運が重要な役割を果たしている。また、流量の変動が著しいことと勾配がほとんどないこと、流露の不安定さから特に下流域においては洪水が多発し、バングラデシュの問題のひとつとなっている。
[編集] 歴史
紀元前1000年ごろに先住のドラヴィダ人にかわってアーリア人がガンジス川流域に住み着いた。やがてガンジス流域を中心に十六大国と呼ばれる諸国が成立し、その中から現在のビハール州を本拠とし、ラージャグリハを首都としたマガダ国と、現在のウッタル・プラデーシュ州北東部を本拠としたコーサラ国が強大化していった。このころ、当時支配的だったバラモン教に対する批判として、ブッダによって仏教が起こされ、またジャイナ教もこの地域で起こった。やがてパータリプトラに首都を移したマガダ国がコーサラ国を破ってガンジス流域を統一した。マガダ国ではいくつもの王朝交代があったが、紀元前317年頃に成立したマウリヤ朝はアショーカ王の時代にインドをほぼ統一し、初の統一王朝となった。この後は王朝分立が続いた後、330年ごろにパータリプトラにてグプタ朝が成立し、再びガンジス流域を統一した。その後、ガンジス流域を統一したのはデリーに本拠を置いたデリー・スルタン朝及びムガル帝国である。ムガルの衰退後は河口部のコルカタに本拠を置いたイギリス東インド会社が1765年に下流域であるベンガルの支配権を獲得して以後領域を拡大し、インド大反乱で支配権を取り上げられて以後は全域がイギリス領インド帝国領となった。その後、1947年にインドとパキスタンが独立し、東パキスタンとなっていた下流域がバングラデシュ独立戦争の結果1971年にバングラデシュとして独立し、現在の政治領域が確定した。
[編集] 信仰
川沿いにはワーラーナシー(ベナレス)などの数多くのヒンドゥー教の聖地があり、ガンジス川そのものも聖なる川とみなされる。死者をその川岸で火葬に付し、灰をこの川に流すことは死者に対する最大の敬意とされる。子供、妊婦、事故死、疫病死の場合はそのまま水葬される。また信仰によりこの川で沐浴するために巡礼してくる信者も数多い。その反面、毎年この川で溺死する人の数も多いという。
信者以外の観光客が沐浴を行うことは避けるべきである。 ガンジス川には近隣の下水が流しこまれているため、地元の人間と違って免疫のない人がガンジス川の水に浸かったり飲用したりすれば多種多様な感染症に罹病する危険が大きい。
また、この地域はブッダの生まれ、悟りを開いて仏教を創始した地域であり、生誕の地ルンビニや悟りを開いたブッダガヤなど、仏教の四大聖地および八大聖地はすべてガンジス川流域に属する。しかしその後、東アジアや東南アジアに仏教が伝播する一方でガンジス流域における仏教信仰は衰退し、ブータンやチベットが仏教国となっているものの、聖地のあるインドではほとんど信者のいない状態となっている。 仏典では、サンスクリットのガンガーより恒河(こうが)と記す。1052の単位を示す恒河沙は、ガンジス川の砂という意味である。
また、パトナ周辺ではブッダと同時期にマハーヴィーラによってジャイナ教が創始された。