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野球における乱数表

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

野球における乱数表(やきゅうにおけるらんすうひょう)は、投手捕手の間にて球種のサイン交換に用いられた表を指し、グラブに張り付ける形で使用されていた[1][2]

概要

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縦横4マスから5マスの表に[3]あらかじめ1から5程度のランダムな数字を記しておき[4]、投球前に「(例として)最初に出す指の数を縦軸の数、次に出す数を横軸の数」という形でサインを送り、表の交差する数で球種を確認して投球する、というある種の乱数表である[3][4]。投手はグラブ内で親指を入れるところの近くに、捕手は左手首の内側に貼り付けて使用していたとされている[4]

日本における歴史

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日本プロ野球において、ベンチに盗聴器が仕掛けられる[5][6]、スコアボードから球場関係者が覗く[5][7][8][9]、観客を装った関係者が双眼鏡でサインを確認して合図を送る[7][8]といったサイン盗みが横行するようになると、その対抗策として乱数表が導入された[5][6][8]

乱数表を初めて日本で野球に取り入れたのは1960年代後半、三原脩が監督を務めていた当時の近鉄であると言われている[9][10]。単純なサイン交換に比べて、サインを暗記する手間が減り、サイン間違いが発生しないことや、相手チームにサインを盗まれる確率が低くなるといった利点から、徐々にプロ野球界ではほぼ常識的に利用されるようになった[4]

乱数表の導入以降、サインがより複雑化し、試合進行を円滑に進めるにあたっての障害(特にナイターではその分、照明に使用する電気使用料が増大する)となるなど著しい問題になったことから、1983年6月に、当時のコミッショナー下田武三が全球団に「乱数表の使用禁止」を通達し、以後日本のプロ野球で使用されることはなくなった[3]

脚注

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  1. ^ 田所龍一 (2020年12月24日). “勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~(137) 巨人の「乱」 「サイン盗まれた」思い込まされ”. 産経WEST (産業経済新聞社). https://www.sankei.com/article/20201224-WYZSNYKQ2BMEJCANHRCTBYP4NE/ 2022年1月29日閲覧。 
  2. ^ 勝田敏彦 (2020年6月5日). “現場へ!「乱数の世界へようこそ」 第4回 スパイ対策の跡 あのプロ野球投手も使った暗号と乱数表”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASN614CXCN5TULBJ002.html 2022年1月29日閲覧。 
  3. ^ a b c 夕刊フジ 2019, p. 2
  4. ^ a b c d 藤山剣 (2019年5月18日). “「え~、縦の2と横の3はカーブか」。ストップ、サイン盗み。君は「乱数表」を知っているか?”. 野球太郎. https://yakyutaro.jp/r.php?hash=tzBc5 2022年1月29日閲覧。 
  5. ^ a b c 増田護 (2019年11月13日). “[コラム]人生流し打ち 私が出会ったサイン盗みのプロ その手口と後悔”. 中日スポーツ. https://www.chunichi.co.jp/article/15061 2022年1月29日閲覧。 
  6. ^ a b 渡辺, 剛太 (2016年12月8日). “盗聴器、乱数表…「70歳の打撃投手」が語ってくれた“昔話””. スポーツニッポン. https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2016/12/08/kiji/K20161208013865090.html 2022年1月29日閲覧。 
  7. ^ a b 夕刊フジ 2019, p. 1
  8. ^ a b c “サイン盗みは“シンキングベースボール”のキッカケ!?”. ニッポン放送ショウアップナイター (フロムワン). (2019年5月13日). https://baseballking.jp/ns/188149 2022年1月29日閲覧。 
  9. ^ a b “パ・リーグ在阪3球団のスパイ合戦/週べ回顧1972年編”. 週刊ベースボールオンライン. (2021年1月19日). https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=097-20210119-01 2022年1月29日閲覧。 
  10. ^ “乱数表の元祖は近鉄だった?/週ベ回顧”. 週刊ベースボールオンライン. (2019年11月29日). https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=097-20191128-05 2022年1月29日閲覧。 

関連項目

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参考文献

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