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日本冷蔵(現[[ニチレイ]])は、[[1951年]]に焼津で冷凍みかんを試験生産し、[[1952年]]にはアメリカに輸出した<ref name="nichirei75">{{Cite book |和書 |title=ニチレイ75年史 |publisher=株式会社ニチレイ |year=2022-02 |page=44,176,252|url=https://www.nichirei.co.jp/75thhistory/}}</ref>。同年には渋谷の[[東急百貨店東横店|東横百貨店]]にて冷凍みかんをジュースにして販売している(日冷凍果ジュース)<ref name="nichirei75" />。日本冷蔵はデパート、ホテル、列車販売などにも冷凍みかんの販路拡張を志向した<ref>{{Cite journal |和書 |title=冷凍みかんはいかが |journal=マネジメント |volume=26 |issue=9 |publisher=日本能率協会 |date=1967-09 |page=124 |url= }} {{国立国会図書館デジタルコレクション|2220099/72}}</ref>。
日本冷蔵(現[[ニチレイ]])は、[[1951年]]に焼津で冷凍みかんを試験生産し、[[1952年]]にはアメリカに輸出した<ref name="nichirei75">{{Cite book |和書 |title=ニチレイ75年史 |publisher=株式会社ニチレイ |year=2022-02 |page=44,176,252|url=https://www.nichirei.co.jp/75thhistory/}}</ref>。同年には渋谷の[[東急百貨店東横店|東横百貨店]]にて冷凍みかんをジュースにして販売している(日冷凍果ジュース)<ref name="nichirei75" />。日本冷蔵はデパート、ホテル、列車販売などにも冷凍みかんの販路拡張を志向した<ref>{{Cite journal |和書 |title=冷凍みかんはいかが |journal=マネジメント |volume=26 |issue=9 |publisher=日本能率協会 |date=1967-09 |page=124 |url= }} {{国立国会図書館デジタルコレクション|2220099/72}}</ref>。
[[File:Frozen mandarin oranges.jpg|thumb|駅構内売店の冷凍みかん(2023年9月)]]
[[File:Frozen mandarin oranges.jpg|thumb|駅構内売店の冷凍みかん(2023年9月)]]
鉄道での販売に関しては、もともと駅の売店([[鉄道弘済会]])にみかんを卸していた小田原の株式会社井上が、冬から春頃にしか販売されていなかったみかんを夏に販売するために発案し、大洋漁業(現[[マルハ]])のマグロ冷凍技術を応用して[[1955年]]に開発、[[小田原駅]]の[[キヨスク]]で販売するようになった<ref name="zeiken">{{Cite web |url=https://www.zeiken.co.jp/news/25641971.php |title=創業110余年のみかん屋 株式会社井上 6代目社長 井上直也さんに聞く ベテランの常務と二人三脚で歩む、原点回帰の長期経営【マネジメント倶楽部・今月の深読み!】 |publisher=税務研究会 |date=2023-09 |accessdate=2024-03-15}}</ref>。みかんは、[[漁網]]にルーツを持つネットに入れて販売した<ref name="zeiken" />。
鉄道での販売に関しては、もともと駅の売店([[鉄道弘済会]])にみかんを卸していた小田原の株式会社井上が、冬から春頃にしか販売されていなかったみかんを夏に販売するために発案し、大洋漁業(現[[マルハ]])のマグロ冷凍技術を応用して[[1955年]]に開発、[[小田原駅]]の[[Kiosk (JRグループ)|キヨスク]]で販売するようになった<ref name="zeiken">{{Cite web |url=https://www.zeiken.co.jp/news/25641971.php |title=創業110余年のみかん屋 株式会社井上 6代目社長 井上直也さんに聞く ベテランの常務と二人三脚で歩む、原点回帰の長期経営【マネジメント倶楽部・今月の深読み!】 |publisher=税務研究会 |date=2023-09 |accessdate=2024-03-15}}</ref>。みかんは、[[漁網]]にルーツを持つネットに入れて販売した<ref name="zeiken" />。


その後静岡県などの東海道線沿線で広く販売されて昭和30年代から40年代が出荷のピークとなる。1960年代には前述の株式会社井上のみで売り上げが1000万個に達した<ref name="nou">{{Cite web |url=https://www.agrinews.co.jp/society/index/191449 |title=[農家の特報班]冷凍ミカン世に連れて かつて「旅の定番」 列車冷房化で激減 |publisher=日本農業新聞 |date=2023-10-24 |accessdate=2024-03-15}}</ref>。1960年代生まれ以降の世代には [[日本の学校給食|学校給食]]の[[デザート]]としても馴染みが深い<ref name="ismt">{{Cite journal |和書 |author=磯本宏紀 |authorlink= |title=学校給食における経験と認識に関するアンケート調査報告 |journal=徳島県立博物館研究報告 |volume= |issue=24 |publisher=徳島県立博物館 |date=2014-03 |page=52 |url=https://museum.bunmori.tokushima.jp/kiyo/2014/No24_05.pdf |naid=40020150635 }}</ref> <ref>{{Cite journal |和書 |title=意外と知らない冷凍食品Q&A |journal=aff : agriculture forestry fisheries |volume=48 |issue=6 |publisher=農林水産省 |date=2017-06 |page=16 |url=https://warp.ndl.go.jp/collections/content/info:ndljp/pid/13271042/www.maff.go.jp/j/pr/aff/1706/pdf/1706_all.pdf}}</ref>。一方で平成期には、[[アイスクリーム]]など他の食品との競合や、[[鉄道車両|車両]]への[[エア・コンディショナー|冷房装置]]搭載が進んだこともあり、店舗での売り上げは減少した<ref name="nou" />。2006年の報道で、静岡県内では駅では約5万5千個が販売され、学校給食では年に約30万個が消費されたとされる<ref name="nikkei060428">{{Cite news |和書 |title=「冷凍みかん」のGTP、知事にCD進呈(静岡地方面) |newspaper=日本経済新聞 |date=2006-04-28 |page=6}}</ref>。
その後静岡県などの東海道線沿線で広く販売されて昭和30年代から40年代が出荷のピークとなる。1960年代には前述の株式会社井上のみで売り上げが1000万個に達した<ref name="nou">{{Cite web |url=https://www.agrinews.co.jp/society/index/191449 |title=[農家の特報班]冷凍ミカン世に連れて かつて「旅の定番」 列車冷房化で激減 |publisher=日本農業新聞 |date=2023-10-24 |accessdate=2024-03-15}}</ref>。1960年代生まれ以降の世代には [[日本の学校給食|学校給食]]の[[デザート]]としても馴染みが深い<ref name="ismt">{{Cite journal |和書 |author=磯本宏紀 |authorlink= |title=学校給食における経験と認識に関するアンケート調査報告 |journal=徳島県立博物館研究報告 |volume= |issue=24 |publisher=徳島県立博物館 |date=2014-03 |page=52 |url=https://museum.bunmori.tokushima.jp/kiyo/2014/No24_05.pdf |naid=40020150635 }}</ref> <ref>{{Cite journal |和書 |title=意外と知らない冷凍食品Q&A |journal=aff : agriculture forestry fisheries |volume=48 |issue=6 |publisher=農林水産省 |date=2017-06 |page=16 |url=https://warp.ndl.go.jp/collections/content/info:ndljp/pid/13271042/www.maff.go.jp/j/pr/aff/1706/pdf/1706_all.pdf}}</ref>。一方で平成期には、[[アイスクリーム]]など他の食品との競合や、[[鉄道車両|車両]]への[[エア・コンディショナー|冷房装置]]搭載が進んだこともあり、店舗での売り上げは減少した<ref name="nou" />。2006年の報道で、静岡県内では駅では約5万5千個が販売され、学校給食では年に約30万個が消費されたとされる<ref name="nikkei060428">{{Cite news |和書 |title=「冷凍みかん」のGTP、知事にCD進呈(静岡地方面) |newspaper=日本経済新聞 |date=2006-04-28 |page=6}}</ref>。

2024年3月20日 (水) 23:21時点における最新版

駅売店で売られている冷凍みかんの例

冷凍みかん(れいとうみかん)は、みかんを凍らせた食品である。昭和30年代以降、鉄道の駅や列車内[1]で販売され、普及した[2]

作り方[編集]

丸みかんの場合、洗浄して水切りを行い、選別ののち凍結し、保管中の乾燥や 果皮の変色を防ぐため、4、5%の薄い氷の膜(グレーズ)をかけて製造する[3][4]

一般家庭でも、洗ってから水分を拭き取ったみかんを冷凍庫へ入れ、よく凍らせたうえ、冷水に一瞬くぐらせて再度冷凍することで、薄い氷の膜を作ることができる[5]。冷凍することで保存期間が延び、1、2カ月保存することができるようになる[6]

歴史[編集]

日本冷蔵(現ニチレイ)は、1951年に焼津で冷凍みかんを試験生産し、1952年にはアメリカに輸出した[7]。同年には渋谷の東横百貨店にて冷凍みかんをジュースにして販売している(日冷凍果ジュース)[7]。日本冷蔵はデパート、ホテル、列車販売などにも冷凍みかんの販路拡張を志向した[8]

駅構内売店の冷凍みかん(2023年9月)

鉄道での販売に関しては、もともと駅の売店(鉄道弘済会)にみかんを卸していた小田原の株式会社井上が、冬から春頃にしか販売されていなかったみかんを夏に販売するために発案し、大洋漁業(現マルハ)のマグロ冷凍技術を応用して1955年に開発、小田原駅キヨスクで販売するようになった[9]。みかんは、漁網にルーツを持つネットに入れて販売した[9]

その後静岡県などの東海道線沿線で広く販売されて昭和30年代から40年代が出荷のピークとなる。1960年代には前述の株式会社井上のみで売り上げが1000万個に達した[10]。1960年代生まれ以降の世代には 学校給食デザートとしても馴染みが深い[11] [12]。一方で平成期には、アイスクリームなど他の食品との競合や、車両への冷房装置搭載が進んだこともあり、店舗での売り上げは減少した[10]。2006年の報道で、静岡県内では駅では約5万5千個が販売され、学校給食では年に約30万個が消費されたとされる[13]

2006年には、バンドGTPが、冷凍みかんを題材とした楽曲冷凍みかん」が発売された[14]。前年末から静岡エフエム放送 (K-MIX) でオンエアされ同局で1月から4月まで13週連続してヒットチャート一位となった[15] [16]。連動して冷凍みかんの売り上げも急増し、2月中旬から月数個程度の入荷が1日3から5個の注文になり入荷の見通しが立たなくなった静岡市内のスーパーマーケットの例[15]や、3月末から4月にかけて店頭で曲を流して冷凍みかんを販売する対応を始めた県内スーパーマーケットチェーンの例、例年6月からであった駅キオスクでの販売を4月下旬に前倒した静岡駅の例が報じられている[16]。歌詞の影響で、4個入りのネットに包まれた品が人気だった[15]。楽曲および冷凍みかんのブームは日本全国にも波及した[15]。冷凍みかんの2005年の売り上げが90万個であったのに対し、翌年には倍以上になった[要出典]

2010年には、福岡県の冷凍食品メーカー八ちゃん堂が、皮を剥いたみかんを冷凍した「むかん」を発売した[17]「むかん」という名前の面白さ[要出典]や手軽さで話題を呼び、一部の大手コンビニエンスストアにも進出するなど販売は好調で2013年には工場を新設した[18]

冷凍パイン[編集]

姉妹品としてパイナップルの果肉を冷凍させた「冷凍パイン」もあった。同じく東海道線のキヨスクで販売されたほか、産地である沖縄県でも駄菓子屋で販売され[要出典]、学校給食にも提供された[11]

その他[編集]

Jリーグ清水エスパルスマスコットパルちゃんが、日本平スタジアムでの試合開始前に行う「パルちゃんショー」の演目の1つに、冷凍みかんを題材にしたものがある[要出典]

脚注[編集]

  1. ^ 『図説果物の大図鑑』マイナビ出版、2016年、73頁。 
  2. ^ "冷凍蜜柑". デジタル大辞泉. コトバンクより2024年3月15日閲覧
  3. ^ 『冷凍食品の事典』朝倉書店、2000年、73頁。ISBN 4254430647 
  4. ^ 2019/8/19 紀ノ川農協 視察レポート”. 森給食株式会社. 2024年3月16日閲覧。
  5. ^ 静岡県/冷凍みかんの作り方(2018年2月13日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  6. ^ ご存じですか? みかんの選び方・食べ方」『aff : agriculture forestry fisheries』第48巻第1号、農林水産省、2017年1月、12頁。 
  7. ^ a b ニチレイ75年史』株式会社ニチレイ、2022年2月、44,176,252頁https://www.nichirei.co.jp/75thhistory/ 
  8. ^ 「冷凍みかんはいかが」『マネジメント』第26巻第9号、日本能率協会、1967年9月、124頁。  https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2220099/72
  9. ^ a b 創業110余年のみかん屋 株式会社井上 6代目社長 井上直也さんに聞く ベテランの常務と二人三脚で歩む、原点回帰の長期経営【マネジメント倶楽部・今月の深読み!】”. 税務研究会 (2023年9月). 2024年3月15日閲覧。
  10. ^ a b [農家の特報班]冷凍ミカン世に連れて かつて「旅の定番」 列車冷房化で激減”. 日本農業新聞 (2023年10月24日). 2024年3月15日閲覧。
  11. ^ a b 磯本宏紀「学校給食における経験と認識に関するアンケート調査報告」『徳島県立博物館研究報告』第24号、徳島県立博物館、2014年3月、52頁、NAID 40020150635 
  12. ^ 意外と知らない冷凍食品Q&A」『aff : agriculture forestry fisheries』第48巻第6号、農林水産省、2017年6月、16頁。 
  13. ^ 「「冷凍みかん」のGTP、知事にCD進呈(静岡地方面)」『日本経済新聞』、2006年4月28日、6面。
  14. ^ ブーム到来か!?「冷凍みかん」の歌、ついにリリース!”. BARKS (2006年4月6日). 2024年3月15日閲覧。
  15. ^ a b c d 田中大介「冷凍みかん、ただいま売り切れ中」『AERA』第19巻第25号、朝日新聞出版、2006年5月29日。 
  16. ^ a b 「(静岡地方面)」『日本経済新聞』、2006年4月27日、6面。
  17. ^ 九州食べ・モノづくり(35)ぬちまーす、八ちゃん堂|中小企業やベンチャー企業に役立つニュースをピックアップ 中小企業ニュース|J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(2012年1月18日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  18. ^ 「八ちゃん堂、冷凍ミカン工場新設、コンビニ向け増産」『日経産業新聞』、2013年4月26日。

外部リンク[編集]