せとか
せとかは、ミカン科の常緑樹で柑橘類の一種である。品種名は、育成地が長崎県島原と熊本県天草の間にある「早崎瀬戸」海峡のそばに位置すること、中国•四国の「瀬戸内地方」で普及が期待される、芳香のある柑橘類であることに由来する[1]。
生産[編集]
1984年に長崎県口之津の農研機構(旧農林水産省果樹試験場)において、タンゴールの「清見」と「アンコール」を掛け合せたものに「マーコット」を交配し、育成された品種である。
系統は異なるが同じ交配パターンで別の品種として登録された柑橘として「麗紅」がある。せとかの人気が上がるにつれ、親が同じだということで麗紅のブランド商標はまさきと比較されるケースが見られるが、「清見×アンコール」の系統番号は、せとかはNo.2、麗紅はNo.5と若干異なっている。[2]同じ交配でも系統で風味の違いを楽しむことができる。[3]
収穫期は育成地の長崎県で2月上旬から2月下旬。品種登録は2001年10月18日(有効期限25年)[4]。
年明け以降出荷される中晩柑として「はるみ」、「不知火」(デコポン)とともに市場の評価が高く、海外からも注目されている。近縁種の「麗紅」よりも(木に生らせたまま)収穫時期を遅らせることができ、収穫後の長期保存性も良いとされる。
トゲが多い品種のため、果実の表面に傷が付きやすい。栽培にあたって高品質の果実収穫を目指すために、枝のトゲを切り取ったり果実の袋掛けが行われる場合もある。果皮およびじょうのう膜が薄く、食べやすいことから、大玉の傷の無い果実は贈答用として高値で店頭に並んでいる。長いトゲが、果実のカンキツかいよう病蔓延の原因や作業時の障害になるため、トゲなし系統の選抜が2001年より進められており2010年頃より「トゲなしせとか」の苗も発売されている(ただし、若木の間はトゲが出る)。
生産地[編集]
日本における2019年の収穫量は5,533トン、最大の生産地は愛媛県で、全体の2/3を超える3,712トンが生産されている[5]。特に北部の瀬戸内海に面した地域で栽培されることが多く、愛媛県松山市、今治市の両市で全国の約半分が生産される。
他に佐賀県(314トン、5.7%)や和歌山県(278トン、5.0%)など日本各地で育成されている[5]。
果実の特徴[編集]
果実の大きさは200グラムから300グラム程度で、タンゴールタイプとしては比較的大玉である。果面はなめらかで美しく、果皮は非常に薄く色も赤橙色を呈している。浮き皮の発生も少ない。アンコールの親品種であるキングマンダリンに似た香りがある。果汁糖度も13度から14度と極めて甘味が強く、樹上で酸味も程良く抜ける為、甘味と酸味のバランスが良い品種である。[6]。
脚注[編集]
- ^ “せとか 農林認定品種データベース 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター”. 2022年2月24日閲覧。
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ 農林水産省登録品種データベース「せとか」 Webpage archiveより 2013年7月23日閲覧。
- ^ a b 特産果樹生産動態等調査 / 確報 令和元年産特産果樹生産動態等調査 かんきつ類の果樹 令和元年 2023年2月22日閲覧
- ^ 農林水産省登録品種データベース「せとか」 Webpage archiveより 2022年3月5日閲覧。
関連文献[編集]
- 松本亮司ほか「カンキツ新品種'せとか'」『果樹研究所研究報告』第2号、農業技術研究機構果樹研究所、2003年3月、25 - 31頁、doi:10.24514/00001652、NAID 120006586762。
外部リンク[編集]
- 【 affラボ 】 甘い!皮が薄い!種がない!新しいカンキツ「せとか」(『aff』2008年3月号) - ウェイバックマシン(2009年3月10日アーカイブ分)
- 中晩生カンキツ - 長崎県農林技術開発センター 試験研究成果情報