国立科学博物館附属自然教育園
国立科学博物館附属 自然教育園 The Institute for Nature Study, National Museum of Nature and Science | |
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施設情報 | |
前身 | 旧白金御料地 |
専門分野 | 植物研究・教育 |
事業主体 | 独立行政法人 国立科学博物館 |
開園 | 1949年 |
所在地 |
〒108-0071 東京都港区白金台五丁目21番5号 |
位置 | 北緯35度38分17秒 東経139度43分10秒 / 北緯35.63806度 東経139.71944度座標: 北緯35度38分17秒 東経139度43分10秒 / 北緯35.63806度 東経139.71944度 |
公式サイト | 国立科学博物館附属自然教育園 |
国立科学博物館附属自然教育園(こくりつかがくはくぶつかんふぞくしぜんきょういくえん)は、東京都港区白金台五丁目に存在する国立科学博物館附属の自然緑地である。「旧白金御料地」として園内全域が天然記念物および史跡に指定されている[1]。
概要
[編集]渋谷区から港区に向けて東流する古川(渋谷川)[注釈 1]南岸に面した標高32メートルの武蔵野台地上に位置する。
もともと江戸時代以前より屋敷などに使われた土地ではあるが、あまり人の手を入れていない状態が長く保たれたことで、人口密集地となる以前の東京都区内の自然の姿をうかがい知る貴重な場所となっている。その意味で同じ屋敷地をルーツとする隣地の東京都庭園美術館の手入れの行き届いた庭園としての姿とは好対照をなしている。だからといって手入れをしていないわけでもなく、ここでは日本の古来種である野草など武蔵野の自然に自生する野草や地形、土塁など貴重なものが温存されている[3]。
歴史
[編集]園内は「旧白金御料地遺跡」として埋蔵文化財包蔵地化されており[4]、有史以来この地に人が住んでいたことが園内より縄文土器や弥生土器・近世の遺物が発見されたことで確認できる[5]。
室町時代の頃、この地には白金長者(柳下上総介)と呼ばれる豪族が居館(白金長者屋敷)を構えたと伝えられ、その遺構とされる土塁が園内にみられる[6][7]。その後、江戸時代には高松藩主松平頼重の下屋敷として用いられた。明治時代に入ると陸海軍の火薬庫として使用され、一般人の立ち入りが禁止された。1917年(大正6年)に陸軍から宮内省帝室林野局に委譲され、白金御料地となった[7]。戦時中は田畑にされる、防空壕が掘られるなど荒廃が進んだ。戦後、以前から隣接する国立教育研修所が演習林として利用していた経緯などから文部省に移管される[7]。1949年(昭和24年)に全域が「旧白金御料地」として天然記念物および史跡に指定され[1]、同時に「国立自然教育園」として一般公開された。1962年(昭和37年)に国立科学博物館附属自然教育園となった[8]。
大正時代の文献によれば、かつてはモミ、スギ、マツといった針葉樹が林を形成していた。しかし、明治神宮造営のための大規模な移植や、近接道路からの大気汚染などから針葉樹は激減してしまい、現在は落葉広葉樹が主体の森となっている[7]。
基本情報
[編集]出典:[9]
園内
[編集]- 敷地面積 - 約6万坪(約20万m2)[10]
- 利用者用施設 - 教育管理棟(自然教育園の自然を紹介した各種展示、休憩スペース、ミュージアムショップ)[11]
- 植生概況 - シイ林、マツ林、コナラ林、落葉樹林、草原、湿地[12]
生物概況
[編集]園内では、1473種の植物、約2130種の昆虫、約130種の鳥類が記録されている[13]。
2016年から2018年にかけて、国立科学博物館の研究員により各種の生物相の調査が実施された。調査結果の報告がまとめられ公開されている[14]。
出版物
[編集]- 自然教育園報告(外部リンク参照)
- 自然保護教育のためのカリキュラム作成に関する研究 : 自然教育園をフィールドとして - 国立科学博物館付属自然教育園自然保護教育研究班 編、1981年3月[15]
- 自然保護教育の現状と問題点 : 野外観察会と自然研究路を中心として - 「研究報告」「資料篇」と分冊刊行。1980年3月[16][17]
ギャラリー
[編集]-
遊歩道(2014年4月)
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遊歩道(2018年3月)
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池(2014年4月)
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池(2018年3月)
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ショウジョウトンボ(2015年6月)
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フシグロセンノウ(2017年8月)
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タヌキ(2018年3月)
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全景と周辺環境(2012年8月)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b 「旧白金御料地」東京都教育委員会公式HP
- ^ 「渋谷川・古川の流域」東京都建設局公式HP
- ^ “附属自然教育園について ≫ 沿革 :: 附属自然教育園 Institute for Nature Study”. ins.kahaku.go.jp. 2024年7月9日閲覧。
- ^ 「東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス」東京都教育委員会公式HP
- ^ 国立科学博物館附属自然教育園飛び地調査委員会 2021 pp.90-98
- ^ 平井ほか 1979 pp.244-245
- ^ a b c d 渡辺一夫 『公園・神社の樹木:樹木の個性と日本の歴史』 築地書館 2011 ISBN 9784806714323 pp.60-74.
- ^ “附属自然教育園について ≫ 沿革 :: 附属自然教育園 Institute for Nature Study”. ins.kahaku.go.jp. 2024年4月15日閲覧。
- ^ “利用案内 ≫ アクセス・利用案内 ≫ アクセス・利用案内 :: 附属自然教育園 Institute for Nature Study”. ins.kahaku.go.jp. 2024年4月15日閲覧。
- ^ “国立科学博物館附属自然教育園” (PDF). 国立科学博物館. 2022年12月23日閲覧。
- ^ “国立科学博物館附属自然教育園” (PDF). 国立科学博物館. 2022年12月23日閲覧。
- ^ “国立科学博物館附属自然教育園” (PDF). 国立科学博物館. 2022年12月23日閲覧。
- ^ “調査研究 :: 附属自然教育園 Institute for Nature Study”. ins.kahaku.go.jp. 2022年12月23日閲覧。
- ^ “調査研究 :: 附属自然教育園 Institute for Nature Study”. ins.kahaku.go.jp. 2022年12月23日閲覧。
- ^ 国立科学博物館附属自然教育園 (1981). 自然保護教育のためのカリキュラム作成に関する研究 : 自然教育園をフィールドとして. [東京]: 国立科学博物館付属自然教育園
- ^ 国立科学博物館附属自然教育園 (1980). 自然保護教育の現状と問題点 : 野外観察会と自然研究路を中心として. 東京: 自然教育園
- ^ 国立科学博物館附属自然教育園 (1980). 自然保護教育の現状と問題点 : 野外観察会と自然研究路を中心として. 東京: 自然教育園
参考文献
[編集]- 平井聖ほか 1979「白金長者屋敷」『日本城郭大系』第5巻(埼玉・東京)新人物往来社 pp.244-245
- 国立科学博物館附属自然教育園飛び地調査委員会 2021「6.発掘等調査の成果」『国立科学博物館附属自然教育園飛び地にかかる調査報告書〈資料編〉史跡にかかる個別調査報告』国立科学博物館附属自然教育園 pp.90-98
関連項目
[編集]- 植物天然記念物一覧・鳥類天然記念物一覧・無脊椎動物天然記念物一覧
- 関東地方の史跡一覧
- 東京都庭園美術館 - 自然教育園の西側に隣接して広大な緑地を形成している。