二家本辰己

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二家本 辰己(にかもと たつみ、1953年[1][2] - )は、日本殺陣師、俳優スーツアクター。別名 二家本 辰巳(読み同じ)。アクションをこなせる役者集団アーバンアクターズ代表。山口県周南市出身[1]

経歴[編集]

中学卒業後、徳山技能専門校(現:山口県立東部高等産業技術学校)でブロック建築を学び就職したものの、アクションスターを目指して1971年に上京し、ジャパンアクションクラブに入門した[1]

アクションを得意とする俳優(またはスタントマン)として数々の作品に端役や斬られ役として出演したが、『ウルトラマンレオ』でレオのスーツアクターとして披露した華麗なアクションが名高い。

各種映画や『探偵物語』で共演するなどして交友のあった松田優作の監督作『ア・ホーマンス』からもっぱら殺陣師・アクション監督として活動するようになり[2]1989年にアーバンアクターズを設立した[2]

北野武の作品は『座頭市』をはじめとして殺陣・アクションを全て二家本が担当しており、他に舞台などでも活躍するアクションコーディネーターの1人である。

2012年2月26日には、『第21回東京スポーツ映画大賞』と『第12回ビートたけしのエンターテインメント賞』の授賞式で、審査員長の北野によって急遽設けられた技術スタッフ賞を受賞した。その壇上では、同じく特別賞を受賞した福本清三との殺陣の実演や、北野が構えたマシンガンのプロップに二家本がアクションで応じるといったことも行われた[3]

逸話[編集]

  • 殺陣師への転向のきっかけは、二家本のアクション面を高く評価して「いい殺陣師になれる」と言った松田優作の言葉だったという。また松田の演技は俳優として、殺陣師としての二家本に大きな影響を与えていることを語っている。
  • 座頭市』における北野武の殺陣を「今、あれだけ早く正確に斬れる方はおられないじゃないでしょうか」と評している。

JAC時代[編集]

  • JAC加入のきっかけは『キイハンター』での千葉真一のアクションに魅せられたからだと語る[2]
  • JAC加入当初は準会員で、住み込みで新聞配達のアルバイトをしながら練習に参加していた[2]
  • ジャンプを得意としていたため、『人造人間キカイダー』ではトランポリンを担当していた[2]。練習では顔にタオルを巻いて感覚だけで空中回転を行うなどしており、こうした練習が後に『ウルトラマンレオ』などで活かされたと語っている[2]。後にJAC(現・JAE)社長となる金田治は、二家本の脱退後も後進に彼の実績を語ることがあったと二家本本人に述べている[2]
  • 松田優作には『探偵物語』の時に話しかけられ、自動二輪の購入資金がないとジェスチャーを交えながら明かしたことを面白がられたことがもとで、『野獣死すべし』などでも呼ばれるようになった。松田は二家本のことを、「あいつはいい殺陣師になる」と周囲に話していたという[4]
  • 月光仮面』(1981年版)に参加した際には、ヘリコプターから落下する設定で実際にぶら下がって離陸したが、操縦士との手違いと落下用マットがマッチ箱ぐらいの大きさにしか見えない恐怖心から、100メートルの高さでは飛び降りられなかった。本番では25 - 26メートルの高さで飛び降りたが、着地時に吐血したという[4]

アーバンアクターズ設立後[編集]

  • 王手』に参加した際に足を骨折し、病院でギプスを装着してもらった直後に『いつかギラギラする日』の現場へ電話で呼ばれた際には、自分でギプスを切ってテーピングをして行ったという[4]

『ウルトラマンレオ』での逸話[編集]

  • 「格闘技の達人で高い身体能力を持つ」というレオの設定から、そのアクションにはそれまでのウルトラマンが巨大感に合わせたアクションを行っていたのと一転し、バック転やバック宙などを筆頭に柔道や空手、合気道などの各種武道や格闘技からアクロバティックな動きが取り入れられた(ファイティングポーズにも空手や柔道の影響が見られる)。それまでなかった歯切れのよいスピーディな動きをこなした二家本の演技はファンから絶賛されているが、二家本の回想によればレオの頭の角が邪魔で、バック転などの際には苦労したという。
  • そもそも当初はレオをレギュラーで演じる予定ではなく、第1話ではセブンを演じていた。しかし、スタッフはこの時レオを演じた川口和則のアクションに満足できず、ゲストだったはずの二家本がレオをレギュラーで演じることとなったという。セブンを希望した理由は、セブンが好きだったこととアイスラッガーを投げてみたかったからだそうである(実際、劇中では跳ね返されたが、二家本が担当したセブンはアイスラッガーを放っている)。
  • 当初のストーリー設定では、人間体のレオがその未熟さと地球を愛する正義感の強さからすぐに変身して戦うも敗れたのち、特訓してリターンマッチというパターンが常であった。この設定は1クール目が過ぎるころまで続いたため、撮影日程が通常の倍になり、それまでのシリーズのスーツアクターで最も過酷なスケジュールで撮影に臨まなくてはならなくなった。また、水中戦ばかりであった第1話・第2話ではスーツのマスクに水のはけ口がなく、水がスーツの中に溜まって喉元まで達したため、死の危険を感じて思わずマスクを破壊したという。このためか、第2話冒頭のスローモーションで流されるレオの格闘シーンでは、耳の下あたりに水抜き穴があるのがうかがえることからわかるように、若干の改良がほどこされている。また、同話では水を張ったセットで連続バック転をしており、第1話・第2話の監督を担当した真船禎は「とにかく二家本さんって凄いよね。ぬいぐるみ着たまま、水を張ったステージでも連続バック転やるんだから。CGなしであんなこと出来るなんて信じられないよ。」と絶賛していた[5]
  • マスクの目に開けられている視界確保用の穴から火薬(ミサイルの表現に用いる曳光弾)が飛び込んで燃え始めたり、火薬発火用の電線が誤って配線されて電流を直接浴びるなど、現在では考えられない危険なアクシデントが続発していた。その後もピアノ線による操演の円盤生物を相手に演技で悪戦苦闘するなど、後々まで苦労は耐えなかった。二家本曰く「当時の円谷プロ作品では『スーツアクター』の待遇はよくなかった。円谷で1年やれれば他社なら10年持つと言われていました」。
  • それまでのウルトラシリーズでは、各回登場の怪獣と屋外で撮影することはしばしばあったが、宙を舞うシーンなどは初期にまとめ撮りしてそれを流用するのが常であった。しかし、『レオ』では回ごとに鍛えられたレオがより新しい技を身につけていくという設定のため、前述のシーンが毎回新撮されている。
    • 第9話のギロ星獣との戦闘では、泡にまみれながらハイジャンプする映像が屋外で撮影されたが、話の展開に合わせて身体に付着する泡の量を加減するなどの細かい演出を加えての撮影や、第2話から出るレオキックにしても回によっては同じ映像を繰り返すのではなく、3 - 4回ほどキックの映像を撮影して毎回違う映像で効果的にキックを演出するなど、フィルムと時間が大変費やされていることがうかがわれる。
  • 撮影時のスタッフとの思い出として、演技に対して厳しかった監督の東條昭平からは、二家本が満足できない演技をするとよくドロップキックを受けていたと語っている。
  • 素顔でもスポーツセンターの空手担当者として登場し、第1話冒頭で変身前のレオ=ゲン役の真夏竜と組手を行うシーンもある(その4カット目でゲンに正拳突きを入れようとしてかわされ、後ろ回し蹴りで倒されるメンバーで出演している[注釈 1]。以上の話題に関する本人のインタビューは、ビデオ版『ウルトラマンレオ』の特典映像で観ることができる)。
  • 2006年放送の『ウルトラマンメビウス』では、かつて自身が演じたレオが登場した回(第34話)でレオのアクターを担当した山本諭にレオのアクションを指導した[要出典]

出演作品[編集]

映画[編集]

テレビドラマ[編集]

  • 人造人間キカイダー(1972年) - ダークロボット(トランポリン)[2]
  • 流星人間ゾーン(1973年) - レッドガロガ、ゾーンファイター(等身大・吹替)[2]
  • ダイヤモンド・アイ(1973年) - 前世魔人
  • ウルトラシリーズ
  • Gメン'75 第125話「ウソ発見機」(1977年) - ヤクザ
  • 恐竜大戦争アイゼンボーグ(1977年) - アイゼンボー[2]、恐竜[2]
  • 大都会 PARTIII
    • 第4話「吼えるショットガン」(1978年)
    • 第16話「殺人犯奪回要求」(1979年)
    • 第17話「誘拐」(1979年)
    • 第39話「警官殺し」(1979年)
    • 第48話「囮作戦」(1979年)
  • 太陽にほえろ! ※はノンクレジット
    • 第364話「スニーカー刑事登場!」(1979年)
    • 第376話「右往左往」(1979年) - 城西署刑事
    • 第393話「密偵」(1980年) - 上野刑事
    • 第436話「父親」(1980年) - 暴走族リーダー
    • 第444話「ドック刑事のシアワセな日」(1981年) - バイクを取られる男
    • 第478話「汚れた警察」(1981年) - 久保の情報屋※
    • 第483話「落し穴」(1981年) - 銀行強盗犯※
    • 第501話「ある巡査の死」(1982年) - 拳銃を買った男※
    • 第503話「山さんとラガー」(1982年) - 寿司屋の出前持ち
    • 第509話「列車の中の女」(1982年) - 大石を刺した男※
    • 第524話「ラガーのラブレター」(1982年) - 宝石強盗犯
    • 第525話「石塚刑事殉職」(1982年) - 戸川組組員※
    • 第565話「正義に拳銃を向けた男」(1983年) - 藤沢
    • 第574話「冒険の海」(1983年)
    • 第578話「一係皆殺し!」(1983年) - 帝京物産社員
    • 第603話「陽炎の街」(1984年) - 竜神会組員
    • 第616話「カエルの子」(1984年)- 野田の仲間
    • 第621話「決闘」(1984年) - 響組組員
    • 第630話「必死のマミー」(1984年) - 矢部の部下
    • 第644話「七曲署全員出動・狙われたコンピューター」(1985年) - 虎田治郎
    • 第647話「護送車強奪」(1985年) - 囚人※
    • 第653話「一枚のシール」(1985年) - 響組組員※
    • 第658話「ラガーよ、俺たちはおまえがなぜ死んだか知っている」(1985年) - 中西修
    • 第677話「あなたを告訴する!」(1985年) - 響組組員
    • 第709話「タイムリミット・午前6時」(1986年) - 岡崎の部下
  • 恐竜戦隊コセイドン(1978年) - コセイダー[2]
  • スターウルフ(1978年) - ウルフアタッカー[2]
  • 大江戸捜査網
    • 第321話「女忍者涙の姉弟愛」(1980年)
    • 第498話「姫君七変化道中」(1981年)
    • 第527話「大奥に住む女夜叉」(1982年)
    • 第553話「尼僧が誘う妖艶やわ肌蜘蛛」(1982年)
    • 第561話「密室を暴く恐怖の魔術師」(1982年)
    • 第575話「炎の誘惑 爆弾魔を斬れ」(1982年)
    • 第580話「絶唱 夜霧に消えた女郎花」(1983年)
  • 仮面ライダースーパー1 第42話「悪魔元帥の大仮装パーティ」(1981年) - パーティ出席者[注釈 2]
  • 探偵物語 第3話「危険を買う男」(1979年)
  • 西部警察シリーズ
    • 西部警察
      • 第2話「無防備都市 -後編-」(1979年)
      • 第7話「暴走刑事を撃て」(1979年)
      • 第10話「ホットマネー攻防戦」(1979年)
      • 第12話「ビッグバッド・ママ」(1979年)
      • 第18話「俺たちの闘い」(1980年)
      • 第24話「獅子に怒りを!」(1980年)
      • 第32話「俺の愛した小さな奴」(1980年)
      • 第91話「鮮血のペンダント」(1981年)
      • 第118話「あの歌をもう一度」(1982年)
    • 西部警察 PART-II
      • 第1話「大門軍団・激闘再び -沖田登場-」(1982年)
      • 第11話「大激闘!! 浜名湖決戦 -静岡・後篇-」(1982年)
      • 第16話「追撃」(1982年)
      • 第21話「甦れ! ドッグ・ファイター」(1982年)
      • 第28話「涙は俺がふく」(1982年)
    • 西部警察 PART-III
      • 第51話「ターゲット・X! -鳩村・絶体絶命!-」(1984年)
      • 第55話「80通の脅迫状」(1984年)
      • 第69話「さよなら西部警察 大門死す! 男達よ永遠に…」(1984年)
  • 西遊記 - 悟空の分身(第8話)ほか
  • 西遊記II
  • 六本木ダンディー おみやさん
  • ザ・ハングマンシリーズ
  • あぶない刑事
  • 刑事追う!
  • 豆腐屋直次郎の裏の顔
  • お見合い放浪記

擬斗指導[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 第11話でも同様の役柄で出演している。
  2. ^ 二家辰巳と誤記。
  3. ^ 土曜ワイド劇場からレギュラー放送全般。

出典[編集]

  1. ^ a b c デジタルウルトラプロジェクト『DVDウルトラマンレオ』Vol.12 解説書。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 特撮秘宝3 2016, pp. 280-283, 取材・文 秋田英夫「INTERVIEW スーツアクター・殺陣師 二家本辰己」
  3. ^ 小向美奈子がビートたけしに熱烈キスも!『第21回東京スポーツ映画大賞』 - 日刊サイゾー
  4. ^ a b c vol.19 殺陣師・スタント 二家本辰己さん - 日活
  5. ^ DVD『ウルトラマンレオ』(デジタルウルトラプロジェクト)Vol.4解説書より。
  6. ^ 特撮秘宝3 2016, pp. 279、283.

参考文献[編集]

外部リンク[編集]