メルセデス・MGP W02
カテゴリー | F1 | ||||||||||
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コンストラクター | メルセデス | ||||||||||
先代 | メルセデス・MGP W01 | ||||||||||
後継 | メルセデス・F1 W03 | ||||||||||
主要諸元 | |||||||||||
エンジン | メルセデス | ||||||||||
タイヤ | ピレリ | ||||||||||
主要成績 | |||||||||||
チーム | メルセデスGP・ペトロナス・F1チーム | ||||||||||
ドライバー |
ミハエル・シューマッハ ニコ・ロズベルグ | ||||||||||
出走時期 | 2011年 | ||||||||||
コンストラクターズタイトル | 0 | ||||||||||
ドライバーズタイトル | 0 | ||||||||||
通算獲得ポイント | 165 | ||||||||||
初戦 | 2011年オーストラリアグランプリ | ||||||||||
最終戦 | 2011年ブラジルグランプリ | ||||||||||
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メルセデス MGP W02 (Mercedes MGP W02) は、メルセデスGPが2011年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー。2011年の開幕戦から最終戦まで実戦投入された。
概要
[編集]2011年2月1日にバレンシア・サーキットで発表とシェイクダウンが行われたが[1][2]、1月30日にMGP W02の画像が流出する騒動が発生した[3]。
シャシーはショートホイールベース化をコンセプトに設計された[4]。スペインGPから、ラジエータを前後長の短い2層型に変更した[5]。
ハイノーズは先端の位置が高く、極薄かつ偏平な形状に変更されている。前年のMGP W01では左右2分割式のインダクションポッドを採用していたが、レギュレーション変更により支柱型のロールバーが使用できなくなったため、通常のタイプに戻されている。逆に、ロータス・T128やフォース・インディア VJM04は、規則の抜け穴を見つけてメルセデス方式を模倣している[6]。
技術トレンドに従い、リアサスペンションはプルロッド式に変更された[6]。序盤戦はサイドポッドの中央付近に排気口を設けていたが、これもレッドブル方式に倣い、イギリスGPからリアタイヤの内側に排気を吹きつけるブロウンディフューザーに変更した[7]。
KERSは2009年にマクラーレン・MP4-24に搭載されたメルセデス・ベンツ・ハイパフォーマンス・エンジンズ製ユニットの発展形で、メルセデスユーザーのマクラーレンやフォース・インディアにも支給される。
ウィンターテストではオーバーヒート症状が問題になり、サイドポッドの数箇所にルーバーが刻まれた。シーズン中にはインダクションポッドの両側にインテークが追加された[8]。
2011年シーズン
[編集]コンストラクターズ順位では4位となったが、レッドブル、マクラーレン、フェラーリら3強チームとの差は大きかった。ワークス復活2年目も優勝を果たせず、表彰台獲得もなかった。
MGP W02は直線では抜きん出たトップスピードを発揮し、イタリアGPの舞台となるモンツァでは、同スペックのエンジンを搭載するマクラーレンがDRSを使っても抜きあぐねるほどだった。しかし、リアタイヤの磨耗が厳しく、スティント後半にペースが落ちる問題は解消されなかった。ニコ・ロズベルグは中国GPとベルギーGPで首位を好走したが、レース終盤に燃費が悪化して順位を落とした。
シーズン終盤は、来季に向けてフロントウィング用のFダクト(Wダクト)をテストしていると報じられた[9]。これは2010年限りで禁止された切替え式と異なり、車速によって作動するパッシブタイプとみられる。また、若手ドライバーテストでは、ブロウンディフューザー禁止に備えたエキゾーストもテストした[10]。
スペック
[編集]シャーシ
[編集]- シャーシ名 MGP W02[11]
- シャーシ構造 カーボンファイバー/ハニカムコンポジット複合構造による成型
- 全長 4,800 mm
- 全幅 1,800 mm
- 全高 950 mm
- クラッチ カーボンプレート
- ブレーキキャリパー ブレンボ
- ブレーキディスク・パッド カーボンファイバーディスクブレーキ
- サスペンション 前後プッシュロッドトーションバー・ダンパー/ダブルウィッシュボーン
- ダンパー ペンスキー
- ホイール BBS鍛造マグネシウム
- タイヤ ピレリ
- ギアボックス 電子油圧制御制御7速+リバース1速クイックシフトセミオートマチック/アルミニウムケーシング
- エレクトロニクス MES-マイクロソフト スタンダードECU
- ステアリング ラック・アンド・ピニオン(パワーアシスト付)カーボンファイバーステアリング・ホイール
- 重量 冷却水、潤滑油、ドライバーを含めて620kg
エンジン
[編集]- エンジン名 メルセデス・ベンツ FO108Y
- 気筒数・角度 V型8気筒・90度
- 排気量 2,400 cc
- 最高回転数 18,000 rpm (レギュレーションで規定)
- バルブ数 32
- ピストンボア 98 mm (レギュレーションで規定)
- 重量 95 kg
記録
[編集]年 | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | ポイント | ランキング |
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AUS |
MAL |
CHN |
TUR |
ESP |
MON |
CAN |
EUR |
GBR |
GER |
HUN |
BEL |
ITA |
SIN |
JPN |
KOR |
IND |
ABU |
BRA | |||||
2011 | 7 | シューマッハ | Ret | 9 | 8 | 12 | 6 | Ret | 4 | 17 | 9 | 8 | Ret | 5 | 5 | Ret | 6 | Ret | 5 | 7 | 15 | 165 | 4位 |
8 | ロズベルグ | Ret | 12 | 5 | 5 | 7 | 11 | 11 | 7 | 6 | 7 | 9 | 6 | Ret | 7 | 10 | 8 | 6 | 6 | 7 |
脚注
[編集]- ^ “ニコ・ロズベルグ、MGP W02に好感触”. F1-Gate.com. (2011年2月2日) 2011年2月3日閲覧。
- ^ “ミハエル・シューマッハ 「W02はルックスも中身も美しい」”. F1-Gate.com. (2011年2月2日) 2011年2月3日閲覧。
- ^ “メルセデスGP MGP W02、画像が流出”. F1-Gate.com. (2011年1月30日) 2011年1月30日閲覧。
- ^ 『オートスポーツ2月2日号』第1323号、三栄書房、2012年1月、64頁。
- ^ “Mercedes MGP W02 - modified bodywork”. Formula1.com. (2011年5月21日) 2011年12月16日閲覧。
- ^ a b 世良耕太 (2011--). “メルセデスGP・ペトロナス・フォーミュラ・ワン・チーム”. STINGER 2011年12月9日閲覧。
- ^ “Mercedes MGP W02 - revised exhausts & diffuser”. Formula1.com. (2011年7月9日) 2011年12月16日閲覧。
- ^ “Mercedes MGP W02 - revised cooling solution”. Formula1.com. (2011年5月29日) 2011年12月16日閲覧。
- ^ “メルセデスGP、2012年にむけて“フロントウイング Fダクト”を開発”. F1-Gate.com. (2011年10月19日) 2011年12月9日閲覧。
- ^ “メルセデスGP、2012年仕様のエキゾーストをテスト”. F1-Gate.com. (2011年11月17日) 2011年12月9日閲覧。
- ^ “メルセデスGP MGP W02”. F1-Gate.com. (2011年2月1日) 2011年2月3日閲覧。