もしもボックス

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もしもボックス藤子・F・不二雄SF漫画ドラえもん』に登場するひみつ道具

ドラえもんの説明によれば「一種の実験装置」とのことで、「もしもこんなことがあったら、どんな世界になるか」を体験するためのものである。

概要[編集]

外観は一昔前の公衆電話ボックス1954年から1969年まで使用されていた通称「丹頂形」)に酷似。中に入って電話(設置されている電話機も当時の青電話そのもの)をかけ、「もしも○○○だったら」「**な世界を」と申し出て受話器を戻し待つ。設定が完了すると電話機のベルが鳴るので、それを確かめてからボックスを出ると、外の世界は実際にその通りの世界に変化している。ただし、使用者の言外の意図を読み取る機能はないようで、後述の「お金のいらない世界」のように、使用者が思い描いた世界とは差異が生じることがある。もう一度もしもボックスに入って「元の世界に戻して」と言えば、元に戻る。元の世界とIF世界では、良い出来事と悪い出来事の比率は等しい。

なお、ドラえもんだけではなく妹のドラミも持っていて、彼女のもしもボックスは花柄である。『のび太の魔界大冒険』でのドラミの説明によれば、この道具で実現される架空世界は、一種のパラレルワールドであるとされている。また、この道具自体が、「条件に合ったパラレルワールドを見つけ出して、そこへ連れて行く」 ものであると説明されることもある。しかし、登場話によっては「今いる世界を作り変える道具」もしくは「新しい世界を作り出す道具」のように描写されることもあり、この道具が作り出す架空世界の理論は一定していない。

中央公論社刊による『スーパー・メカノ・サイエンス ドラえもん道具カタログ 2112年版』によれば、宇宙には無数のパラレルワールドが存在しており、その中には望み通りの「IF世界」が存在しているはずだと仮定して、その「IF世界」へ行く道具だと解説されている。

『21世紀版ドラえもん ひみつ大百科』では、次元選択コンピューターや平行次元移動ボードなどの機能がある。

ネーミングは電話をかけるときの「もしもし」と「もしも」をひっかけたもの。使い方の想像がたやすく、応用が容易で、作中に繰り返し登場したこともあり、広い知名度を持つ。深夜ラジオ等で多数ネタにされたこともある。活用方法は無限大に広がる。

テレビアニメ第2作第2期では、ドラえもんが所持しているもしもボックスにはドアの内側下部に「立ち小便禁止」と書かれているほか、電話機に「T.P」と「故障」の連絡先が、もしもボックスのダイヤル色で表示されている。この連絡先は藤子・F・不二雄ミュージアムの「みんなのひろば」内にある実物大もしもボックスにも表示されている[1]

世界が変化している間は未来の世界でも元に戻すまで影響を受けている。

テレビアニメ第2作第1期では携帯電話のように小型化された「もしもホーン」が登場した(アニメ「もしもホーン」)。

また、劇中で大半の者が『もしもボックス』によって作り出された世界だと認識しておらず、その世界が常識だと思っている。その世界が『もしもボックス』によって作り出されたと認識している者は、ボックスを使用した者《当事者》と使用した時に同じ部屋にいた者《直接『もしもボックス』の使用に関わっていない第三者》である可能性が高い[要出典][2]。例を挙げればのび太がアメリカへの引越しが無くなった時はパパたちは引越しすることを覚えているような描写があるのに対し、ジャイアンは「なんで俺を殴った」とアメリカ行きのことを全く覚えていない[3]。また、うんと物価のの安い世界では元の世界に戻したとたんドラえもんが買った大量のどら焼きが消滅している[4]。その一方でパラレルワールドである魔法の世界での冒険のことをジャイアンたちが覚えているシーンもある[5]

生み出された世界の一覧(初出年代順)[編集]

※初出におけるエピソードのタイトルは、表記のない限りてんとう虫コミックス版に準ずる。

凧揚げと羽根つきのない世界[編集]

初出は、1975年度小学四年生1月号「もしもボックス」。てんとう虫コミックス11巻に収録された、もしもボックスが初登場する話。
お正月で凧揚げが揚げられず、羽根突きでボロ負けしたのび太は「こんな遊び無ければ良いのに」と考えたのが始まり。「誰もやったことが無いなら、僕が一番上手に決まってる」と考え、意気揚々とみんなに自慢するが、結局みんなの方が上手く、自分だけが赤っ恥をかいてしまうことになる。

昼夜が逆転した世界[編集]

初出は、1976年度てれびくん12月号「もしもボックス」(てれびくん版)。コミックス未収録。
夜更かしに憧れるのび太が、昼夜が逆の世界を出す。その世界では、人々が昼間眠って夜に生活する。のび太は昼でも学校に行かずに済むので、喜んで遊び回ろうとするが、結局、みんなの生活習慣が正確に12時間逆転しただけで、全く目的を果たせていない世界であった。なお、『ぼくドラえもん』の別冊付録及び藤子・F・不二雄大全集では、「もしもボックスで昼ふかし?」という題名になっている。

貨幣がマイナスの価値を持つ世界[編集]

初出は、1976年度小学五年生1月号「お金のいらない世界」。てんとう虫コミックス13巻に収録。
プラモデルが欲しいがお金がないというのび太は「もし世界お金がなかったら…」という思いからこの道具を使用し「お金のいらない世界」にした。だがその世界はのび太が思い描いたであろう「物品の取引にお金を必要としない世界」ではなく、「お金はマイナスの価値を示す物であり、皆が欲しがらない世界」であった。そのため、色々なアクシデントのため莫大なお金を受け取ったのび太は懲り懲りな顏付きで元の世界に戻してしまう。
テレビアニメ第2作第1期「魔女っ子しずかちゃん」でも銀行強盗を阻止する為にしずかが「お金のいらない世界」にしている。

あやとりで全てが決まる世界[編集]

初出は、1977年度てれびくん4月号「あやとり世界」。てんとう虫コミックス15巻に収録。
新しいあやとりを披露したものの全く相手にされず、世間の理解のなさを嘆いたのび太は、この道具であやとりの技術により社会経済的な地位が決まる世界にした。受験からスポーツメディア政治にまであやとりが関与するこの世界でのび太は周囲から羨望の目を集め、多額の契約金でプロ大会にスカウトされるなど急速に高い地位を築いたが、指がないためにあやとりができないドラえもんがすっかり頭に来て元に戻してしまうことになる。作中でのび太によって実現された世界の中では珍しく、彼にとって何のデメリットもない世界であった。
テレビアニメ第2作第2期では、ドラえもんが元の世界に戻す理由が「あやとりの糸を見ると、猫の本能が出てしまう」に変更。

音が存在しない世界[編集]

初出は、1977年度小学三年生5月号「音のない世界」。てんとう虫コミックス16巻に収録。
例によってジャイアンがまたしてもリサイタルを開く事になり、何とか聞かずにすむ方法を考えた末、のび太とドラえもんは世界からをなくすことを思いつく。音がなくなった世界ではコミュニケーションは全て筆談で行われるようになった。生活に不便さを感じたため、リサイタルが終われば元の世界に戻そうと考えていたのび太だったが、不思議なことに音痴な歌の文字はそれを見ただけで吐き気がしてしまい、全く目的を成さず終いだった(世界を元に戻す描写はない)。なおこの話は一度もアニメ化されていない。

鏡が存在しない世界[編集]

初出は、1980年度てれびくん3月号「かがみのない世界」。てんとう虫コミックス27巻に収録。
自分のパッとしない顔に自信が持てないのび太が「さえなければ誰も自分の顔を知らず、傷つくこともうぬぼれることもないはずだ」という思いからこの道具を使用し「誰も自分の顔を見たことがない世界」にした。その世界では鏡はおろかガラスや水たまりなど反射するものに人の姿が映らない。その為、化粧や髭剃りをするのも困難であり、車の運転をする時にミラーで確認する事も出来ない。また、自分の素顔も知らない為、自分が美人だと思う者もいる(ジャイアンなど)。のび太とドラえもんは、鏡を出して周りの反応を楽しんでいたが、それがとんでもない事件の引き金となったため、元の世界に戻すことになった。

物価が現在より遥かに安い世界[編集]

初出は、1981年度小学五年生7月号「大富豪のび太」。てんとう虫コミックス32巻に収録。
デノミネーション実験がテーマ。漫画が1冊350の世界から10冊で35になり、貨幣価値が10万倍(物価が10万分の1)になった。のび太は道具を使うときに「自分の持ってる1万円札は除く」としたため、その1万円札の価値が(元の世界の)10億円相当になっていた。そこで金に不自由しない世界を満喫するが、家に大勢のセールスが押しかけたり、強盗や身代金目当ての誘拐犯が現れてしまい、結局元の世界に戻すことにした。

眠れば眠るほど偉くなる世界[編集]

初出は、1982年度てれびくん4月号「ねむりの天才のび太」。てんとう虫コミックス30巻に収録。
居眠りしてばかりで叱られたりバカにされたりするのび太は、この道具を使って「眠る人ほど偉い世界」を作ってみることにした。のび太はその世界でテレビ出演を果たすほど地位を築くが、結局眠れば何もできない世界では、様々な問題が発生してしまい、居眠り運転のダンプが野比家に突撃したことがきっかけで元の世界に戻した。

パパがアメリカへ転勤する世界[編集]

初出は、1982年度てれびくん2月号「ためしにさようなら」。てんとう虫コミックス31巻に収録。
しずかが海外に引っ越す友人との別れを惜しんでいる様子を見たのび太が、自分が引っ越すことになったらしずかたちは悲しんでくれるか試したくなり、野比家がアメリカに引っ越す事を想定してこの道具を使用。ジャイアンやスネ夫も別れを惜しみ、彼らなりのやり方で今までの意地悪を詫びようとした。しかし、しずかがあまりに悲しみ嘆くため、残酷だと元の世界に戻そうとしたら、もしもボックスが故障して本当にアメリカ行きになる寸前、ドラえもんが何とか修理して戻した。その手法はのび助の会社の転勤自体が「2月バカの嘘」という、半ば強引なやり口だった。のび太はジャイアンに「オレを殴れ」と言われてジャイアンを殴ったが、その時に元の世界に戻った為、ジャイアンに追い回された。

魔法世界[編集]

大長編第5作目『のび太の魔界大冒険』、リメイク大長編第2作目『のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』。
「魔法が本当に使えたらいいな」と魔法にあこがれるのび太が作った、魔法が実在する世界。詳しくはのび太の魔界大冒険を参照。この物語の全てはのび太がこの道具を使ったことから始まった。
なお、リメイク版ではパラレルワールドの解釈が異なる。また、本作で『もしもボックス』を粗大ごみとして玉子が処分したため、それ以降に発表された短編には、同道具は一切登場していない。

のび太が女の子の世界[編集]

1996年6月14日放送『わたし、のび子よ』。
男の子だから馬鹿にされて嫌だと思ったのび太は、この道具を使って女の子になった。女の子になると、ドラえもんも女の子(ドラ子)になり、机のイスの色や、ふすまの色も女性を意識した色(ピンク)になる。この世界では、馬鹿にされずに、遅刻しても廊下に立たないなどいいことだらけではあったが、しずかとは結婚できずに逆にジャイアンに惚れられてしまった。

のび太が身体だけ3歳の世界[編集]

1999年11月3日放送『のび太3さい!?』。
玉子の友人の息子が褒められているのを見て悔しがるのび太がこの道具を使って学力は小学5年生のままの3才児の姿になった。この姿で小学5年生の問題を答えるなどをして玉子の友人を悔しがらせることに成功する。その後はスネ夫とジャイアンには優しくしてもらったり、神成に謝ったご褒美に饅頭を貰ったりとメリットもあったが、しずかには子供扱いされて相手にしてもらえず、近所の子供にも苛められてしまう。

スネ夫の家が貧乏な世界[編集]

2010年2月5日放送『豪華!スネ夫の貧乏バースデー』。
のび太達はスネ夫の誕生日を祝おうをプレゼントを持ってきたが、スネ夫の金持ち自慢を聞いて怒って帰った[6]。それに気付かないスネ夫は「僕ちゃんちがお金持ちだから嫉妬してる」「僕も庶民的な生活したいなぁ」と思い、ドラえもんやのび太達をさらに怒らせてしまう。ドラえもんにもしもボックスを出してもらい、「骨川家が無一文だったら」という世界を作った。その直後、スネ夫の父親の会社が倒産し、自宅や家具などが差し押さえになる出来事が起こり、無一文になった骨川家は学校の裏山に住むことになった。のび太達はプレゼントを持ってスネ夫の元に向かうが、スネ夫はアウトドア生活を充実しており、彼にからくり仕掛けの木製貯金箱、無添加の食材で作ったクッキー、手作りの高級和紙を自慢された事で帰ってしまう。ドラえもんから「皆が何故怒ったかわかる?」と言われたスネ夫はもしもボックスで元の世界に戻した。のび太達を自宅に招いて反省会を開き、お詫びとしてのび太達にプレゼントするが、それはスネ夫が自慢していたからくり仕掛けの木製貯金箱、無添加の食材で作ったクッキー、手作りの高級和紙であった。スネ夫は何もわかっておらず「それが欲しかったんでしょ」「パパの会社で大量生産する」と余計皆を怒らせてしまい、のび太とジャイアンに袋叩きにされ、しずかに助けを求めても無視されてしまう。

昼寝が競技化した世界[編集]

2011年12月9日放送『ひるね王選手権』。
「ひるねが競技だったら」という世界を作ったが、のび太が誘拐されそうになったため、もとの世界に戻した。

他人を叱ってはいけない世界[編集]

2012年9月7日放送『アリガトデスからの大脱走』。
夏休みの宿題を終えないまま始業式の朝を迎えたのび太は、先生に叱られるのを恐れて、スペアポケットからこの道具を拝借し、「叱っちゃいけない世界だったら」と、どんなことをしても誰からも叱られない世界へと変えてしまう。
大喜びののび太であったが、これが原因で22世紀の未来では人を叱ることが禁じられる法律が出来てしまい、未来に戻ったドラえもんは過去(始業式当日の朝)にのび太を叱った記憶から「叱り現行犯」によりロボット収容所・アリガトデスへと連行され、さらにもしもボックスは所長のマジメーによって没収されてしまった。その後、周りの人達が自分のことを考えて叱ってくれていることに気づいたのび太が考えを改め元の世界に戻すことを決める。そして、のび太は時間を始業式当日の朝にまで戻して玉子や先生達から叱ってもらうのだった[7]

脚注[編集]

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  1. ^ 藤子・F・不二雄ミュージアム公式ブログ 「もしもボックス」の原画には・・・!
  2. ^ 大抵、のび太がもしもボックスを使用するが、使用中に部屋にいるドラえもんも『もしもボックス』によって世界が作り出されたと認識しているため。
  3. ^ 第31巻収録「ためしにさようなら」
  4. ^ テレビアニメ第2作2期「大富豪のび太」
  5. ^ 大長編『ドラえもん のび太の人魚大海戦』
  6. ^ のび太はブタの貯金箱、しずかは手作りクッキー、ジャイアンは「嫌がらせを受けても怒らない」券を持ってきたが、スネ夫がハイテクな貯金箱や1枚千円のクッキーを自慢したり、調子に乗ってわざとジャイアンを怒らせる等の行動をとった事が原因。
  7. ^ その日行うことが出来なかったドラえもんの誕生日を祝うためでもあった。

関連項目[編集]