石ころぼうし

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石ころぼうし(いしころぼうし)は、藤子・F・不二雄漫画『ドラえもん』に登場するひみつ道具。短編では「石ころぼうし」「災難予報機」に登場。

概要[編集]

石を模した表面を持つ半球型の帽子。これを被ると姿が消えるわけではないが、まるで道ばたに落ちている石ころのように誰にも気にされなくなる[1]。言わばぼうしを被った者の存在そのものが消えた状態になるため、他者はぼうしを被った者の存在を全く認識しなくなる。

ぼうしを被った者が他者の視界を遮った場合、他者は視界が遮られていることを認識しないため[2]、ぼうしを被った者の姿は他者に見えているが認識されない状態となる。それだけでなく声やにおい、触れられている感覚、ぼうしを被った者がそこにいたという形跡など[3]、ぼうしを被った者の存在を間接的に示すものも全て認識されなくなる。更にぼうしを被った者が持っている物や、他人から取り上げた物も認識されなくなる[4]ドラえもんが持っていたぼうしは小さめのサイズのものしかなく、のび太は無理やり頭にはめるようにして被った[5]

他者の目の前でぼうしを被ると、他者はぼうしを被った者を「突然姿が消えた」と感じるのではなく「最初から誰もその場にいなかった」という認識になり、直前までぼうしを被った者と会話をしていたことや、ぼうしを被った者が自分の近くにいたことなど、ぼうしを被った者に関することを全て忘れてしまう[6]。他者がぼうしを被った者と接触した場合、ぶつかった程度では全く気付いた様子は見られなかったが、体を揺すられたドラえもんは自分の体がひとりでに揺れたと認識しており(ただしその原因は理解できず、さっきぼうしを被せたのび太がやったのではという疑問も抱いていない)、くすぐられたのび太のママは笑い出している(ただしその原因は理解できず、自分がくすぐられたという自覚もない)。どちらの場合も誰かに何かをされたという認識にはなっておらず、ひとりでに起こったものと認識しており、その状況を怪しむこともしていない。また、ロボットであるドラえもんも、ぼうしを被ったのび太を認識できていないため、生物以外の機械などにも有効。

姿だけでなく声などを含めた存在そのものが消えた状態になり、他者や周囲に何をしても認識されることがないだけでなく、他者はぼうしを被った者のことを忘れてしまい、ぼうしを被った者は他者にとって最初からその場に存在していなかったことになる。そのため、姿を消すだけの道具(透明マントなど)よりも高い隠蔽効果を得られることから、誰にも気づかれないように行動する必要がある場合に用いられるようになった。帽子が脱げるのはもちろん、破れても効果を失う[7]。また、後の短編「災難予報機」に登場した時には、帽子を被った者同士だとお互い相手の姿や声などといった存在を認識し、会話ができるようになっている(大長編では「のび太の創世日記」が、この設定である)。

ひみつ道具の事典では、ぼうしに内蔵された無視催眠波発生ペーストから放出される無視催眠波の影響により、他者はぼうしを被った者を気にしなくなると解説されている[8]

短編
家族から色々な事を口やかましく言われ、嫌になったのび太は自由になりたくてこの道具を使用。だが今度は誰にも気づいてもらえず、通行人に蹴っ飛ばされたりと酷い目にあう。
そしていざ帽子を脱ごうとしたとき、彼は帽子が脱げなくなっている(小さめだったので頭に張り付いた)のに気づいた。のび太はこのまま誰にも気づかれずに一生を終えるのかと大泣きするが、その直後、汗と、水播き中の玉子に数分前に掛けられた水のおかげで帽子がふやけて破け、取ることに成功する。
大長編ドラえもん
のび太の魔界大冒険』では、複数人がこれを被った際にコミュニケーションは可能だったものの、お互いの姿は確認できなかった。それだけでなく、ドラえもんたちの声が敵に聞こえていたり、敵がドラえもんたちのことを忘れておらず、敵が配下の魔物に「におい」をたどらせ、ドラえもんとのび太以外を全員捕まえている。そのため、存在が消えているはずなのに声やにおいを知覚されたり、ぼうしを被った者のことを他者が覚えているという矛盾が生じてしまっている。リメイク版の「のび太の新魔界大冒険」ではその矛盾点を、あくまでも姿を消す機能しか持たない「モーテン星」に変更することで解消している。「のび太の創世日記」においては複数人が被った場合、ぼうしを被った者同士は姿が確認でき、コミュニケーションも可能であったが、ぼうしを被った者の声が他者に聞こえている矛盾が生じてしまっている。また、映画「のび太のねじ巻き都市冒険記」でも、帽子を被った者同士の姿の確認ができなくなっており、ぼうしを被った者のことを他者が覚えている矛盾が生じてしまっている。
テレビアニメ第2作第1期第2期
第1期では『のび太の魔界大冒険』と同様に、姿のみを認識できなくする道具として扱われることが多く[9]、自我を持たない機械(ロボット)には効果がないこともあった[10]。第2期では短編と同様に存在そのものが消える道具として扱われることもあれば[11]、『のび太の魔界大冒険』と同様に姿のみを認識できなくする道具として扱われることもある[12]。また、自我を持たない機械(ロボット)にも有効だった作品[13]もあれば、同じく自我を持たない機械(センサー)には効果がなかった作品[14]もある(原作漫画ではドラえもん以外のロボットや機械の前でこのぼうしを使ったことはない)。

脚注[編集]

  1. ^ 4巻『石ころぼうし』などで、ドラえもんが石ころぼうしの効果を説明するために用いた例え話であり、実際に石として認識されるわけではない。
  2. ^ 4巻『石ころぼうし』では、ぼうしを被ったのび太がドラえもんの目の前で手を振ったのだが、ドラえもんは自分の視界がのび太の手で遮られていることを認識していない。
  3. ^ 4巻『石ころぼうし』では、ぼうしを被ったのび太がドラえもんたちに話しかけても、ドラえもんたちはのび太の声を認識していない。それだけでなく、ぼうしを被ったのび太が道路であぐらをかいていた時、のび太の近くを歩いていた子犬も、のび太のことを認識していない。また、ぼうしを被ったのび太が水や汗をこぼしながらドラえもんに泣きついても、ドラえもんはのび太からこぼれた水や汗を認識していない。プラス4巻『災難予報機』では、ぼうしを被ったドラえもんとのび太がしずかの家にあがりこみ、しずかに声をかけたり、しずかのおやつを食べたり、漫画を読もうとしているしずかの手を強引に遮っても、しずかはドラえもんとのび太のことを認識していない。
  4. ^ 4巻『石ころぼうし』では、のび太はスネ夫からバットを取り上げたが、スネ夫はバットを取られたことや、のび太が持っているバットに気づいていない。
  5. ^ ただしプラス4巻『災難予報機』、『のび太の魔界大冒険』、『のび太の創世日記』では、ドラえもんが自身の頭より小さい石ころぼうしを頭上に乗せただけでも正常に機能している。
  6. ^ 4巻『石ころぼうし』では、ドラえもんがのび太にぼうしを被せた直後、ドラえもんはのび太が自分の目の前にいたこと、のび太に話しかけていたこと、のび太にぼうしを貸し与えたこと、のび太にぼうしを被せたことを忘却してしまい、そのまま立ち去ろうとしている。
  7. ^ 4巻『石ころぼうし』、『のび太の魔界大冒険』
  8. ^ 『ドラえもんのひみつ道具使い方事典1』(小学館、1990年12月1日発行)
  9. ^ 「見えない補助輪」(1993年7月30日放送)、「ゴム・カム・カンデー」(2004年4月2日放送)
  10. ^ 「ゴム・カム・カンデー」(2004年4月2日放送)
  11. ^ 「ドラえもんとドラミちゃん」(2006年12月1日放送)、「恐怖のジャイアン誕生日リターンズ」(2007年6月15日放送)
  12. ^ 「決戦!ネコ型ロボットVSイヌ型ロボット」(2010年9月3日放送)、『のび太の宇宙小戦争2021
  13. ^ 「決戦!ネコ型ロボットVSイヌ型ロボット」(2010年9月3日放送)
  14. ^ のび太の宇宙小戦争2021