ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記

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ドラえもん
のび太のねじ巻き都市冒険記
監督 芝山努
脚本 藤子・F・不二雄
原作 藤子・F・不二雄
製作 シンエイ動画テレビ朝日小学館
製作総指揮 藤子・F・不二雄
出演者 レギュラー
大山のぶ代
小原乃梨子
野村道子
たてかべ和也
肝付兼太
ゲスト
佐々木望
松尾銀三
内海賢二
音楽 菊池俊輔
主題歌 Love is you/矢沢永吉
編集 岡安肇
配給 東宝
公開 日本の旗 1997年3月8日
上映時間 99分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 20.0億円
前作 ドラえもん のび太と銀河超特急
次作 ドラえもん のび太の南海大冒険
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ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記』(ドラえもん のびたのねじまきシティーぼうけんき)は、藤子・F・不二雄によって執筆され、『月刊コロコロコミック1996年9月号、10月号および1996年12月号から1997年2月号に掲載された大長編ドラえもんシリーズの作品、および、この作品を元に1997年3月8日に公開されたドラえもん映画作品である。大長編ドラえもんシリーズ第17作、映画シリーズ第18作。

藤子・F・不二雄は本作の執筆中に死去したため、この作品が藤子にとって遺作となった。

第15回ゴールデングロス賞優秀銀賞受賞作。劇場版同時上映は『ザ☆ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!』。

概要[ソースを編集]

漫画は62ページの途中あたり(スネ夫のロケットをビッグライトで巨大化するシーン)で絶筆した[1](ペン入れではなくネーム段階)。表紙カバー、扉絵、冒頭のカラーページ(3ページ分)が藤子・F・不二雄の完成品であり、絶筆となった後の部分については下書きや原案を基に藤子プロが作成している。

映画版で監督を務めた芝山努は、この映画だけは原作完成よりも前に話の大筋を全て教えられていた事や、種まく者がのび太に対し「あとは君たちに任せる」と語るシーンがある事から、まるで遺作となる事が分かっていたかのようだったと後に語っている[2]。また、執筆を引き継いだ萩原伸一(現・むぎわらしんたろう)も、連載1回目の際に藤子からスタッフへあてたメモ書きと「のび太の部屋に体温を与える徹底研究」と書かれた、のび太の部屋の小物や本棚についてのイメージが描き込まれた原稿が回された事により、「今までは細かい指示をしていなかった藤子が、これだけ描き込んでいたので、ちょっとおかしいなと思った」と話している[3]

本作は前作『のび太と銀河超特急』とリンクする部分が存在する。のび太が使い、ラストの熊虎鬼五郎との一騎討ちで勝利をもたらした「フワフワ銃」がそれである。これはもともと『銀河超特急』の舞台ドリーマーズランドの「西部の星」で使われていた安全な拳銃で、ドラえもんは記念にもらったと言っている。その他大長編では『のび太と雲の王国』とリンクしている場面もあり、のび太のママたちが「勉強すると言って集合したけど、本当は危険な冒険に出かけたんじゃ…」と心配するシーンがある。

ラスボスの熊虎鬼五郎の声を演じるのは『銀河超特急』でラスボスの天帝を演じた内海賢二であり、内海は2作続けてラスボスを演じた。

本作クライマックスにおける、巨大な小便小僧が放尿で村火事を鎮火するアイディアは、「ガリヴァー旅行記」のリリパット国(小人国)でガリヴァーがとった行動の翻案である。

冒頭の時点でのび太が生命のねじの存在を知っておりパカポコなどに使用している。ドラえもんが映画で中核を担う道具[注 1]をのび太に説明する描写が描かれていないのは本作のみである。

のび太とブリキの迷宮』以来、4年ぶりにドラえもんが一時的に故障する場面があるが、直後に別行動を取っていたのび太がスペアポケットに入った際の振動(くすぐったさ)で復活するため、『のび太と雲の王国』や『のび太とブリキの迷宮』ほど危機的な状況ではなく、一瞬気絶した程度であった。

前作を最後に武田鉄矢が降板したため、本作の映画主題歌は矢沢永吉が手がけた。武田が主題歌にかかわらなかったのは、1984年の『のび太の魔界大冒険』以来13年ぶりとなり、以降も映画ドラえもんの主題歌は、他のアニメ映画と同様にタイアップ要素が濃くなっている。また武田の勇退と同時に、本作をもって菊池俊輔は劇場映画においての音楽担当を長編作品のみ降板し、以後『帰ってきたドラえもん』などの短編作品、およびテレビシリーズのみを担当している。
なお武田は後の2010年公開作品『のび太の人魚大海戦』にて再び挿入歌を担当する事になる。

映画も基本的なコンセプトは同じだが、登場人物や鬼五郎の設定などに違いが見られる。予告映像にて存在していた動物の村などは本編には登場しない。
また、予告映像では小便小僧が森を鎮火し「まさかこれで終わりってことは…」とのび太が言った後、結末を飾る場面で種まく者が出現する。しかし本編では大幅に変更され、結局最後はのび太が皮肉を言った小便小僧の鎮火の後、鬼五郎が改心して締めくくった。
大長編に登場する「マックドナルド」は映画には登場しない。なお映画予告編では、一部にフランス語と英語が用いられていた。

あらすじ[ソースを編集]

ある日の夜、のび太は空き地でドラえもんのひみつ道具「生命のねじ(いのちのねじ)」を使い、命を得たウマのぬいぐるみ「パカポコ」と一緒に走りの練習をしていた。しかし空き地は手狭であり、またのび太はジャイアンやスネ夫に「牧場を持っている」と嘘をついてしまったため、何とかならないかと考えていると、ドラえもんが未来から福引の小惑星引換券のはずれ券を持ってくる。そこに牧場や町を作ろうと思ったのび太は早速、小惑星を調べる事に。ところがいろいろ調べても、地球とはまったく違っていて小さくて穴だらけ。しかし最後の1枚を調べると、なんとそこは大自然の広がる美しい星であった。

のび太とドラえもん、そしてしずか、ジャイアン、スネ夫のいつものメンバーは、この星におもちゃの町を作ろうと考えた。のび太がその町を「ねじ巻き都市(ねじまきシティー)」と名づける。

ねじ巻き都市はのび太たちと生命のねじで命を得たぬいぐるみによって住みやすい環境になりつつあったが、不審な事にどこからともなく「出ていけ」との声が聞こえるようになる。

そんなある日、1人の脱獄囚がねじ巻き都市に忍び込む。熊虎鬼五郎という前科百犯の犯罪者である。この星を自分のものにしようとした熊虎は偶然落ちていた「タマゴコピーミラー」を使い、自らのクローンを生み出した。

ドラえもんたちは熊虎が忍び込んだのも知らず、雷のショックで生まれたピーブたちとともにさらなる町づくりをする。ねじ巻き都市を舞台に、ドラえもんたちと熊虎の戦いが始まろうとしていた。

舞台[ソースを編集]

宇宙(ねじ巻き都市)
のび太が福引券を読み間違えて当てた、火星木星の間の小惑星帯にある小惑星[注 2]。この星では植物が進化しており、意識を持っている。

声の出演[ソースを編集]

ゲストキャラクター[ソースを編集]

ピーブ
- 佐々木望
落雷の影響により命を得たぬいぐるみのブタ。知能が高く喋る事もでき、ねじ巻き都市の市長に選出された。
プピー
声 - 白川澄子
ぬいぐるみのブタでピーブの妹分。ドラえもんがひみつ道具で起こした人工落雷で知能を持った。人口落雷のためピーブよりは知能が低く、多少呂律が回らない口調で話す。原作では「~でちゅ」のような口調だが映画では普通の口調。
パカポコ
のび太が生命のネジで命を吹き込んだウマのぬいぐるみ。のび太の愛馬となる。喋ることはない。
アイン・モタイン
声 - 菅原正志
ぬいぐるみのウシ。落雷の影響により、アルバート・アインシュタイン並の知能を持った。空気清浄機やセラミックスなどを発明した。
レオナルド・ダ・ヒンチ(漫画)
ぬいぐるみのウマ。落雷の影響により、レオナルド・ダ・ヴィンチ並の知能を持った。スネ夫はアイン・モタインともども「何か偉そうな感じ」と称し、快く思っていない。漫画のみ登場。
トーマス・メエージソン(映画)
声 - 塩沢兼人
ぬいぐるみの羊。「め」の単語を「めぇ~」と強調した変わった喋り方をする(「発明」を「はつめぇ~」と言うなど)。落雷の影響でトーマス・エジソン並の知能を持った。映画のみ登場。
ウッキー
声 - よこざわけい子
生命のねじで命を吹き込まれた、しずかのぬいぐるみのサル。いたずら好きで、エッグハウスの中心に置かれた生命のねじをのび太らの町に持ち出し幾つかの物体に生命を吹き込んでしまう。また、のび太の頼みでスペアポケットを野比家から取って来た。しかし半円形の絵で指示されたので家中引っ掻き回して他の半円・半球形の物(のび太のパンツ、分度器、ボウル、帽子、スイカなど)を多量に持ち出した。間接的に宇宙に放り出されたドラえもんらを救う手助けをした。
ウッキーにより命を吹き込まれた物体たち
小便小僧
公園の噴水に設置されていた像。鬼五郎一家が森に放った火を、ビッグライトで巨大化しての放水で見事「チン火」する。
骨格標本
のび太らの小学校の理科室にあった標本。ホクロ(熊虎一家の1人)にかみつき怖がらせる。通行人のじいさんの挨拶に会釈で返すなど礼儀正しい。
パンダ(映画のみ)
声 - 青木和代
駄菓子屋の前に設置されていたパンダの乗り物。上述のじいさんの孫が遊んでいた。乗り物と油断させて背後から殴りつけるのが得意。ラストの鬼五郎との対決では1人で敵を撃破する活躍を見せた。声を出すのはアイン・モタインが空気清浄器を発明した際の式典でピーブがウッキーに小僧や標本などを元の場所へ戻すよう指示して泣いた時のみ。
ザンダースおじさん(漫画のみ)
カーネル・サンダース像に似た人形。鬼五郎一家をチョップで打ちのめした。
「○野□三」の選挙ポスター(漫画のみ)
空中を舞いながら選挙の呼びかけ文句を叫ぶ。
ゴジちゃん(漫画)、ティラ(映画)
声 - 茶風林
生命のねじで命を吹き込まれた、ジャイアンのぬいぐるみの恐竜。外見とは裏腹に臆病で内気な性格(ジャイアン曰く「俺に似て」)。ジャイアンはこのぬいぐるみを大切に思っており、「弟よ」とまで言い出す。甘党で大福が好物。漫画版と映画版では名前が異なる。
種まく者
声 - 伊倉一恵(少年の姿)、渡部猛(魔人の姿)
ねじ巻き都市が築かれた星にいた意志ある植物たちの創造主。36億年前、地球と火星にもアミノ酸やタンパク質などの有機物質=「生物の種」を散布し、生物を誕生させた。ピーブたちに知性を与えた落雷も彼が起こしたもの。
森の奥にある湖を根城にしている。熊虎から金塊と勘違いされるほど常に金色に輝いているが、不定形で決まった姿はなく、武者の姿をした魔人やヘビや巨大なカブトムシ、戦車など、自在に姿を変えられる。のび太に話しかけた際にはドラえもん、(玉子(原作)、)ギリシャ神話風の少年の姿をとった。
侵入者たちに対し嵐を起こして威嚇したり、強大な姿に変身して襲いかかるなどもしていたが、自分が作った生命体の根付いた星を荒らされないように守ろうとしていただけで、本質的には敵ではない。
最終的に、地割れに落ちてしまった事で出会ったのび太とねじ巻き都市に生まれたぬいぐるみたちに星を託し、別の星に新たな生物を作りに行った。
熊虎 鬼五郎(くまとら おにごろう)
声 - 内海賢二
前科百犯の凶悪な脱獄囚。逃亡中にのび太の家に侵入し、どこでもドアを通ってねじ巻き都市の星へ迷い込んだ。ひみつ道具タマゴコピーミラー」で増殖した自分のクローンたち(声 - 広瀬正志石田弘志秋元羊介中村大樹)と共にねじ巻き都市を乗っ取り、森の木を伐り、ホテルカジノを建てようと画策する。
とても順応性が高く、クローンがタマゴコピーミラーから生まれた事を簡単に説明されただけで理解したり、ねじ巻き都市がある場所が地球外である事も理解している。ジャイアン(映画ではドラえもん)に熊五郎と名前を間違えられた。
大長編では『のび太と雲の王国』の密猟者に続く「のび太たちの住む時代の地球から来た悪役」であり、名前がある悪役では初となる。
映画ではクローンたちに自分を「社長」と呼ばせ、クローンとの区別のために帽子を被っている。漫画ではSIG P228を使用する。
次回作である『のび太の南海大冒険』の漫画版では顔の似た海賊が登場している。
犯罪者だが「かっぱらう」「盗む」という単語を嫌い、自分では使わない(金塊の湖に遠征する際の食糧調達をクローンに命じるとき「食糧をかっぱらって、いや、用意してこい」、消防署から盗んできた梯子をホクロに持たせる際「消防署から頂いた梯子だ」)ほか、クローンがこれを使うと訂正する(宇宙ステーション爆破時、クローンにダイナマイトの存在を確認しクローンが「工事現場からかっぱらったやつが(ある)」と言うと「頂いた、と言え、頂いた、と」)。
ホクロ
声 - 松尾銀三
熊虎鬼五郎のクローンの1人だが、彼だけ上唇にホクロがある。気が弱く優しい性格でいわば熊虎の「良心」。ホクロという特徴がありクローンの中では目立ったため、鬼五郎本人からハシゴの運搬や見張り、金塊(種まく者)のある湖への素潜りなど面倒な仕事を押し付けられていた。
泳ぐのが苦手であり、これはオリジナルの鬼五郎の特徴を受け継いだもの(劇中で鬼五郎に「俺はコピーですよ、泳げないの知ってるでしょう!」と言っていた)。漫画では歌には自信があると言っているが、実際はジャイアンよりはマシ程度の音痴。
熊虎のクローンの中では1番優しく、襲って来た種まく者の魔人から逃げるドラえもん達に協力する、崖に転落したのび太を心配するしずかを気遣う、爆破されようとしている宇宙ステーションでしずかを縄で縛った時に逃げられるようにわざと縄を緩める、その後ドラえもん達を見殺しにしたことに罪悪感を抱く等、悪に徹しきれない場面が多く描かれている。捕らえる事に成功したオリジナルの熊虎とクローンを元の1人に統合した際に彼が熊虎の主人格として生まれ変わり、警察へ自首する事を告げ地球へ帰っていった。その後はテレビニュースなどから、実際に約束を守って自首したようである。

なお、コロコロコミックに掲載された大長編の連載前の予告では、ラストの敵が「鉱石人間」とされていたが本編では登場しなかった。

登場するひみつ道具[ソースを編集]

  • タイムマシン
  • どこでもドア
  • テキオー灯
  • 生命のネジ
  • エッグハウス
  • タマゴコピーミラー
  • 自家用衛星
  • ビッグライト
  • タケコプター
  • 人間機関車セット(映画では客車付き)
  • ???
  • 通りぬけフープ
  • スペアポケット
  • 透明ペンキ(原作のみ)
  • 石ころ帽子(映画のみ)
  • カメレオン気球(原作のみ)
  • ヤミクモガス(映画のみ)
  • フワフワ銃
  • フエルミラー(原作のみ)
  • タマゴ逆転装置
  • 植物の素(原作のみ)

スタッフ[ソースを編集]

主題歌[ソースを編集]

オープニングテーマ「ドラえもんのうた
作詞 - 楠部工 / 編曲·作曲 - 菊池俊輔 / 唄 - 山野さと子コロムビアレコード
エンディングテーマ「Love is you」
作曲 - 矢沢永吉 / 編曲·作詞 - 高橋研 / 唄 - 矢沢永吉
本来CD化の予定はなかった[4]ものの、後に彼のベスト盤『E.Y 90's』と、映画シリーズのベストCD『DORA THE BEST』に収録された。
映画公開の翌年、テレビ東京系列『愛の貧乏脱出大作戦』の主題歌に採用された。

脚注[ソースを編集]

注釈[ソースを編集]

  1. ^ のび太と雲の王国』の雲かためガス、『のび太の創世日記』の創世セットなど。
  2. ^ 大長編ではSSS-ZY-997894。映画版ではSSS-BC-555、券はSSS-BC-333

出典[ソースを編集]

  1. ^ ドラえもん(18) のび太のねじ巻き都市冒険記 (1997) | 感動銀行
  2. ^ 『Quick Japan vol.64』太田出版、2006年2月20日第1刷発行。ISBN 4-7783-1003-9
  3. ^ 2012年1月15日放送の特別番組『ドラえもん傑作選スペシャル』より。
  4. ^ 『矢沢永吉が「ドラえもん」歌と作曲 来月公開「のび太のねじ巻き都市冒険記」』 読売新聞1997年2月17日夕刊7面

外部リンク[ソースを編集]