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可変戦闘機 (マクロスシリーズ)

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マクロスシリーズ > 可変戦闘機 (マクロスシリーズ)

可変戦闘機(かへんせんとうき、Variable Fighter、ヴァリアブル・ファイター)とは、テレビアニメ超時空要塞マクロス』を始めとするマクロスシリーズ作品に登場する架空の兵器。通常の戦闘機形態「ファイター」、そこから手足を展開した中間形態「ガウォーク」、人型ロボット形態「バトロイド」への3段変形機構を有する機動兵器群を指す。

代表的な機体VF-1の愛称にちなみ、マクロスシリーズではその他のバリエーションも含め、総称として「バルキリー」と呼ぶことが多い。以下、本文中では区別のため型式番号+愛称の形で表記する。

概要

アニメ・玩具関連の「乗り物がロボットに変形する」メカの中でも、マクロスシリーズの可変戦闘機はリアルロボット的な解釈の最右翼にあり、リアリティーを感じさせるデザインや設定が根強い支持を得ている。また、モビルスーツアーマードトルーパーレイバーといった他の代表的なリアルロボットと比較して、際立って航空兵器的性格が強いのも特徴である(ガウォーク・バトロイド形態でも地上を歩いて移動するシーンが極めて少なく、ほとんどの場合空を飛行している)。メカデザイナーはマクロスシリーズの中心人物でもある河森正治。一部の機種はスタジオぬえの先輩宮武一貴が手がけている。

『超時空要塞マクロス』作中で最初に登場したVF-1 バルキリーは、アメリカ軍で使用されるF-14 トムキャットに酷似した、極めて現実的なデザインの戦闘機が一瞬にして複雑に変形、人型になるという今までに無かった驚異のメカ設定で[1]、後の変形リアルロボットすべてに影響を与え、1980年代のアニメに変形ロボが乱立する原因となった。番組の制作発表当初、アニメ誌ではファイター形態とバトロイド形態が変形する設定を伏せて掲載され、放送直前に中間形態であるガウォークが公表され、これが可変メカであることが知らされた。

また、戦闘シーンでは無数のミサイルが乱舞する中、「板野サーカス」という俗称がつくほど激しく空間を飛び回る演出が評判となり、後のSFアニメの演出に多大な影響を与えた。

後のマクロスシリーズ作品には様々な後継機が登場し、ステルス機など現実世界の航空機開発史を反映したようなバリエーションを展開していく。実在の航空機のフォルムをベースにロボットへの変形機構を考案する方式を採り[2]、愛称(ペットネーム)も過去の名機から引用するなど、SFミリタリーセンスの融合を図っている。詳細はモチーフとなった実在する航空機の節を参照。

機体のサイズはファイター形態で実在の戦闘機と同様か小さいくらい(全長12mから22m)で、バトロイド形態でおよそ全高12mから15mほどに設定されている。局地戦用の可変爆撃機(ヴァリアブルボマー)の中には全長30mを超える設定のものもある。

なお、VF-1はスポンサーであったタカトクトイスの倒産などの諸々の複雑な理由で、米国製スーパーロボットアニメの『The Transformers』にサイバトロン戦士ジェットファイヤー(日本名:スカイファイアー)と名称を変更して出演している(この時、アメリカでの玩具安全基準に従って、尖った機首が丸く金型修正されてしまう)。そして、これによって日本語版『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』の放映に問題が発生することとなる。

バリエーション

運用用途に応じて様々なバリエーションの機体が開発されている。統合軍の主力戦闘機として量産配備されたのは、VF-1バルキリーやVF-11 サンダーボルト、2050年代においてはVF-171 ナイトメアプラスなど、平均レベルの性能で操縦者の技量や使用環境を問わず、機体設計の自由度が高く汎用性に優れた多目的戦闘機である。

その他、大気圏外での活動に適した宇宙機、ステルス性を重視した特殊任務機、ハイ・ロー・ミックス構想に基づく低コストの軽戦闘機など目的別に特化した機体も開発されている。また、可変戦闘機の弱点である攻撃力を強化した可変攻撃機や拠点攻略戦用の可変爆撃機といった派生種もある。他には実験機や試作機、個人用のカスタム機、民間用レジャー機なども登場する。

可変戦闘機というコンセプトは地球で生まれたが、地球人類とゼントラーディ人が共存する時代になると、相互の技術を取り入れた「ハイブリッド機」が誕生することになる。さらに別の異星人勢力(バロータ軍)により改造されるなど、星間文明の交雑とともに一層バリエーションが拡がり、作品世界の中では可変戦闘機同士の戦闘が一般化している。

名称

アメリカ軍用機の命名法をモチーフにして、各機体には型式名とペットネームが付けられている。表記は任務記号/-(ハイフン)/設計番号/シリーズ記号/ペットネームの順となる。

任務記号
任務の種別をあらわす英字。統合軍の記号ではVFは可変戦闘機 (Variable Fighter) 、VA は可変攻撃機 (Variable Attacker) 、VBは可変爆撃機 (Variable Bomber) 、VTは可変訓練機(Variable Trainer)、VEは可変偵察機(Variable Elint)、VF-Xは実験機 (Variable Fighter eXperiment) 、YFは試作可変戦闘機をあらわす。
なお、『マクロス VF-X2』などのゲーム作品ではVF-Xは統合軍の可変戦闘機特務部隊を示す。
設計番号
何番目のモデルかをあらわす数字。統合軍可変戦闘機では2008年から2059年の間にVF-0からVF-27までナンバーが進んでいるが、欠番や設定のみという機体もある。VF-3000やVF-5000に付けられた四桁の数字は軍事メーカー内で開発セクションが異なるというイメージ。
シリーズ記号
仕様や生産区分をあらわす英字。機体ごとに差異はあるが、おおむねA・B・C型が量産機、S型が指揮官機、D・T型が複座練習機、E型(VF-17以降は任務記号の前にR)が電子戦機、G型が精密射撃機といったパターンがある。
ペットネーム
制式採用機に付ける公式の愛称。マクロスシリーズではVF-1の愛称「バルキリー」が有名だが、機体によっては設定のないものや後付けで決まったものもある。
(例)VF-1Sバルキリーは「可変戦闘機1番目のモデルの指揮官用タイプ、愛称はバルキリー」となる。

また、アニメ本編中では一般的な通称も用いている。『マクロス7』の主人公熱気バサラが乗る機体の正式名称はVF-19改エクスカリバーだが、作中ではもっぱら「ファイアーバルキリー」と呼ばれる。また、機種を特定せず、可変戦闘機ならば単純に「バルキリー」と呼ぶケースも多い。

変形機構

戦闘機形態のファイター(Fighter)、巨大人型ロボット形態のバトロイド(Battroid)、両者の中間形態のガウォーク(Gerwalk)の3モードを状況に応じて選択し、数秒以内に高速変形することが可能である。航空機ロボットの利点を兼ね備えており、陸戦兵器のデストロイドシリーズと比べて地上から空中(宇宙)まで極めて広い稼動レンジを持つ。

ファイターからガウォーク、バトロイドへの変形システムは以下の通り。ここでは可変戦闘機の代名詞VF-1の可変システムを取り上げている。

  1. ファイターモードからエンジンブロックが下垂し、膝部分で折れて逆関節の脚部となる。排気ノズルが開いて接地面となる。
  2. 尾翼を収納する。
  3. 機体下面に収納された腕部を左右に展開し、ガウォークモードになる。
  4. 主翼を収納する。
  5. 胴体が前後に屈折し、胸部と背部を形成。機首を覆ってコクピットを保護する。
  6. 頭部モニターブロック兼レーザー銃座が露出する。
  7. 脚部が伸張し、バトロイドモードになる。

以降の可変戦闘機は、これを基本としつつも機体ごとにパーツの配置や変形パターン、変形用アクチュエーター等に改良を加え、所要時間の短縮や変形限界速度の向上などを図っている。

動力

航空用ターボファンエンジンの発展形、熱核反応タービンエンジン原子力エンジンの一種)を通常2基搭載する。核融合の熱エネルギーで吸入した外気を加速噴射する事で強大な推力を発生し、大気圏内ではほぼ無制限の航続距離を得ると共に、外気の代わりに水素などのプロペラントを燃焼、加速噴射する事で宇宙空間でも活動が可能となっている(ただしプロペラント容量により活動時間が制限されるため、宇宙では通常ファストパックなどの増加装備が使用される)。ほとんどの機体ではエンジンはバトロイド/ガウォーク形態時の脚部ブロックに搭載されており、排気ノズルは足部可動機構を兼ねた推力偏向ノズルとなっているため、変形機構と併せて推力ベクトルを大きく偏向させる事でV/STOLや従来の概念を超えた空戦機動が可能となっている。

さらにタービンにより発電された電力でレーザー機銃や変形機構などのモーターを駆動する。例えば、VF-1バルキリーの機体質量とエンジン推力の比(出力荷重比)はデストロイド中最も高出力の反応炉を持つスパルタンの4倍にあたる。このためバトロイドモードでも運動性能は高く、その余剰推力により空中移動や発電を介して、機体の装甲強度を向上させるエネルギー変換装甲(機体の分子構造そのものを強化する)を可能としている。次世代型の熱核バーストタービンエンジンではブースター無しでの大気圏単独突破が可能になり、バトロイド時には余剰出力でピンポイントバリアを展開できる。

マクロスシリーズの宇宙艦艇などには重力制御装置が装備されているが、出力は装置のサイズに比例する。可変戦闘機のような小型兵器では効率が悪いため補助的な利用に限られ[3]、依然として航空力学的設計(翼による揚力の獲得)が重視されている。多くの機体は形態変形機構を兼ねた可変翼を採用している。

武装

レーザー砲
バトロイド時の頭部モニターユニットに搭載され、砲門数は型式により異なる。ファイター、ガウォーク時にも対空機銃、または対地銃撃用として使われ、モニターユニットごと旋回銃座のように動かし、進行方向と異なる標的を狙うことも可能。VF-11 サンダーボルト以降の機体では、ドッグファイトで背後についた敵機を狙えるよう、機体背面斜め後方向きに配置している。
ガンポッド
口径30 - 55mm、6連装のガトリング砲をフェアリングで包んだ携帯型機関砲[4]。ガウォーク、バトロイドでは通常右手で保持される。弾丸はフェアリング内に弾帯を装填する方式だったが、後にマガジン交換式に変更され、予備マガジンの携帯により継戦力の向上が図られた。また、格闘戦や治安活動中は棍棒のように打撃兵器として使用される場合もある。
ガンポッドや頭部レーザー砲は自動照準で複数目標を同時射撃できるため、ミサイルを迎撃する防衛行動にも有用である。
ミサイル
中射程の対空・対地ミサイルや短射程のマイクロミサイルなど。2040年代には機動性を高めたハイマニューバ・ミサイルが登場する。
反応弾
艦隊・拠点攻略兵器。第一次星間大戦において多大な戦果を挙げたが、戦後は人道的見地から銀河条約で使用が制限され、地球にある新統合軍総司令部の許可なしには使用できないことになっている。
フォールド爆弾(ディメンション・イーター)
反応弾すら無効化するバジュラに対抗するために、2059年から実戦に投入された新兵器。標的に命中し、起爆の際に威力圏内の物質を強制フォールドさせる特性を持つ。
フォールドスピーカー
主翼パイロンに装備されるスピーカーユニット。音声をフォールド波に変換し、そして到達距離を延長させる。「マクロスF」ではガリア4での暴動鎮圧とミニコンサートの為にVF-25G(ミハエル・ブラン機)が装備した。
フォールドブースター
超空間を移動するフォールドシステムの小型版。開発された当初は性能が片道20光年分しか保証されていなかったが、2059年(マクロスFの時代)になると技術も成熟され往復使用可能になっている他、フォールド断層への問題を解消したスーパーフォールドブースターが開発されている。

これらは機体下面や主翼のハードポイントに搭載され、変形形態により使用が制限されないよう考慮されている。一時期の機種ではステルス性を重視し、武装の機体内蔵化が進められた(このため機体も次第に大型化している)が、アクティブステルスの発展により、この傾向は緩和されつつある。基本形態が戦闘機という制約上、総合火力ではデストロイドに見劣りするが、選択・着脱可能なオプション装備でハンディを補っている。

追加外装(パックオプション)

ファストパック
大型ブースターと増槽、ミサイルランチャーを統合した最もポピュラーな装備で、機動性・運動性・攻撃力などを総合的に向上させる。機種に応じて様々な形態の装備が開発されているが、VF-1においてはブースター+ミサイルランチャーユニットは通常機体背面に2基取り付けられ、大気圏外用、大気圏内用、大気圏内外兼用などのバリエーションがある。増槽は両脚エンジンナセル側面に取り付けられ、ミサイルランチャーを兼ねる場合もある。戦闘タイプの他、レーダードームを搭載した早期警戒型、増槽の大きな練習型などの非武装タイプもある。
FAST Packとは現用戦闘機F-15コンフォーマル式燃料タンク(Confomal Fuel Tank)の別名で、FASTとは『燃料、及び戦術センサー』を意味する英語 " Fuel And Sensor Tactical " の略。従来型航空機の燃料を、宇宙空間で必要となる推進剤(プロペラント / propellant )に置き換えた上で、追加装備の印象から劇中での追加装備の命名として引用したものである。一般的には「スーパーパーツ」という別名で呼ばれる。任務に応じて複数の選択装備を運用するVF-1 において、この類の装備はパイロットや整備員達から「スーパーパック」の通称で呼ばれる。
プロテクター・ウェポンシステム
可変戦闘機の余剰推力を活かし、デストロイド並みの装甲・火力を備えた陸戦装備。バトロイドの全身を装甲で覆い、多数のミサイルを内蔵する。「アーマード」仕様とも呼ばれる。在来機種ではファストパックと違い装着がバトロイドモードに限られ、変形する場合は強制分離しなければならないのが欠点であったが、VF-25用のアーマードパックはこの点が是正され、装備したままでの他モードへの変形が可能になった。
イージスパック
背部レーダーレドーム、底部(バトロイド時は左腕シールド裏)スタビライザーフィンで構成される電子戦装備のパックである。索敵活動やミサイルなどの攻撃兵器を誘導可能である。RVF-171RVF-171EXRVF-25が装備する。
サウンドブースター
物理的な破壊力は皆無であるが、敵兵の戦意喪失や洗脳の解除など精神に対する効果により「戦わずして勝つ」ことを目的にする。「マクロス7」ではサウンドフォースならびにジャミングバーズが装備し、搭乗者の歌エネルギーを増幅・具現化して放出する。追加ブースター付きなのでファストパックまたはスーパーパックの様に総合性能を向上させる。装着する機体近くまで自律航行も可能である。

開発と運用

可変戦闘機は地球統合軍の主力兵器、或いは異星人の謎の兵器として様々なバリエーションの機体が存在する。偶然の発見や見込み違い、現場(実戦)の要請や政治的背景など、幾多の要因により独自の進化系統を成している。

(注)以下の記事中の年月は作中における架空の表記である。

誕生期 (西暦2001 - 2008年)

1999年、地球に墜落した異星人の戦艦(後のSDF-1マクロス)から得られたオーバー・テクノロジーにより、巨大異星人との格闘戦用巨大歩行兵器の研究が始まった。ロボット研究で実績のある陸軍は、陸戦機動兵器を開発の基礎においた重装型のデストロイド開発を提案。これに対し、海軍・空軍・海兵隊は航空機とロボットを融合させた、機動力・展開力に優れる全領域可変戦闘システムという大胆な計画提案で対抗した。ただし、初期の発想はあくまで「飛行形態を採れるロボット兵器」であり、飛行能力は移動手段という副次的なものであった。航空用エンジンの大出力を活かした格闘能力が期待され、オプションの強化外装甲(プロテクター・ウェポン・システム、通称「アーマードパーツ」)の開発も検討された。

基礎研究は2001年2月に始動したが、初の量産機[5]VF-1バルキリーがロールアウトしたのは2008年11月だった。実用化の難航と共に、開発コンセプトも予想されたロボット兵器とは違うものへ変化した。まず、異星人墜落艦の調査で高機動兵器が発見されたため、対抗して高度な空戦能力が必要と判断された。主に大気圏内での空力的要求から、現用戦闘機に近い形態ファイターモードが生まれ、当初のロボット(バトロイド)中心から空陸両用思想へ転じた。さらに、開発上最も重要な転換点はガウォークモードの「発見」であった。VF-1の試作機 VF-X1 の試験飛行中、ファイターから両手足を伸ばした変形の途中段階が、低空低速ホバリング時に極めて有用であることが判明。操縦安定性に優れ、空陸の戦場を立体的に移動できるガウォークは独立した運用形態として採用された。これらの結果、可変戦闘機は3つの形態を持つ多用途機動兵器として成功することになる。

運用に関しては、異星人勢力の太陽系侵攻を阻止する迎撃戦闘がシミュレートされていた。現代戦の「制空権の確保→地上制圧」という展開に沿い…

  1. ファイターモードで敵航空兵力を退け制空権を確保。敵地上侵攻部隊へ上空から対地攻撃を行う。
  2. ガウォークモードに変形し、低空ホバリング飛行でより密な掃討を行う。
  3. バトロイドモードで着地し、接近戦にて制圧(ただし格闘戦(殴り合い)はやむを得ない場合の最終手段)。巨人族兵士の拘束や交渉も行う。

また、宇宙艦隊戦においてはバトロイドモードで敵戦艦内に強行突入し、抵抗を排除しつつ司令室を占拠するという海兵隊的な特殊作戦も計画されていた。敵軍と同等の大型戦艦(但しゼントラーディ側基準では 1,200 m 級は「小~中型艦級」扱い )がマクロス一隻のみという状況から、可変戦闘機部隊による白兵戦術も有効とみなされた。

第一次星間大戦 (西暦2009 - 2010年)

しかし、いざゼントラーディ軍との戦闘(第一次星間大戦)が始まってみると地上戦を交える局面はほとんどなく、圧倒的な艦隊規模の差に白兵戦も無意味であった。VF-1部隊はおもにマクロス艦直掩機として活躍し、最終決戦の「ミンメイ・アタック」では反応弾を抱え戦闘攻撃機としても出撃した。本来、これらは無人戦闘機ゴーストや宇宙戦闘機ランサーIIの任務であったが、VF-1は期待以上の汎用性を発揮し、宇宙用追加装備(FASTパック)も性能向上に大きく貢献した。また、パイロット達の創意工夫で変形を駆使した空中戦技が編み出され、ロイ・フォッカーマクシミリアン・ジーナスらエースパイロットは空中戦でもバトロイドモードが有効であることを証明した。可変戦闘機はマルチロール機として総合性能評価でデストロイドシリーズを完全に凌駕し、戦後も統合軍の主力兵器として更に開発が進められることになった。

宇宙移民時代 (西暦2011 - 2040年)

戦後の2010年代から2020年代にかけては宇宙移民船団の護衛や移民星系の治安維持が主任務となった。この時代は地球復興と種の保存にテクノロジーが注がれていたため、兵器として革新的な進化は起こらず、名機VF-1の機体設計をベースに様々な「亜種」が生まれた。使用環境に応じて宇宙用、大気圏内用、ローコストの機体などを使い分ける専用機思想が主流となり、技術面では変形システムの見直し、機体の大型化、ステルス技術の導入などが行われた。また、開発メーカーの統合再編が進んだ結果、新星インダストリー社ゼネラル・ギャラクシー社が2大メーカーとなり、ゼントラーディ技術の融合も積極的に行われた。

その後、移民星系の拡大と共に紛争や内乱が続発し、広域治安維持活動のため使いまわしやすい万能機の価値が見直されるようになった。2030年、統合軍はVF-1の正統な後継機VF-11サンダーボルトを次期主力機として採用。VF-11は新たなスタンダードとなり、それ以前の旧型機は退役や配置転換などの世代交代を強いられた。

AVF(西暦2041年 - 2050年)

移民惑星間の政治関係やテロリスト組織の活発化など、複雑化した治安問題に通常部隊では対処できないケースが増えたため、精鋭部隊を編成し、敵拠点をピンポイントで攻略する特務作戦が重要になった。統合軍は最適な機体を求め、2034年からVF-11をはるかに凌駕する次期主力可変戦闘機(Advanced Variable Fighter : AVF)の開発計画に着手した。過酷な任務に就くため、AVFには以下のような基本性能が要求された。

  • 有事において迅速に出撃できるよう、ブースター装備なしでも大気圏内外を連続長距離飛行できる。
  • 敵警戒圏に縦深侵入するため、単独でのフォールド能力と高度な隠密性(ステルス性)を備える。
  • 防空網を突破するため大気圏内での高度な空戦能力を必要とする。
  • 施設内での鎮圧行動のため、バトロイドモードでの格闘戦闘力と防御力を強化する。

これらの実現のため、熱核バーストタービンエンジン(ステージ I / II)、フォールドブースター、アクティブステルス、空力制御装置、AI操縦サポートシステム(BDIシステム)、ピンポイントバリアなどの最新技術が意欲的に投入された。

2039年から惑星エデンのニューエドワーズ基地で行われた競争試作プロジェクト、通称「スーパーノヴァ計画」では、新星インダストリー社のYF-19 とゼネラル・ギャラクシー社のYF-21が制式採用をかけて優劣を競った。一時は無人戦闘機ゴーストX-9の開発により有人戦闘機不要論が強まる時もあったが、2040年の「シャロン・アップル事件」で人工知能の脆弱性が露呈し、無人戦闘機採用は一時凍結、両機が晴れて制式採用されることとなった。YF-19はVF-19エクスカリバーとして特殊任務用から一般兵用の量産機までバリエーションを展開し、YF-21は不安定な脳波コントロールから通常のコクピットに変更され、特殊任務機VF-22SシュトゥルムフォーゲルIIとして精鋭部隊に配備された。

無人戦闘機の時代とGへの挑戦(西暦2051年-)

しかしながら、結局は両機とも統合軍の主力になることはかなわなかった。これはAVFの性能が高すぎてパイロットが技量的・肉体的に耐えられなかったためである。技量に関しては、AIや脳波コントロールによるサポートがAVFの時点で行われてきたが、肉体の限界は当時どうにもならない問題として有人戦闘機の性能向上に重く圧し掛かった。そんな中、X-9の諸問題をクリアしたゴーストAIF-7Sが実用化し、大抵の任務がゴーストで済むようになった事から有人戦闘機に高い性能が求められなくなり、その結果AVFの前世代機の中で最も高い性能を有したVF-17を改良し、良好な操縦性と高い汎用性を備えたVF-171ナイトメアプラスが統合軍の主力可変戦闘機となった。

このゴースト実用化からの一連の流れで、戦闘による人的消耗と死亡した際の遺族への補償金問題、及びパイロットの徴兵・教育と練度向上などにかかるコストの大幅削減には繋がったものの、相反して兵員の士気・練度の低下が蔓延することとなる。更に2048年、第117次大規模調査船団が謎の生命体バジュラの攻撃を受けた際、戦闘技術の低下した兵員と限界性能の低いVF-171ではバジュラには全く歯が立たず船団が壊滅したことにより、改めて機動力の高い戦闘機開発が求められる形となった。なおこの船団壊滅は軍の上層部により極秘事項とされ、政府による公式発表では「フォールド断層に巻き込まれた遭難事故」と説明された。

この来たるべきバジュラの脅威に備え、軍部は極秘裏に高機動時のGを緩和するシステムの開発と、それを搭載した無人戦闘機に匹敵する性能を有する次期有人可変戦闘機を開発していく。その結果、バジュラとの遭遇以前に一度は中止されていた計画を再始動する形で誕生したのが試作機YF-24であり、この設計データが各移民星・船団に送られ、各々の仕様に沿った変更が行われた後、実戦機として製造された。例として、フロンティア船団のL.A.I.社が開発した、EX-ギアと呼ばれる耐G装備とフォールド・クォーツを用いたISC(慣性制御システム:Inertia Store Converter)を備えたVF-25や、ギャラクシー船団の開発した、パイロットの身体そのものを機械化する事で耐Gや操縦インターフェースの物理的限界を払拭したVF-27などがある。

しかし、VF-25及びVF-27の製造には前述のように希少物質であるフォールド・クォーツが必須であり、2059年時点では大量生産は困難な状況となっている。また新星インダストリー社MF(マクロス・フロンティア)工廠とL.A.I社により、YF-24 エボリューションの開発再開時に設定された対バジュラ戦用の要求仕様を満たす機体として、YF-29 デュランダルが開発された。YF-24を原型としつつ、超可変戦闘機とも評されるこれまでの従来機と一線を画す性能を達成したが、これもまたフォールド・クォーツの入手困難の事情から完成に至っていたのは実戦に投入された1機のみとなった(『劇場版 マクロスF』)。

こうした事情から、今後の可変戦闘機の発展については、フォールド・クォーツの入手手段の確立が大きな課題となっている。

可変戦闘機の機種一覧

本節では、各作品に登場する機体をカテゴリーごとに分けて紹介する。各機種の詳細はリンクを参照。

統合軍(量産機)

VF-1 バルキリー (Valkyrie)
初代主力機。優れた汎用機として、可変戦闘機の代名詞的存在となる。
(開発:ストンウェル/ベルコム他 生産:2008 - 2015年 型式:A、B、D、J、S、VE-1、VT-1、X-plus)
VF-4 ライトニングIII (Lightning III)
VF-1の後継主力機。VF-1で不足していた宇宙戦能力を強化した機種。ただし、大気圏内性能では逆に劣っていたため、完全代替とまでは至らなかった。主に宇宙移民船団の護衛機として配備された。
(開発:ストンウェル・ベルコム 生産:2012 - 2022年 型式:A、B、C、D、S、SL、G)
VF-5
移民惑星で使用された低コスト宇宙機。設定のみでデザインは存在しない。
(開発: - 生産:2015 - 2023年 型式: - )
VF-9 カットラス (Cutlass)
移民惑星用の軽戦闘機。大気圏内での運動性に優れる前進翼は、後のVF-19(YF-19)のコンセプトへと繋がる。ゲーム『マクロスM3』に登場。
(開発:ゼネラルギャラクシー 生産:2023 - 2029年 型式: - )
VF-11 サンダーボルト (Thunderbolt)
VF-1以来の汎用機。主力機として多数配備され、多くのバリエーションを生んだ。ちなみにこのモデルより以降は頭部(機銃)はファイター時機体上部にある。[6]
(開発:新星インダストリー 生産:2030年 - 型式:A、B、C、D、D改、MAXL、MAXL改)
VF-14 ヴァンパイア (Vampire)
VF-4の後継機。VF-11との主力機争いに敗れたが、機体強度の高さと長距離航宙能力から、宇宙移民船団や調査隊で使用された。『マクロス7』のビデオ/LD/DVD第8巻の特典映像「マクロス7ぷらす SPIRITIA DREAMING」で、バロータ星調査隊の機体としてワンカットだけ登場し(設定はラフ画が存在)、後にゲーム『マクロスM3』版としてデザインが大幅に変更された。バロータ星調査隊の機体には「ハンター」(Hunter)なる名称が与えられていたが、ゲーム登場時のものは「ヴァンパイア」となっている。
(開発:ゼネラルギャラクシー/メッサー 生産:2028年 - 型式: - )
VF-16
『マクロス7』ではVF-16の次世代型熱核バーストタービンエンジンがVF-11MAXL(MAXL改)に流用されたという記述でのみ登場。マクロスF公式同人誌『娘○秘(にゃんクレっと)File3』に収録されている小太刀右京の小説「ゴールデン・ハーベスト」には武井宏之によってデザインされたVF-16XL ファルシオンが登場する。これによると2030年台後半[7]にマクロス・フロンティア船団のL.A.I社が開発したとされ、2059年のバジュラ本星決戦にも参加している。
(開発:L.A.I 生産:2030年代後半 型式: XL)
VF-17 ナイトメア (Nightmare)
ゼネラル・ギャラクシー社が開発した、特殊作戦機。通称「ステルスバルキリー」。パッシブステルス性、エンジン出力、火力に優れている。航空力学的に難のある機体形状だが、主に大気圏外で運用されるために問題視されない。大気圏外では高い機動性を発揮する。
(開発:ゼネラルギャラクシー 生産:2037年 - 型式:A、C、D、S、T、T改)
VF-171 ナイトメアプラス (Nightmare Plus)
VF-17をベースに、コスト削減、操縦性・生産性・大気圏内運用能力の向上を実現した改良機。基本性能は低下しているが、ピンポイントバリアシステムの装備により防御性能・格闘性能は向上している。ゼネラル社としては初の統合軍主力可変戦闘機の座に就いた。
(開発:ゼネラルギャラクシー 生産:2046年 - 型式:一般機(型番不明)、スナイパー仕様(型番不明)、RVF、EX、RVF-171EX)
VF-19 エクスカリバー (Excalibur)
VF-11に次ぐ主力機として配備された機体。試作機YF-19は前進翼による高い運動性能が売りだったが、量産型では一般兵が扱えるよう機体が大幅に改修された。
(開発:新星インダストリー 生産:2041年 - 型式:A、C、改、F、P、S)
VF-22 シュトゥルムフォーゲルII (Sturmvögel II)
少数生産の特務機。ゼントラーディ(メルトランディ)の婦人用バトルスーツクァドランシリーズの流れを汲むバトロイド形態が特徴。
(開発:ゼネラルギャラクシー 生産:2042年 - 型式:S)
VF-25 メサイア (Messiah)
試作機YF-24及びYF-25をベースに、マクロス・フロンティア船団で開発された機体。VFシリーズで初めて近接格闘用の手持ちナイフを装備した他、アーマードパック装備状態での変形を可能とし、従来の運用に重武装での戦闘バリエーションが加わった。統合軍内での正式な形式番号はフロンティア船団開発であることを示す「VF-25/MF25」。
(開発:新星インダストリーマクロス・フロンティア工廠(LAI社支援) 生産:2057年 - 型式:A、F、G、R、S)
VF-27 ルシファー (Lucifer)
マクロス・ギャラクシー船団で開発された機体。VF-25と同じくYF-24の発展型だが、パイロットを身体を機械化したサイボーグ兵に限定することで、更なる高機動性の実現に成功している。新統合軍はギャラクシー船団が技術情報の開示を行わない為、試作機ナンバーであるYF-27として扱っている。
(開発:マクロス・ギャラクシー可変戦闘機開発工廠「ガルド・ワークス」 生産:2057年 - 型式:β、γ)
VF-3000 クルセイダー (Crusader)
VF-1をベースに、機体の大型化と変形機構の改良を試みた機種。通称「ストレッチバルキリー」。少数生産に止まったが、コンセプトはVF-5000に継承された。初出は「アドバンスド・バルキリー」。ゲーム『マクロスM3』に登場する。派生機として可変爆撃機タイプのVF-3000B(通称「ボンバーバルキリー」)も存在する。
(開発:ストンウェル・ベルコム/新中州 生産: - 型式: - )
VF-5000 スターミラージュ (Star Mirage)
大気圏内での空戦能力と、ステルス性向上を目的に開発された機種。生産及び運用コストの低さから、VF-4に代わる主力機として配備された。OVAマクロス ダイナマイト7』に登場するG型、T-G型は、第一線を退き、辺境惑星の警備隊へ回された機体である。
(開発:新星インダストリー 生産:2020 - 2029年 型式:B、G、T-G)

統合軍(試作機/先行量産機)

VF-0 フェニックス (Phoenix)
ターボファンジエットエンジンを搭載する、VF-1の試作型を実戦仕様とした先行量産型。
(開発:ノースロップ・グラマン/ストンウェル/新星 生産:2008年 型式:A、B、C、D、S)
VF-X1
熱核タービンエンジン搭載のVF-1の実験機または試作機。ロイ・フォッカーが試験飛行を行った。アニメに登場した機体の変形はガウォーク形態までで、腕部は付いていない。
海外版「ロボテック」のWildstorm社版コミックのオリジナルストーリーでは、非武装での飛行試験中に反統合軍機に遭遇し、接近した敵機の翼を腕で払って撃墜する。
YVF-1
YVF-1のA型であるYVF-1AがVF-1Aの試作機になる。実質的なVF-1の試作機である。
VF-2
VF-1の対抗機種。2003年頃から開発が開始されたが、2008年頃には試作段階で開発は中止されている[8]
VF-3
2005年頃からVF-4と並行して開発が開始されたが、2010年頃に生産システムが失われたため、設計のみで計画が終了している[8]。文字設定のみでデザインは存在しない。
VF-X-4
VF-1の次世代機として開発された三胴型の機体でVF-4の試作型。『超時空要塞マクロス』の最終話にて模型が登場。
VF-X-7 ゴーストバルキリー(Ghost Valkyrie)
無人機ゴーストをベースに設計された試作型の可変戦闘機。「アドバンスド・バルキリー」の機体。
VF-X-10
VF-9の原形になったと言われる試作機。ファイター形態の画稿しか発表されていないため非可変の機体という説もある[9]。「アドバンスド・バルキリー」の機体。
VF-X-11
ブレインデッドウィングアンドボディの試作機。「アドバンスド・バルキリー」の機体。
YF-19
新星社が開発したVF-19の試作機。生身のパイロットが強化システムなしに手動操縦する機体として乗り手を選びセンスのある者にしか扱いこなすことが出来ない機体。スーパー・ノヴァ計画やシャロン・アップル事件後も試作機が作られ、VF-19シリーズが制式化された。
YF-21
ゼネラル社が開発したVF-22の実質的な試作機。BDI(頭脳直結インターフェース)操縦システムを搭載。VF-22 シュトゥルムフォーゲルII の直系の試作機自体はYF-21 3号機である。
YF-24 エボリューション (Evolution)
新星社とゼネラル社が共同開発した試作機。VF-25・VF-27・YF-29はこの機体が設計ベースとなって開発されている。
テレビアニメ版『マクロスF』第15話にて二面図がワンカットだけ登場する。主翼は前縁にドックトゥースを持ち、後縁はW状に屈曲したデルタ翼。ファイター形態時には1つのレーザー機銃が出ている。
YF-25 プロフェシー (Prophecy)
YF-24エボリューションを元にフロンティア船団で開発されたVF-25の試作機。コクピットは複座。頭部左側面に小口径レーザーガン、右側面に通信アンテナを装備する。カメラアイは複合センサーを大型のバイザーが覆う形になっている。愛称のプロフェシーは預言の意。
YF-26
非公式設定本の『ヴァリアブルファイター・マスターファイル VF-25メサイア 新たなる救世主』の「VF-25 メサイア開発史」に型式番号のみ登場する。2053年に新統合政府から与えられたYF-24の技術情報を元にマクロス・オリンピア船団で開発が開始された。しかし、オリンピア船団はフロンティア船団とYF-25を共同開発することを発表し、開発は中止された。
YF-27 シャヘル (Shaher)
VF-27の試作型。翼の形状は原型機のYF-24に近い。サイボーグ兵士と接続することで思考による直接操縦が可能だが、まだテスト中のためISCが搭載されていなかったり、脚部ベクターズノズルの調整にタイムラグがあったりと未完成。小説『マクロスF フロンティア・メモリーズ』『マクロス・ザ・ライド』に登場。
YF-29 デュランダル (Durandal)
新星社とL.A.I社がフロンティア船団で開発した超可変戦闘機。VF-9やVF-19と同様の前進翼が特徴で、脚部に2発と前進翼に2発で計4発のエンジンを搭載する。機体の設計はYF-24の流れを汲み、VF-25とは姉妹機にあたるが、フォールド・ウェーブシステムの完成が遅れたため2059年に試作機がようやく完成する。『劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜』に登場。

反統合同盟軍

SV-51
VF-0より先に実戦投入された史上初の可変戦闘機。反統合同盟の陣営だった自治区では、VF-1ではなくSV-51の生産が続けられており、投入されたかは不明ながら第一次星間戦争を生き延びた。VF-11の本格採用まで生産された。
(開発:スホーイ/イスラエル航空工廠/ドルニエ 生産:2008年-2030年代 型式:α、γ)
SV-52
SV-51の後継機で熱核タービンエンジンを搭載している機体。第一次星間大戦にて実戦投入されたが、殆どが失われたとされている。『マクロス・ザ・ライド』には2050年代の技術でレストアされた「SV-52γ オリョール」が登場する。
(開発:スホーイ/イスラエル航空工廠/ドルニエ)

ゼントラーディ系

ヴァリアブル・グラージ
ゼントラーディ軍のバトルポッド、グラージを可変戦闘機に改造した機体。ゲーム『マクロスM3』に登場するモアラミア・ジフォンの愛機。詳細はゼントラーディ軍の兵器#ネオ・グラージを参照。
VBP-1/VA-110ネオ・グラージ
グラージをベースに開発された可変戦闘ポッド。ゲーム『マクロスプラス GAME EDITION』に登場する。ヴァリアブル・グラージと異なり、バトロイド形態が存在しない。
マクロス・ザ・ライド』にも登場し、ゼントラーディ用のVBP-1(Variable Battle Pod/可変戦闘ポッド)とマイクローン用のVA-110(可変攻撃機)がある。
フェイオスバルキリー(エネミーバルキリー)
マクロスシティでの生活に順応できなかったゼントラーディ人が、当時の新鋭機VF-X11を奪い第63254109ゼントラーディ外宇宙方面へ逃走。のちにその機体をベースに独自開発した可変戦闘デバイスである。『マクロス DIGITAL MISSION VF-X』において残存ゼントラーディの部隊が使用。のちに『マクロス VF-X2』においても、構成員の大部分をゼントラーディ系で占める反統合政府組織ブラックレインボーにて、リーダーのティモシー・ダルダントンの愛機として使用されている。正式名称および流通ルートなどは詳細が明らかではないが、統合軍よりフェイオスバルキリー、あるいはエネミーバルキリー(Enemy VAlkyrie、略してEVA〈イーヴァ〉)等の名で呼ばれている。
なお、この機体にはガウォーク形態が存在しないが、どういった経緯で削除されたのかは不明。

バロータ軍

Fz-109 エルガーゾルン
バロータ軍の主力可変戦闘機。バロータ星調査隊所属のVF-14を改造したものと推測される。一般兵タイプのA型と、プロトデビルンギギルが搭乗する指揮官タイプのF型がある。
Az-130 パンツァーゾルン
マクロス5航空部隊のVA-14を改造したものと推測される可変攻撃機。
FBz-99 ザウバーゲラン
マクロス5航空部隊のVAB-2Dを改造したものと推測される可変戦闘爆撃機。プロトデビルンのガビルが搭乗する。

可変攻撃機の機種一覧

可変攻撃機(Variable Atacker:VA)をここでは紹介する。

VA-X-3
全翼可変攻撃機。「アドバンスド・バルキリー」の機体。
VA-3 インベーダー (Invader)
爆弾搭載量を重視した全領域攻撃機。水中活動も可能で、バトロイド形態では半魚人の様な特異なスタイルとなる。『マクロス ダイナマイト7』及び、ゲーム『マクロス VF-X2』に登場する。
(開発:ノースロム・グラマン 生産: - 型式:A、B、C、M)
VA-14 ハンター (Hunter)
ゼントラーディ兵士用にVF-14を改良し、機体の大型化と火力・装甲の強化が施されている。マクロス5艦隊の主力機と設定されている。
(開発:ゼネラルギャラクシー/ミコヤン 生産: - 型式: - )
VAB-2
熱核反応エンジン4基を搭載する大型攻撃機。FBz-99Gザウバーゲランの原型になったとされる機体。
(開発:ノースロム・グラマン/ミコヤン 生産: - 型式:D )

可変爆撃機の機種一覧

可変爆撃機(Variable Bomber:VB)をここでは紹介する。

V-BR-2
「アドバンスド・バルキリー」計画の超音速偵察爆撃機。三胴型で機首に4枚のカナードがある。
VB-X-2 スピリット・オブ・ギャラクシー
アドバンスド・バルキリー開発計画の試作機。ゼントラーディが巨人のまま操縦できる翼長75mにも達する大型可変爆撃機。マクロスエースに連載された「非公式×機メカトロニクス」に登場。
(開発:ゼネラル・ギャラクシー)
VB-4
詳細不明。VF-17をやや上回る程度の武装だったとされている[10]
VB-5
詳細不明。VF-17をやや上回る程度の武装だったとされている[10]
VB-6 ケーニッヒモンスター (König Monster)
デストロイドモンスターをベースに、拠点攻略兵器として誕生した。飛行形態をシャトル、砲撃形態をデストロイドと呼ぶ。ゲーム『マクロス VF-X2』、『マクロスF』シリーズに登場する。
(開発:新中州/ノースロム・グラマン 生産: - 型式: - )
VB-171
VF-171を改修し可変爆撃機とした機体[10]。設定のみ。

その他の可変戦闘機の機種一覧

超時空要塞マクロスII

パラレルワールド的作品『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』では、上記とは別の可変戦闘機開発史が設定されている。この世界ではVF-1の改良型(R型)やゼントラーディ系の機種を経て、2080年代に後継機のVF-2SS バルキリーIIやVA-1MS メタルサイレーンが登場する。詳細は主要メカニックを参照。

マクロスIIでの可変戦闘機の一覧
  • VF-2SS バルキリーII
  • VF-2JA イカロス
  • VA-1MS メタルサイレーン
  • VF-XX ゼントラーディアン・バルキリー
  • VC-079 SNNバルキリー
  • ガウォーク・ロイド

ゲームオリジナルの機体

マクロスにはDOS、家庭用ゲーム機など複数の媒体でゲームが出ているが、いくつかゲームオリジナル機体が登場している。

超時空要塞マクロス・リメンバーミー、超時空要塞マクロス・ラブストーリーズ、超時空要塞マクロス・スカルリーダー(いずれもファミリーソフト社製のPC-9801ゲーム)
  • スタンピードバルキリー
  • VF-X3 メデューサ
  • VF-X4 サイレーン

海外ロボテック版の機体

ハーモニーゴールド USA社(Harmony Gold USA)が竜の子プロダクションよりライセンスを取得、同一世界の異なる時代と世代を描いた、連続する1つの大河ストーリーとして翻案、再編集された作品である『ロボテック』(Robotech)の第三シーズン(日本版では『機甲創世記モスピーダ』に当たる時代)は、マクロス世界の後の時代という設定となっている。

このため、この作品のアーモファイター・AFC-01 レギオスVFA-6 Alpha Fighterの名で、バルキリーの後継機という位置づけになっている。また、可変機動兵器は可変戦闘機航空機ではない地上戦闘車輌艦艇にも定義を拡張した「ベリテック」(Veritech)と総称され、そのガウォーク形態は「Guardian Mode(ガーディアン・モード)」と呼ばれている。

海外オリジナルOVA「センチネルズ」や、DCコミックを始めとする複数の出版社から発行された多数の漫画版では、『マクロス』や『超時空騎団サザンクロス』の登場人物がこれらの機体に搭乗したこともある。

2007年2月にOVAの形で公開された海外オリジナルの新作『シャドウ・クロニクルRobotech: The Shadow Chronicles)』においてもこの概念を受け継いだ機体が活躍するなど、国際的にも認知度が高い。

また、海外独自制作作品においては、腕なしのいわゆる「ガウォーク・ファイター」までの二形態のみの可変をする機体が各種二次的連続性作品に登場する。

雑誌企画の機体

模型誌『キャラクターモデル』の連載企画「VFエクスペリメント」で発表されたオリジナルモデル。河森正治デザインだが、シリーズ中では非公式扱いとなる。愛称(ペットネーム)は公募により決定された。

  • SW-XAI シュメーブルーメ (VF-1をベースに、ステルス技術検証のため試作された制空戦闘機)
  • SW-XAII シュニーガン (VF-1をベースに、ステルス技術検証のため試作された防空戦闘機。前進翼を採用)

モチーフとなった実在する航空機

型式番号 愛称(通称・ペットネーム) 愛称のモチーフ デザインのモチーフ
VF-0 フェニックス AIM-54 F-14
VF-1 バルキリー XB-70 F-14
VF-4 ライトニングIII P-38 またはライトニング SR-71
VF-5 設定愛称なし 設定愛称なし 設定デザインなし
VF-9 カットラス F7U X-29
VF-11 サンダーボルト P-47またはA-10 Su-27
VF-11MAXL / VF-11MAXL改 MAXL / ミレーヌバルキリー F-16XL / - 設定デザインなし/ F-16XL
VF-14 ヴァンパイア バンパイア SR-71
VF-16 ファルシオン - -
VF-17 ナイトメア - F-117
VF-19 エクスカリバー - X-29
VF-22 シュトゥルムフォーゲルII Me262A-2a YF-23
VF-25 メサイア - F-14かつSu-27
VF-27 ルシファー - F-14かつSu-27かつSR-71
YF-29 デュランダル - X-29
VF-3000[11] クルセイダー F8 -
VF-5000[11] スターミラージュ ダッソー・ミラージュシリーズ F-16XL
YVF-1/YVF-1A - - F-14/F-14
YF-19 - - X-29かつSu-27[12]
YF-21 - - YF-23
YF-24 エボリューション - F-22
YF-25 プロフェシー - F-14かつSu-27
VA-3 インベーダー A-26 A-6
VA-14 ハンター ホーカー ハンター SR-71
VAB-2 - - B-2
VB-6 ケーニッヒ・モンスター M103[13]およびティーガーII スペースシャトル
M50オントス自走無反動砲[14]
SV-51 - - Su-27
SV-52 オリョール - Su-27

脚注

  1. ^ 従来のロボットアニメにおける合体・変形シーンは一つの見せ場であり、じっくり描写したものを毎回使いまわすことが通例であった。
  2. ^ ただし、最初にデザインされたVF-1はロボットのデザインが先行し、変形機構を編み出す上でF-14に似た戦闘機形態にたどり着いており、ガウォーク形態も変形玩具の開発過程で偶然見出された経緯を持つ。なおVF-22やVF-17をデザインした際に河森は「現実の航空機がステルス化に伴う装備内蔵により肥大化したのでデザインが楽になった」とコメントしている。
  3. ^ ゼントラーディ軍のバトルスーツ、クァドラン・ローが搭載するイナーシャ=ベクトルコントロールシステムを、YF-21やVF-22S シュトゥルムフォーゲルIIが導入している。
  4. ^ 2050年代以降の一部の機種には、実体弾ではなくビーム砲仕様のガンポッドを装備しているものもある
  5. ^ マクロス ゼロ』に登場するVF-0フェニックスSV-51は試作戦闘機を実戦投入したという設定で、生産数も少ない。
  6. ^ 『マクロスプラス』制作時のロケーション・ハンティングで河森と板野が模擬戦を体験した際、上部背面に機銃があると敵に背中に付かれた時に有利だと考えたため。マクロスストーリー上では従来のファイター形態では下にあった頭部(機銃)ではゼントラーディ人との対地戦に対抗出来なかったことから対空戦強化に思想が変化したことと、併せて変形の高速化を兼ねるためという設定になっている。(ワールドフォトプレス社刊『フィギュア王 Vol.130』より)
  7. ^ バジュラ本星決戦時において「今から20年ほど前に初めて独自開発した」と記述されている。
  8. ^ a b 『マクロスデジタルミッションVF-X 最強攻略ガイド』小学館、1997年、81頁。
  9. ^ 「マクロスエース」 8号268頁
  10. ^ a b c 「マクロス・クロニクル」第46号 28頁。
  11. ^ a b 型式番号が4桁台なのは「開発メーカー内で担当チームが異なる」イメージから。
  12. ^ デザイン発表後により形状が似たSu-47(S-37)が公表された。存在を知った河森は「カナード翼の位置がYF-19の没案にそっくりでびっくりした」とコメントしている(『フィギュア王 No.77』ワールドフォトプレス刊より)。
  13. ^ 正確には原型であるデストロイド・モンスターの愛称の元になったものである。
  14. ^ ガウォーク形態の原型であるデストロイド・モンスターの形状が酷似。

参考書籍

関連項目

外部リンク