ロブスター

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ロブスター属
アメリカン・ロブスター
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱 Malacostraca
亜綱 : 真軟甲亜綱 Eumalacostraca
上目 : ホンエビ上目 Eucarida
: 十脚目(エビ目) Decapoda
亜目 : 抱卵亜目(エビ亜目)
Pleocyemata
下目 : ザリガニ下目 Astacidea
: アカザエビ科 Nephropidae
亜科 : アカザエビ亜科 Nephropinae
: ロブスター属 Homarus
Weber, 1795
英名
Lobster
2種(本文参照)
ロブスター(northern, raw)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 324 kJ (77 kcal)
0 g
糖類 0 g
食物繊維 0 g
0.75 g
飽和脂肪酸 0.181 g
一価不飽和 0.22 g
多価不飽和 0.296 g
16.52 g
トリプトファン 0.215 g
トレオニン 0.654 g
イソロイシン 0.723 g
ロイシン 1.197 g
リシン 1.24 g
メチオニン 0.413 g
シスチン 0.181 g
フェニルアラニン 0.68 g
チロシン 0.586 g
バリン 0.741 g
アルギニン 1.524 g
ヒスチジン 0.413 g
アラニン 0.878 g
アスパラギン酸 1.602 g
グルタミン酸 2.437 g
グリシン 1.102 g
プロリン 0.741 g
セリン 0.637 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
1 µg
(0%)
0 µg
0 µg
チアミン (B1)
(2%)
0.02 mg
リボフラビン (B2)
(1%)
0.014 mg
ナイアシン (B3)
(11%)
1.591 mg
パントテン酸 (B5)
(29%)
1.449 mg
ビタミンB6
(8%)
0.104 mg
葉酸 (B9)
(3%)
10 µg
ビタミンB12
(52%)
1.25 µg
コリン
(14%)
70.3 mg
ビタミンC
(0%)
0 mg
ビタミンD
(0%)
1 IU
ビタミンE
(6%)
0.87 mg
ビタミンK
(0%)
0 µg
ミネラル
ナトリウム
(28%)
423 mg
カリウム
(4%)
200 mg
カルシウム
(8%)
84 mg
マグネシウム
(11%)
38 mg
リン
(23%)
161 mg
鉄分
(2%)
0.26 mg
亜鉛
(37%)
3.53 mg
マンガン
(3%)
0.056 mg
セレン
(91%)
63.6 µg
他の成分
水分 80.95 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

ロブスター: Lobster)は、狭義にはエビ目(十脚目)・ザリガニ下目・アカザエビ科(ネフロプス科)・ロブスター属 (Homarus) に分類される甲殻類2種を指す。

ザリガニ下目、ひいてはエビ類としても最大級の大きさで、西洋料理では高級食材として扱われる。食材名としては「オマール」(: Homard[† 1])、「オマール海老」、「オマールロブスター」、「ウミザリガニ」とも呼ぶ。

広義の「ロブスター」は、イセエビアカザエビなども含めた大型の歩行型エビ全般を指す総称で、淡水産ザリガニ類のマロンや、鑑賞用に飼育されるショウグンエビ類なども含む。ちなみにイセエビ類は英語でスパイニーロブスター("Spiny lobster"、棘のあるロブスター)と呼ばれる。

種類

アフリカ南岸には類似種のケープ・ロブスター Homarinus capensis (Herbst, 1792) が分布し、これも「ロブスター」として流通することがあるが、市場に出る量は少なく味も劣るとされている。かつてはこの種もロブスター属に分類されていたが、1995年に一属一種で ホマリヌス属が設定された。トリスタンダクーニャ特産のトリスタン・ロック・ロブスター (Tristan rock lobsterはミナミイセエビ属であるため日本では『トリスタン産の伊勢海老』と紹介されることもある。

特徴

ロブスター

体長は50cmに達し、アメリカン・ロブスターは体長120cmに達する個体が漁獲されることもある。

ザリガニ類の例に漏れず、第一歩脚が強大な鋏脚となっている。フランス語名オマール (Homard)、ドイツ語名フマー (Hummer|uにアクセント) はいずれも「ハンマー」の意で、鋏脚がハンマーのように見えることに由来する。ただしこの鋏脚は威嚇のみに用い、生活孔の掘削や採餌には口元の小さな顎脚を用いる。

鋏脚の関節部には数個のがあるが、体には棘が少なく、体表はわりと滑らかである。2対の触角のうち第二触角は体長よりも長い。体色は暗赤色、灰色から薄い黄色など様々であり、これは生息する岩場の環境に関係すると言われる。全身が美しい青紫色の個体も存在する。

浅い海の岩礁や砂礫底に孔を掘って単独生活をする。寿命は極めて長く、推定年齢100年程のものも発見される。2009年1月9日、ニューヨークでレストラン『シティー・クラブ・アンド・シーフード』を営むキース・バレンティが入手した体重9キロのロブスターが海に返された。バレンティによると、ロブスターの年齢は体重から概算できるとしており、それによるとこのロブスターは約140歳と推定されるという。

テロメラーゼの働きが活発であることからテロメア長が一定以下の長さにまで縮むことがなく、さらに脱皮するごとに内臓も新しいものに入れ替わるため、老化しないという特徴があり、しばしば不死性を持つ生物の代表例の一つに挙げられる。反面、それ故に脱皮に時間が掛かり、脱皮不全や脱皮中の被食による死亡のリスクが高まっている。

利用

籠漁などで漁獲される。ロブスターは獰猛で、仲間同士傷つけ合うことも珍しくないため、水揚げされたロブスターはすぐにゴムバンドで鋏脚を固定され、そのまま市場に出回る。

の入った卵巣珊瑚色をしているためフランス語でコライユ (Corail)、英語でコーラル (Coral) と呼ばれる。卵巣からは美味な出汁が出るため、料理人は特に産卵前の雌を求める。産卵して卵を腹部に抱えているロブスターの卵巣は小さく縮んでおり、目につきにくい。カニなどの「みそ」にあたる中腸腺も賞味される。

肉は白く、イセエビよりも弾力があり、むしろタラバガニに近い質感をしている。洋風料理では、茹でるか蒸すかしてレモン汁や溶かしバターをつけて食べるほか、縦に半割りしてグリルまたはローストされる。ビスクというスープにすることもある。流通網が発達した20世紀末頃からは日本にも輸入されている。

調理法を規制する動き

2019年イギリス労働党は、動物愛護の観点から公約の一つに「ロブスターを生きたままゆでる調理法の禁止」を掲げた[1]

脚注

注釈

  1. ^ フランス語発音: [ɔmaːʁ] オマール

出典

  1. ^ 商業捕鯨の再開停止を=英最大野党が公約発表”. 時事通信 (2019年8月30日). 2019年8月31日閲覧。

参考文献

関連項目