メロディーロード
メロディーロードとは、乗用車において室内に侵入する車両走行音が音楽を奏でるように工夫された舗装、またはその舗装を施した道路のことである。名称は和製英語である。
概要
メロディーロードは、株式会社篠田興業(北海道標津町)が北海道立工業試験場(現、地方独立行政法人北海道立総合研究機構)と共同開発。2004年に標津町の町道に実験的に設置された[1]。
アスファルトおよびコンクリート舗装路面に深さ3mm - 6mm、幅6mm - 24mm、長さ2.9m - 3.1mの溝を道路横断方向に切削することにより車両走行時に発生する舗装とタイヤとの接触走行音の音階、音量の調整を行うことができる。溝から溝までの距離の調整によって走行音の音階や音域等の発生を調整する。また、溝の切削幅を変える事により発生音量の大小を調整する。設定速度が60km/hの道路において長さ300mのメロディーロードを作った場合、指定速度に従って走行すれば約20秒間のメロディが鳴ることになる。施工する溝の切削長さを車両の幅以上に設定することにより良く聞こえ、前後の複数のタイヤから同時に発生する異なった音は、人の脳の働き(カクテルパーティー効果)により都合よく選択され聞くことができる。また事前に使用されている曲目などの情報を脳へインプットすることにより、より鮮明に聞くことができる。安全な速度など、指定速度どおりに走ることにより、ちょうど良いテンポでメロディが鳴るように設計されるため、速度超過を抑制する効果もある(減速効果)。また、舗装路面横断方向に切削された溝群によりタイヤと路面との間に発生する摩擦抵抗を向上させたり、切削する溝の施工長さを路側線より外側に施工し路面水を車両走行帯外側に排水することにより車両走行帯の滞水を改善しハイドロプレーニング現象を防止する効果がある。車両走行帯内で溝の切削を終了する場合は溝端部に路面水が集中し滞水する可能性があるため事故防止の為、溝端部の排水処理や道路排水勾配に配慮する必要がある。このほか、眠気防止や地域に由縁のある曲目(著作権の有する曲の使用については著作権者の許諾が必要。)を利用する事により観光資源の創出などにも効果が期待できる。しかし、騒音の発生源ともなり得ることから、市街地への導入は適当ではない。人家など居住区域から300m程度離すことにより改善はできるとしているが、施工場所の環境(周囲の構造物)、設計する音量・音階などに工夫、配慮する必要がある。
音楽が流れる道路が設置されている道路
道路の愛称として、「メロディロード」以外の呼称がなされている事例もある(詳細は、以下の表中「道路名/号線」の項を参照)。
所在地 | 道路名/号線 | 設置区間距離 | 設置年 | 曲名 |
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北海道標津郡標津町 | 町道(メロディーロード)(世界初の試験施工) | 280m | 2004年11月 | 知床旅情 |
新潟県魚沼市 | 国道352号(尾瀬奏〈かな〉でロード) | 210m | 2008年12月 | 夏の思い出 |
群馬県前橋市 | 国道353号 | 2010年 3月 | チューリップ | |
群馬県高崎市 | 群馬県道33号渋川松井田線(榛名湖メロディライン) | 280m | 2008年4月 | 静かな湖畔 |
群馬県桐生市・みどり市 | 国道122号 | 390m | 2010年9月 | うさぎとかめ |
群馬県多野郡神流町 | 国道462号 | 300m | 2011年1月 | こいのぼり |
群馬県吾妻郡中之条町 | 国道353号 | 350m | 2010年11月 | いつも何度でも |
群馬県吾妻郡嬬恋村 | 長野県道・群馬県道94号東御嬬恋線 | 2010年3月 | 雪山讃歌 | |
群馬県吾妻郡草津町 | 国道292号 | 300m | 2008年8月 | 正調草津節 |
群馬県吾妻郡高山村 | 群馬県道36号渋川下新田線 | 2011年1月 | 星に願いを | |
群馬県利根郡片品村 | 国道401号 | 2010年8月 | 夏の思い出 | |
群馬県利根郡みなかみ町 | 国道291号 | 220m | 2011年6月 | 四季の歌 |
山梨県南都留郡富士河口湖町 | 富士スバルライン無料区間、RM4927076 | 350m | 2009年7月 | ふじの山 |
長野県茅野市 | 信州ビーナスライン(メロディーロード)(初のネーミングライツ利用)特許第4708354号、商標登録第4927076号 | 240m | 2008年8月 | スカボロー・フェア |
静岡県裾野市 | 芦ノ湖スカイライン(上り側) | 310m | 2009年4月 | ふじの山 |
愛知県豊田市 | 国道257号(メロディーロード)(メロディートンネル)特許第4708354号、商標登録第4927076号 | 300m | 2007年10月 | どんぐりころころ |
滋賀県大津市・守山市[2] | 琵琶湖大橋国道477号、滋賀県道11号守山栗東線(メロディーロード)(橋上世界初)特許第4708354号、商標登録第4927076号 | 600m | 2009年3月 | 琵琶湖周航の歌 |
和歌山県海草郡紀美野町 | 国道370号(高野西街道)(メロディーロード)(日本初の実施施工)特許第4708354号、商標登録第4927076号 | 320m | 2007年3月 | 見上げてごらん夜の星を |
広島県世羅郡世羅町 | 町道(メロディーロード)(世界最長)特許第4708354号、商標登録第4927076号 | さんぽ658.3m 森のくまさん513.2m |
2009年12月 | 森のくまさん、となりのトトロ (曲)さんぽ |
愛媛県伊方町 | 国道197号佐田岬メロディーライン | 430m | 2011年2月 | みかんの花咲く丘 |
大分県竹田市 | 国道57号、国道502号 | 2007年11月、2008年3月 | 荒城の月、花 |
脚注
- ^ 平成23年3月25日、特許登録(特許第4708354号)、出願日 : 平成17年9月16日、発明の名称 : メロディーロードおよびメロディーロード設計プログラム、特許権者 : 有限会社イーストBiz、地方独立行政法人北海道立総合研究機構、また、平成22年12月3日には北海道標津町の町道で“カーブです、カーブです、スピードを落として下さいと聞こえるしゃべるDo!も試験施工されている。また、“メロディーロード”は平成18年2月10日に第37類で商標登録(登録第4927076号)されている。
- ^ 法定速度で「琵琶湖周航の歌」-琵琶湖大橋にメロディーロード開通 - びわ湖大津経済新聞(2009年3月11日付、2011年7月17日閲覧)