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キリストの幕屋

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キリストの幕屋(―のまくや)は、日本のキリスト教系の新宗教宗教法人としての届け出名はキリスト聖書塾[1]カトリックプロテスタントなど主流派のキリスト教会では異端視され、日本のペンテコステ派ないし、民族主義との習合宗教などと見なされている[2]

データ

  • 創始者:手島郁郎
  • 現代表:長原眞
  • 信者数:約3000世帯とされる(毎年夏に開かれる全国聖会には数千人の参加者がある)
  • 立教年:1948年昭和23年)
  • 崇拝対象:活けるキリスト
  • 聖典・経典:旧約聖書新約聖書
  • 機関紙:『生命の光』(月刊誌、公称30万部)

歴史

開祖・手島は日本基督教会洗礼を受けた。無教会派内村鑑三塚本虎二の影響を受け、熊本を本拠に聖書研究会を開いていたが、1948年(昭和23年)、長男の通う小学校が閉校されそうになったことがきっかけで、GHQに抵抗して追われる身となり阿蘇山に潜伏。逃亡生活の中、神の召命を受け、旧・新約聖書を直接原典から学ぶ原始福音・神の幕屋運動を提唱し始めた。1950年(昭和25年)には阿蘇山での研修会に於いて幕屋ペンテコステと呼ばれる宗教的覚醒を受け、さらなる伝道を展開。1961年(昭和36年)に宗教法人「キリスト聖書塾」として届け出(当初は熊本県知事所管、後に文部科学大臣所管の単立宗教法人)。

本部・支部

思想

我らの信条

  • 一、我らは、日本の精神的荒廃を嘆き、大和魂の振起を願う。
  • 一、我らは、日本人の心に宗教の復興を願い、原始福音の再興を祈る。
  • 一、我らは、無教会主義に立つ。従っていかなる教会・教派にも属せず、作らず、ただ旧新約聖書に学ぶものである。
  • 一、我らは、キリスト教の純化を願うが、日本の他の諸宗教を愛し、祖師たちの人格を崇敬するものである。
  • 一、我らは、政党・政派を超越して、愛と善意と平和をもって、日本社会の聖化を期し、社会正義と人間愛を宣揚するものである。

キリストは言いたもう、“すべて労する者、重荷を負う者、われに来たれ、われ汝らを休ません”(マタイによる福音書第11章第27節)

活動

無教会主義の流れを汲み[3]、旧約・新約聖書に学んでキリスト教の純化を願い、ヘブライ的な「イエス・キリストの原始の福音」に帰るとして「原始福音」と称している。手島は「何も原始福音というものは私の発明ではありませんから、私がお教えするというわけにはいかぬ。これは一人一人キリストの前に跪いて、キリスト御自身から自ら受け取る以外にない」という。また「我らの信条」に現されている様に日本の伝統的な思想を日本人の先祖の心として尊重する[4]。このため新しい教科書をつくる会などの日本社会の精神的荒廃を憂いその再興を願う運動を支援したりする。また、自分たちも靖国神社などに参拝し、それゆえ、多神教と指摘されることもある。

一部のキリスト教会からは、伝統的教義の否定、旧約聖書の重視、ユダヤ教への寛容な姿勢、靖国神社参拝などの面から異端とみなされる。またキリストの幕屋自身も、自分たちは西欧中心の現代の儀式的・教義的な教会の視点から見ればキリスト教の一派ではない、日本には日本人の精神に合ったキリスト教が必要であると主張している。そのため新興宗教とみなされがちだが、聖書に忠実に学び、教理、教義ではなく、生きた聖霊の働き、神の愛の働きに導かれるエクレシア(教会)として、キリストの道を求道する、純キリスト教と主張する。また、使途行伝は今も続いているとして、キリストに導かれる者達は、続使途行伝の人生を歩むとしている。

生前、手島は形骸化した教会を批判したりしたが、それは、教会はキリストの体だからこそ、健全な体でいて欲しいという主張であった。また、教会組織ではなく、初代教会のようなキリストの愛によって繋ぎ合わされた有機的教会を目指した。現在も各地に幕屋があり、祈祷会などの集会を持ち、日曜日に地域ごとに集まり集会をする。

機関紙は『生命之光』。毎月、約30万部発刊されている。誰でも持ち帰れるように、よくガードレールバス停などに吊るされている。また、テレビの宗教番組生命之光」はCS衛星放送スカパー!のCh.216 ベターライフチャンネルと110度CSデジタル放送スカパー!e2インターローカルTV194Chで放送されている。かつては地上波でも放送されていた。

イスラエルとの交流

手島郁郎はユダヤ系の思想家や宗教家・イスラエル要人との交流が深く、現在でもイスラエルに巡礼団を送ったりユダヤ教との交流を行っている。そのためイスラエルの国家政策に賛同することも多く[5]、日本における代表的なシオニズムクリスチャン・シオニズム)グループと目されている。

ヘブライ語

キリストの幕屋の関係者たちは非常に熱心にヘブライ語を学習している。また、「キリスト聖書塾」という名称によって『ヘブライ語入門』や『現代ヘブライ語辞典』が編纂され、現在は「日本ヘブライ文化協会」という名称で、ヘブライ語の文法書や辞書が発行されている。

関連項目

脚注

  1. ^ 文化庁編『宗教年鑑 平成20年版』
  2. ^ 尾形守『異端見分けハンドブック』
  3. ^ 手島郁郎は内村鑑三などに師事していた
  4. ^ 幕屋のメンバーがイスラエルユダヤ教に関心を抱くのは日ユ同祖論を支持するからというコメントがしばし見受けられる。手島は、渡来系氏族である秦氏、とくに秦河勝と古代ユダヤ人の関係を指摘する佐伯好郎の学説などに興味を抱いており、その著書『太秦ウズマサの神-八幡信仰とキリスト景教』では「八紘一宇」や「高天原の平安」などの言葉を、自前の賛美歌の歌詞に織り込むなど特異な関心を示している。
  5. ^ 第三次中東戦争ではイスラエルに対する多大な物的支援を惜しまず(このためユダヤ基金の「黄金の書」に記されている)、第4次中東戦争では手島が中心となってイスラエル支持のデモを行った

外部リンク