Jupiter (平原綾香の曲)

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Jupiter
平原綾香シングル
初出アルバム『ODYSSEY
B面 蘇州夜曲
リリース
規格 マキシシングル
デジタル・ダウンロード
録音 2003年
ジャンル J-POP
時間
レーベル ドリーミュージック
作詞・作曲 作詞:吉元由美
作曲:G. Holst
プロデュース 小林信吾坂本昌之
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 週間2位(オリコン
  • 2004年2月度月間1位(オリコン)
  • 2004年度年間3位(オリコン)
  • 平原綾香 シングル 年表
    -Jupiter
    (2003年)
    明日
    (2004年)
    ミュージックビデオ
    「Jupiter」 - YouTube
    テンプレートを表示

    Jupiter』(ジュピター)は、2003年12月17日に発売された日本の歌手平原綾香のデビュー曲であり1枚目のシングル

    解説

    曲は、イギリスの作曲家ホルストの管弦楽組曲『惑星』(全7楽章)の第4楽章「木星」の中間部Andante maestosoの旋律(「木星」の第4主題)に、吉元由美歌詞を付けたものである。

    ホルストのこのパートは、以前から世界中で親しまれており、特にイギリスでは「我は汝に誓う、我が祖国よ」として愛国歌であり、またイングランド国教会聖歌である。

    ホルストは1934年に亡くなっており、法律としては「Jupiter」が発表された2003年時点では、「木星」の著作権は日本において著作権の保護期間を満了し消滅している(当時の日本の著作権法では死後50年で著作権が消滅。戦時加算を考慮してもやはり2003年時点では著作権が消滅している)。

    制作

    CDデビューにあたり、ホルストの原曲に日本語の歌詞をのせて歌うことを提案したのは平原自身であり、歌詞の一部には、平原自らが書いた言葉“私の両手で何ができるの?”“ありのままでずっと愛されている”“いつまでも歌うわあなたのために”などが織り込まれている。

    ミュージック・ビデオは、平原が当時在学していた洗足学園音楽大学川崎市)の前田ホールで撮影された。CDは初回生産盤のみデジパック仕様であった。

    当初はノンタイアップだったが、フジサンケイグループ広告大賞のエンディングテーマで流れ、その後はさまざまなテレビ番組やドラマ、CMの挿入歌などに使われる。

    この歌詞はフジテレビで放映された「ザ・ノンフィクション『短い命を刻む少女:アシュリーの生き方』[1]」に影響を受けている。

    2004年の新潟県中越地震の際、被災者を勇気付ける応援歌として新潟県内のラジオ局で多くリクエストされた。被災翌年の2005年より長岡まつり大花火大会で打ち上げられている復興祈願花火『フェニックス』ではこの曲がBGMとして使われている。「Jupiter」は約6分ある楽曲だが『フェニックス』の打ち上げ時間に合わせて約3分に短縮されている。2005年8月3日(花火大会2日目)には平原自身が来場、花火大会に先立って歌唱。2011年の東日本大震災直後にも、「FNS音楽特別番組」での歌唱など、リクエストの多い曲となった。

    2006年5月28日シングルCDの出荷枚数が100万枚を突破。着うた等のダウンロード件数は160万件を突破するなどロングセラーとなっている[2]。オリコン週間チャートで1位を獲得せずにデビュー曲がミリオンを突破したのは倉木麻衣のデビュー曲「Love, Day After Tomorrow」(1999年)以来7年ぶりとなった。

    2007年12月31日に行われた第58回NHK紅白歌合戦では、長岡市山古志地区からの中継を交え、「Jupiter」のアレンジバージョンを披露した。

    フェイス・ワンダワークスが2015年に発表したGIGAエンタメロディで15年間で最も多くダウンロードされた着信メロディを集計した「着信メロディ15年間ランキング」において17位にランクインされた[3]

    2016年8月6日川崎市等々力陸上競技場で行われたJリーグ川崎フロンターレの試合では、宇宙関連企画としてハーフタイムに、この曲が本人によりスタジアムのトラック上で歌われた。

    2020年8月8日、平原はNHKの生番組「ライブ・エール」で、イタリアクレモナ在住のヴァイオリニスト横山令奈と、リモートでの共演をした。

    収録曲

    1. Jupiter(6分03秒)
      作詞:吉元由美/作曲:G. Holst/編曲:坂本昌之
    2. 蘇州夜曲(3分56秒)
      作詞:西條八十/作曲:服部良一/編曲:小林信吾

    楽曲解説

    Jupiter
    本作の表題曲となる「Jupiter」について平原は以下のように語っている。
    この曲に最初に出会ったのは、10年前の4月に大学に進学してから間もない頃でしたね。その当時音楽理論と言う授業があって様々な曲が流されてたんですが、その中の1つが「Jupiter」だったんです。以前にも聴いたことはあったとは思うんですが、ホルストさんの「木星」としてメロディーを意識しながら聴くと言う事はその時はなくて、この授業を通して初めて「運命的な出会いを果たした」と言う感じですね[4]
    その頃はまさにデビュー曲を決めるタイミングに差し掛かっていましたね。その時には既に別の曲がデビュー曲の候補に上がっていたんですよ。けど、「Jupiter」に出会ってからは何としてもこの曲をデビュー・シングルにしたいと強く思ったんですよね[4]
    平原綾香が「Jupiter」に込めた想い
    平原は「Jupiter」に込めた想いについて以下のように語っている。
    この曲は慈悲を持つ心を歌うメロディーですね。そのメロディーに自分が歌いたい想いと強く重なったんです。少し前にアメリカ同時多発テロがあって世界的にとても不安な時が続いた時期だったんですよ。その最中、私は歌手として何が出来るのだろう?世界が悲しみに覆われている中、音楽を通して何ができるんだろう、と思うことがあって。私自身が音楽に助けられてきた事がたくさんあって、音楽に心を癒して貰ってたくさんの勇気を貰って生きてきたんです。なので自分がデビューする事になった際、今度は発信していく立場となったら何を伝えていくべきなんだろう、辛い時、どんな音楽が一番人々から求められているのだろうか、人を癒す音楽って一体何だろう、とそう言う事を深く考えていくようになっていきました[4]
    そう考えている時に出会ったのが「Jupiter」ですね。ホルストさんの「木星」は辛い時に寄り添い、慈悲を持ってその心を癒してくれる、そう感じたメロディーでした。そのメロディーに自分の想いを歌いたい、そう強く思ったんです[4]
    「Jupiter」に乗せたかった歌詞とメッセージについて
    平原は以下のように語っている。
    あの当時、私はまだ18歳だったんですけど、事件が起こる1〜2年前にボストンに住む姉を訪ねてアメリカを訪れた事がありまして、その際、ニューヨークにも寄って、世界貿易センタービルもこの目で見てきたんですね。それがあの事件で跡形もなく崩壊して無くなってしまう。その当時、それをテレビで見た時の衝撃は物凄かったし、とてもショッキングでしたね[4]
    世界平和を謳うとか大それた事を思ったのではなく、世界が平和であること、家族、友達、恋人みんなが平和であること、何より自分自身が平和であること、これら全てがどれも切り離せないし、むしろその全てが1つに繋がっているのではないかと思ったんですね。どれを取っても大事な事だし、自分の心が平和にならないと、それが回り回って世界平和が訪れることはないように思えるんです。世界平和はとても大きなテーマだけど、それを身近にある私たちの心のそばにあるメッセージにしたいと思ったんです。その時にはアシュリー・ヘギちゃんと言う難病に侵された少女を追うドキュメンタリー番組を観てからはさらにその想いが強くなりましたね[4]
    アシュリー・ヘギとその母親を通して見た母と子の愛について
    平原は彼女について以下のように語っている。
    彼女はプロジェリア症候群と言う難病を患ったカナダに住む女の子なんです。日本でもテレビ報道とかで有名になった子で、私もそのドキュメンタリー番組を観て知りましたね。プロジェリア症候群は体の老化が通常よりも極端に早く進行する難病なんです。けど、その難病を抱えながらも彼女は「もし、生まれ変わってもまた、私として生まれてきたい。」と言う言葉を聞いてその言葉にとても感動して涙が流れました。彼女に「ありのままでいいんだ」と言う事を教えられた気がして。加えてそのお母さんとの深い絆と愛情にも感動しましたね[4]
    その姿が「Jupiter」と言う曲ととても重なる所を感じました。木星と言うのは、地球にとっては母のような存在でもあるように思うんです。木星の強い引力が隕石を引き寄せて地球を隕石から守ってくれているような気がして。そこからも母と子の愛、絆と言うテーマでも「Jupiter」にピッタリだなと思いましたね[4]


    採用実績

    • 公共広告機構(現:ACジャパン)「臨時キャンペーン・災害支援『できること』篇」CMソング(2005年)
    • 3年B組金八先生(第7シリーズ・2004 - 2005年)(TBS
    • もしもツアーズ(フジテレビ)
    • 地球45億年の奇跡II フードプラネット 食べる惑星(2005年2月21日 - 24日)
    • 復興祈願花火『フェニックス』のBGM(新潟県長岡市『長岡まつり大花火大会』、2005年-)
    • ZERO特別版 NNN総力取材! だれもひとりじゃないスペシャル(日本テレビ)(2006年12月28日)※本人が生出演で歌った。
    • 仙台放送 - デジタル放送用のオープニング
    • tvk「sakusaku」エンディングテーマ(2004年1月度)
    • テレビ東京系「地球VOCE」テーマソング(2011年5月)

    カバー

    Jupiter

    脚注

    関連項目