隕石衝突

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隕石衝突(いんせきしょうとつ)とは、宇宙にある天体が、地球ないし他の天体に衝突することである。隕石落下とも言われる。

衝突のイメージ

概要[編集]

地球(大気のある惑星)において、他の天体が衝突する場合、大気圏内で蒸発する場合もあるが、地上まで形を保つものもある。そうしたものが隕石である。

一般的に衝突する天体が大きく、遅いほど蒸発に時間がかかり、地上に落下し隕石として、地表に残ることが多い。地上に落ちた場合、その衝撃によって、クレーターができることがある。

地球のような大気の存在する惑星に、大規模なクレーターができるような隕石衝突が起きた場合、隕石によって供給された物質と、隕石衝突の衝撃で衝突された側の惑星から飛散した物質とが、大気中に舞い上がる。これが降り積もって、衝突された側の惑星の地表の広い範囲に新たな地層が形成されることがある。なお、こうしてできた地層を、イジェクタ層エジェクタ層)(ejecta)と呼ぶ。なおこの地層には、衝撃変成作用英語版を受けた鉱物が含まれている。また地球では、イリジウム異常英語版が観察されたりすることで知られている。

さらに巨大な天体が衝突してきた場合、様々な影響が起こり得ると考えられている。例えば、衝突された側の地球型惑星の表面全体が融解するのではないかとも言われている。他にも、のような衛星ができるとする仮説(ジャイアントインパクト説)が存在する。さらに、天王星自転軸が大きく傾いているのは、過去に巨大な天体が衝突したためとも言われている。

衝突のエネルギー[編集]

ニュートン力学では、等速直線運動をする物体の運動エネルギーは、エネルギーE、質量 m 、速さ v として

E = {1 \over 2}mv^2

J = {1 \over 2}kg(m/s)^2

である。よって、質量 m と速さ v の2乗に比例する。つまり、速さが2倍になればエネルギーは4倍になる。

質量は隕石が球体であれば、ρを隕石の密度、Rを半径とすれば、

m = \rho  {4 \over 3}\pi R^3

である。よって質量m直径2Rの3乗に比例する。つまり、直径が2倍になれば、質量及びエネルギーは8倍になる。

衝突が地球に与える影響[編集]

小型の隕石であれば、衝突しても影響は限定的であるが、大型の場合は被害は甚大になることもある。

さらにK-T境界大量絶滅の仮説の1つ、隕石衝突説では、直径約10kmの隕石が、メキシコユカタン半島に衝突し、その衝撃により恐竜アンモナイトは絶滅したとされる。ただし、インドの西の海底に存在するシバ・クレーターを形成した隕石衝突が、このK-T境界の大量絶滅の引き金とも言われている。(無論、隕石衝突以外に原因を求める仮説も存在する。)[要出典]

また地球に衝突する確率、及び衝突した際の予測被害状況を表す尺度にトリノスケールというものがある。

過去の隕石衝突[編集]

以下は、近代の主な隕石衝突、および過去の隕石衝突と推測されている事例である。

2013年チェリャビンスク州の隕石落下
人口密集地体上空を隕石が通過し、衝撃波により多数の人が負傷した。原因が隕石と確定している中では初の大規模災害。
2008 TC3
直径4.1m。隕石が地球衝突前に小惑星として観測された初の事例。衝撃力はTNT火薬換算で1.1〜2.1キロトン(戦術核兵器級)。
ツングースカ大爆発
隕石衝突が原因とは断定されていないものの、隕石衝突が原因であろうと推測されている。仮に隕石が原因であった場合、直径60m〜100m。衝撃力はTNT火薬換算で10〜15メガトンビキニ水爆級)と推定される。しかし、僻地であったため人的被害は起こらなかった。
中国の古文書に記録された隕石衝突
最古の記録は隋書にある616年1月14日の隕石で、反乱軍陣地の攻城塔が破壊され10名が死亡。Yauらは中国の古文書を調査し、7件の隕石衝突とみられる記述を報告している[1]1490年の山西省での隕石では1万人以上の犠牲が記録されている。[要出典]
コフェルスインパクト(Köfels’ Impact)
紀元前3123年。観測記録が残されている最古の隕石衝突。ソドムとゴモラを滅ぼした原因との説がある。詳細はソドムとゴモラを参照。
チクシュルーブ・クレーター
メキシコのユカタン半島にある約6550万年前の小惑星衝突跡。直径10km〜15km。衝撃力は広島原爆10億倍。恐竜絶滅の原因とされている。(ただし、シバ・クレーターを形成した隕石が恐竜絶滅の原因とする説もある。)
シバ・クレーター
(英語: Shiva crater)は、インドのムンバイ西海底にある約6550万年前の小惑星衝突跡。長さ600km、幅400kmの長方形の形状、白亜紀の動植物絶滅の原因と考えられている
ジャイアントインパクト説
地球誕生直後の衝突→の生成起源の有力な説。

地球に衝突する可能性のある小惑星[編集]

太陽系には多数の小惑星が存在しているが、その中には地球の公転軌道と近接した軌道を公転している小惑星も幾つか存在していることが知られている。このような小惑星を地球近傍小惑星 (Near Earth Asteroid, NEAs) と言う。また、その中でも地球への衝突リスクが高い小惑星は潜在的に危険な小惑星 (Potentially Hazardous Asteroid, PHA) に分類されている。過去には2014年に接近する(143649) 2003 QQ472029年に接近するアポフィス2048年に接近する2007 VK184、2880年に接近する(29075) 1950 DAが地球に衝突するのではと騒がれたこともあったが、後に衝突確率はほぼゼロとなっている。2014年4月時点では衝突リスクを示すトリノスケールにおいて全ての天体が0となっている。

小惑星を含む地球近傍天体は他からの影響によって軌道などが大きく変化することも知られている。基本的に太陽に近いほど公転速度は速くなければならない(そうでないと太陽に落下する)ため、地球近傍天体は頻繁に水星、金星、地球、火星などに接近しやすい。こういったより大きな天体の持つ引力の影響で、地球近傍天体は軌道が変化し得ることが指摘されている[誰によって?]。また、これらの天体とは比べものにならないほど強い引力を持った木星などの引力の影響を受けて軌道が変化する可能性もある[要出典]。したがって、衝突リストは不変ではない。

なお、前述のトリノスケールでは「局所的大被害が起こり得る衝突は数百年から数千年に1回」、「全地球的大被害の起こり得る衝突は1万年〜10万年に1回」の発生確率としている。ちなみに、2008TC3程度の非常に小型の隕石であれば、年間2〜3個の割合で地球に落下している。

隕石衝突を扱った作品[編集]

これらの多くは人為的に隕石の衝突を回避させる計画を描いたものである。

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ Meteorite falls in China and some related human casualty events”. 2013年2月17日閲覧。