ステアーAUG

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ステアーAUG
Steyr-AUG.jpeg
ステアーAUG
ステアーAUG
種類 軍用小銃
製造国 オーストリアの旗 オーストリア
設計・製造 ステアー
年代 1978年-現代
仕様
種別 アサルトライフル
口径 5.56mm
銃身長 508mm
使用弾薬 5.56x45mm NATO弾
装弾数 30発/42発(箱形弾倉
作動方式 ガス圧利用、ローリングボルト
全長 790mm
重量 3,600g
発射速度 680-850発/分
銃口初速 940m/秒
有効射程 300m
歴史
設計年 1970年代
配備先 オーストリア軍
オーストラリア国防軍
関連戦争・紛争 イラク戦争
アフガニスタン紛争 (2001年-)
バリエーション AUG-A1
AUG-LMG
AUG-P
AUG-9mm
AUG-A3
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ステアーAUG(Steyr AUG)は、オーストリアシュタイアー・マンリヒャーSteyr Mannlicher)社がオーストリア軍向けに開発したアサルトライフルである。AUGはアルメー・ウニヴェルザール・ゲヴェーア(Armee Universal Gewehr、軍用汎用小銃の意)の頭文字に由来する市販名。

シュタイアー・ダイムラー・プフ社のStG58FN FALライセンス生産品)の後継として、1977年にオーストリア連邦軍歩兵用小銃にStG 77(Sturmgewehr 77)の制式名で採用される。

SF的な外観を持つこのは、それまでの軍用銃と異なるいくつかの革新的試みがなされていた。

特徴[編集]

AUGは、作動機構をトリガー(引き金)よりも後方に置くブルパップ方式を採用している。ブルパップ方式は、銃身を短くすることなく銃を小型化することが可能で、また、薬室をグリップより後方に配置することにより反動を制御し易くなり、集弾性が向上する利点を持っている。

AUGの最大の特徴として、強化プラスチックにより形成されたグリップ・銃床一体のボディが挙げられる。それまで部分的にしか使用されなかったプラスチック部品を大幅に取り入れることにより、同じくブルパップ方式を採用しているSA80などと比べて軽量化に成功している。 また、銃全体が7個ほどのモジュール・パーツで構成されているため、モジュール・パーツを交換することにより要求される様々な用途に応じた火器となり、兵士教育の短縮化・簡略化を可能としている。例えば、銃身をピストル弾用に、ボルト機構をブローバック用に交換すれば短機関銃に、621mmの重銃身にバイポッド(二脚)、42発マガジンを取り付ければ軽機関銃相当の銃(分隊支援火器)になる。

AUGはショートストロークガスピストンを持ち、発射ガスの圧力を受けたピストンはカムを介してボルトの閉鎖を解く。ボルトは7個のマイクロロッキングラグを持つ。セミオート(単射)とフルオート(連射)を切り替えるためのセレクタが存在しておらず、切り替えは引き金の引き加減で行う。引き金を浅く引くとセミオート、深く引くとフルオートになる。セーフティは独立していて、銃把を握った手の親指付近にクロスボルトタイプのセーフティボタンが配置されている。グリップ前部には折り畳み可能なバーティカルグリップが取り付けられている。マガジンには半透明のプラスチックを使用しており、マガジンを装填したまま残弾確認が可能になっている。

現在シュタイアー・マンリヒャー社はAUGの製造権を放棄しており、その後はナイフメーカーのマイクロテック・ナイフ(Microtech Knives)社が製造権を買い取り、子会社のMSAR(マイクロテック・スモール・アームズ・リサーチ)社を設立。ボルトフォアードアシストを追加し各部分を改良したバージョンのSTG-556シリーズを生産・販売をしている。

AUGの実射映像

ブルパップ方式の欠点と対処[編集]

AUG(上)とC7(下)のプラスチック製マガジン

AUGは、照門と照星の間隔が短くなる欠点を解消するために、1.5倍率オプティカルスコープを標準装備することで照準精度を確保している。このスコープはスワロフスキーグループの光学機器メーカーが製造・供給している。スコープの上にはスコープ破損時に使うための非常用アイアンサイトが用意されている。

排莢の問題については、排莢口の部品の向きを入れ替えることで薬莢の排出方向を変更できるようにして左利き射手への対応をしている。ただし戦闘中の状況によっては(負傷など)、右撃ちと左撃ちの切り替え(スイッチ)を状況によって素早く行うことが求められるため、(すなわち利き手は引き金を引くだけに用いるため、必ずしも利き手で銃把を握る必要はない)いかに容易に排出方向を変えられるといっても瞬間的な操作には対応できないという問題は残っている。

バリエーション[編集]

AUG A1(407mmバレル)
AUG A2(407mmバレル)
AUG A3(初期型)
AUG 9mm
ステアーAUG A1
最初のモデル。携行ハンドルも兼ねる1.5倍率オプティカルスコープを標準装備している。使用弾薬5.56x45mm NATO弾(SS109)。
ステアーAUG A2
A1のオプティカルスコープを廃止し、ピカティニー・レールを搭載したモデル。
ステアーAUG A3
オーストラリア軍ニュージーランド軍からの要請で、NATO基準の光学システム(暗視装置など)を搭載できるようモジュールマウントを装着したA2の発展型。6.8×43mm SPCの使用テストが行われていたが、その後中止された。その後ボルト・ストップ機能を追加したモデルが主流となった。
ステアーAUG A3 SA USA
シュタイヤーアームズが製造するA3のセミオートモデル。
ステアーAUG A3 SF
オーストリア軍特殊部隊向けに開発されたモデル。オプティカルスコープにピカティニー・レールを搭載し、銃身長も16インチに変更されている。
ステアーAUG P
短銃身のカービンモデル。
ステアーAUG Pスペシャルレシーバー
P型に光学機器搭載用のマウントを装備したモデル。
ステアーAUG 9mm(またはAUG SMG、AUGパラ)
9mm弾を使用する短機関銃モデル。
ステアーAUG M203
銃身の下にM203 グレネードランチャーを取り付けたモデル。
ステアーAUG LSW
ステアーAUGのLSW(Light Support Weapon、軽支援火器)モデル。
ステアーAUG HBAR
重銃身を装備したHBAR(Heavy-Barreled Automatic Rifle、重銃身自動ライフル)モデル。多くの軽機関銃と違いクローズボルト方式。
ステアーAUG HBAR-T
HBARをもとにして作られた狙撃銃モデル。
ステアーAUG LMG
HBARをもとにつくられたLMG(Light machine gun、軽機関銃)モデル。オープンボルト方式。4倍率のオプティカルスコープがつけられている。
ステアーAUG LMG-T
Pスペシャルレシーバー同様のマウントが装着されたLMG。
ステアーAUG Z
オートマチック(連射)機構を取り除いたA2。民間用モデル。
ステアーUSR
米国財務省アルコール・タバコ・火器・爆発物取締局(BATFE)向けのA2。
F88
オーストラリアライセンス生産されたモデル。銃剣の装着が可能。オーストラリア軍とニュージーランド軍が使用中。

クローン品[編集]

現在、既にAUGの特許は失効しており、シュタイアー社の許諾なしにクローン製造することが可能となった。

MSAR STG-556
アメリカのMSAR(マイクロテック・スモール・アームズ・リサーチ)社がAUGのA1モデルをコピーし、小改良(ボルト・ストップ機能追加など)を施した上でアメリカのニーズに合わせたもの。フルオート射撃が可能な軍・警察用モデルと、セミオート射撃限定の一般民間市場販売向けスポーティー・モデルの二種類が存在する。使用弾薬口径)は5.56x45mm NATO弾(.223レミントン)であり、E3 モデルはM16系のSTANAG マガジンが流用可能となっている(製造中止)。
MSAR STG-E4(XM17 E4)
STG-556の次世代発展型として開発されたアサルトライフル。使用弾薬(口径)は基本の5.56x45mm NATO弾の他に7.62x39mm5.45x39mm6.8×43mm SPCがある。
TPD AXR
TPD(タクティカル・デザイン・デベロップメント)USA社がAUGをコピーし、STG-556と同様M16系STANAG マガジンを流用可能にしたものだが、こちらはA2モデルをコピーしたため照準器は付属せず、好みの物を取り付けられる(製造中止)。
使用弾薬(口径)は5.56x45mm、6.8×43mm SPCの二種類であり、それぞれの弾薬に適応する従来のAUG用マガジンもある。

使用国[編集]

AUGのオーストラリア軍仕様であるF88Sを使用する兵士
ACOGスコープとM203 グレネードランチャーが装着されている
ステアーAUGを装備している、ルクセンブルク公国大公執務邸の警備兵
F88として使用。
対テロ特殊部隊GIGNなどが使用。
GSG-9が使用。
F88として使用。
パキスタン陸軍特殊部隊Special Services Group(SSG)が使用。
SASが使用。
イタリア陸軍アルピーニカラビニエリ特殊介入部隊とトスカーナ(旧陸軍第1空挺大隊)が使用。

登場作品[編集]

脚注[編集]


関連項目[編集]

外部リンク[編集]