房州弁
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房州弁(ぼうしゅうべん、英: Boshu dialect)は、千葉県南部で主に話されている日本語の方言である。西関東方言に属する。安房地域(房州)を中心に、安房と隣接する上総南部(勝浦市・大多喜町・御宿町・いすみ市・富津市・君津市 など)で日常的に話されているが、袖ケ浦市・市原市などの一部でも似た方言が使用されている。語尾に「~べ」や「~ぺ」と付くのが特徴。
ただし、現在では廃れている言葉も多くある。
アクセント・文法
[編集]中輪東京式アクセント。文法は東日本方言の要素を持つが、形容詞連用形の語幹形がある[1]。
主な語彙
[編集]※ここで挙げる方言は、地域によって異なる場合がある。
あ行
[編集]- あおなじみ - 青あざ。
- あて - 私・俺など自称。「あてら」=私たち
- あかんぺろん - 擦り剥いて、皮が剥がれた様子。
- あに - 何。何ですか。
- あじ - 如何。但し、単体では使わない。下記、「あじ」の派生。
- あじした? - どうした? (例) そん顔あじした?→その顔どーした?
- あじする? - どうする? (例)にしゃ、あじする?→あなたは、どーする?
- あじょうだ? - どう? (例)こんおつけ、あじょうだ?→このお味噌汁、どう?
- あてこともねー - どうしようもない。救いようがない。 (例)また寝ションベン漏らしたんか?あてこともねぇ。→またオネショしたの?どうしようもないね。
- あんが、 - いやいや、 (例)はー飯よそっけ?あんが、まだいらねぇ。→もうご飯よそう?いや、まだいいや。
- あんご - ヒキガエル、蛙の事 (例)あそーの、田さあんごん子がいたぁお。
- あんでんねー(またはあんとんねー) - 何でもない。なんてことない。
- いいあんばい - 良い天気。 通りがかりの挨拶に用いられる。
- いそっぴ - イワガニ、イソガニ、ヒライソガニなど、海岸でみられる小型のカニの総称。
- いっぺえ - たくさん。いっぱい。一杯。 (例1)いっぺえあらあで→たくさんありますね。(例2)いっぺえやんべんね→一杯飲みましょうよ。
- うっちゃる(またはふっちゃる) - 捨てる。(人間を)放っておく。 (例)こん魚腐ってっかいうっちゃんべ。
- うならかす - 相手を圧倒させる。急いでやる。(例)うならかして行かないと間にあわない
- うなう - 耕す。
- うら - 後ろ。
- うんてえ・おんて - 重い。
- おせる - 捕まえる。教える。(人間が)交尾する。
- おいさ・おっさ -そうだよ。 (例)~なの? おいさ
- おいねぇ・おんね - 駄目。無理。 (例)そらおいねぇよ。(例)おいないですねぇ。
- おいもんかい - 駄目、コラ! (例)それおいもんかい!
- おぅよ - いいよ。 (例)おぅよ。明日いくべよ。
- おごいぼぅ - おこりん坊。
- おっぺす(またはおっぴす) - 押す。 (例)そっちまでおっぺしてってくろ。
- おみおつけ - 味噌汁。
- おめぇらが - お宅。あなたらが。 (例)おめえらがじゃ、はあ田植え終わったんか?
- おれ - 私。 ~が、がつくと略されて「おが」という場合もある。 アクセントは「お」にある。
- おんだら - 私達。 (例)おんだらはけぇんべ。
- おっける -ころぶ。(例)田ん畔でねえごんでおっけっちまったぁよ。
- おんごしょる - 折れる。
か行
[編集]- かぁかぁ - 馬鹿。阿呆。 (例)成績悪いかんかぁかぁって言われんだべ。
- かぁねぇ - 食べない。(例)はーかぁねぇか?→もう食べないの?
- かっくらす - 殴る。
- かってぼ - あほか! (例)つまらない駄洒落にツッコミを入れる時、「かってぼさぁ!」
- ~がん~ - ~の~。(例)にしらんがん畑→あなた達の畑
- ~かし - ~かしら。
- かせる - かぶれる
- かます - はさむ。動かないように言葉や動作・くさびをたてること。
- かわばち - 川魚 ナマズ目ギギ科、標準和名ギバチ
- かんます - かき回す。
- きばる - 痛くなる。 (例)腹がきばっちってどうしようもねぇ。
- きもいる - むかつく。腹がたつ
- くっかぐ(またはふっかぐ) - 噛む。
- 〜くったい - 〜ください。 (例)持ってってくったい。→持っていってください。
- くむ - 崩れる。壊れる。 (例)あっちの土手が、つっくんでたぁよ。
- ~け - ~か。 (例)そうけ。→そうか。
- けぇ - 食え。 (例)まっとけぇよ。→もっと食えよ。※まっと→もっと
- けえる - 帰る。 (例)おせぇかいけえんべよ。 はぁけぇっかい。(帰るから。)
- ケバ - 陰毛。
- げっぽ - 嘔吐物。
- こええ - 硬い。一部地域で疲れる。
- こちょぐってぇ - くすぐったい。
- こっぺ - 屁理屈。(例)こっぺ、きゅうな!→屁理屈を言うな! ※きゅうな→利くな
- こばっこ - 端・隅っこ。
- ぐしゃる -情交する。「遇し合う」又は「具を合わせる」から来ていると思われる。
さ行
[編集]- さーしぶりだね - 久しぶり。
- ~じっか - 君津・木更津周辺のみ。静岡弁の「~じゃんかぁ」に相当。~じゃないか。
- じょうぼ - 門前・家の前の通路
- じょんごろ - おたまじゃくし。
- すてれっぱつ(またははれっぱつ) - 「大きい」の最上級的な意味。てっぱつよりも大きい。凄く大きい。
- ずんねぇ - 大きい。
- せど - 裏。 (例)せど山。
- そうだいねぇ - そうだよね。
- そば - 近く。近所。周辺。
た行
[編集]- ~だで - 静岡弁の「~じゃんかぁ」に相当。~じゃないか。
- だけんが(またはだっけんが、けんが、でんが) - だけれども。
- たんご - 牛糞、肥やし。一部地域で「ふませ」とも言う。
- だんみゃく - 散らかっている様をいう。 (例)うちん中がだんみゃくっしょ。
- ちいちゃっけぇ・ちっけぇ - 小さい。
- ちょんぴこ - アゴハゼ属に属する魚の総称。
- ちょんぽ・ちょんぽこ - ぺにす。ちょんぽこ=子どものぺにす。
- ちっこ - 乳房。おっぱい。※牛の初乳を火入れ加工した「ちっこかためたーの」というバターに似た料理が実在する。
- ~っしょ - ~でしょ。 (例)おめぇ昨日君津駅に来なかったっしょ。
- てっぱつ(またはでっぱつ) - 「大きい」の比較級的な意味。結構大きい。
- ~でん。 - ~じゃん。~でしょ。 (例)こらぁ、ひでーでん。→これはヒドイじゃん!
- ~でんいぇー。 - ~じゃんかよー。※~でん。より荒っぽい。 (例)そらぁ、ひでーでんいぇー。→それはひどいじゃんかよー!
な行
[編集]- ないびーびー - 泣き虫。意気地なし。
- にぎぃめし - おにぎり。
- にし - 二人称を意味する。あなた。君。
- にしら(またはにっしゃら) - にしの複数形。あなた達。
- ねんぽ - 穴 (例)鼻ねんぽ。
は行
[編集]- はー - もう。 (例)はーいいけ?→もういいのか?
- はがち - ムカデ。
- はしけぇ - チクチクすること、様子(例)はしけーよ。
- はなっと - 岬の先端部。かど。
- はめる-性交する
- びたびた、びたんびたん - びしょびしょ(雨などにぬれた時に使う)。
- ひとみず - 人見知り。
- ひして - 一日。ひしてふつかかかる。=二日かかる。
- ひゃっけぇ、ひゃっこい - 冷たい。
- ぷっくす、ぼっこす - 壊す。破壊する。
- ぷっくらす - かっくらす(殴る)よりも強い意味合いを持つ。
- ほいで - それで。
- ほてる - 熱くなる。顔などが熱くなる。怒る。
- ほと-女陰
- ほんこん - 本気で。マジで。[転じて→]強く。力いっぱい。
(例1)ほんこんやれよ!→本気でやれよ! (例2)そんなほんこんやいとふっくいげっちゃいどー。→そんなに強くやるとひっくり返っちゃうぞー。
ま行
[編集]- まっこ - かやの葉、真菰(まこも)の葉 盆供に用いる。
- まっと - もっと。 (例)まっとけぇよ。→もっと食えよ。※けぇ→食え
- もぢける - 壊れて外れる。
や行
[編集]- やあんでく - 歩く。 (例)今日天気がいいからよぉ、木更津までやんでくべや。
- やあしんぼぅ - 食いしん坊。
- やってらぁ - 始まっている。 (例)宴会ははぁやってらぁ。
- やまべ - 川魚、コイ科オイカワのこと。
- やんべぇ - ~をやろう。~をしよう。 (例)はや、釣りやんべぇおー(訳:はやく釣りをやろうよ)
- よいなもんじゃねぇ(またはよいじゃねぇ) - 容易なものではない。
- やぶ - 歩いてゆく。行く。
- やべさ - 行こうよ。
- やあばっしぇ - おいで。
わ行
[編集]- わら - お前たち。あなた方。「わんら」ともいう。
- わん - お前。あなた。「われ」は「わん」の丁寧語。
- わんだら - おまえたち。あなたたち。
方言を使う著名人
[編集]脚注
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 房辞苑 - 房州弁を網羅した辞書サイト。
- 『増間の昔話』音声付き資料 - 旧安房郡三芳村増間の民話を紹介したサイト。