税理士

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税理士
英名 Licensed Tax Accountant
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家試験 - 財務省国税庁
等級・称号 税理士
根拠法令 税理士法
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税理士(ぜいりし)は、税務に関する専門家(コンサルタント)のための国家資格であり、税理士法に定める税理士となる資格を有する者のうち、日本税理士会連合会に備える税理士名簿に、財務省令で定めるところにより、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他の事項の登録を受けた者をいう(税理士法18条)。徽章は、日輪に桜。他に、税理士会連合会から顔写真つきの登録者証「税理士証票」を交付される。

税理士バッジ

概要[編集]

税理士は、税務に関する専門家(コンサルタント)として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とするとされ(同法1条)、業務として、他人の求めに応じ、各種税金の申告・申請、税務書類の作成、税務相談、税に関する不服審査手続き等を行う。

「税理士となる資格を有する者」としては、公認会計士弁護士、税理士試験に合格し2年以上の実務経験を持つ者、23年以上税務署に勤務した国税従事者があり、税理士名簿への登録を受けることによって「税理士」となり、税務をおこなうことができる(同法3条1項)。

税理士名簿への登録をすることなく、税理士としての税務を行うことができる者としては、いわゆる通知弁護士がいる。通知弁護士とは、所属弁護士会を経て、国税局長宛に税理士業務を行う旨の届出をすることにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務ができる制度をいう(税理士法51条1項)。

税理士法上の業務[編集]

税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする(税理士法2条1項)。

  1. 税務代理(同法2条1項1号)
  2. 税務書類の作成(同法2条1項2号)
  3. 税務相談(同法2条1項3号)
  4. 補佐人(同法2条の2第1項)

この他、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる(同法2条2項)。

その他の業務[編集]

税理士は、業務に付随する範囲において社会保険労務士業務の一部をなすことができる(社会保険労務士法27条・同施行令2条)。また、税理士となる資格を有する者は行政書士登録を受ければ行政書士となることができる。(行政書士法2条) 。非弁活動(弁護士法72条)に留意する必要がある。

税理士法人[編集]

2001年(平成13年)の税理士法改正により、税理士事務所の法人化(税理士法人)が認められ、税理士は、開業税理士、社員税理士、補助税理士のいずれかの区分に分類されることになった。 2006年(平成18年)5月1日、会社法施行にともない、公認会計士・税理士は会計参与という株式会社の機関の一類型として、会社に参加しうることになった。

税理士業務[編集]

税理士業務は、税務代理、税務書類の作成、記帳業務、税務相談に大別されてきた[1]。その後、日本国内において、1999年以来行われている司法制度全般に関する司法制度改革の成果として、税務訴訟による国民の権利救済の途が広がった。その改革過程において、税理士法改正がなされ、新たに補佐人(同法2条の2第1項)が追加された。

税務代理[編集]

税務代理とは、税務官公署に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行することをいう(同法2条1項1号)。主に税務調査に立会って対応すること[1]。税務調査については、税理士と顧客との間の契約が委任(若しくは準委任)契約であることに鑑み、税務官公署との交渉の途中経緯、交渉の成果などについても、資料化して残しておく。そして、国税不服審判所に対し審査請求をする際、あるいは、課税庁を相手方とする行政訴訟をする際に、物証として資料提出することが求められる。

税務書類の作成[編集]

税務書類の作成とは、税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう(同法2条1項2号)。主に税務申告書を作成すること[1]。申告書等の作成ソフトについては、多様な種類のソフトが開発、販売されており、各種ソフトの中から取捨選択して使用することとなる。

記帳業務[編集]

記帳業務とは、会計事務所の主たる業務のひとつで、個人商店や会社組織の帳簿類や試算表(資産・負債・資本および収益・費用をひとつの表に示したもの)などを、それらの人びとに代わって作成する業務であり、いわば会社の経理の一部を会計事務所に委託したようなものである[1]。また、会計ソフトの使用を勧めたりするなどして、自計化支援と称し、自計化を促してきた。この点、会計ソフトの進歩とともに、自社内で迅速な経理事務を行えるようになったことで、会計事務所の主たる業務に占める記帳業務の比率は低下することとなる。

税務相談[編集]

税務相談とは、税務官公署に対する申告等、第1号(税務代理)に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることをいう(同法2条1項3号)[1]

補佐人[編集]

税理士は、租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる(同法2条の2第1項)。 租税に関する訴訟の補佐人制度を充実させたものにするための試みとして、税理士会と各地の大学間で研修が行われており、元裁判官、元検察官、弁護士などによる講義がなされている[2]

沿革[編集]

税務代弁者の発生[編集]

明治維新以後しばらくの間、税制は旧慣習によることとされていたが、版籍奉還廃藩置県によって旧藩の債務を引き継いだ新政権は財政的な困難に陥り、これを契機として税制の整備がなされるようになった。

1873年(明治6年)に地租改正条例の公布がなされ、土地所有者が納税義務者となり、収穫力に応じて決められた地価が課税標準とされた。明治初期は国税収入に占める地租の割合が8割を占めるなど、当時の租税は農業への課税が中心であった。

その後、1887年(明治20年)に所得税1897年(明治30年)には営業税が国税として創設され、徐々に商工業者への課税が税全体に占める割合を高めていった。税負担の増加に対して、商工業者のなかには、退職税務官吏や会計の素養がある者に税務相談等を行ったり、申告代理を依頼する者があらわれた。このような税務相談や申告代理が今日の税理士業務の発端ではないかといわれている。

1904年(明治37年)の日露戦争勃発で、財政需要が拡大し増税がなされたのに伴ってこの傾向は顕著となり、税務相談や申告代理を専門に行う者も増えた。彼らは税務代弁者あるいは税務代弁人と呼ばれた。しかし、無資格で業務が行われていたため、専門家として税務をおこなっていた国税従事者(いわゆる税務署 OB)、弁護士、計理士の他に悪質なものも税務代弁者として税務を行うことができ問題となった。

府県令による規制[編集]

税務代弁者が増える一方、これらの者の中に、納税者が税についての知識を有していないことに乗じて、不当な報酬を要求したり、税務官庁に対して何ら理由もなく異議申し立て等を提出させるなど税務官庁との紛争を起こさせようとする者があらわれるようになった。このような不適格者に対する規制として、大阪府で1912年(明治45年)に府令として「大阪税務代弁者取締規則」が制定され、同じく京都府では1937年(昭和12年)に「京都税務代弁者取締規則」が制定された。

この規則は、税務代弁者は警察の営業免許を受けるものとし、名義貸し禁止・信用保持義務を課すものであり、地域的な治安維持を目的として設けられたものであったが、問題解決には至らなかった。

税務代理士法の制定[編集]

税務代弁者についての法律としては、1933年(昭和8年)3月の第64帝国議会衆議院に「税務代理人法案」が提出されたが、当時、専門家として税務を行っていたもののなかに反対の声が強く、廃案とされた。この当時、専門家として税務を行っていたものは、国税従事者(いわゆる税務署 OB)、弁護士、計理士(後の公認会計士)である。

その後、1937年(昭和12年)の日中戦争勃発から第二次世界大戦の時期にかけて、増加する戦費を調達するため度重なる増税がなされ、また税制度はより複雑となっていった。さらに、税務当局においては官吏の多くが兵員として出征していたことから人員不足に陥り、税務行政の執行に支障をきたすほどの状況にあった。このため税務代弁者等の数が減少し、このような混乱した状況に乗じて、不適正な税務指導等を行って不当な報酬を納税者に要求する者が横行するようになっていった。このことから、税務代理士の制度を設け、その資質の向上を図ると共に、これらの者に対する取締りの徹底が必要であるとされ、1942年(昭和17年)に税務代理士法(昭和17年2月23日法律第46号)が制定されるに至った。弁護士、計理士(後の公認会計士)、国税従事者は税務代理士に許可、強制入会されることとなるが、この税務代理士というものは税務を行う者の総称というものであり、この税務代理士なる名称が後の税理士の前身となった。

税理士法の制定[編集]

第二次世界大戦終了後、1946年(昭和21年)に日本国憲法の制定、証券民主化政策の観点から1948年(昭和23年)7月に公認会計士法を制定、また、1893年(明治26年)に施行された旧弁護士法は新憲法の理念に沿ったものにと1949年(昭和24年)6月に現行の弁護士法に改正された。

税制においても、1947年(昭和22年)以降、従前の賦課課税方式から自己申告方式である申告納税方式が採用される等民主化の観点からの見直しが行われた。日本の税制・税理士制度の近代化に大きな影響を与えたものとして1949年(昭和24年)に来日したコロンビア大学教授シャウプ博士を団長とするシャウプ税制使節団の報告書いわゆるシャウプ勧告がある。 この勧告は、税制において申告納税制度の普及定着のため青色申告制度をはじめ日本の税制を体系的に大きく改革させると同時に、税理士制度についても税務代理士制度を廃止させ新たに税理士法を制定させる契機となった。日本の税理士制度はシャウプ勧告の内容を理念として制定されている。シャウプ勧告では税理士制度について「納税者の代理人」という標題のもと論じている。この勧告の中では税務に関する専門家(コンサルタント)である税理士の果たすべき役割として次のように記述されている。

「納税者の代理人を立派につとめ、税務官吏をして法律に従って行動することを助ける積極的で見聞のひろい職業群が存在すれば適正な税務行政はより容易に生まれるであろう。また、引き続いて、適正な税務行政を行うためには、納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度をもってしようとすれば、かかる専門家の一段の援助を得ることが必要である。したがって、税務代理士階級の水準が相当に引き上げられることが必要である。かかる向上の責任は主に大蔵省の負うべきところである。税務代理士の資格試験については、租税法規並びに租税及び経理の手続きと方法のより完全な知識をためすべきである。」

つまり、税理士制度を「納税者の代理人制度」としてとられ、適正な税務行政を行うため「税務官吏をして法律に従って行動することを助ける」と同時に「納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度を持った援助者たる専門家」としての役割を求めている。また、そのためには「税務代理士階級の相当水準の資質の向上を図る必要がある」と勧告している。

この勧告を受け税務代理士制度の是正を行うため、新たな税理士制度として税理士法が1951年(昭和26年)3月30日に議員提案により国会に上程され同年5月31日に可決の後、直ちに6月15日に公布され同年7月15日に施行された。

税理士法の特徴としては、名称を「税務代理士」から「税理士」に改称したこと、そして何よりも税理士業務を行うための資格付与については許可制度を廃止し新たに試験制度を導入したことが挙げられる。税理士法制定の提案理由については、1951年(昭和26年)3月31日の衆議院議員大蔵委員会の国会議事録よると、「戦後申告納税制度及び青色申告制度等が実施せられ、租税制度に根本的な改革があり、税務代理士の職責はますます重加し、その素質の向上をはかる必要が強く要望されていた」とあり、これを踏まえ「人格及び能力ともに適切な人材が納税者の代理等の業務にあたり、租税負担の適正化を図りつつ、申告納税制度の適切な発展のため、従来の許可制度から原則として試験制度に改め資質向上を図った」とある。

つまり、戦前の賦課課税制度から申告納税制度に移行したことに伴い、その業務の遂行上高い専門性が必要とされたため、試験制度の導入によりその資質の向上・担保を図り、もって租税負担の適正化・申告納税制度の適正な発展を目的として税理士法が制定されたのである。

弁護士との関係[編集]

戦後司法省の監督権下から独立し公権力から自立している弁護士とは異なり、行政庁の監督下に置かれる公認会計士弁理士などと同様に、行政庁である財務省および国税庁に監督権があり、懲戒権者も財務大臣とされている。なお、弁護士は弁護士法3条2項により「当然(中略)税理士の事務を行うことができる」とされており、また、税理士法3条1項3号により税理士となる資格を有するものとされているため、税理士登録をしている弁護士も少なくないが、公権力から自立しなければならない弁護士としての身分と行政監督下に置かれる税理士としての身分を併有することは、種々の困難な問題を惹起しよう[独自研究?]。弁護士が税理士または通知弁護士(税理士法51条)として税理士の事務を行った場合、例えば以下のような局面で問題が生じる可能性が想定される。[独自研究?]

  1. 弁護士が当然に税理士の事務を行うことができるとされているのは、税理士の事務が一般の法律事務に含まれるからに他ならないが(憲法84条が租税法律主義を採用している以上当然であろう)、それゆえ税理士の事務に関する限り当該弁護士に対して弁護士会による監督と行政庁による監督が二重に及ぶこととなるが、両者の監督権を一本化する仕組みは存在しないため、当該弁護士が進退両難に陥る恐れがある。
  2. 弁護士は依頼者の正当な法的利益を最大限擁護・追求する立場にあるため、納税者を代理する場合には専ら当該納税者の法的利益のために働く義務を負う。これに対して税理士は「独立した公正な立場において」(税理士法1条)職務を行うものとされており、両者の職務遂行に当たっての基本的姿勢及び職業倫理が相違する。それゆえ、当該弁護士がいかなる方針に基づいて職務を遂行すべきか、また、いかなる倫理に服するべきか、について、様々な抵触の中に身を投じることとなる。
  3. 弁護士は職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言拒絶権を与えられており(民事訴訟法197条1項3号)、また、職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う(弁護士法23条)。これに対して税理士は税理士法38条により秘密を守る義務を負うものの、民事訴訟法197条1項3号に基づく証言拒絶権を与えられておらず、税理士法38条の内容と弁護士法23条の内容が完全に一致するわけでもない。それゆえ、当該事実及び秘密の取扱いや証言拒絶の要否及び当否について、極めて困難な問題に直面することとなる。
  4. 弁護士は所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則を守る義務を負い(弁護士法22条)、税理士は所属税理士会及び日本税理士会連合会の会則を守る義務を負う(税理士法39条)。双方の会則順守義務が抵触しない制度的保証はなく、仮に抵触する事態に立ち至った場合には、極めて困難な問題に直面することとなる。
  5. 税理士法55条は国税庁長官に対し、税理士業務の適正な運営を確保するため必要があるときは、税理士又は税理士法人から報告を徴し、又は当該職員をして税理士又は税理士法人に質問し、若しくはその業務に関する帳簿書類を検査させる権限を付与しており、これに応じない税理士に対しては罰金刑の制裁が用意されている(税理士法62条2号)(なお、税理士法51条2項により通知弁護士も同様の取扱いを受ける)。必要性の判断については国税庁長官の広範な裁量に委ねられることとなろう。これに対して弁護士法においては弁護士に行政庁への報告義務や検査受忍義務を負わせる規定は存在せず、税理士法55条が弁護士に対して適用された場合には弁護士の守秘義務や弁護士自治との間に矛盾を生じる可能性が極めて高い。
  6. 租税法に関する業務のうち、弁護士のみが取り扱うことを許されるものとしては税務訴訟が挙げられるが、税務訴訟において納税者の代理人たる弁護士は国税当局を相手取って訴訟を追行することになる。税務訴訟を取り扱う弁護士は多くの場合租税法に通じており、税務訴訟以外の租税法に関する業務一般(租税法の解釈適用に関する助言など)を行っていることが少なくないと考えられるが、この場合に税理士登録や通知弁護士たることが要求されるとすると、国税当局の監督下にある弁護士が法廷において国税当局と争うこととなり、弁護士に対して不当な萎縮的効果を及ぼす可能性が極めて高いのみならず、弁護士の訴訟追行の適切性、十分性に対する社会一般の信用を害することとなる可能性が極めて高い。戦前の反省に基づき、弁護士自治が制度化され、今日まで維持されてきた趣旨を今一度思い起こすべきであろう。戦前のように、弁護士が法務・検察当局の監督下にあるとしたら、検察と対決すべき刑事弁護人の弁護活動に不当な萎縮的効果を及ぼすほか、弁護人の弁護活動の適切性、十分性に対する社会一般の信用を害することは明らかであろう。これとまさに同様の問題というべきである。

これまで日本においては、納税者に対する税務サービスの提供は主として公認会計士や税理士によって取り扱われており、税務訴訟を除いて弁護士が関与するケースはごく限られていた。また、日本の弁護士で租税法に通暁し、当該分野の仕事を取り扱う者はほぼ皆無と言っていい状況にあった。このため、弁護士法と税理士法の関係について問題が顕在化することはなかった。しかしながら税務の分野においても法の支配を貫徹すべきは租税法律主義(憲法84条)のもと憲法レベルの要請であり、法曹たる弁護士の関与及び貢献なくして法の支配を貫徹することが凡そかなわないのは租税法分野においても他の法分野と全く同様である。また、法科大学院においては租税法の教育がなされており、司法試験においても選択科目の一を占めるに至っているなど、他の先進国同様、法曹たる弁護士が租税法に積極的に関与することが求められる時代が既に到来している。実際に近時の下級審判例において、弁護士が依頼者の納税の履行に関し国税局と交渉していたところ、当該弁護士が税理士または通知税理士でないことを理由に依頼者と国税局との交渉、協議の場に当該弁護士が同席することを認めなかったことは違法な公権力の行使にあたるとして国家賠償を求めた事案において、税理士法に関する国の解釈を否定し、国家賠償を認めた判例が現れるに至っている(大阪地判平成23年4月22日判時2119号79頁)。この判決は上訴審により覆されたが、いずれにせよ、弁護士法及び税理士法の抵触関係について、しかるべき整理をなすべき時期が到来しているといえよう。[独自研究?]

税理士のなり方[編集]

主なルートとしては、弁護士となるための司法試験に合格すること、或いは公認会計士となるための公認会計士試験に合格すること等が挙げられる。そのほかに、税理士資格を取得するための税理士試験があり、試験科目は11科目となっている。必修科目、選択科目、選択必修科目がある。必修科目は簿記論、財務諸表論。選択必修は法人税または所得税(両方でもよい)。選択科目は相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、事業税又は住民税、固定資産税がある。このうち必修2科目、選択必修1科目、選択科目2科目(うち1科目は選択必修も可)の合計5科目合格により税理士となる。ただし、消費税法と酒税法、事業税と住民税はそれぞれどちらかしか選択できない。また一回の試験で合計5科目までしか受験できない。このため、法科大学院ができて以降、司法試験を合格して弁護士となる方法が、専門家として自立するまでの時間が短縮されるのみならず、弁護士として税務訴訟[3]までを視野に入れた一括したサービスが提供できることから、法学部の学生を中心[4]として、税理士試験を受験するのではなく、司法試験を選択科目租税法[5]で受験するようになった。このため、大学在学中に税理士試験を受験する受験者数は減少[6]している。

詳細は税理士試験をみよ。

税理士業務の IT 化[編集]

e-Japan戦略の一環としての e-Tax (いーたっくす・国税電子申告・納税システム)の普及に伴い、税理士業務にも IT 化の波が急速に押し寄せている。2008年には、NTTデータが税理士向けに財務情報流通ゲートウェイ―Zaimon(ザイモン)サービスを開始した。近年は、民間企業における業務に関して、SaaS利用の普及、クラウドコンピューティングを用いたクラウド型会計ソフトの誕生、2016年1月以降の行政手続における個人番号の利用なども税理士業務の IT 化を後押ししている。

機械との競争[編集]

税理士業務の IT 化は、コンピュータ 利用による利便性の増加の半面、仕事の自動化の結果、会計事務所の雇用する人員は減少傾向にある[7]。これは、マサチューセッツ工科大学教授であるen:Erik Brynjolfssonen:Andrew McAfee による著書en:Race Against the Machine(2011年10月出版)/邦訳『機械との競争』(2013年2月出版)以降、コンピュータの高度化がもたらす負の側面であるen:Technological unemploymentが指摘されることである。そのため、会計ソフトが普及した結果、税務に関する専門家(コンサルタント)の行く末を悲観的に論ずる論者も2014年2月に出ている[8]。さらに、その後、実際に電子政府が進んだエストニアでは、“税理士や会計士が不要になり、それらの職業はエストニアでは消滅した”と記述するマスメディアの記事が2014年10月に出た[9][10]。これは、エストニアから完全に消滅したわけではなく、行政機関におけるet:X-teeの構築などクラウドコンピューティングを用いたIT活用が進んだ結果の一側面をとらえたものであるが、IT化のもたらす将来を示唆している[11]

税理士法人[編集]

四大税理士法人[編集]

を一般に4大税理士法人という。いずれも広い意味での企業税務を中心とする税理士法人である。また、各税理士法人は同系列の四大監査法人あずさ新日本トーマツあらた)や海外の四大会計事務所のネットワークと連携している。

4大税理士法人は、それぞれ大規模事務所として、東京・大阪・名古屋には必ず所在しており、どの4大税理士法人も500人を超える規模である(税理士法人トーマツだけは、この3大都市圏以外の地方都市にも多く所在している)。

日本国外の税理士[編集]

公認会計士、弁護士が税務に関する専門家(コンサルタント)として経済活動を行っている。そのなかで、日本以外で、税務に関する専門家(コンサルタント)である税理士に相当する資格制度を維持している国は、アメリカ、ドイツ[12]、韓国、中国である。近年では、商取引の障害となるような各国独自の資格制度を取り外すようになり、このことを受け、税務に関するコンサルティング業務一般を広く開放する動きとなっており、これらの国々でも、同様である。

アメリカにおける事例[編集]

公認会計士、弁護士が税務に関する専門家(コンサルタント)として活躍している。米国においても米国税理士 (EA) という資格制度が存在するが、米国では資格の有無にかかわらず有料で税務申告を作成することができるなど、日本の税理士制度とは大きく異なる[13]。ICT産業が盛んなことから、en:Comparison of accounting software の一覧に掲載されているような業務内容に応じた多数のソフトが販売されており、目的に合わせてソフトを選ぶことになる。

税務申告、記帳代行に関して、自由競争の下、en:H&R Block[14][15]をはじめアメリカ本土に様々な業者が存在する。そのため、中小企業向けの決算・申告書作成費用が、日本と比較して極めて低廉な価格となっている。

ドイツにおける事例[編集]

ドイツでは、弁護士が税理士としての顧問業務をしている。これは、2011年8月9日、連邦憲法裁判所の下した判決(VII R 2/11)において、弁護士が税理士業務を当然にできることを再確認したことを受けたことによる。

特に専門分野に精通した弁護士がde:Fachanwalt (Deutschland)として、職人としての職域ギルドを構成し、彼らのうちで、税務を専門とする者は、 de:Fachanwalt für Steuerrecht とよばれ、2013年1月1日時点で、ドイツでは4795名いる。

つぎに、従来から存在する税理士は、de:Steuerberater と呼ばれ、de:Steuerberaterkammer (税理士会。ドイツ全国に21の税理士会と、それらの連合組織である連邦税理士会がある。)に登録している資格者は、税理士独占業務開放に伴い、自由化の流れを受け、飛躍的に増加し、93950名(2014年)である。これは、2014年当時、日独の人口比から日本に換算すると約15万人に相当する[16]

1919年、ライヒ租税通則法第88条2項において、税務署長は納税義務者の代理人を許可することができると規定された。 1931年には、改正に伴い同法第107条第3項に引き継がれた。この流れを受け、1961年、日本における税理士法に該当するde:Steuerberatungsgesetzが制定された。

1980年、連邦憲法裁判所 における決定(BvR 697/77)が下され、税理士業における独占業務が、「職業選択の自由」(de:Grundgesetz für die Bundesrepublik Deutschland Art 12)に違反するとされた。 かかる決定に基づき、de:Steuerberatungsgesetzは改正され、de:Buchführungshelferは、それまで参入できなかった税理士業における独占業務へ参画するようになった。後述する2000年の大改正までは、いわゆるドイツにおける税理士業務を行う者はde:Vereidigter Buchprüferde:Steuerbevollmächtigterde:Steuerberater及びde:Wirtschaftsprüferの4資格者を主に指していた。 その後、1982年、連邦憲法裁判所 における決定(BvR 807/80)が下され、広告活動の自由化がされた。また、東西冷戦終結以降、EU域内における人・物・サービスの移動の自由、営業の自由が求められ、ついに、2000年、de:Steuerberatungsgesetz は抜本的な大改正がなされ、EU域内の弁護士の経済活動の自由化の一環として、Niedergelassene europaisch rechtsanwaltとして、新たにドイツ国内において、外国人弁護士も税理士業務ができるようになった。そして、更なる税理士業務の一般開放政策として、de:Buchhalterde:Steuerfachwirt 及びde:Geprüfter Bilanzbuchhalterなどの資格が税理士業務へと参入するようになり、もはや独占業務とはいえない。

ドイツでは、一連の改革の流れが継続し、その後も、こまめに改正がなされ、官報de:Bundesgesetzblatt (Deutschland)で確認することができる。2015年も改正がなされた。

韓国における事例[編集]

韓国では「税務士」と呼ばれ、日本の税理士制度とほとんど同じである。税務士法により税務士資格を有するものは、税務士資格試験に合格したもの、公認会計士資格を有するもの、弁護士資格を有するものと定められていたが、2011年の税務士法改正により公認会計士への資格付与が廃止された。しかし、大韓民国 公認会計士は、公認会計士法により税務代理業務を行うことができ、実質は変動がない。

なお、かつては資格取得要件のひとつに国籍条項(大韓民国国籍を有すること)が存在したが、1995年の改正で削除されており、現在は外国人であっても税務士となることができる。

中国における事例[編集]

zh:中华人民共和国司法部が行うzh:国家司法考试を合格した者は、日本の弁護士に相当するzh:中华人民共和国律师となる。また、日本の公認会計士に相当するzh:注册会计师がいる。彼らは他国と同様に税法・会計等のプロとして活躍する。zh:国家税务总局の統制にある税務師による「業務独占」はない[17]

その他[編集]

  • 2000年代に入り、国会において官公庁全般から民間への関与の在り方が問題視され、国税についても、民主党所属衆議院議員長妻昭より質問主意書が出された[18]。この質問主意書に対し、閣議決定を経た政府答弁の中身において、「税理士資格を有する職員に対する退職後の顧問先企業のあっせんは、現在も行っている。・・・・・・民間の需要に対する的確な対応等の面でも有益であるので、今後とも必要であると考えている」と認めた[19]。その後、政権交代し、民主党政権下において、このようなあっせんについては廃止された。
  • 以前は、税理士に占める元税務職公務員の割合は、多数であった。現在は減少傾向にあるが、TKC創業者飯塚毅が指摘したドイツ(3%ほど)[20]のような割合ではない。その反面、大学院で修士号を取得したことによる試験免除者の割合が増えている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 西山(2000)pp.58-63
  2. ^ 大学院提携研修 ・ 補佐人講座 (慶応、早稲田、筑波)
  3. ^ 税務大学校 税務訴訟資料(最終閲覧日:2016.1.29)
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  9. ^ 「人口130万人 エストニアから税理士や会計士が消滅した理由」週刊ポスト2014年11月7日号
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参考文献[編集]

関連項目[編集]


外部リンク[編集]