税理士試験

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税理士試験(ぜいりししけん)とは、税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的として国税審議会が行う試験である。

概要[編集]

次のいずれか一つに該当する者は、税理士となる資格を有する。ただし、第1号又は第2号については、租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるものに従事した期間が通算して2年以上あることを必要とする。

  1. 23年以上税務署に勤務し指定研修を受けた国税従事者
  2. (1号)税理士試験に合格した者
  3. (2号)第6条に定める試験科目の全部について、第7条又は第8条の規定により税理士試験を免除された者
  4. 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
  5. 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)

ここでは、主として1号及び2号について記述する。

受験者層の特徴としては、税理士試験受験者を年齢別でみると、41歳以上の税理士試験受験者の占める割合が増加するのに対し、25歳以下の者が受験を取り止める傾向にある。このことは、学歴別でみるところ、大学在学中の税理士試験受験者数が年々減少することからも読み取れる[1]

日程[編集]

例年、年一回、8月第一週の札幌市仙台市埼玉県東京都名古屋市金沢市大阪府広島市高松市福岡県熊本市那覇市で行われる。
ただし、2015年については8月第三週の火、水、木に実施された。 [2]

受験資格[編集]

2000年代に行われた司法制度改革の一連の流れの中で、司法試験および司法試験に付随する形で公認会計士試験などの国家試験から受験資格が廃された。この点、いまだに税理士試験については学歴・職歴などにより受験資格が設けられている。
詳細は国税庁HP[4]参照。

代表的な受験資格としては

  1. 大学、短大又は高等専門学校の、法律学又は経済学を主たる履修科目とする学部(法学部、経済学部、商学部、経営学部)・学校を卒業した者。
  2. 大学、短大又は高等専門学校の、上記以外の学部(文学部、工学部など)・学校を卒業し、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者。
  3. 2年以上の修業年限の専修学校の修了者(課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。また専門士称号を受けた者はこの条件を満たしている。)であり、当該学校において法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者。
  4. 日本商工会議所主催簿記検定1級または全国経理教育協会主催簿記能力検定上級合格者。
  5. 法人又は事業を営む個人の会計に関する事務若しくは税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務に3年以上従事したもの

などがあげられる。

試験科目[編集]

分野による分類[編集]

試験科目は、税法に属する科目(所得税法法人税法相続税法消費税法又は酒税法国税徴収法地方税法のうち道府県民税及び市町村民税に関する部分又は地方税法のうち事業税に関する部分、地方税法のうち固定資産税に関する部分)と会計に属する科目(会計学のうち簿記論及び財務諸表論の二科目)の計11科目(同法6条)。税理士試験の試験科目に関しては、会計関係2科目の受験者は減少が文部科学省の審議会にて指摘されている[3]

選択制による分類[編集]

試験科目は、選択可能性によって、必修科目(簿記論、財務諸表論)、選択必修科目(法人税、所得税)、選択科目(相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、事業税又は住民税、固定資産税)に分類される。
必修科目は、2科目の両方が課される。選択必修科目は、法人税または所得税のいずれか1科目の選択が必須とされる。選択科目は、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、事業税又は住民税、固定資産税、及び選択必修科目として選択しなかった科目のうちいずれか2科目を選択する。合計5科目の合格により、税理士法3条1項1号の要件を充足し、税理士となる資格を有することとなる。
ただし、消費税法と酒税法、事業税と住民税はそれぞれどちらかしか選択できない。また選択必修科目の法人税法・所得税法は両方選択しても良い。なお一回の試験では最大5科目までしか受験できない。

合格基準[編集]

合格発表は例年12月。合格基準点は各科目60点以上だが、例年の科目合格率は10~20%(科目により差がある)で概ね安定している。受験者には結果通知書が送付されるほか、登録に必要な科目全てに合格すると、合格発表の日の官報に公示される。

税理士試験の特徴として科目合格制がある。合格した科目は税理士となるまで有効となる。5科目取得まで長期間を要するが、科目合格が消滅しない点から、働きながら、職場におけるスキルアップのため受験する者が多いのが他の国家資格と異なる点である。

そして、昭和26年に行われた第1回税理士試験の受験者数は、3,112人(一部合格者963人)であり、次年度の昭和27年に行われた第2回税理士試験の受験者数は、3,195人(一部合格者1,016人)であった[4]。このように、当初は受験者数は小規模であり、日本の経済成長とともに受験者数も増加してきた。

しかしながら、我が国の事業者数および事業所数の減少[5]、一般事業会社におけるSaaS利用の急激な普及、法科大学院の新設、司法試験予備試験ルートの開設、弁護士増員、公認会計士増員、フィンテックをはじめとする金融サービスと会計の融合の促進、クラウド型会計ソフトの誕生により、税理士を取り巻く環境が著しく変化しているにもかかわらず、税理士試験、税理士資格の制度はほとんど変わりがなく、受験者数が毎年大幅減少していく傾向が止まらない。

税理士試験合格者推移
年度 受験者数 最終合格者数 合格率 科目合格者数
第52回 2002(平成14) 52,560 1,074 2.04% 7,706
第53回 2003(平成15) 55,175 1,193 2.16% 9,850
第54回 2004(平成16) 56,126 1,090 1.94% 8,039
第55回 2005(平成17) 56,314 1,055 1.87% 8,662
第56回 2006(平成18) 54,203 1,126 2.08% 8,726
第57回 2007(平成19) 53,324 1,014 1.90% 7,413
第58回 2008(平成20) 51,863 964 1.86% 8,212
第59回 2009(平成21) 51,479 1,058 2.06% 7,116
第60回 2010(平成22) 51,468 999 1.94% 7,454
第61回 2011(平成23) 49,510 1,094 2.21% 7,973
第62回 2012(平成24) 48,123 1,104 2.29% 8,964
第63回 2013(平成25) 45,337 905 2.00% 7,443
第64回 2014(平成26) 41,031 910 2.21% 5,999
第65回 2015(平成27) 38,175 835 2.18% 6,067
第66回 2016(平成28) 35,589 756 2.12% 4,882

近年、税理士試験の一部の問題において、設問の不備により正答が判然としない問題が出題されており受験者や予備校講師等から疑問の声が上がっている。また、採点や合格基準が不透明であることに対しても批判があり、適切な試験を実施するよう国税審議会に要望する署名活動が行われている。[6]

学位取得による免除[編集]

受験者のうち、修士または博士学位を持つ者は、条件を満たせば試験の一部が免除される。

2002年(平成14年)3月までに大学院へ進学した者のうち、商学の学位(修士または博士)を持つ者は会計系の科目(簿記論、財務諸表論)の試験が免除され、法学、または経済学のうち財政学の学位(修士または博士)を持つ者は税法系の科目(選択必修及び選択科目)の試験が免除されていた。このため商学系及び法学系の両大学院の修士号を取得している場合(ダブルマスター)には税理士試験を受けることなく税理士資格が取得できた。

しかし2002年(平成14年)4月1日以降に大学院へ進学した場合、修士号取得者については、会計系ならば会計に関する修士論文を、税法系ならば税法(租税体系・法人税・所得税・消費税など)に関する修士論文を作成し、かつ、関係する科目1科目を合格することが、免除を受ける要件となった。つまり、例えば商学の修士号を持っている者は、会計に関する修士論文を作成しており、かつ簿記論又は財務諸表論のどちらかに合格することにより、もう片方が免除されるのである。なお、論文審査があるため、修士論文を作成していない者や、税理士試験と関係のない研究をした者は、たとえ修士号を取得しても試験は免除されない。 また、博士号取得者については、会計学に関する研究により学位を取得した者は会計系の科目2科目が、税法に関する研究により学位を取得した者は税法系の科目3科目が、それぞれ免除されるようになった。

免除要件[編集]

「学位による試験科目免除」制度に基づく認定をする国税審議会での審査に関しては、申請者の入学する研究科は問われず、指導教授の経歴が課税庁出身であるか否かも問われない。

この点、免除を受けることで資格取得につながることから、一部の私立大学などは、少子化の流れの中で学生募集の宣伝材料として積極的に「学位による試験科目免除」(略称:院免除)を取り上げている。

そして、インターネットの掲示板などでは、課税庁出身教員に指導されることが免除要件であるかのごとき誤解が一部受験生の間で見受けられるが、このような大学院を出る者だけが免除されるのではない。

ゆえに、理工系大学院出身者も当然免除を受けている[7]。重要なことは、修士論文のタイトルと中身である。

国税従事者の免除制度[編集]

23年以上税務署に勤務し、指定研修を受けた国税従事者(税理士法8条1項4号乃至10号、同条2項) 税務署に10年〜15年勤務すると、税理士試験科目のうち、税法科目が免除される。

指定研修[編集]

指定研修とは、税理士法に定める研修であり、修了することで試験科目の免除が受けられるようになる。 現在、指定研修は、税務大学校での本科研修、専科研修がある。

専科研修は、国税専門官が受講する研修である。

就職活動[編集]

8月の税理士試験の前後、12月の合格発表前後に就職活動がなされる。求人窓口としては、ハローワーク(公共職業安定所)、試験予備校の掲示板等を中心として行われる。また、一般企業への就職は他の職種と同様である。

脚注[編集]

  1. ^ [1]平成27年度(第65回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)
  2. ^ [2]平成27年度(第65回)税理士試験公告
  3. ^ [3]文部科学省 専門職大学院ワーキンググループ(第1回) 議事録 平成27年12月21日
  4. ^ 税理士制度沿革史編集委員会『税理士制度沿革史[増補改訂版]』日本税理士会連合会事業本部 昭和62年6月25日 「別表一 税理士試験結果表」1,045頁
  5. ^ 中小企業庁『2015年版中小企業白書/小規模企業白書について(本文概要案)』引用33頁「我が国の事業者数および事業所数は、1986年までは増加傾向だったが、それ以降は減少に転じている」2015年4月 閲覧日2016.5.1
  6. ^ キャンペーン · 「私たちは、税理士試験の適正化を要望します」国税庁へ開示請求実行中 · Change.org
  7. ^ 例示として慶應義塾大学理工学部 高橋正子研究室「……平成14年改正後税理士法の「学位による試験科目免除」制度に基づく認定を国税審議会から受けた。これは理系大学院生にとって以後税理士への道を拓く画期的な先行事例となるものである。」

外部リンク[編集]

関連項目[編集]