税務大学校

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税務大学校
税務大学校
和光校舎
大学校設置 1964年
創立 1941年
大学校種別 省庁大学校
本部所在地 東京都千代田区霞が関3丁目1番1号
キャンパス 和光校舎(埼玉県和光市
ウェブサイト 税務大学校公式サイト

税務大学校(ぜいむだいがっこう、: National Tax College)は、国税庁所管の省庁大学校である。

本校事務室が東京都千代田区霞が関に、校舎が埼玉県和光市にあるほか、地方研修所が全国12か所にある。

概要[編集]

国税局税務署などにおいて税務に携わる国家公務員(税務職員)に対する各種の研修、税務に関する学術研究、諸外国の税務職員に対する国際研修を実施している。

学士などの学位が得られる課程は実施していないが、専科・本科・一部の通信研修は税理士法に定める指定研修とされており、修了者は一定の条件のもと、税理士試験において会計学に属する科目の受験が免除となる。

新規採用者に対する研修[編集]

専門官基礎研修[編集]

大卒程度の国税専門官試験に合格し採用された者は、和光校舎において3か月間の専門官基礎研修を受講する。

国税庁の要員充足(採用)は、一部幹部要員を除き高校卒業者にだけ求めるという方法で行われてきたが、高度経済成長期には、民間企業の高校卒業者に対する需要が著しく増加する反面、高校卒業者の減少、大学進学率の上昇などにより、高校卒業者の採用が困難となってきた。そこで国税庁では、昭和43年度から昭和45年度にかけて国家公務員採用上級乙種試験合格者を、昭和44,45年度には中級試験合格者をそれぞれ採用し、その後、昭和46年度から新たに税務のみを対象とした大学卒業程度の国税専門官採用試験合格者の採用を開始した。[1]
社会の少子化と高学歴化が一層進展し、年々高卒者のみから優秀な人材を確保することが困難となってきたことを踏まえ、国税庁の採用も徐々に大卒に依存する採用となり、平成6年度の新規採用数は、大学卒程度の者を対象とする国税専門官採用試験による採用者532人に対し、国家公務員採用Ⅲ種試験(税務)による採用者530人と、初めて大卒程度の採用数が上回った。[2]

研修期間には、所得税法法人税法相続税法及び消費税法など国税の一般的な税目を広く勉強する。また日商簿記2級をもっていない者については、4月の入校から2か月後の6月の検定で簿記2級に合格する事が求められる。

修了後は、各地の税務署で1年間実務を経験したのち1か月間の専攻税法研修を受講し、さらに2年後、7ヶ月間の専科研修を受講することとされている。

普通科[編集]

高卒程度の税務職員採用試験に合格し採用された者は、採用された国税局により東京研修所もしくは大阪研修所のいずれかにおいて、全寮制のもと1年間の普通科研修を受講する。この間、税法などの法律や会計、一般教養など、税務職員に必要な知識や技能の基礎を学ぶ。

修了後は、各地の税務署で3年間実務を経験したのち3か月間の中等科研修を受講することとされているほか、一定の実務経験ののち試験に合格することによって1年間の本科研修を受講できる。

かつては各地方研修所で行われていたが、採用人数の減少などから現在は集約されている。

本科、専科及び通信研修会計学[編集]

税理士法第8条第1項第10号に規定する研修として指定された税務大学校「本科」、「専科」及び「通信研修会計学」の実施結果は公開されている。本科と専科の修了試験の出題及び採点は、講義を担当した大学教授が行う。研修修了後の配属先等は修了時の席次(成績)を考慮する。

本科[編集]

研修対象者は本科研修生選抜試験に合格した職員(受験資格:税務職員採用試験(旧国家公務員採用Ⅲ種試験(税務))の採用者で部内経験5年以上17年未満、かつ40歳未満の職員等)である。7月から6月までの1年間行う。修了試験の出題及び採点は、講義を担当した大学教授が行う。修了要件は税法科目、会計科目等の試験実施科目全てに合格すること(合格基準点は各科目とも満点の60%)。

年度 研修人員 修了者
平成29年 300名 297名
平成30年 300名 293名
年度 研修科目 研修講師 研修講師の出身校 主な教材
平成29年 簿記会計学 西澤茂 (会計学者) (上智大学教授) 商学修士(慶應義塾大学)[3] 「平成29年度専科・本科教材簿記会計学Ⅰ・Ⅱ」(税務大学校作成)
平成30年 「平成30年度簿記会計学Ⅰ・Ⅱ」(税務大学校作成)
年度 研修科目 研修講師 研修講師の出身校 主な教材
平成29年 財務諸表論 五十嵐邦正(日本大学教授) 一橋大学商学部 、一橋大学大学院商学研究科経営学及び会計学[4] 「基礎財務会計(第17版)」(五十嵐邦正著、森山書店)
平成30年

専科[編集]

研修対象者は国税専門官採用試験による採用者で部内経験3年の職員等である。8月から翌2月までの7か月間行う。修了試験の出題及び採点は、講義を担当した大学教授が行う。修了要件は税法科目、会計科目等の試験実施科目全てに合格すること(合格基準点は各科目とも満点の60%)。

年度 研修人員 修了者
平成29年 1,003名 987名
平成30年 951名 905名
年度 研修科目 研修講師 研修講師の出身校 主な教材
平成29年 簿記会計学 片岡洋人(明治大学専門職大学院教授)、園田智昭(慶應義塾大学教授) 片岡洋人(東京理科大学経営学部経営学科 、東京理科大学大学院経営学研究科 、一橋大学大学院商学研究科経営学及会計学)[5] 、園田智昭(慶應義塾 経済学部 、慶應義塾 商学研究科)[6] 「平成29年度専科・本科教材簿記会計学Ⅰ・Ⅱ」(税務大学校作成)
平成30年 「平成30年度簿記会計学Ⅰ・Ⅱ」(税務大学校作成)
年度 研修科目 研修講師 研修講師の出身校 主な教材
平成29年 財務諸表論 浅倉和俊(中央大学教授) 、善積康夫(千葉大学大学院教授) 浅倉和俊(慶應義塾大学、慶應義塾大学商学研究科経営学・会計学専攻 )[7] 、善積康夫(商学修士(慶應義塾大学))[8] 「財務会計論の重点詳解(第2版)」(浅倉和俊ほか著、中央経済社)「財務会計講義(第18版)」(桜井久勝著、中央経済社)
平成30年 「財務会計論の重点詳解(第3版)」(浅倉和俊ほか著、中央経済社)「財務会計講義(第19版)」(桜井久勝著、中央経済社)

通信研修会計学[編集]

研修対象者は部内経験10年以上の職員(本科・専科の研修修了者、税理士試験(簿記論・財務諸表論)の合格者等を除く)である。

年度 研修人員 修了試験受験者 修了試験合格者
平成29年 108名 101名(外 再受験者33名) 72名(外 再受験者8名)
平成30年 128名 120名(外 再受験者15名) 87名(外 再受験者3名)
年度 大学教授2名を含む通信研修会計学試験委員会において試験問題を審議の上出題 大学教授2名の出身校 主な教材 採点
平成29年 倉田幸路(立教大学教授)、冨塚嘉一(中央大学大学院教授) 倉田幸路(立教大学経済学部経済学科、明治大学経営学研究科経営学専攻)[9] 、冨塚嘉一(商学修士(慶應義塾大学)、博士(会計学)(中央大学))[10] 「財務会計講義(第18版)」(桜井久勝著、中央経済社) 税務大学校専門教育部教授
平成30年 「平成30年度簿記会計学Ⅰ・Ⅱ」(税務大学校作成)、「財務会計講義(第19版)」(桜井久勝著、中央経済社)

研究科[編集]

国税局長等の推薦により国税庁長官が研修生を決定する。本科、専科卒業生等の中から選考された者を対象として実施し、税務に関する高度の専門的な理論及び技能を習得する目的で設置されている。研修期間は1年3か月の長期に及ぶ。“国税庁税務大学校・研究科の研修生は,国税職員5万数千人のなかから,毎年20名ほどが全国の国税の職場(国税庁,国税不服審判所,国税局,税務署等)から選抜されて入校してきた人達です。”[11]。出世の為の一つの基準であり、選考された者の人事上の取り扱いがその他大多数と異なることになる。霞ヶ関(財務省本省、国税庁)と全国各地の地方支分部局(とくに、東京国税局)を行き来し、昇進を重ねて、国税庁長官官房首席監察官等を経て、国税局長等となる。

研究員として大学及び大学院に聴講生又は博士前期(修士)課程受講者として派遣している。

年度別 研究科卒業者数
年度 期別 卒業者数(内女性)
昭和40年度 1 19
昭和41年度 2 14
昭和42年度 3 13
昭和43年度 4 15
昭和44年度 5 15
昭和45年度 6 20
昭和46年度 7 20
昭和47年度 8 20
昭和48年度 9 20
昭和49年度 10 20
昭和50年度 11 20
昭和51年度 12 20
昭和52年度 13 20
昭和53年度 14 20
昭和54年度 15 20
昭和55年度 16 19
昭和56年度 17 20
昭和57年度 18 20
昭和58年度 19 20
昭和59年度 20 19
昭和60年度 21 20
昭和61年度 22 19
昭和62年度 23 20
昭和63年度 24 20
平成元年度 25 20
平成2年度 26 20
平成3年度 27 21
平成4年度 28 21
平成5年度 29 21(1)
平成6年度 30 21
平成7年度 31 21
平成8年度 32 21
平成9年度 33 22
平成10年度 34 22
平成11年度 35 22(1)

対外関係[編集]

慶應義塾大学大学院商学研究科世界銀行国際租税留学制度が挙げられる。この制度は、国税庁・税務大学校・慶應義塾大学との緊密な協力の下、世界銀行加盟国のうち発展途上国の税務行政官僚の育成を行っている。

慶應義塾大学大学院商学研究科世界銀行国際租税留学制度[12]
  • 1996(平成8)年4月発足
  • 世界銀行からの特別な資金によって設立
  • 毎年5名が入学
  • 本プログラムの科目は、すべて英語によって授業・指導
  • 慶應義塾大学大学院商学研究科での学究的な研鑽と税務大学校での実際的な研修

組織[編集]

歴代税務大学校長[編集]

税務大学校長は東京国税局長、大阪国税局長とともに政令で規定される指定職3号の役職である。財務省大臣官房総括審議官、財務省外局である国税庁次長と同様である。税務大学校長室は財務省庁舎5階の合同庁舎4号館側にある。国税庁長官官房首席監察官室の隣室である。

氏名 出身校 在任期間 前職 後職
道盛 大四郎 東京大学 法 2013年6月- 東京国税局 大臣官房
浜田敏彰 東京大学 法 2014年7月- 国税不服審判所次長
小口一彦 東京大学 経 2015年7月- 大臣官房付 大臣官房付
田中 修 東京大学 法 2016年6月- 大臣官房政策評価審議官、大臣官房審議官会計課地方課担当)兼務 財務総合政策研究所副所長 財務総合政策研究所特別研究官(中国研究交流顧問)
後藤 真一 早稲田大学 政経  2017年10月- 原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事 タンザニア大使
川上 尚貴 東京大学 法  2018年8月- 内閣官房内閣審議官内閣官房副長官補付) 東日本旅客鉄道株式会社顧問
垣水 純一 東京大学 経  2019年7月- 関東信越国税局
栗原 一福 東京大学 法  2020年8月- 関東信越国税局長

歴代税務大学副校長[編集]

税務大学校副校長は東京国税局長と大阪国税局長以外の国税局長(札幌、仙台、関東信越、金沢、名古屋、広島、高松、福岡、熊本)とともに政令で規定される指定職2号の役職である。財務省主税局参事官、財務省外局である国税庁部長(課税、徴収、調査査察)と同様である。税務大学副校長室は財務省庁舎5階の合同庁舎4号館側にある。

氏名 出身校 在任期間 前職 後職
谷口 裕之 東北大学 法  2017年7月- 沖縄国税事務所 千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科教授
市田 浩恩 東北大学 法  2018年7月- 札幌国税局
岸 英彦   2019年7月- 国税庁徴収部管理運営課長 熊本国税局
山寺 尚雄   2020年7月- 国税庁徴収部管理運営課長

所在地[編集]

税務大学校大阪研修所

その他[編集]

  • 2020年新型コロナウイルス感染症の流行の際、約1100人の新人研修をオンライン授業にした[14]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]