司法試験

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司法試験(しほうしけん、: Bar examination)とは、一般に、裁判官検察官又は弁護士等になるための国家資格、すなわち法曹資格を付与するための国家試験をいう。国によっては判検弁統一の司法試験が存在しなかったり、司法試験自体が存在しない場合もある。

オーストラリア[編集]

オーストラリアには司法試験に相当するものがなく、法学士もしくは法務博士の学位を取得後、法律事務所で実務修習を受けて適性があると評価された者のみが弁護士資格を得ることができる。[1]

中華人民共和国[編集]

一.はじめに

 中国でビジネスを行う上では、中国の法律専門家、特に中国の弁護士(律師)と接する機会が多々あるかと思います。そのためか、中国で仕事をしていると、中国にも司法試験があるかとの質問や、中国では外国人が法曹資格を取得できるかとの質問を受けることがあります。そこで、今回は中国の法曹資格について取り上げます。

二.第一関門としての司法試験について

1.概要

 国家統一司法試験(以下単に「司法試験」といいます)は、国家が統一して管理する特定の法律職業に従事するための資格試験であり、裁判官、検察官、弁護士(以下「法曹三者」といいます)および公証人になる者は、司法試験に合格しなければならない(特別な場合を除く)とされています(国家司法試験実施弁法【以下「司法試験弁法」といいます】第2条参照)。(注1)

 従って、現在では、法曹資格を取得するための第一関門として、司法試験に合格しなければなりません。

 なお、司法試験は毎年1回(司法試験弁法第7条)、例年では9月に実施されます。また、公式発表はされていませんが、公的機関が公表した文書から推測すると、2002年から11年までの10年間の合格者数は約50万人、平均合格率は約15.84%となります。

2.実施開始時期

 日本では、法曹三者になるための統一司法試験が、1949年から行われています。これに対して中国では86年から弁護士業に従事するための全国律師資格試験が実施され、02年から統一司法試験が実施されるようになりました。

3.受験資格

 司法試験の受験資格は以下のとおりです(司法試験弁法第15条)。

①中華人民共和国の国籍を有すること (注2)

②中華人民共和国憲法を擁護し、選挙権および被選挙権を有していること

③完全な民事行為能力を有すること

④高等教育機関の法律専攻学部を卒業し、または高等教育機関の法律専攻以外の学部を卒業し、かつ法律の専門知識を有すること

⑤品行方正であること

外国人の受験は不可

 上記①のとおり、受験資格に国籍要件があるため、外国人は中国の司法試験を受験できません。これに対して、日本の司法試験には受験資格に国籍要件がなく、外国人も受験が可能であり、合格後は日本の弁護士として登録することも可能です。

 なお、上記④に関して、翌年卒業予定の学生も受験でき(「司法部による12年国家司法試験に関する事項についての公告」参照)、多くの学生は大学4年次に受験するようです。

三.司法試験合格後の進路選択

1.裁判官、検察官になる場合

 裁判官になるためには、まず、勤務を希望する地方の裁判所に応じた公務員試験に合格しなければなりません(「公開選抜される初任裁判官、検察官職務の人選についての暫定弁法」第7条第1項)(注3)。 

 また、裁判所によってはその個別試験にも合格しなければならない場合もあります(「最高人民法院13年度公務員登用第二次試験の公告」など参照)。

 次に、これらの試験に合格した場合、裁判所の職員となり、一定の経験を積みます。弊所の調査では、北京第二中級人民法院では7年から8年、上海市第一中級人民法院では10年程度、広東省高級人民法院では7年から9年必要です。

 その後、各地の裁判所の政策および本人の勤務態度に基づいて、裁判官試験が行われ、当該試験に合格すると裁判官になります。

 検察官も上記と同様の手順です(必要な経験年数は明確ではありませんが、弊所の調査では、例えば、広州市検察院では4年から5年程度です)。

中国の裁判官の多くは地方公務員

 中国の裁判官および検察官は、最高人民法院または最高人民検察院を除き、地方で採用された地方公務員であり、法律に基づいた交流制度等によって他の法院または検察院に転勤できます(公務員法第63条)が、同じ法院または検察院で勤務することも可能です。この点は、汚職の防止の観点などから、3年から5年程度で裁判官または検察官が転勤する日本とは異なります。

2.弁護士になる場合

 司法試験合格後に弁護士として業務を行うためには、法律事務所での1年の実習を経る必要があります(弁護士法第5条第1項第3号)。

 実習期間中は、所属法律事務所での実務訓練のほか、所在地の弁護士協会における集中研修を受ける必要があります(「弁護士資格申請人の実習管理規則」第3条)。 

 1年の実習を経た後、弁護士協会の審査に合格すれば、弁護士として業務を行うことができます(同管理規則第35条)。

 なお、現在の日本の制度では、法律事務所での2カ月から4カ月の実務修習を含む1年の司法修習を経た後、弁護士として業務を行うことが可能です。

(注1)司法試験弁法第2条においては、法曹資格の1つとして公証人が列挙されていますが、今回はいわゆる法曹三者である裁判官、検察官および弁護士を取り上げます。

(注2)香港、マカオおよび台湾地区の住民も受験可能です(司法試験弁法第24条)。

(注3)公務員試験は、最高人民法院の場合には国家公務員試験、それ以外の裁判所の場合には省級の公務員試験となります。なお、日本では、司法試験合格後に裁判官または検察官になる場合、公務員試験を受ける必要はありません。中国では、公務員法第45条第3項においても「初任裁判官、初任検察官の任官についての人選は、社会貢献ができ、国家統一司法試験に合格し資格を取得した者の中から公開の選抜によって確定する」とされているように、公務員試験の受験が必須とされているものと考えることができます。

台湾[編集]

台湾ではかつての日本と同様に、弁護士国家試験と、裁判官、検察官の採用試験が別個に行われている。

フランス[編集]

フランスにおいては、かつての日本と同様に、弁護士国家試験と、司法官(裁判官、検察官)の採用試験が別個に行われている。

ドイツ[編集]

ドイツでは司法試験は州政府によって行われ、そのうち第一次司法試験は大学の法学部の卒業資格試験も兼ねている。2年間の実務修習を終えて第二次司法試験に合格すると判検事および法学を専門とする行政官(日本の国家公務員一種試験合格した、いわゆるキャリア官僚に相当)に任官し、あるいは弁護士、公証人になることができる。第二次司法試験合格で得られる法曹資格は全州共通である。

ハンガリー[編集]

ハンガリーにおける司法試験は"Jogi Szakvizsga"と呼ばれ、直訳すると法律専門職試験となる。試験は、

  1. 刑法、刑事訴訟法、行刑法
  2. 民法、民事訴訟法、経済法
  3. 憲法、行政法、欧州連合法試験

の3科目からなり、合格すると法曹候補生になることができ、その後一定の実務経験を積むことで正式に判検事に任官、あるいは弁護士になることができる。

日本[編集]

日本においては、1923年大正12年)以前は、判検弁統一の法曹資格試験は存在せず、裁判官と検察官の候補生である司法官試補(現行法における司法修習生に相当)の採用試験である判事検事登用試験と、弁護士試験が別個に行われていた。1923年(大正12年)の両試験廃止から1949年昭和24年)の旧司法試験開始までは、高等試験司法科が統一の法曹国家試験となった。

新旧司法試験は、法曹、すなわち裁判官検察官又は弁護士になろうとする者に対して、それに必要な学識及び応用能力を問うことを目的とした国家試験である(司法試験法1条)。直接的には、裁判所法66条2項で定める司法修習生になるための資格試験である。

2000年代以降、司法制度改革法科大学院制度の導入)に伴って、司法試験の概要は大きく変化した。

2005年(平成17年)以前の司法試験および2006年(平成18年)から2011年(平成23年)までの移行期間中に現行の司法試験(当時の名称は「新司法試験」)と並行して実施された「旧司法試験」については「旧司法試験」を参照。2006年(平成18年)に始まった現行の司法試験については「司法試験 (日本)」を参照

韓国[編集]

韓国における司法試験は、2009年の法曹養成制度の転換(大学→法学専門大学院→弁護士試験→合格により法曹資格取得)により、2017年が最終実施となる予定である。

イギリス[編集]

イギリス(イングランド・ウェールズ)においては、法曹はバリスタ(法廷弁護士)とソリシタ(事務弁護士)に分かれており、いずれも大学法学士取得か共通資格試験合格ののち実務教育・実務研修を経て資格を取得できる。

アメリカ合衆国[編集]

アメリカでは州ごとに司法試験が行われており、合格で得られる法曹資格は当該州限定である。司法試験の受験資格はアメリカ法曹協会が認証したロースクールで法務博士の学位を取得することである。外国の法曹資格を有する者や法律事務所で一定の実務経験を有する者に受験資格を認める州もある。

脚注[編集]

  1. ^ 在日オーストラリア大使館公式サイト・オーストラリアで学ぶ法学

外部リンク[編集]