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{{Otheruses|天体}}
[[File:NGC 4414 (NASA-med).jpg|right|300px|thumb|{{仮リンク|NGC 4414|en|NGC 4414}}は[[かみのけ座]]にある典型的な渦巻銀河。直径約55,000[[光年]]。地球からの距離はおよそ6000万光年の彼方にある。]]
[[ファイル:M104 ngc4594 sombrero galaxy hi-res.jpg|260px|right|thumb|ソンブレロ銀河]]
'''銀河'''(ぎんが、{{lang-en-short|galaxy}})は、[[恒星]]や[[コンパクト星]]、[[ガス]]状の[[星間物質]]や[[宇宙塵]]、そして重要な働きをするが正体が詳しく分かっていない[[ダークマター]]などが[[重力]]のよって拘束された巨大な[[天体]]である<ref >{{harvnb|Sparke|Gallagher III|2000|p=i}}</ref><ref>{{cite web |last1=Hupp |first1=E. |last2=Roy |first2=S. |last3=Watzke |first3=M. |date=2006-08-12 |title=NASA Finds Direct Proof of Dark Matter|url=http://www.nasa.gov/home/hqnews/2006/aug/HQ_06297_CHANDRA_Dark_Matter.html |publisher=[[NASA]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。英語「galaxy」は[[ギリシア語]]の「galaxias、{{lang|el|γαλαξίας}}」)を語源とし、意味は[[銀河系]]を指す「Milky Way」の語源でもある[[ミルク]]である。
'''銀河'''(ぎんが、''galaxy''<ref name=capitalize>太陽系を含む銀河系を指す時には頭文字を大文字にして表記される。</ref>)は、数百億から数千億個の[[恒星]]や[[星間物質]]が重力的にまとまってできている[[天体]]である。かつては「小宇宙」あるいは「島宇宙」とも呼ばれていた。


銀河には、1000万(10<sup>7</sup>程度の星<ref>{{cite web |date=2000-05-03 |title=Unveiling the Secret of a Virgo Dwarf Galaxy |url=http://www.eso.org/outreach/press-rel/pr-2000/pr-12-00.html |publisher=[[ヨーロッパ南天天文台]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>で成り立つ[[矮小銀河]]から、100兆(10<sup>14</sup>)個の星々を持つ巨大な銀河まである<ref>{{cite journal |last1=Uson |first1=J. M. |last2=Boughn |first2=S. P. |last3=Kuhn |first3=J. R. |year=1990 |title=The central galaxy in Abell 2029 – An old supergiant |journal=[[サイエンス]] |volume=250 |issue=4980 |pages=539–540 |bibcode=1990Sci...250..539U |doi=10.1126/science.250.4980.539}}</ref>。これら星々は[[恒星系]]、[[星団]]などを作り、その間には希薄なガス状の星間物質や宇宙塵が集まる[[星間雲]]、[[宇宙線]]が満ちている。ほとんどの銀河では質量の約90%をダークマターが占める。観測結果によれば、すべてではなくともほとんどの銀河の中心には[[超大質量ブラックホール]]が存在すると示唆される。これは、いくつかの銀河で見つかる[[活動銀河]]の根源的な動力と考えられ、銀河系もこの一例に当たると思われる<ref>{{cite web |last1=Finley |first1=D. |last2=Aguilar |first2=D. |date=2005-11-02 |title=Astronomers Get Closest Look Yet At Milky Way's Mysterious Core |url=http://www.nrao.edu/pr/2005/sagastar/ |publisher=[[アメリカ国立電波天文台]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。
なお数ある銀河のうち[[太陽系]]を含む'''我々の銀河'''は、'''[[銀河系]]''' (''Galaxy''<ref name=capitalize></ref>) もしくは'''天の川銀河''' (''Milky Way Galaxy'')<ref>「天の川銀河」「銀河系」ともに文部科学省による[[学術用語集]] 天文学編(増訂版)に掲載されている[[学術用語]]である。[http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/detail.cgi?FILE=ast94.sgml&ID=0019590&REFER=%B6%E4%B2%CF&REC=%C5%B7%CA%B8%B3%D8%CA%D4%28%C1%FD%C4%FB%C8%C7%29&YEAR=1994&CP=%CA%B8%C9%F4%B2%CA%B3%D8%BE%CA%A1%A4%C6%FC%CB%DC%C5%B7%CA%B8%B3%D8%B2%F1]</ref>と呼称される。


歴史上、銀河はその具体的な形状を元に分類された。それは視覚的な形態論を以って考察された。一般的な形態は、[[楕円]]形の光の輪郭を持つ[[楕円銀河]]である<ref>{{cite news |last1=Hoover |first1=A. |date=2003-06-16 |title=UF Astronomers: Universe Slightly Simpler Than Expected |url=http://news.ufl.edu/2003/06/16/galaxies/ |publisher=Hubble News Desk |accessdate=2012-01-01}}</ref><ref group="2-">{{Cite journal|last1=Graham |first1=A. W. |last2=Guzmán |first2=R. |year=2003 |title=HST Photometry of Dwarf Elliptical Galaxies in Coma, and an Explanation for the Alleged Structural Dichotomy between Dwarf and Bright Elliptical Galaxies |journal={{仮リンク|アストロノミカル・ジャーナル|en|Astronomical Journal}} |volume=125 |issue=6 |pages=2936–2950 |bibcode=2003AJ....125.2936G |doi=10.1086/374992|arxiv = astro-ph/0303391 }}</ref>。[[渦巻銀河]]は細かな粒が集まった、曲がった腕を持つ形状である。不規則でまれな形状を持つ銀河は[[不規則銀河]]と呼ばれ、近くの銀河から[[引力]]の影響を受けて形を崩したものである。近接する銀河の間に働く相互作用は、時に[[星形成]]を盛んに誘発しながら[[スターバースト銀河]]へと発達し、最終的に合体する場合もある。特定の構造を持たない小規模な銀河は不規則銀河に分類される<ref name="IRatlas">{{cite web |last1=Jarrett |first1=T. H. |title=Near-Infrared Galaxy Morphology Atlas |url=http://www.ipac.caltech.edu/2mass/gallery/galmorph/ |publisher=[[カリフォルニア工科大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。
== 銀河の観測史 ==
[[ファイル:Herschel-Galaxy.png|thumb|right|250px|ハーシェルが描いた天の川銀河の構造]]
夜空に見える天体には[[恒星]]や[[惑星]]などの点光源の天体と、それらとは異なって[[雲]]のように面積を持って広がった天体とがあることが古くから知られていた。後者には現在で言うところの[[散開星団]]・[[球状星団]]・[[散光星雲]]・銀河など様々な天体が含まれているがその正体は長く明らかになっておらず、[[星雲]] (''nebula'') と総称されていた。


[[観測可能な宇宙]]の範囲には、少なくとも1700億個の銀河が存在すると考えられる<ref>{{cite journal |last1=Gott III |first1=J. R. |year=2005 |coauthors=''et al''. |title=A Map of the Universe |journal=[[アストロフィジカルジャーナル]] |volume=624 |issue=2 |pages=463–484 |bibcode=2005ApJ...624..463G |doi=10.1086/428890|arxiv = astro-ph/0310571 }}</ref><ref>{{cite web |last1=Mackie |first1=G. |date=2002-02-01 |title=To see the Universe in a Grain of Taranaki Sand |url=http://astronomy.swin.edu.au/~gmackie/billions.html |publisher=[[スインバン大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。大部分の直径は1,000から100,000[[パーセク]]<ref>{{cite web |date=2006-02-28 |title=Hubble's Largest Galaxy Portrait Offers a New High-Definition View |url=http://www.nasa.gov/mission_pages/hubble/science/hst_spiral_m10.html |publisher=[[NASA]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>であり、中には数百万パーセクにような巨大なものもある<ref>{{cite web |last1=Gilman |first1=D. |title=The Galaxies: Islands of Stars |url=http://www.hq.nasa.gov/office/pao/History/EP-177/ch4-7.html |publisher=[[NASA]]/[[WMAP]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。{{仮リンク|銀河系間空間|en|Intergalactic space}}は、1立方メートル当たり平均1個未満の[[原子]]が存在するに過ぎない非常に希薄なガス領域である。ほとんどの銀河は階層的な集団を形成し、これらは[[銀河団]]やさらに多くが集まった[[超銀河団]]として知られている。[[宇宙の大規模構造|さらに大規模な構造]]では、銀河団は[[超空洞]]と呼ばれる銀河が存在しない領域を取り囲む[[銀河フィラメント]]を形成する<ref>{{cite web |title=Galaxy Clusters and Large-Scale Structure |url=http://www.damtp.cam.ac.uk/user/gr/public/gal_lss.html |publisher=[[ケンブリッジ大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。
1600年代初めに[[望遠鏡]]が発明されるとイタリアの[[ガリレオ・ガリレイ]]は自作の望遠鏡で様々な天体を観察し、それまでの宇宙観を覆す多くの発見をした。その一つに[[天の川]]が恒星の集団であることを発見したことが挙げられる。この数年後の[[1612年]]にはドイツの[[シモン・マリウス]]が我々の銀河系の隣の銀河である[[アンドロメダ銀河]] (M31) を初めて望遠鏡で観測しているが、当時の望遠鏡ではこの銀河の個々の星を分解することはできなかった。


== 語源 ==
[[1755年]]にはドイツの[[イマヌエル・カント]]が[[太陽系]]からの類推を元に、天の川はたくさんの恒星が[[重力]]で回転している天体で、これを内側から見ているために[[天球]]上で帯状に見えているとする説を提案した。さらにカントは、星雲のうちのいくつかは我々の天の川と同様の天体が遠方にあるものではないかと指摘し、それを指して'''島宇宙'''と称した。
英語「galaxy」は、本来は[[太陽系]]が所属する[[銀河系]]([[天の川銀河]])を指す[[ギリシア語]]の''galaxias'' (''γαλαξίας'')または''kyklos galaktikos''から派生したもので、[[空]]に広がる「[[乳]]の輪」を意味する<ref>{{cite web |last1=Harper |first1=D. |url=http://www.etymonline.com/index.php?term=galaxy |title=galaxy|work={{仮リンク|オンライン語源辞典|en|Online Etymology Dictionary}}|accessdate=2012-01-01}}</ref>。[[ギリシア神話]]では、神[[ゼウス]]が死の運命を持つ人間の女性に産ませた幼子[[ヘーラクレース]]を不死にしようと、眠る[[ヘーラー]]の胸に置いた。子供はほとばしる母乳を飲み、不死となった。しかしヘーラーは目覚め、見知らぬ幼児が乳を飲んでいる事に気づき、突き放した。すると彼女の母乳が夜空に噴き出し、ミルキーウェイの名で知られる軟らかな光の帯となった<ref>{{harvnb|Waller|Hodge|2003|p=91}}</ref>。天文学における表記では、大文字で始まる単語「Galaxy」は私たちの[[銀河系]]を指し、他の無数にある銀河と区別している<ref>{{cite web|title=【Galaxy/galaxy】|url=http://ejje.weblio.jp/content/Galaxy |publisher=webio英和・和英辞典|accessdate=2012-01-01}}</ref>。


[[ウィリアム・ハーシェル]]が1786年に{{仮リンク|星雲目録|en|Catalogue of Nebulae}}を纏めた際、例えば[[アンドロメダ星雲|M31]]などに「spiral nebula」(渦巻く[[星雲]])という表現を用いた。これらが後に星々が集まった巨大な塊だということが分かり、本来の距離が判明すると、「island universes」(島宇宙)と呼ばれるようになった。しかし単語「Universe」(宇宙)は存在すべてを包括する言葉であったため、島宇宙という表現は廃れ、代わりに「galaxy」(銀河)という語が使われるようになった<ref name=rao2005>{{cite web|last1=Rao |first1=J. |date=2005-09-02 |title=Explore the Archer's Realm |url=http://www.space.com/spacewatch/050902_teapot.html|publisher=[[:en:Space.com|Space.com]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。
1764年から1784年にかけてフランスの彗星捜索家[[シャルル・メシエ]]は、星雲と呼ばれていた雲状の天体を[[彗星]]と区別するために[[メシエ天体|メシエ・カタログ]]と呼ばれる星雲のカタログを発表した。この時代でも星雲はもっぱらその形態で分類されるにとどまり、その性質の違いや距離などについてはまだ分かっていなかった。


[[日本語]]の「銀河」は[[中国語]]の「銀河」(または「天河」)を由来とし、これは天の川の見た目の色を元に名づけられている<ref>{{cite web|date=2009-07-10 |title=#73.「天の川」の比較語源|url=http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~rhotta/course/2009a/hellog/2009-07-10-1.html|author=堀田隆一|publisher=[[中央大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。
[[1788年]]にイギリスの[[ウィリアム・ハーシェル]]は夜空の星々の数をあらゆる方向について数え、暗い星ほど距離が遠いという仮定を用いて恒星の空間分布を求めようと試みた。その結果、恒星は[[天の川]]に近い領域ほど数が多いことを発見した。これによって、カントが唱えていた通り天の川は我々の[[太陽系]]を含む円盤状の恒星集団([[銀河系]])であるらしいことが明らかになった


== 種類と形態論 ==
1840年代にはイギリスの[[ウィリアム・パーソンズ|ロス卿]]が口径72インチの大望遠鏡を建設し、これを用いて様々な天体のスケッチを残した。彼は[[りょうけん座]]の[[子持ち銀河|M51]]が渦巻状の姿をしていることを発見した。彼は星雲の中に同様の渦巻状の天体が数多く存在すること、一方でそのような特徴を持たない楕円形のものもあることを発見した。
[[File:Hubble sequence photo.png|thumb|360px|ハッブル分類による銀河のタイプ分け。Eは楕円銀河の種類、Sは螺旋銀河の種類を指す。SBは棒渦巻銀河である。表の左側は「早期型」右側は「晩期型」とも呼ばれる<ref group="注">ハッブルは分類において、表の左側に置いた楕円銀河が変化し、右側の渦巻銀河になると考えた。しかし現在では、これら銀河の形態は誕生時の条件に左右されると考えられている。([[#ニュートン (2011-8)|ニュートン2011年8月号、pp.66-67、ハッブルがえがいた銀河の系統樹]]、[[#沼澤ら (2007)|沼津ら 2007、p.158]])</ref>。]]
銀河は、主に楕円型・渦巻型(渦巻・棒渦巻)・レンズ状を含む不定形がある<ref name=Numa158>[[#沼澤ら (2007)|沼津ら 2007、pp.158-161、さまざまな銀河]]</ref>。[[ハッブル分類]]はこれをより包括的に記述した分類である<ref name=Numa158 />。しかしあくまで外観上の特徴を捉えた考察であるため、[[スターバースト銀河]]のように[[星形成]]の程度や[[活動銀河]]のような活発な中心部を持つものなど、おのおのの重要な特性を反映していないという指摘もある<ref name="IRatlas" />。


=== 楕円銀河===
20世紀に入ると、ハーシェルの研究を引き継いで我々の天の川の形とその中での太陽系の位置とを正確に決めようとする試みが行われた。[[1920年]]にはオランダの[[ヤコブス・カプタイン|カプタイン]]がハーシェルの手法をより洗練させた観測を行い、銀河系は直径約15k[[パーセク|pc]]の楕円体で[[太陽]]はそのほぼ中心にあるとする説を唱えた。一方、アメリカの[[ハーロー・シャプレー|シャプレー]]は、[[球状星団]]の空間分布がいて座の方向に集中していることから、銀河系は直径約70kpcの平らな円盤で太陽はそのはずれに位置すると主張した。実際には[[星間塵]]による光の吸収の効果を考慮していなかったため銀河系の大きさについての推定はどちらも正しい値ではなかったが、太陽系が円盤状の銀河系のはずれにあるというシャプレーの描像は今日でも正しいとされている。
{{Main|楕円銀河}}
ハッブル分類では、楕円銀河はその楕円率によって区分され、[[円 (数学)|正円]]に近いもの E0 から始まり高楕円率の E7 までがある<ref name=New866>[[#ニュートン (2011-8)|ニュートン2011年8月号、pp.66-67、ハッブルがえがいた銀河の系統樹]]</ref>。この区分は、[[視角]]による見かけの形状ではなく、銀河そのものがどの程度の[[楕円体]]であるかで評価される。楕円銀河の内部には何らかの構造がほとんど見られず<ref name=Numa158 />、一般には比較的小さな[[星間物質]]で構成されている。したがって、この種の銀河は[[散開星団]]の下限に含まれ、星形成が活発ではない。そして、多くは古く[[恒星進化論|寿命を経た星]]が任意の方角にある[[重心]]を回っている状態にある。このような特徴は、銀河よりも遥かに小さな[[球状星団]]と似通った部分がある<ref name="elliptical">{{cite web |last1=Barstow |first1=M. A. |year=2005 |title=Elliptical Galaxies |url=http://www.star.le.ac.uk/edu/Elliptical.shtml |publisher=[[レスター大学]] Physics Department |accessdate=2012-01-01}}</ref>。


知られている最大の銀河は楕円銀河である<ref>{{cite web |title=楕円銀河に隠れていた大量の赤色矮星|url=http://www.astroarts.co.jp/news/2010/12/07red-dwarfs/index-j.shtml|publisher=AstroArts |accessdate=2012-01-01}}</ref>。このような楕円銀河は、衝突や合体など[[相互作用銀河|銀河同士の相互作用]]によって形成されたと考えられる。そのため、渦巻銀河などと比較すると巨大なものになり、しばしば大規模な[[銀河団]]の中心近くで発見される<ref>{{cite web |date=2005-10-20 |title=Galaxies |url=http://curious.astro.cornell.edu/galaxies.php |publisher=[[コーネル大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。例えば、[[おとめ座銀河団]]の中心にある巨大楕円銀河[[M87]]は、中心部にあるブラックホールは太陽質量の30億倍以上(天の川銀河中心のブラックホールは太陽質量の400万倍)もあり、現在でも1000以上の伴銀河を引き連れている<ref>[[#ニュートン (2011-8)|ニュートン2011年8月号、p.77、銀河団の中心にある、巨大な楕円銀河]]</ref>。[[スターバースト銀河]]は、楕円銀河へ成長する過程のひとつと捉えることができる<ref name="elliptical" />。なお、このような銀河団の中心に存在する巨大な楕円銀河は[[CD銀河|cD銀河]]へ分類される<ref name=Numa158 />。
[[ファイル:Andromeda galaxy.jpg|thumb|260px|left|紫外線で見たアンドロメダ銀河]]
また20世紀には、ロス卿が見出した渦巻星雲や楕円型の星雲の正体も明らかにされた。[[1912年]]には[[ケフェイド変光星|ケフェイド]]と呼ばれる[[変光星]]の絶対的な明るさと変光周期の間に一定の関係があることが発見されていた。この周期-光度関係を用いると星団に含まれるケフェイドを観測すれば星団までの距離が測定できることとなる。当時、いわゆる渦巻星雲が銀河系内の天体か銀河系外の天体かについては依然として明らかになっておらずこれをめぐって1920年にシャプレーとカーティスの間で公開論争が行われたほどであったが、[[1924年]]に[[ハッブル]]が[[アンドロメダ銀河]] (M31) の中にケフェイドを発見し、それによってM31までの距離が約90万光年であると計算された(その後、ケフェイドに2つの[[恒星の種族|種族]]があることが判明したためこの距離は現在では約230万光年に修正されている)。この値は当時知られていた銀河系の大きさに比べて十分大きな値であったため、M31が銀河系外にある天体であることが確定した。これによって、M31と同様の渦巻銀河は全て銀河系外の天体であるという描像が定着した。


[[File:Messier51 sRGB.jpg|thumb|[[子持ち銀河]]。渦巻銀河の構造が解かれている例。]]
このような歴史的事情を反映して、かつては銀河も[[星間ガス]]からなる[[星雲]] (''nebula'') もともに「星雲」と呼ばれ、両者を区別するために'''銀河系外星雲''' / '''銀河系内星雲'''などと呼ばれていた時期があったが、現在では両者は'''銀河''' (''galaxy'') / '''星雲''' (''nebula'') として呼称の上からも明確に区別されるのが普通である。
=== 渦巻銀河 ===
{{Main|渦巻銀河|棒渦巻銀河}}
渦巻銀河は、薄い円盤状の回転する星々や星間物質で構成され、通常は中心部に近くなるほど古い星が多くなる。そして、中央の[[銀河バルジ]]から比較的明るい渦巻き腕状の構造が伸びている<ref name=Numa158 />。ハッブル分類では、渦巻銀河は S で示され、小文字 (a,b,c) で腕の粗密やバルジの規模を表す<ref name=New866 />。Sa は湾曲度合いが大きく個別の識別が不明瞭な腕を持ち、大きなバルジを持つ銀河を指す。Sc に分類される銀河の腕は開放的で、そのバルジは小さい<ref>{{cite web |last1=Smith |first1=G. |date=2000-03-06 |url=http://casswww.ucsd.edu/public/tutorial/Galaxies.html |title=Galaxies — The Spiral Nebulae |publisher=[[カリフォルニア大学]]サン・ディエゴ校天体物理及び宇宙科学研究センター|accessdate=2012-01-01}}</ref>。渦巻銀河のうち、わずかな腕だけの銀河を{{仮リンク|羊毛型旋回銀河|en|flocculent spiral galaxy}}<ref>{{cite web |title=羊毛型旋回銀河NGC4414における分子ガスディスク|url= http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/201002187440681170|publisher=J-GLOBAL |accessdate=2012-01-01}}</ref>(または毛ふさ状渦巻銀河<ref>{{cite web |title=毛ふさ状渦巻銀河気NGC4414における分子ガス円盤|url= http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902135459285320|publisher=J-GLOBAL |accessdate=2012-01-01}}</ref>)と言い、逆にしっかりと識別可能で湾曲具合が激しい腕が観察できる銀河を[[:en:grand design spiral galaxy|grand design spiral galaxy]]と言う<ref name=bergh1998>{{harvnb|Van den Bergh|1998|p=17}}</ref>。


渦巻銀河の腕は、銀河を一様に回転する星の相互作用から、[[対数螺旋]]に近似した形状を持つ。星々と同様に、腕はバルジを中心に回転し、その[[角速度]]は一定である。この渦巻く腕は高密度の物質が集まる領域、もしくは密度波と考えられている<ref name=bertin_lin1996>{{harvnb|Bertin|Lin|1996|pp=65–85}}</ref>。星がこの腕の領域に入ると恒星系の宇宙速度が影響を受け、腕部分を抜けると元に戻る。これは、自動車が道路で渋滞にはまると速度が落ち、抜けると早くなる現象と酷似している。そしてこの高密度な状態が星形成を促進するため、腕は輝いて見える。つまりは、腕部分には若い星が多く存在する<ref name=belkora355>{{harvnb|Belkora|2003|p=355}}</ref>。
[[1944年]]には、オランダの[[ヘンドリク・ファン・デ・フルスト|ファン・デ・フルスト]]によって中性水素原子が波長21cmの電波([[21cm線]])を放射することが明らかにされた。この電波は星間吸収の影響を受けないため、これを用いて銀河系全体の水素ガスの分布と運動が調べられるようになった。その結果、我々の銀河系にも渦巻構造があることが明らかになった。現在では電波望遠鏡の発達により、銀河系外の銀河の水素ガスの分布も調べられている。


[[File:Hubble2005-01-barred-spiral-galaxy-NGC1300.jpg|left|thumb|300px|[[NGC 1300]]。棒渦状星雲の例。]]
1970年代になると、水素の21cm電波観測から得られた銀河の回転速度が銀河の外縁部近くでも遅くなっていないことが分かり、電磁波で観測される銀河の質量をはるかにしのぐ質量が銀河全体に分布していることが明らかにされた。この「見えない質量」を[[暗黒物質|ダークマター]]と呼ぶ。ダークマターの正体については様々な説が出されているが現在も明らかになっていない。
渦巻銀河の大多数は、バルジから両方向に伸びる直線的な棒状の星の帯を持ち、渦巻構造と接続している<ref>{{cite journal |last1=Eskridge |first1=P. B. |last2=Frogel |first2=J. A. |year=1999 |title=What is the True Fraction of Barred Spiral Galaxies? |journal=[[:en:Astrophysics and Space Science|Astrophysics and Space Science]] |volume=269/270 |pages=427–430 |bibcode=1999Ap&SS.269..427E |doi=10.1023/A:1017025820201}}</ref>。ハッブル分類では SB で表し、小文字 (a,b,c) は渦巻銀河と同様に腕の粗密を表す<ref name=New866 />。この棒構造は、バルジ部分や他の銀河から寄せられた{{仮リンク|銀河潮|en|Galactic tide}}による密度波によって作られた一時的なものと考えられている<ref>{{cite journal |last1=Bournaud |first1=F. |last2=Combes |first2=F. |year=2002 |title=Gas accretion on spiral galaxies: Bar formation and renewal |journal=Astronomy and Astrophysics |volume=392 |issue=1 |pages=83–102 |bibcode=2002A&A...392...83B |doi=10.1051/0004-6361:20020920|arxiv = astro-ph/0206273 }}</ref>。また多くの棒渦巻銀河は、棒構造に沿ってガスがバルジに流れ込むため、活動的である<ref>{{cite journal |last1=Knapen |first1=J. H. |last2=Pérez-Ramírez |first2=D. |last3=Laine |first3=S. |year=2002 |title=Circumnuclear regions in barred spiral galaxies — II. Relations to host galaxies |journal=[[王立天文学会]]月報|volume=337 |issue=3 |pages=808–828 |bibcode=2002MNRAS.337..808K |doi=10.1046/j.1365-8711.2002.05840.x|arxiv = astro-ph/0207258 }}</ref>。


天の川銀河は直径約30キロパーセク、厚さ約1キロパーセクの棒渦巻銀河である<ref>{{cite journal |last1=Alard |first1=C. |year=2001 |title=Another bar in the Bulge |journal=「天文学および天体物理学」論文集|volume=379 |issue=2 |pages=L44–L47 |bibcode=2001A&A...379L..44A |doi=10.1051/0004-6361:20011487|arxiv = astro-ph/0110491 }}</ref>。約2000億 (2×10<sup>11</sup>) の星があり<ref>{{cite news |last1=Sanders |first1=R. |date=2006-01-09 |title=Milky Way galaxy is warped and vibrating like a drum |publisher=カリフォルニア大学バークレー校|url=http://www.berkeley.edu/news/media/releases/2006/01/09_warp.shtml|accessdate=2012-01-01}}</ref>、全重量は太陽の6000億倍 (6×10<sup>11</sup>) である<ref>{{cite journal |last1=Bell |first1=G. R. |last2=Levine |first2=S. E. |year=1997 |title=Mass of the Milky Way and Dwarf Spheroidal Stream Membership |journal=アメリカ天文学会会報|volume=29 |issue=2 |pages=1384 |bibcode=1997AAS...19110806B}}</ref>。
== 分類 ==
様々な形状の銀河系を初めて分類したのは、[[エドウィン・ハッブル]]である。ハッブルは、1926年に自身による観測結果から'''ハッブルの音叉図'''あるいは[[ハッブル分類]]と呼ばれる、銀河の分類図を作った。以下はハッブルの音叉図による形による銀河の分類である。
; [[楕円銀河]]
: 主に年老いた星により形成される。恒星の材料の水素ガスは過去に消費されたためにほとんど無く、星形成が起こっていないと考えられている。ほぼ真円状のものからかなり扁平なものまで8種に分かれる。円盤部分と中心部の[[銀河バルジ|バルジ]]との違いはほとんどない。
; [[レンズ状銀河]]
: 渦巻き銀河に似るが円盤部に腕を持たない。中心が円形のものと端が棒状のものに分けられる。
; [[渦巻銀河]]
: 中心部のバルジと円盤部の違いが顕著で、円盤部には渦巻状の腕のような構造を持つ。普通の渦巻き型と(例えばおおぐま座のM51とか)、中心部を突き刺すような構造を持つ棒渦巻銀河に分けられる。中心部は老いた恒星で形成され、円盤部は比較的若く青白い高温の恒星で形成される。この渦巻銀河、棒渦巻銀河ともに星間物質も豊富で、星形成が盛んである。
; [[不規則銀河]]
: 上記の型に当てはまらないものが不規則銀河である。[[大マゼラン雲]]や、[[M82]]などがこの仲間。不規則銀河の多くは水素ガスがとても多く、爆発的に[[星形成]]が行われていて、若い恒星が多く観測されている。銀河同士の衝突により不規則に変形したものもある。


{{multiple image| align = right| direction = vertical| width = 230| image1 = Hoag's object.jpg| caption1 = {{仮リンク|ホウグ天体|en|Hoag's Object}}、リング銀河の例。| image2 = File-Ngc5866 hst big.png| caption2 = {{仮リンク|NGC 5866|en|NGC 5866}}、レンズ状銀河の例。}}
このほかにも、銀河の周りを回る[[矮小銀河]]などがある。
=== その他の形態 ===
他の銀河との相互作用によって変わった特性を持つ異形の銀河がある。{{仮リンク|リング銀河|en|ring galaxy}}(または車輪銀河)は、環状の星々が露出した中心部を取り巻いている構造を持つ。これは、比較的小さな銀河が渦巻銀河の中心部を通過することで生じると考えられる<ref name=Numa158 /><ref>{{cite journal |last1=Gerber |first1=R. A. |last2=Lamb |first2=S. A. |last3=Balsara |first3=D. S. |year=1994 |title=Ring Galaxy Evolution as a Function of "Intruder" Mass |journal=アメリカ天文学会会報 |volume=26 |pages=911 |bibcode=1994AAS...184.3204G}}</ref>。このような衝突は、[[赤外線]]分析の結果から多重環構造が見つかったアンドロメダ銀河でも起こったと考えられる<ref>{{cite press release |publisher=[[欧州宇宙機関]] |date=1998-10-14 |title=ISO unveils the hidden rings of Andromeda |url= http://sci.esa.int/science-e/www/object/index.cfm?fobjectid=12748|accessdate=2012-01-01}}</ref>。


[[レンズ状銀河]]は、楕円銀河と渦巻銀河双方の特徴を有する中間型に位置する。これはハッブル分類では S0 で示される。レンズ状銀河は不明瞭な渦巻き状の腕がありながら、楕円形状の[[ハロ]]を持つ<ref>{{cite web |date=2004-05-31 |title=Spitzer Reveals What Edwin Hubble Missed |url=http://www.cfa.harvard.edu/press/pr0419.html |publisher=[[ハーバード・スミソニアン天体物理学センター]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。ガスの量に乏しく、星形成は盛んではないと考えられる<ref name=Numa158 />。
また、主に地球からの見た目による分類もある。'''Face-on銀河'''は渦が正面に見える銀河であり、'''Edge-on銀河'''は渦が横から見える銀河である。必ずしも真正面あるいは真横から見える銀河ばかりではないので、「明確なFace-on銀河」「Face-onに近い銀河」のような言い方もする。


これ以外に、形態論上容易に分類できない銀河も多く、これらは一括して[[不規則銀河]]と呼ばれ、何らかの構造を持つがハッブル分類には当てはめられない種類は Irr-I 、構造を持たない種類は Irr-II と識別される<ref>{{cite web |last1=Barstow |first1=M. A. |year=2005 |title=Irregular Galaxies |url=http://www.star.le.ac.uk/edu/Irregular.shtml |publisher=[[レスター大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。ガス成分が多く、星形成は活発だと考えられる<ref name=Numa158 />。
== 銀河の構造 ==
銀河の構造は渦巻銀河と楕円銀河で異なる。


=== 矮小銀河 ===
渦巻銀河の場合、銀河本体は[[ディスク]]と呼ばれる円盤からなり、中心の周りを[[差動回転]]している。ディスクには[[種族I]]と呼ばれる恒星が多く含まれ、[[星間物質]]も多く存在する。一方、中心付近には[[銀河バルジ|バルジ]]と呼ばれるディスクよりもやや膨らんだ部分がある。バルジには[[種族II]]と呼ばれる古くて金属量の少ない恒星が多い。ディスクやバルジの外側には[[ハロ|ハロー]]と呼ばれる領域が広がる。ハローには数百個の[[球状星団]]が球対称に分布し、銀河を周回している。
{{Main|矮小銀河}}
大きな楕円・渦巻銀河が目立つが、宇宙のほとんどの銀河は規模が小さく、これらは[[矮小銀河]]と言い<ref name=Numa158 />、天の川銀河の1/100程度に当たる数十億個の星を持つに止まる。最近、銀河系から約100パーセク程度の距離に、非常に小さな矮小銀河が発見された<ref>{{cite journal |last1=Phillipps |first1=S. |last2=Drinkwater |first2=M. J. |last3=Gregg |first3=M. D. |last4=Jones |first4=J. B. |year=2001 |title=Ultracompact Dwarf Galaxies in the Fornax Cluster |journal=[[アストロフィジカルジャーナル]] |volume=560 |issue=1 |pages=201–206 |bibcode=2001ApJ...560..201P |doi=10.1086/322517|arxiv = astro-ph/0106377 }}</ref>。


多くの矮小銀河は、大きな銀河を周回していると考えられる。天の川銀河は、少なくとも12個ほどの矮小銀河を伴っており、さらに未発見の300-500個程度があるものと思われる<ref>{{cite news |last1=Groshong |first1=K. |date=2006-04-24 |title=Strange satellite galaxies revealed around Milky Way |publisher=[[ニュー・サイエンティスト]] |url=http://space.newscientist.com/article/dn9043 |accessdate=2012-01-01}}</ref>。矮小銀河の区分には、[[矮小楕円銀河]]・{{仮リンク|矮小渦巻銀河|en|dwarf spiral galaxy}}・不規則銀河といったものがある<ref name=Numa158 />。矮小楕円銀河の形状は大きな楕円銀河とかけ離れているため、[[矮小楕円体銀河]]とも呼ばれる。
楕円銀河の場合には銀河本体は3軸不等の楕円体をした恒星の集団で、顕著な構造は見られない。渦巻銀河とは異なり、銀河全体としての回転運動はほとんど持たず、代わりに恒星のランダムな運動によって重力とバランスし、銀河全体の形が保たれている。楕円銀河には星間ガスはほとんど含まれていない。銀河の外側には渦巻銀河と同様に球状星団を含むハローが存在する。


天の川銀河周辺にある27個の矮小銀河を調査した結果によると、星の総数が数千から数百万とあったが、その中心部の質量はおしなべて[[太陽質量]]のおよそ1000万倍であることが判った。これは、銀河質量においてダークマターが占める割合の高さを示し、また、規模の下限から{{仮リンク|ウォームダークマター|en|warm dark matter}}によって起こされる重力結合の限界を知ることができる可能性も示唆された<ref>{{cite web |last1=Schirber |first1=M. |date=2008-08-27 |url=http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2008/827/3 |title=No Slimming Down for Dwarf Galaxies |publisher=[[サイエンス]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。
1990年代以降、多くの銀河の中心に10<sup>6-8</sup>[[太陽質量]]の[[大質量ブラックホール]]が発見されている。現在ではほとんど全ての銀河の中心にはこうした大質量ブラックホールがあるのではないかと考えられている。


== 異例な変動や活動 ==
また、渦巻銀河の[[銀河の回転曲線問題]]の研究から銀河のハロー部分には、恒星や星間物質などの「目に見える質量」の10倍以上の見えない質量があることが推定されている。このため、ハローのことをダークハローと呼ぶこともある。この見えない質量を担うダークマターの正体については明らかになっていない。ただし、これは現在の標準的な宇宙論ではダークマターによる見えない質量が有ると仮定しないと回転曲線の説明がつかない事による推定であって実際に質量を観測しているわけではない。
=== 相互作用銀河 ===
{{Main|相互作用銀河}}
[[File:Antennae galaxies xl.jpg|left|thumb|[[触角銀河]]は、衝突を経て結果的に合体した銀河である。]]
集団の中にある銀河は、その直径と比べるとお互いの距離が近い。そのため、銀河間には相互作用が頻繁に働き、銀河に[[銀河の形成と進化|変化]]を与える重要な役割を果たす。銀河同士が接近すると、{{仮リンク|銀河潮|en|galactic tide}}によってひずみや曲がりが生じ、さらにはガスや塵を交換させるようになる<ref name="suia">{{cite web |title=Interacting Galaxies|url=http://cosmos.swin.edu.au/entries/interactinggalaxies/interactinggalaxies.html?e=1 |publisher=[[スインバン大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。


2つの銀河が互いに近づく際、通り抜けるに充分な相対的速度を持つ場合には、合体ではなく衝突が生じる。この過程で中の星々がぶつかり合うことは希で<ref name=Numa162>[[#沼澤ら (2007)|沼津ら 2007、pp.162-163、銀河の合体と吸収]]</ref>、一般的にはやがて2つの銀河は通り過ぎてゆく。しかしガスや塵には合体が起こる。これが星間物質を掻き混ぜ、圧縮させると、爆発的な星形成に繋がる<ref name=Numa162 />。衝突は、棒や環、または尾っぽのような構造を銀河にもたらす<ref name=Numa162 /><ref name="suia" />
一方、標準的な理論とはみなされていないものの[[プラズマ宇宙論#銀河形成と回転曲線問題|プラズマ宇宙論]]ではこの銀河の回転曲線問題を見えない質量を仮定せずに解決している。


相互作用の極端な例は、銀河の合体である。これは、銀河の接近速度が遅く、徐々に重なり合いながら単一の大きな銀河へ成長する。その形は、合体前と大きく変貌する場合がある。ただし大きさが極端に違う場合は銀河の捕食 (Galactic cannibalism) と呼ばれ、小さな銀河は形を崩し、大きな銀河には比較的変化が生じない。天の川銀河は、現在[[いて座矮小楕円銀河]]と[[おおいぬ座矮小銀河]]を捕食しつつある<ref name="suia" />。
== 銀河の活動性・相互作用 ==
銀河の中には[[活動銀河]]と呼ばれる激しい活動性を持つ銀河が存在する。活動銀河はその性質によって[[クエーサー]]・[[電波銀河]]・[[セイファート銀河]]・[[ブレーザー]]などに分けられるが、全てのタイプで銀河中心核にある[[大質量ブラックホール]]が活動性の源となっているという活動銀河の統一モデルが現在では広く受け入れられている。


[[File:M82 HST ACS 2006-14-a-large web.jpg|right|thumb|[[M82]]は典型的なスターバースト銀河。星の生成率は通常の10倍に達する<ref>{{cite web |date=2006-04-24|url=http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2006/14/image/a |title=Happy Sweet Sixteen, Hubble Telescope! |publisher=[[NASA]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。中心部から上下に広がる赤い放射は電離した水素ガスである<ref name=New979>[[#ニュートン (2011-8)|ニュートン2011年8月号、pp.78-79、数万年のスケールで噴きだす、水素ガスの風]]</ref>。]]
また、[[銀河団]]など銀河の密度が高い領域では、銀河同士の衝突・合体なども頻繁に起こる。このような衝突の最中にあると見られる銀河も多数発見されている。このような銀河同士の近接遭遇や衝突が起こると、銀河の[[潮汐力]]によって銀河内のガスが圧縮され、[[星形成]]が爆発的に起こる場合がある。このような爆発的星形成を[[スターバースト]]と呼ぶ。スターバーストが銀河全体で大規模に起こっている銀河を[[スターバースト銀河]]と呼ぶ。
=== スターバースト銀河 ===
{{Main|スターバースト銀河}}
恒星は、銀河内の巨大な[[分子雲]]で作られる冷たいガスから生成される。いくつかの銀河において、この星生成が例外的に活発な現象が発見され、これらは[[スターバースト銀河]]と呼ばれる。そこでは、銀河によっては通常の100-1000倍規模の星が生まれ、この過程で発せられる強い[[赤外線]]を観測できるものを[[超光度赤外線銀河]]という<ref name=Numa164>[[#沼澤ら (2007)|沼津ら 2007、pp.164-165、活動銀河]]</ref>。しかしながら、このような状態が続くと銀河内のガスが急激に消費されるため、スターバースト状態は銀河の寿命から考えれば非常に短い1000万年程度しか持続しないと考えられる。初期の宇宙では、スターバースト銀河は一般的だったと推定され<ref name="chandra">{{cite web |date=2006-08-29 |url=http://chandra.harvard.edu/xray_sources/starburst.html |title=Starburst Galaxies |publisher=[[ハーバード・スミソニアン天体物理学センター]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>、現在でもすべての恒星生成の15%を占めている<ref>{{cite conference |last1=Kennicutt Jr. |first1=R. C. |coauthors=''et al.'' |date=2005 |title=Demographics and Host Galaxies of Starbursts |booktitle=Starbursts: From 30 Doradus to Lyman Break Galaxies |page=187 |publisher=[[シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア]] |bibcode=2005sdlb.proc..187K}}</ref>。


スターバースト銀河は塵やガスが豊富で、大質量の星々が[[電離]]した雲で囲まれた[[HII領域]]を持つ<ref>{{cite web |last1=Smith |first1=G. |date=2006-07-13 |title=Starbursts & Colliding Galaxies |url=http://casswww.ucsd.edu/public/tutorial/Starbursts.html |publisher=[[カリフォルニア大学]], San Diego Center for Astrophysics & Space Sciences]|accessdate=2012-01-01}}</ref>。これらの大質量星が起こす[[超新星爆発]]が[[超新星残骸]]を撒き散らし、周囲のガスなどに強い作用を与える。そして、ガス領域の至る所で新しい星の生成を連鎖反応的に起こす。これは、利用可能なガスのほとんどが消費されるか広く分散してしまうまで続く<ref name="chandra" />。
== 銀河団・大規模構造 ==
宇宙の中での銀河の個数密度は一様ではなく、銀河の中には互いに重力的に束縛された数十個から数千個にわたる集団を形成しているものがある。このような銀河の集団を銀河群あるいは[[銀河団]]と呼ぶ。銀河団に属する銀河を銀河団銀河、特定の集団に属さない銀河をフィールド銀河、と呼んで区別することもある。また銀河団の中心にはcD銀河と呼ばれる非常に巨大で明るい楕円銀河が存在することがある。1990年代には、銀河団同士がさらにフィラメント状に連なって[[宇宙の大規模構造|大規模構造]]と呼ばれる大きな空間構造を作っていることが明らかになっている。


スターバースト銀河はしばしば相互作用銀河と関係する。この一つの例が[[M82]]であり、近接するより大きな銀河[[M81]]からの影響を受けている<ref name=New979 />。不規則銀河の存在は、宇宙におけるスターバースト活動のかたまりを示している場合がある<ref>{{cite web |last1=Keel |first1=B. |month=September |year=2006 |title=Starburst Galaxies |url=http://www.astr.ua.edu/keel/galaxies/starburst.html |publisher=[[アラバマ大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>
== 主な銀河 ==
* [[銀河系]](天の川銀河)
* [[アンドロメダ銀河]] (M31)
* [[大マゼラン銀河]]
* [[小マゼラン銀河]]
* [[M51]]
* [[M81]]
* [[M82]]
* [[M83]]
* [[M87]]
* [[M101]]
* [[M104]]
* [[さんかく座銀河]] (M33)
* [[黒眼銀河]] (M64)


== 脚注 ==
=== 活動銀河 ===
{{Main|活動銀河}}
{{reflist}}
[[File:M87 jet.jpg|left|thumb|電波を放つ楕円銀河[[M87]]の中心部から放たれる放射。]]
観察された銀河の中には、非常に活動的な種類のものがある。すなわち、銀河から放出されるエネルギーの大部分が星やガス・星間物質とは異なる部分を元にしている。これらは[[活動銀河]]と呼ばれる。

このエネルギー発生源は、銀河中心に存在する[[超大質量ブラックホール]] (SMBH) 周囲に形成された[[降着円盤]]である。[[活動銀河中心核]]の放射現象は、降着円盤の物質がブラックホールに落ち込む際の銀河潮に由来する<ref name=Numa164 /><ref name="keel">{{cite web |last1=Keel |first1=W. C. |year=2000 |url=http://www.astr.ua.edu/keel/galaxies/agnintro.html |title=Introducing Active Galactic Nuclei |publisher=[[アラバマ大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。この物質のうち約10%程度が、中心部から双方向に1組の[[宇宙ジェット]]となり、[[光速]]に近い速度で噴出してゆく。ただし、このメカニズムははっきりと判明していない<ref name="monster">{{cite web |last1=Lochner |first1=J. |last2=Gibb |first2=M. |title=A Monster in the Middle |url=http://imagine.gsfc.nasa.gov/docs/science/know_l2/active_galaxies.html |publisher=[[NASA]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。

活動銀河のうち、高エネルギーの放射線を発するものがあり、[[X線]]が検知される種類は光度によって[[セイファート銀河]]や[[クエーサー]]と呼ばれる<ref name=Numa164 />。[[ブレーザー]]とは宇宙ジェットが[[地球]]の方向へ放たれている種類である。[[電波銀河]]は、宇宙ジェット部分あらゆる周波数の電波を放出する銀河である。これらは、観察者の視角に基づいた活動銀河の分類である<ref name="monster" />。

活動銀河は、スターバースト銀河と同様に[[低電離中心核輝線領域]] (LINER) との関連が指摘される。LINERタイプの銀河から放たれる放射は、弱く[[イオン]]化された物質である<ref name="heckman1980">{{cite journal |last1=Heckman |first1=T. M. |year=1980 |title=An optical and radio survey of the nuclei of bright galaxies — Activity in normal galactic nuclei|journal=[[:en:Astronomy and Astrophysics|Astronomy and Astrophysics]] |volume=87 |pages=152–164 |bibcode=1980A&A....87..152H}}</ref>。近隣に存在する銀河のうちおよそ1/3はLINERタイプのの中心部を持っていると考えられる<ref name="keel" /><ref name="heckman1980" /><ref name="hoetal1997b">{{cite journal |last1=Ho |first1=L. C. |last2=Filippenko |first2=A. V. |last3=Sargent |first3=W. L. W. |year=1997 |title=A Search for "Dwarf" Seyfert Nuclei. V. Demographics of Nuclear Activity in Nearby Galaxies |journal=[[アストロフィジカルジャーナル]] |volume=487 |issue=2 |pages=568–578 |bibcode=1997ApJ...487..568H |doi=10.1086/304638|arxiv = astro-ph/9704108 }}</ref>。

== 銀河の形成と進化 ==
{{Main|銀河の形成と進化}}
銀河の構造および進化に関する研究は、銀河がどのようにして生まれ、そして宇宙の歴史においてどのように変化していったのかという疑問を明らかにしようとする。この分野におけるさまざまな理論は広く受け入れられているが、一方で[[天体物理学]]のなかで活発な研究が行われている分野でもある。

[[File:Young Galaxy Accreting Material.jpg|thumb|[[ヨーロッパ南天天文台]]のL. Calçadaによる、若い銀河の想像図]]
=== 形成 ===
現代、初期の宇宙形成モデルは[[ビッグバン]]理論に基づいている。ビッグバン発生から約30万年後、[[水素]]と[[ヘリウム]]の[[原子核]]が合成され、さらに[[自由電子]]を取り込む{{仮リンク|再結合|en|Recombination (cosmology)}}をへて[[元素]]が形成された([[ビッグバン原子核合成]])。ほとんどの水素はイオン化されておらず[[光子]]の運動に干渉しなかった。この時点では星は形成されておらず、宇宙は「暗黒時代」と呼ばれる時期にあった。この状態に変化を与えたものが、原始的物質の密度の変動(まはた[[異方性]])であり、{{仮リンク|コールドダークマター|en|cold dark matter}}の[[ハロ]]の中で[[バリオン]]が凝集を始めた<ref name="hqrdvj">{{cite web |date=1999-11-18 |title=Search for Submillimeter Protogalaxies |url=http://cfa-www.harvard.edu/~aas/tenmeter/proto.htm |publisher=[[ハーバード・スミソニアン天体物理学センター]] |accessdate=2012-01-01}}</ref><ref name=rmaa17_107>{{cite journal |last1=Firmani |first1=C. |last2=Avila-Reese |first2=V. |year=2003 |title=Physical processes behind the morphological Hubble sequence |journal=Revista Mexicana de Astronomía y Astrofísica |volume=17 |pages=107–120 |bibcode=2003RMxAC..17..107F|arxiv = astro-ph/0303543 }}</ref>。このように、初歩段階ではダークマターが先に凝集を始め、そこにガスが集まった構造物が、現在の銀河となったと考えられる<ref name=Numa182>[[#沼澤ら (2007)|沼津ら 2007、pp.182-183、銀河誕生の謎]]</ref><ref name=New73>[[#ニュートン (2011-9)|ニュートン2011年9月号、p.73、「ダークマター」が無ければ、太陽系も生まれなかった]]</ref>。

2006年、[[赤方偏移]]の度合いが非常に高い銀河{{仮リンク|IOK-1|en|IOK-1}}が発見された。偏移量6.96は、ビッグバン後7億5000万年に相当し、これは確認された最古の銀河のひとつと考えられている<ref>{{cite journal |last1=McMahon |first1=R. |year=2006 |title=Journey to the birth of the Universe |journal=[[ネイチャー]] |volume=443 |issue=7108 |pages=151–2 |doi=10.1038/443151a |pmid=16971933|bibcode = 2006Natur.443..151M }}</ref>。他にも、{{仮リンク|Abell 1835 IR1916|en|Abell 1835 IR1916}}のような高い赤方偏移の銀河発見もあり、IOK-1が示す時代とその構造は信頼されるものとなった。これら初期の[[原始銀河]]は、宇宙がいわゆる暗黒時代にあった頃に成長を続けていたと考えられる<ref name="hqrdvj"/>。

今のところ、この初期銀河の詳細な形成過程は判明しておらず、天文学上の大きな未解決問題のひとつである。提案されている理論には、大きく分けてトップダウンモデルとボトムアップモデルがある<ref name=Numa182 />。トップダウンモデルとは、エデン・リンデンベル・サンデージ (ELS) モデル<ref name=MChiba>{{cite web |title=銀河考古学:古い星から銀河の成り立ちを読み解く|author=千葉柾司|url=http://www.astr.tohoku.ac.jp/~chiba/www/Geppou_GA.pdf|format=PDF|publisher=[[東北大学]]大学院理学研究科 |accessdate=2012-01-01}}</ref>のように、宇宙開闢から1億年経過頃に大規模なガスの収縮が起こり、それが分裂しながら超銀河団が形成された<ref name=Numa182 />という考えである<ref>{{cite journal |last1=Eggen |first1=O. J. |last2=Lynden-Bell |first2=D. |last3=Sandage |first3=A. R. |year=1962 |title=Evidence from the motions of old stars that the Galaxy collapsed |journal=[[:en:Reports on Progress in Physics|Reports on Progress in Physics]] |volume=136 |pages=748 |bibcode=1962ApJ...136..748E |doi=10.1086/147433}}</ref>。ボトムアップモデルは、サーレ・ズィン (SZ) モデル<ref name=MChiba />のように、最初は銀河系質量の1/100程度に相当する比較的小規模なガスのかたまりが生じ、そこから生じた球状星団の集まりが段々と集まりながら大きな銀河を形成するようになったというものである<ref name=Numa182 /><ref>{{cite journal |last1=Searle |first1=L. |last2=Zinn |first2=R. |year=1978 |title=Compositions of halo clusters and the formation of the galactic halo |journal=[[アストロフィジカルジャーナル]] |volume=225 |issue=1 |pages=357–379 |bibcode=1978ApJ...225..357S |doi=10.1086/156499}}</ref>。しかし、初期銀河の観測実績はほとんど無く、銀河誕生モデルは謎のままである<ref name=Numa182 />。

銀河の先駆体が収縮を始めた後、その中に[[恒星の種族|種族III]]の恒星による{{仮リンク|銀河ハロ|en|halo star}}が現れるようになる。ほとんどが水素とヘリウムからなるこれらの星は一様に巨大で<ref name=New46>[[#ニュートン (2011-9)|ニュートン2011年9月号、pp.46-47、ついに宇宙で最初の恒星「ファーストスター」が誕生した]]</ref>、比較的早く超新星爆発を起こし重金属を星間物質に撒いたと考えられる<ref>{{cite journal |last1=Heger |first1=A. |last2=Woosley |first2=S. E. |year=2002 |title=The Nucleosynthetic Signature of Population III |journal=アストロフィジカルジャーナル|volume=567 |issue=1 |pages=532–543 |bibcode=2002ApJ...567..532H |doi=10.1086/338487|arxiv = astro-ph/0107037 }}</ref>。 この現象は周囲の水素元素を電離し、泡状に広がったと考えられる<ref>{{cite journal |last1=Barkana |first1=R. |last2=Loeb |first2=A. |year=1999 |title=In the beginning: the first sources of light and the reionization of the universe |journal=[[:en:Physics Reports|Physics Reports]] |volume=349 |issue=2 |pages=125–238 |bibcode=2001PhR...349..125B | arxiv = astro-ph/0010468 |doi=10.1016/S0370-1573(01)00019-9}}</ref>。

[[File:Hubble - infant galaxy.jpg|right|thumb|左下の{{仮リンク|アイ・ツヴィッキー18|en|I Zwicky 18}}は、新しく形成された銀河と見なされる<ref>{{cite news |last1=Villard |first1=R. |last2=Samarrai |first2=F. |last3=Thuan |first3=T. |last4=Ostlin |first4=G. |date=2004-12-01 |title=Hubble Uncovers a Baby Galaxy in a Grown-Up Universe |url=http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2004/35/text/ |publisher=HubbleSite News Center |accessdate=2012-01-01}}</ref><ref>{{cite news |last1=Weaver |first1=D. |last2=Villard |first2=R. |date=2007-10-16 |title=Hubble Finds 'Dorian Gray' Galaxy|url=http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2007/35/full/|publisher=HubbleSite News Center |accessdate=2012-01-01}}</ref>。]]
=== 進化 ===
宇宙開闢から10億年の間に、鍵となる構造が現れるようになる。[[球状星団]]、巨大なブラックホール、[[金属量 (天文)|金属量]]に乏しい[[恒星の種族|種族II]]の恒星による[[銀河バルジ]]である。[[超大質量ブラックホール]]の発生は、総物質量に制限を加えることで銀河の進化を促す重要な役割を果たした<ref>{{cite news |date=2005-02-09 |title=Simulations Show How Growing Black Holes Regulate Galaxy Formation |url=http://www.cmu.edu/PR/releases05/050209_blackhole.html |publisher=[[カーネギーメロン大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。この初期の頃、銀河では盛んに星が形成される<ref>{{cite news |last1=Massey |first1=R. |date=2007-04-21 |title=Caught in the act; forming galaxies captured in the young universe|url=http://www.ras.org.uk/index.php?option=com_content&task=view&id=1190&Itemid=2 |publisher=[[王立天文学会]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。

次の20億年にかけて、蓄積された物質は[[銀河円盤]]を形成するようになる<ref>{{cite journal |last=Noguchi |first=M. |year=1999 |title=Early Evolution of Disk Galaxies: Formation of Bulges in Clumpy Young Galactic Disks |journal=[[アストロフィジカルジャーナル]] |volume=514 |issue=1 |pages=77–95 |bibcode=1999ApJ...514...77N |doi=10.1086/306932|arxiv = astro-ph/9806355 }}</ref>。銀河は一生を通じて[[星間雲]]や矮小銀河との合体を通じて物質を吸収し続ける<ref>{{cite web |last1=Baugh |first1=C. |last2=Frenk |first2=C. |date=May 1999 |url=http://physicsweb.org/articles/world/12/5/9 |title=How are galaxies made? |publisher=[[英国物理学会]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。この物質はほとんどが水素やヘリウムだが、恒星の誕生と死が繰り返されるうちに重元素が増えてゆき、その中に[[惑星]]を持つようになる<ref>{{cite conference |last1=Gonzalez |first1=G. |year=1998 |title=The Stellar Metallicity — Planet Connection |booktitle=Proceedings of a workshop on brown dwarfs and extrasolar planets |pages=431 |bibcode=1998bdep.conf..431G}}</ref>。

銀河の発展は相互作用と衝突が大きな影響を与えた。初期宇宙では、銀河の合体は一般的な出来事であった。そしてそれらは形態論から外れた形ばかりだった<ref name="sa296">{{cite journal |last1=Conselice |first1=C. J. |month=February |year=2007 |title=The Universe's Invisible Hand |journal=[[サイエンティフィック・アメリカン]] |volume=296 |issue=2 |pages=35–41}}</ref>。恒星同士程度の距離があれば、銀河衝突による[[惑星系]]への影響はほとんど無い。しかしながら、渦巻銀河の腕を取りまとめる星間ガスや宇宙塵などの重力がはがされると、触覚のような長い腕が伸びた状態になる。例として、[[:en:NGC 4676|NGC 4676]]<ref>{{cite news |last1=Ford |first1=H. |coauthors=''et al.'' |date=2002-04-30 |title=Hubble's New Camera Delivers Breathtaking Views of the Universe |url=http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2002/11/image/d |publisher=Hubble News Desk |accessdate=2012-01-01}}</ref>や[[触角銀河]]<ref>{{cite arxiv |last1=Struck |first1=C. |year=1999 |title=Galaxy Collisions |class=astro-ph |eprint=astro-ph/9908269}}</ref>が知られる。

この相互作用は天の川銀河にも働いており、近傍のアンドロメダ銀河と秒速約120<ref name=New60>[[#ニュートン (2011-9)|ニュートン2011年9月号、pp.60-61、天の川銀河が、アンドロメダ銀河と衝突する]]</ref>-130kmで近づき合っている。そして50-60億年後には衝突する可能性が指摘されている。この衝突において活発な星形成が行われた後、二つの銀河は一度通り過ぎると考えられるが、その際に太陽系がアンドロメダ銀河側に移されてしまう可能性も3%程度ある<ref name=New60 />。そしてふたたび近づき、最終的には一つの楕円銀河になると考えられる<ref name=New60 />。過去にも、天の川銀河は小型の銀河と何度も衝突しており、その証拠は次々と見出されている<ref>{{cite news |last1=Wong |first1=J. |date=2000-04-14 |title=Astrophysicist maps out our own galaxy's end |url= http://www.cita.utoronto.ca/~dubinski/cv.pdf |format=PDF |publisher=[[トロント大学]] |accessdate=2012-01-01|archiveurl=http://web.archive.org/web/20070108183824/http://www.news.utoronto.ca/bin/000414b.asp |archivedate=January 8, 2007}}</ref>。

このような大規模な相互作用が起こることは希である。時間が経過するとともに、同規模の銀河が衝突する事例は少なくなる。ほとんどの明るい銀河では、頻繁に衝突が発生した時期は約100億年前であり、過去数10億年間にわたり抱える星の総数は大きく変化していないと考えられる<ref>{{cite journal |last1=Panter |first1=B. |last2=Jimenez |first2=R. |last3=Heavens |first3=A. F. |last4=Charlot |first4=S. |year=2007 |title=The star formation histories of galaxies in the Sloan Digital Sky Survey |journal=[[王立天文学会]]月報|volume=378 |issue=4 |pages=1550–1564 |arxiv=astro-ph/0608531 |doi=10.1111/j.1365-2966.2007.11909.x |bibcode=2007MNRAS.378.1550P}}</ref>。

== 大規模構造 ==
大深度宇宙を調査すると、銀河同士が近く結合した様子が高い頻度で見つかる。最近の10億年では、同規模の銀河と有意な影響を及ぼし合わない孤立した銀河は比較的少なく、観測からはわずか5%程度しか見つかっていない。これらも過去には合体を経験していたり、小さな衛星銀河を持っている可能性はある。孤立銀河<ref>{{cite web |title=すばる望遠鏡、爆発的な星形成をする「ロゼッタストーン銀河団」を発見|url=http://www.naoj.org/Pressrelease/2011/02/01/j_index.html |publisher=[[すばる望遠鏡]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>は他銀河との相互作用でガスが取り去られる事が無いため、標準的な銀河よりも星形成の割合が高い<ref>{{cite web |last1=McKee |first1=M. |date=2005-06-07 |title=Galactic loners produce more stars |url=http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7478 |publisher=[[ニュー・サイエンティスト]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>

{{multiple image| align = right| direction = vertical| width = 230| image1 = Seyfert Sextet full.jpg| width1 = | alt1 = | caption1 = {{仮リンク|セイファート銀河の六重奏|en|Seyfert's Sextet}}。コンパクト銀河群の例。| image2 = AstroMSseqF 063aL (18135101).jpg| width2 = | alt2 = | caption2 =宇宙の大規模構造を示すシミュレーション。画像は幅4億光年を示す。}}
巨視的には、[[ハッブルの法則]]で明らかになった通り宇宙は膨張しており、それに引きずられて個々の銀河の間隔は基本的に広がっていると考えられる。しかし局地的には、銀河相互に働く引力によって拡張に逆らっている。この銀河の群集は、ダークマターの集まりが銀河をひきつけて、宇宙の初期には形成されていた。そして群集はさらに集まり、大きな集団を形成するようになった。この集合が進展する過程でガスもまた集まり、銀河内部の熱量を高め、30 - 100[[ケルビン|メガケルビン]]にまで達する<ref>{{cite web |url=http://chandra.harvard.edu/xray_sources/galaxy_clusters.html |title=Groups & Clusters of Galaxies |publisher=[[NASA]]/[[:en:Chandra|Chandra]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。このような集まりの質量のうち、70-80%をダークマターを占め、10-30%が熱いガスであり、銀河を構成する物質は残りのわずか数%でしかない<ref>{{cite web |last1=Ricker |first1=P. |title=When Galaxy Clusters Collide |url=http://www.sdsc.edu/pub/envision/v15.2/ricker.html |publisher=[[サンディエゴ・スーパーコンピュータ・センター]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。

宇宙のほとんどの銀河は、ほかの多くの銀河から重力の影響を受けている。その形は3-50個ほどの銀河が集まった[[銀河群]]と呼ばれる小規模な集団に始まり<ref name=Numa168>[[#沼澤ら (2007)|沼津ら 2007、p.168、銀河群]]</ref>、[[フラクタル]]状の階層的段階の集団を構成する。200万光年程度の狭い領域に纏まった銀河群はコンパクト銀河群と呼ばれる<ref name=Numa168 />。最も一般的な集団は50-1000個ほどの銀河が集まった[[銀河団]]であり<ref name=Numa169>[[#沼澤ら (2007)|沼津ら 2007、pp.169-171、銀河団]]</ref>、宇宙そして銀河中の[[バリオン]]物質がつくる主要な構造である<ref>{{cite web |last1=Dahlem |first1=M. |date=2006-11-24 |title=Optical and radio survey of Southern Compact Groups of galaxies |url= http://adsabs.harvard.edu/abs/2007arXiv0708.0076P |publisher=[[バーミンガム大学]] Astrophysics and Space Research Group |accessdate=2012-01-01|archiveurl=http://web.archive.org/web/20070613151936/http://www.atnf.csiro.au/people/mdahlem/sci/SCGs.html |archivedate=June 13, 2007}}</ref>。このような状態を維持するために、銀河群は[[ビリアル定理]]で示されるように飛び出さない程度の速度を保ち、重力で繋がっていなければならない。その一方で[[運動エネルギー]]に欠けているとやがて合体し<ref>{{cite journal |last1=Girardi |first1=M. |last2=Giuricin |first2=G. |year=2000 |title=The Observational Mass Function of Loose Galaxy Groups |journal=アストロフィジカルジャーナル |volume=540 |issue=1 |pages=45–56 |bibcode=2000ApJ...540...45G |doi=10.1086/309314|arxiv = astro-ph/0004149 }}</ref>、{{仮リンク|BC銀河|en|brightest cluster galaxy}}が時とともに[[潮汐力]]で周囲の銀河を破壊し取り込むように、単一の巨大な楕円銀河に組み込まれやすい<ref>{{cite journal |last=Dubinski |first=J. |year=1998 |title=The Origin of the Brightest Cluster Galaxies |url=http://www.cita.utoronto.ca/~dubinski/bcg/ |journal=アストロフィジカルジャーナル |volume=502 |issue=2 |pages=141–149 |doi=10.1086/305901|bibcode=1998ApJ...502..141D|arxiv = astro-ph/9709102 }}</ref>。

[[超銀河団]]とは、個別なり集団なりの万単位の銀河を含む、直径1億光年にも達する銀河の集まり<ref name=Numa174>[[#沼澤ら (2007)|沼津ら 2007、p.174-175、大規模構造の発見]]</ref>。そしてこれらは、広大な薄幕と繊維が空隙を包むような[[宇宙の大規模構造]]を作り上げる<ref name=Numa174 /><ref>{{cite journal |last1=Bahcall |first1=N. A. |year=1988 |title=Large-scale structure in the universe indicated by galaxy clusters |journal=[[:en:Annual Review of Astronomy and Astrophysics|Annual Review of Astronomy and Astrophysics]] |volume=26 |issue=1 |pages=631–686 |bibcode=1988ARA&A..26..631B |doi=10.1146/annurev.aa.26.090188.003215}}</ref>。この規模からの視点を以って、銀河分布は[[等方性媒質|等方性]]と均質性があるものとみなせる<ref>{{cite journal |last1=Mandolesi |first1=N. |coauthors=''et al.'' |year=1986 |title=Large-scale homogeneity of the Universe measured by the microwave background |journal=[[ネイチャー]] |volume=319 |issue=6056 |pages=751–753 |doi=10.1038/319751a0|bibcode = 1986Natur.319..751M }}</ref>。

天の川銀河は、[[局部銀河群]]と呼ばれる約1メガパーセクの領域で集団を形成する銀河の集団に属す。アンドロメダ銀河は天の川銀河と並ぶ大きさを持ち、その他は矮小銀河である<ref>{{cite journal |last1=van den Bergh |first1=S. |year=2000 |title=Updated Information on the Local Group |journal={{仮リンク|太平洋天文学会出版|en|Publications of the Astronomical Society of the Pacific}} |volume=112 |issue=770 |pages=529–536 |bibcode=2000PASP..112..529V |doi=10.1086/316548|arxiv = astro-ph/0001040 }}</ref>。この局部銀河群そのものは雲状の[[おとめ座銀河団]]の一員であり、さらに大きな視点から見るとこれさえ[[おとめ座超銀河団]]に含まれる<ref name="tully1982">{{cite journal |last1=Tully |first1=R. B. |year=1982 |title=The Local Supercluster |journal=アストロフィジカルジャーナル |volume=257 |pages=389–422 |bibcode=1982ApJ...257..389T |doi=10.1086/159999}}</ref>。そしてこの超銀河団も、他の銀河団とともに[[ケンタウルス座]]の方向にある[[グレートアトラクター]]に引きつけられている<ref name=Numa174 />。

== 銀河の未来 ==
現在、星形成が盛んに行われる場所はおしなべて小さく、冷たいガスがあまり消耗されていない銀河である<ref name="sa296" />。天の川銀河のような渦巻銀河では、星間に漂う水素の分子雲が密集するような場所でしか新しい恒星は生まれない<ref>{{cite journal |last1=Kennicutt Jr. |first1=R. C. |last2=Tamblyn |first2=P. |last3=Congdon |first3=C. E. |year=1994 |title=Past and future star formation in disk galaxies |journal=アストロフィジカルジャーナル |volume=435 |issue=1 |pages=22–36 |bibcode=1994ApJ...435...22K |doi=10.1086/174790}}</ref>。楕円銀河のガスはほとんど消費されているため、新しい星が生み出される事はほとんど無い<ref>{{cite book |last1=Knapp |first1=G. R. |year=1999 |title=Star Formation in Early Type Galaxies |publisher={{仮リンク|太平洋天文学会|en|Astronomical Society of the Pacific}} |bibcode=1998astro.ph..8266K |oclc=41302839 |isbn=1-886733-84-8}}</ref>。星形成の材料は有限であり、恒星が水素を重い元素に合成し続ければ、やがて尽きて新たな星は誕生できなくなると考えられる<ref name="cosmic_battle">{{cite web |last1=Adams |first1=Fred |last2=Laughlin |first2=Greg |date=2006-07-13 |title=The Great Cosmic Battle |url=http://www.astrosociety.org/pubs/mercury/0001/cosmic.html|publisher=太平洋天文学会|accessdate=2012-01-01}}</ref>。

1000億年ほどが経過すると、天の川銀河などはおとめ座銀河団の各銀河と合体し、超巨大楕円銀河に纏まってしまうと考えられる。そして、それまでに宇宙の膨張は続き、他の銀河は見かけ上[[光速]]を超える速度で遠ざかるため観測できなくなってしまう<ref name=New66>[[#ニュートン (2011-9)|ニュートン2011年9月号、pp.66-67、わが銀河以外の銀河が見えなくなる]]</ref>。

「星の時代」が衰えを見せ、小さくより寿命が長い[[赤色矮星]]ばかりが銀河系の中心要素となり、よもや恒星が誕生しなくなるのは10兆から100兆年(10<sup>13</sup> – 10<sup>14</sup>年)<ref name=New68>[[#ニュートン (2011-9)|ニュートン2011年9月号、pp.68-69、すべての恒星が燃えつき、恒星の材料もつきる]]</ref>後と見られている。そして星の時代末期は、[[コンパクト星]]、[[褐色矮星]]、より冷えた状態の[[白色矮星]]や[[黒色矮星]]、[[中性子星]]、そして[[ブラックホール]]によって銀河が作られている状態となり、見かけの色も暗い赤色を経てやがて輝きを失う<ref name=New68 />。最終的に、重力の[[緩和時間]]を過ぎれば、全ての星は[[超大質量ブラックホール]]に飲み込まれるか、あるいは衝突を繰り返して銀河間空間に放り出されるかの結果が待っている<ref name="cosmic_battle" /><ref>{{cite web |last1=Pobojewski |first1=S. |date=1997-01-21 |title=Physics offers glimpse into the dark side of the universe |url=http://www.umich.edu/~urecord/9697/Jan21_97/artcl17.htm |publisher=[[ミシガン大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。

なお、[[ダークエネルギー]]が異なる未来図を描く可能性もある。宇宙を膨張させる謎の力とされるダークエネルギーが将来増加すれば、銀河は纏まるよりも早く加速度的な膨張の中で膨れ上がり、やがて引き裂かれる事も考えられる。このシナリオは[[ビッグリップ]]と呼ばれる[[宇宙の終焉]]像の一現象である<ref>[[#ニュートン (2011-9)|ニュートン2011年9月号、p.77、「ダークエネルギー」の正体しだいでは、宇宙膨張が原子すら引き裂くかもしれない]]</ref>。

== 観測の歴史 ==
[[File:Milky Way Galaxy and a meteor.jpg|銀河系の[[銀河核]]|thumb]]
=== 天の川銀河の考察 ===
{{Main|銀河系}}
[[ギリシア哲学]]者[[デモクリトス]](紀元前450年 - 前370年)は、天の川(ミルキーウェイ)と呼ばれる光の帯は、遠くにある星だと述べた<ref>{{cite news |last1=Burns |first1=T. |date=2007-07-31 |title=Constellations reflect heroes, beasts, star-crossed lovers|url=http://www.dispatch.com/live/content/now/stories/2007/07/stars.html|publisher={{仮リンク|コロンバス・ディスパッチ|en|The Columbus Dispatch}} |accessdate=2012-01-01}}</ref>。それに対し[[アリストテレス]](紀元前384年 - 前322年)は、巨大で数多く互いに近接した星々が発する灼熱の呼気が発火することで天の川が輝いていると、そしてこの発火は天の運動と連動している領域である[[大気]]の上部で起こっていると考えた<ref name=Montada>{{cite web |last1=Montada |first1=J. P. |date=2007-09-28|title=Ibn Bajja |work=[[スタンフォード哲学百科事典]]|url=http://plato.stanford.edu/entries/ibn-bajja|accessdate=2012-01-01}}</ref>。[[ネオプラトニズム]]の{{仮リンク|オリンピオドロス|en|Olympiodorus the Younger}}(495年 - 570年)は、天の川が大地と月の間で起こる現象ならば、時期と場所によって異なる様相を見せるはずであり、また離れた場所から観察すれば[[視差]]が確認できるはずだが、そのような事は無いとアリストテレスの説を批判した。彼は天の川は「天」にあるとみなし、この考えは[[イスラム世界]]へ影響を与えた<ref name="heidarzadeh23">{{harvnb|Heidarzadeh|2008|pp=23–25}}</ref>。

{{仮リンク|イスラムの天文学|en|Islamic astronomy}}では、[[イブン・アル・ハイサム]](965年-1037年)が初めて天の川の視差観測に挑み<ref name=mohamed>{{harvnb|Mohamed|2000|pp=49–50}}</ref>、有意な結果を得られなかったことから「これは地球から非常に遠くにあり、大気中の現象ではないと断定できる」と考えた<ref>{{cite web |last1=Bouali |first1=H.-E. |last2=Zghal |first2=M. |last3=Lakhdar |first3=Z. B. |year=2005 |title=Popularisation of Optical Phenomena: Establishing the First Ibn Al-Haytham Workshop on Photography |publisher=The Education and Training in Optics and Photonics Conference |url=http://spie.org/etop/ETOP2005_080.pdf |accessdate=2012-01-01}}</ref>。[[ペルシア人]]の[[アブー・ライハーン・アル・ビールーニー]](973年 - 1048年)は天の川を、「星雲状の星が無数の破片となり集まったもの」であるという見解を示した<ref>{{MacTutor Biography|id=Al-Biruni|title=Abu Rayhan Muhammad ibn Ahmad al-Biruni}}</ref><ref name=al_biruni>{{harvnb|Al-Biruni|2004|p=87}}</ref>。[[アンダルス]]の[[イブン・バーッジャ]](?-1138年)は、天の川が互いに接触するほど近接した星々で構成され、大気上の[[屈折]]効果で繋がったように見えるという説を述べ<ref name=Montada/><ref name="heidarzadeh25">{{harvnb|Heidarzadeh|2008|p=25, Table 2.1}}</ref>、その証拠として木星と火星の[[合 (天文)|合]]を観測した結果を示した<ref name=Montada/>。[[シリア]]生まれの{{仮リンク|イブン・カイイム・アルジャウズィー|en|Ibn Qayyim Al-Jawziyya}}(1292年 - 1350年)は、天の川を「球形に固められた無数の小さな星」であると説明した<ref name=Livingston>{{cite journal |last1=Livingston |first1=J. W. |year=1971 |title=Ibn Qayyim al-Jawziyyah: A Fourteenth Century Defense against Astrological Divination and Alchemical Transmutation |journal={{仮リンク|アメリカンオリエンタルソサエティ機関誌|en|Journal of the American Oriental Society}}|volume=91 |issue=1 |pages=96–103 [99] |doi=10.2307/600445 |jstor=600445}}</ref>。

天の川が無数の星で成り立っていることは、1610年に[[ガリレオ・ガリレイ]]が[[光学望遠鏡]]を用いて研究し証明された<ref>[[#桜井2007|桜井 (2007)、pp.119-130、5.近代への移行期 閉じた宇宙から開いた宇宙へ]]</ref><ref>{{cite web |last1=O'Connor |first1=J. J. |last2=Robertson |first2=E. F. |date=November 2002 |title=Galileo Galilei |url=http://www-gap.dcs.st-and.ac.uk/~history/Biographies/Galileo.html |publisher=[[セント・アンドルーズ大学 (スコットランド)|セント・アンドルーズ大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。1750年、[[トーマス・ライト]]は著作『宇宙の新理論 新仮説』にて天の川を、[[太陽系]]を非常に大規模にしたような、数多い星が[[重力]]で引き合いながら寄せ集まった状態の回転体だと考えた。そして、天の川が空に架かる帯状である理由は、円盤の内側から見ているためだと述べた<ref name="our_galaxy"/>。

[[File:Herschel-Galaxy.png|thumb|left|1785年に[[ウィリアム・ハーシェル]]が提唱した天の川銀河の形。無数の星で形成され、太陽はほぼ中心にあると仮定された。]]
最初に天の川銀河の形状と太陽の位置を記述する試みは、1785年に[[ウィリアム・ハーシェル]]によって行われた。彼は天空の星を丁寧に数え、太陽系がほぼ中心に位置する銀河系の図を作成した<ref>[[#桜井2007|桜井 (2007)、pp.168-178、6.近代の天文学(I) 恒星天文学の成立]]</ref><ref name=paul1993>{{harvnb|Paul|1993|pp=16–18}}</ref>。ただしこれは、全ての星が放つ真の明るさは一定という前提に立っていた<ref name=Sakurai274>[[#桜井2007|桜井 (2007)、pp.274-285、8.20世紀の天文学(I) 銀河宇宙のアイデアと膨張宇宙の発見]]</ref>。1920年には[[ヤコブス・カプタイン]]が考察の末、中心近くに太陽を持つ直径約15キロパーセクという小さな楕円銀河系図を作成した。[[ハーロー・シャプレー]]は[[球状星団]]の一覧を基礎にする手法から、根本的に異なる太陽が中心から離れた約70キロパーセクの平板な円盤状銀河の図にたどり着いた<ref name="our_galaxy" />。これらの考察は、{{仮リンク|銀河平面|en|galactic plane}}に存在する宇宙塵による{{仮リンク|吸光|en|extinction (astronomy)}}を考慮していなかったが、1930年になって[[ロバート・トランプラー]]が[[散開星団]]の研究を通じて吸光の度合いを測り、現在考えられる直径約10万光年の銀河系の姿を描き出した<ref name=Sakurai274 /><ref>{{cite journal |last1=Trimble |first1=V. |year=1999 |title=Robert Trumpler and the (Non)transparency of Space |journal=[[アメリカ天文学会]]会報|volume=31 |issue=31 |pages=1479 |bibcode=1999AAS...195.7409T}}</ref>。

[[File:M51Sketch.jpg|thumb|right|[[ウィリアム・パーソンズ]]が1845年に描いたM51のスケッチ。これは現在[[子持ち銀河]]として知られる。]]
=== 系外銀河の識別 ===
10世紀、イスラムの天文学者[[アブド・アル・ラフマン・アル・スーフィー]]は[[アンドロメダ銀河]]について最古の記録のひとつを残し、これを「小さな雲」と記した<ref name="NSOG">{{harvnb|Kepple|Sanner|1998|p=18}}</ref>。彼はまた、[[イエメン]]で観察した[[大マゼラン雲]]の識別も行った。これはヨーロッパからは見えず、16世紀に[[フェルディナンド・マゼラン]]が航海中に観測するまで知られていなかった<ref name="obspm">{{cite web |title=Abd-al-Rahman Al Sufi (December 7, 903 – May 25, 986 A.D.) |url=http://messier.obspm.fr/xtra/Bios/alsufi.html |publisher=[[パリ天文台]] |accessdate=2012-01-01}}</ref><ref name="obspm2">{{cite web |title=The Large Magellanic Cloud, LMC |url=http://messier.obspm.fr/xtra/ngc/lmc.html |publisher=パリ天文台|accessdate=2012-01-01}}</ref>。

1750年に天の川が円盤状の星の集まりという説を述べたトーマス・ライトは、また夜空に見られる星雲の中には同じような形状を持つものがある可能性を示唆した<ref name="our_galaxy">{{cite web |last1=Evans |first1=J. C. |date=1998-11-24 |title=Our Galaxy|url=http://physics.gmu.edu/~jevans/astr103/CourseNotes/ECText/ch20_txt.htm |publisher=[[ジョージ・メイソン大学]] |accessdate=2012-01-01}}</ref><ref>See text quoted from Wright's ''An original theory or new hypothesis of the Universe'' in {{Cite book |last1=Dyson |first1=F. |year=1979 |title=Disturbing the Universe |page=245 |publisher={{仮リンク|パン・ブックス|en|Pan Books}}|isbn=0-330-26324-2}}</ref>。[[イマヌエル・カント]]は1755年の論文でアンドロメダが孤立した天体だと述べたが、太陽系になる前のガス円盤という考察に止まった<ref>[[#桜井2007|桜井 (2007)、pp.162-166、6.近代の天文学(I) 力学的宇宙観の進展]]</ref>。

18世紀末には[[シャルル・メシエ]]が[[メシエ天体]]の一覧を完成させた。この中には109個の明るい星雲状天体が含まれ、後にウィリアム・ハーシェルによって5000個の星雲リストまで拡張された<ref name="our_galaxy" />。1845年、[[ウィリアム・パーソンズ]]が製作した新しい望遠鏡によって、楕円状と螺旋状の星雲を見分ける事が可能になった。さらに彼はいくつかの星雲について個々の光源を見分け、イマヌエル・カントがかつて主張した説の裏づけを行った<ref>{{cite web |last1=Abbey |first1=L. |title=The Earl of Rosse and the Leviathan of Parsontown |url=http://labbey.com/Telescopes/Parsontown.html |accessdate=2012-01-01}}</ref>。

1912年には[[ヴェスト・スライファー]]が明るい星雲について[[分光法]]を用いた解析を行い、その成分が太陽系に存在する化学物質か否かを調べた。ところが、これらは大きく[[赤方偏移]]していることが判明し、銀河系の[[宇宙速度]]よりも速く遠ざかっている事が判明した<ref name=Sakurai274 />。したがって、これらの星雲は銀河系の重力場に捉えられておらず、その一部とは言いがたい事が示された<ref>{{cite journal |last1=Slipher |first1=V. M. |year=1913 |title=The radial velocity of the Andromeda Nebula |journal=[[ローウェル天文台]]公報|volume=1 |pages=56–57 |bibcode=1913LowOB...2...56S}}</ref><ref>{{cite journal |last1=Slipher |first1=V. M. |year=1915 |title=Spectrographic Observations of Nebulae |journal=[[:en:Popular Astronomy (US magazine)|Popular Astronomy]] |volume=23 |pages=21–24 |bibcode=1915PA.....23...21S}}</ref>。

[[File:Pic iroberts1.jpg|thumb|left|1899年に撮影された大アンドロメダ星雲の写真。後に、この星雲は銀河であることが判明した。]]
1917年、[[ヒーバー・ダウスト・カーチス]]が大アンドロメダ星雲(メシエ天体M31)の中に[[新星]]([[アンドロメダ座S星]])を発見した。さらに写真記録を辿り、新たに11個の新星が見つかった。彼は、これら新星が銀河系内で発生するものようりも平均10[[等級 (天文)|等級]]光が弱い事に着目し、その距離が約15万パーセク離れているとはじき出した。彼は、螺旋状星雲とは独立した銀河であると考える、いわゆる島宇宙仮説 (island universes hypothesis) の提唱者となった<ref>{{cite journal |last=Curtis |first1=H. D. |year=1988 |title=Novae in Spiral Nebulae and the Island Universe Theory |journal={{仮リンク|太平洋天文学会出版|en|Publications of the Astronomical Society of the Pacific}} |volume=100 |pages=6 |bibcode=1988PASP..100....6C |doi=10.1086/132128}}</ref>

1920年、[[ハーロー・シャプレー]]と[[ヒーバー・ダウスト・カーチス]]の間で、天の川や螺旋状星雲および宇宙の[[次元]]についての議論、いわゆる{{仮リンク|シャプレー・カーチス論争|en|The Great Debate}}が行われた<ref>{{cite web |last1=Weaver |first1=H. F. |title=Robert Julius Trumpler |url=http://www.nap.edu/readingroom/books/biomems/rtrumpler.html |publisher=[[米国科学アカデミー]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。

この問題は1920年代初頭に決着を見た。1922年、天文学者の[[エルンスト・エピック]]はアンドロメダ星雲までの距離を理論的に求め、銀河系外の天体であると主張した<ref>{{cite journal |last1=Öpik |first1=E. |year=1922 |title=An estimate of the distance of the Andromeda Nebula |journal=[[アストロフィジカルジャーナル]] |volume=55 |pages=406 |bibcode=1922ApJ....55..406O |doi=10.1086/142680}}</ref>。[[エドウィン・ハッブル]]は、[[ウィルソン山天文台]]に据えられた新造の100インチ望遠鏡を用いて螺旋状星雲中の星々や[[ケフェイド変光星]]を観察し、その距離を求めた。その結果、これらが銀河系の領域をはるかに超える遠い場所にある事を突き止めた<ref name=Sakurai274 /><ref>{{cite journal |last1=Hubble |first1=E. P. |year=1929 |title=A spiral nebula as a stellar system, Messier 31 |journal=アストロフィジカルジャーナル|volume=69 |pages=103–158 |bibcode=1929ApJ....69..103H |doi=10.1086/143167}}</ref>。1926年ハッブルは[[ハッブル分類|銀河の分類]]を発表した<ref>{{cite journal |last1=Sandage |first1=A.|year=1989 |title=Edwin Hubble, 1889–1953 |journal={{仮リンク|カナダ王立天文学会|en|Royal Astronomical Society of Canada}}ジャーナル|volume=83 |issue=6 |pages= |url=http://antwrp.gsfc.nasa.gov/diamond_jubilee/1996/sandage_hubble.html |accessdate=2012-01-01}}</ref>。

[[File:GalacticRotation2.svg|thumb|[[銀河の回転曲線問題]]を示すグラフ。横軸は中心からの距離 (Distance) 、縦軸はその位置にある星の速度 (Velocity) 。理論的には (A) の関係が予測されたが、観測結果は(B) を示した。]]
=== 現代の研究 ===
1944年、[[ヘンドリク・ファン・デ・フルスト]]は恒星間にある[[原子]]状[[水素]]ガスが放つ[[マイクロ波]]である[[21cm線]]の存在を予言した<ref>{{cite web |last1=Tenn |first1=J. |title=Hendrik Christoffel van de Hulst |url=http://www.phys-astro.sonoma.edu/BruceMedalists/vandeHulst |publisher={{仮リンク|ソノマ州立大学|en|Sonoma State University}}|accessdate=2012-01-01}}</ref>。これは、1951年に観測された。この放射線は宇宙塵による吸収の影響を受けないため、ドップラー効果を測れば銀河内におけるそれぞれの運動位置を確定できるため、天の川銀河の研究に役立った。この観測によって、天の川銀河にも[[棒渦巻銀河]]のような構造があるかも知れないという仮説が提唱された<ref>{{cite journal |last1=López-Corredoira |first1=M. |coauthors=''et al.'' |year=2001 |title=Searching for the in-plane Galactic bar and ring in DENIS |journal={{仮リンク|天文学および天体物理学|en|Astronomy and Astrophysics}}|volume=373 |issue=1 |pages=139–152 |bibcode=2001A&A...373..139L |doi=10.1051/0004-6361:20010560|arxiv = astro-ph/0104307 }}</ref>。

1970年代、[[ヴェラ・ルービン]]の研究から[[銀河の回転曲線問題]]が提唱された。銀河中の星からガスまでの視認可能な物質の総量が、これら物質の回転速度から考えられる値に足りていないというものである。この辻褄を合わせるため、巨大な質量を持ちながら不可視の[[ダークマター]]が存在すると説明された<ref>{{cite journal |last1=Rubin |first1=V. C. |year=1983 |title=Dark matter in spiral galaxies |journal=[[サイエンティフィック・アメリカン]] |volume=248 |issue=6 |pages=96–106 |bibcode=1983SciAm.248...96R |doi=10.1038/scientificamerican0683-96}}</ref><ref>{{cite journal |last1=Rubin |first1=V. C. |year=2000 |title=One Hundred Years of Rotating Galaxies |journal=太平洋天文学会出版|volume=112 |issue=772 |pages=747–750 |bibcode=2000PASP..112..747R |doi=10.1086/316573}}</ref>。

[[File:UDFy-38135539.jpg|thumb|left|最も遠くにある銀河のひとつ[[:en:UDFy-38135539| UDFy-38135539]]<ref group="注">最も遠い銀河の発見は常に更新されている。現時点では、2011年1月に発見された[[:en:UDFj-39546284|UDFj-39546284]]が132億光年の距離にある人類が観測した最遠(すなわち最古)の銀河とみなされるが、今後の観測や次世代望遠鏡の運用で更新される可能性がある。([[#ニュートン (2011-8)|ニュートン2011年8月号、pp.84-85、人類が見た、最も遠い銀河の姿]])</ref>]]
1990年初頭、[[ハッブル宇宙望遠鏡]]が天体観察能力を格段に進歩させた。その成果の一つに、もし天の川銀河がダークマターを失えば、本質的には微小に過ぎない星々だけでは維持できないという事が確認された<ref>{{cite news |title=Hubble Rules Out a Leading Explanation for Dark Matter |publisher=Hubble News Desk |date=1994-10-17 |url=http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/1994/41/text/ |accessdate=2012-01-01}}</ref>。また、[[ハッブル・ディープ・フィールド]]と呼ばれる夜空の星が無い部分へ長時間露光することで捉えられる領域を撮影した結果から、宇宙には約1250億個の銀河がある証拠が見つかった<ref>{{cite web |date=2002-11-27 |title=How many galaxies are there? |url=http://imagine.gsfc.nasa.gov/docs/ask_astro/answers/021127a.html |publisher=[[NASA]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。人間が視認できない[[電磁スペクトル]]を検知する電波望遠鏡や赤外線カメラまたは[[X線天文学|X線望遠鏡]]などの技術開発は、ハッブル宇宙望遠鏡では撮影不能な観測を実現した。特に、[[銀河面吸収帯]]と呼ばれる天の川によって視認できない領域の先を調査可能とし、数多い銀河の発見に至った<ref>{{cite journal |last1=Kraan-Korteweg |first1=R. C. |last2=Juraszek |first2=S. |year=2000 |title=Mapping the hidden universe: The galaxy distribution in the Zone of Avoidance |journal={{仮リンク|オーストラリア天文学会|en|Astronomical Society of Australia}}機関紙|volume=17 |issue=1 |pages=6–12 |bibcode=1999astro.ph.10572K|arxiv = astro-ph/9910572 }}</ref>。

{{multiple image| align = right| direction = vertical| width = 220| image1 = Universio C.jpg| caption1 = [[可視光線]]で観察したアンドロメダ銀河。一般的な恒星や宇宙塵が反射する光が見られる。| image2 = Andromeda galaxy.jpg| caption2 = [[紫外線]]で観察したアンドロメダ銀河。若い大質量星の放射が青く見られる。| image3 = Andromeda in X-Ray and Infrared.jpg| caption3 = [[赤外線]]と[[X線]]で観察したアンドロメダ銀河。赤外線を示すオレンジ色は内部の若い星によって温められた宇宙塵の分布を示す。X線を示す青色は、死を迎えた巨大な星の放射を捉えている。}}
=== 観測天文学 ===
天の川銀河の外にも銀河が存在する事が判明してから、初期の段階ではもっぱら[[可視光線]]の観察が行われた。ほとんどの星は可視光線領域に放射の最高点があり、銀河の観察においても{{仮リンク|可視光天文学|en|optical astronomy}}の主要な対象となる。また、イオン化された[[HII領域]]や宇宙塵がつくる腕の観察などでは、[[スペクトル]]分析が用いられる。1970年代からは[[CCDイメージセンサ|CCD]]が導入され、高感度の検出が可能になった<ref>{{cite web |title=銀河団A3528のCCD画像|url=http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/28024/1/rgn24_3_1.pdf |format=PDF|publisher=[[東京大学]]理学部広報|accessdate=2012-01-01}}</ref>。

しかし、星間物質中に存在する宇宙塵は可視光線で把握しづらい。そこで、[[赤外線]]を観察する手法が用いられる。これは、巨大分子雲や銀河中心の観察にも有効である<ref>{{cite web |title=Near, Mid & Far Infrared |url=http://www.ipac.caltech.edu/Outreach/Edu/Regions/irregions.html |publisher={{仮リンク|赤外線処理分析センター|en|Infrared Processing and Analysis Center}}/[[NASA]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。また、赤方偏移を起こしている宇宙の初期段階に形成された銀河の観察にも使われる。赤外線は[[大気]]中の[[水蒸気]]や[[二酸化炭素]]に吸収されやすいため、観測には高地の天文台や宇宙望遠鏡が使われる<ref>{{cite web |title=赤外線観測とは|url=http://www-ir.ess.sci.osaka-u.ac.jp/www_fite/contents/fite_background.html |publisher=[[大阪大学]]赤外線天文学センター|accessdate=2012-01-01}}</ref>。

最初の非可視光線による銀河観測は、活動銀河を対象に、[[電波]]が用いられた。5[[キロヘルツ]]から30[[ギガヘルツ]]の間の電波は、大気の干渉をほとんど受けず透過する<ref>{{cite web |title=The Effects of Earth's Upper Atmosphere on Radio Signals |url=http://radiojove.gsfc.nasa.gov/education/educ/radio/tran-rec/exerc/iono.htm |publisher=[[NASA]] |accessdate=2012-01-01}}</ref>。大きな電波[[干渉法|干渉計]]は活動銀河が銀河バルジから放つ宇宙ジェットを捉えることができる。また[[電波望遠鏡]]は、初期宇宙に存在し、のちに銀河形成の材料となったイオン化されていない水素が崩壊時に放つ[[21cm線]]の観察を可能とする<ref>{{cite news |title=Giant Radio Telescope Imaging Could Make Dark Matter Visible |url=http://www.sciencedaily.com/releases/2006/12/061214135537.htm |publisher={{仮リンク|サイエンス・デイリー|en|Science Daily}} |date=2006-12-14 |accessdate=2012-01-01}}</ref>。このような分野は[[電波天文学]]と呼ばれる<ref>{{cite web |title=電波天文学|url=http://radio.mtk.nao.ac.jp/radioastro.html |publisher=大学共同利用法人・自然科学研究機構 国立天文台・電波研究部|accessdate=2012-01-01}}</ref><ref>{{cite web |title=電波天文学入門|url=http://www.nro.nao.ac.jp/entry/03.html |publisher=国立天文台 野辺山|accessdate=2012-01-01}}</ref>。

[[紫外線天文学]]や[[X線天文学]]は非常に詳しい銀河の現象を観察できる。遠い銀河で、星の物質が強い潮汐力によってブラックホールに引きずり込まれる際、紫外線の発光が起こる<ref>{{cite news |title=NASA Telescope Sees Black Hole Munch on a Star |url=http://www.nasa.gov/mission_pages/galex/galex-20061205.html|publisher=[[NASA]] |date=2006-12-05 |accessdate=2012-01-01}}</ref>。銀河団の中に漂う熱せられたガス成分はX線の観察によって図案化できる。また、銀河中心に位置する超大質量ブラックホールの存在も、X線天文学がもたらした成果のひとつである<ref>{{cite web |last1=Dunn |first1=R. |title=An Introduction to X-ray Astronomy |url=http://www-xray.ast.cam.ac.uk/xray_introduction/ |publisher={{仮リンク|ケンブリッジ大学天文学研究所|en|Institute of Astronomy}} X-Ray Group |accessdate=2012-01-01}}</ref>。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[近い銀河の一覧]]
{{Commons|Category:Galaxies}}
*[[銀河天文学]]
* [[暗黒銀河]]

*[[銀河団]]
== 参考文献 ==
*[[超大質量ブラックホール]]
*{{cite book|和書|title=新版 天文学史|author=桜井邦朋|publisher=ちくま書房|edition=第1刷|year=2007年|isbn=978-4-480-09069-0|ref=桜井2007}}
*[[メシエ天体]]
*{{Cite journal|和書|author=編集長:[[竹内均]]|year=2011年|title=[[ニュートン (雑誌)|ニュートン]]2011年8月号、雑誌07047-08|publisher=[[ニュートンプレス]] |ref=ニュートン (2011-8)}}
*[[ニュージェネラルカタログ]] (NGC)
*{{Cite journal|和書|author=編集長:[[竹内均]]|year=2011年|title=[[ニュートン (雑誌)|ニュートン]]2011年9月号、雑誌07047-09|publisher=[[ニュートンプレス]] |ref=ニュートン (2011-9)}}
*[[インデックスカタログ]] (IC)
*{{Cite book|和書|author=沼澤茂美、脇屋奈々代|year=2007年|title=宇宙|publisher=[[成美堂出版]] |isbn=978-4-415-30019-1|ref=沼澤ら (2007)}}
*{{Cite book |ref=harv|last=Al-Biruni |others=R. Ramsay Wright (transl.) |year=2004 |title=The Book of Instruction in the Elements of the Art of Astrology |url=http://books.google.com/books?id=VbPna7GOoIEC&pg=PA87 |publisher=[[:en:Kessinger Publishing|Kessinger Publishing]] |isbn=0766193071}}
*{{Cite book |ref=harv |last1=Belkora |first1=L. |year=2003 |title=Minding the Heavens: the Story of our Discovery of the Milky Way |publisher=[[:en:CRC Press|CRC Press]] |isbn=0750307307}}
*{{Cite book |ref=harv |last1=Bertin |first1=G. |last2=Lin |first2=C.-C. |year=1996 |title=Spiral Structure in Galaxies: a Density Wave Theory |publisher=[[マサチューセッツ工科大学]]出版局 |isbn=0262023962}}
*{{Cite book|last1=Binney |first1=J. |last2=Merrifield |first2=M. |year=1998 |title=Galactic Astronomy |publisher=[[プリンストン大学]]出版局 |isbn=0-691-00402-1 |oclc=39108765}}
*{{Cite book |last1=Dickinson |first1=T. |year=2004 |title=The Universe and Beyond |edition=4th |publisher=Firefly Books |isbn=1-55297-901-6 |oclc=55596414}}
*{{Cite book |ref=harv |last1=Heidarzadeh |first1=T. |year=2008 |title=A History of Physical Theories of Comets, from Aristotle to Whipple |publisher=[[シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア]] |isbn=1-4020-8322-X}}
*{{Cite book |ref=harv |last1=Kepple |first1=G. R. |last2=Sanner |first2=G. W. |year=1998 |title=The Night Sky Observer's Guide, Volume 1 |publisher=Willmann-Bell |isbn=0-943396-58-1}}
*{{Cite book |ref=harv |last1=Mohamed |first1=M. |year=2000 |title=Great Muslim Mathematicians |publisher=Penerbit UTM |isbn=983-52-0157-9 |oclc=48759017}}
*{{Cite book |ref=harv |last1=Paul |first1=E. R. |year=1993 |title=The Milky Way Galaxy and Statistical Cosmology, 1890–1924 |publisher=[[ケンブリッジ大学出版局]] |isbn=0521353637}}
*{{Cite book |ref=harv |last1=Sparke |first1=L. S. |last2=Gallagher III |first2=J. S. |year=2000 |title=Galaxies in the Universe: An Introduction |publisher=ケンブリッジ大学出版局 |isbn=0-521-59704-4}}
*{{cite book |ref=harv |last1=Van den Bergh |first1=S. |year=1998 |title=Galaxy Morphology and Classification |publisher=ケンブリッジ大学出版局 |isbn=0521623359}}
*{{cite book |ref=harv |last1=Waller |first1=W. H. |last2=Hodge |first2=P. W. |year=2003 |title=Galaxies and the Cosmic Frontier |publisher=[[ハーバード大学]]出版局 |isbn=0674010795}}

== 脚注 ==
=== 注釈 ===
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=== 脚注 ===
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commons category|Galaxies}}
{{Wiktionary|galaxy}}
* [http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/galaxy/galaxy00.html 国立科学博物館-宇宙の質問箱-銀河編]
* [http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/galaxy/galaxy00.html 国立科学博物館-宇宙の質問箱-銀河編]
* [http://www.seds.org/messier/galaxy.html Galaxies, SEDS Messier pages]
* [http://www.atlasoftheuniverse.com/ An Atlas of The Universe]
* [http://www.nightskyinfo.com/galaxies Galaxies — Information and amateur observations]
* [http://science.nasa.gov/headlines/y2002/08feb_gravlens.htm The Oldest Galaxy Yet Found]
* [http://www.galaxyzoo.org Galaxy classification project, harnessing the power of the internet and the human brain]
* [http://www.physics.org/facts/sand-galaxies.asp How many galaxies are in our universe?]
* [http://www.astronoo.com/en/galaxies.html The most beautiful galaxies on Astronoo]


{{銀河}}
{{銀河}}

2012年1月4日 (水) 13:36時点における版

NGC 4414かみのけ座にある典型的な渦巻銀河。直径約55,000光年。地球からの距離はおよそ6000万光年の彼方にある。

銀河(ぎんが、: galaxy)は、恒星コンパクト星ガス状の星間物質宇宙塵、そして重要な働きをするが正体が詳しく分かっていないダークマターなどが重力のよって拘束された巨大な天体である[1][2]。英語「galaxy」はギリシア語の「galaxias、γαλαξίας」)を語源とし、意味は銀河系を指す「Milky Way」の語源でもあるミルクである。

銀河には、1000万(107程度の星[3]で成り立つ矮小銀河から、100兆(1014)個の星々を持つ巨大な銀河まである[4]。これら星々は恒星系星団などを作り、その間には希薄なガス状の星間物質や宇宙塵が集まる星間雲宇宙線が満ちている。ほとんどの銀河では質量の約90%をダークマターが占める。観測結果によれば、すべてではなくともほとんどの銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在すると示唆される。これは、いくつかの銀河で見つかる活動銀河の根源的な動力と考えられ、銀河系もこの一例に当たると思われる[5]

歴史上、銀河はその具体的な形状を元に分類された。それは視覚的な形態論を以って考察された。一般的な形態は、楕円形の光の輪郭を持つ楕円銀河である[6][2- 1]渦巻銀河は細かな粒が集まった、曲がった腕を持つ形状である。不規則でまれな形状を持つ銀河は不規則銀河と呼ばれ、近くの銀河から引力の影響を受けて形を崩したものである。近接する銀河の間に働く相互作用は、時に星形成を盛んに誘発しながらスターバースト銀河へと発達し、最終的に合体する場合もある。特定の構造を持たない小規模な銀河は不規則銀河に分類される[7]

観測可能な宇宙の範囲には、少なくとも1700億個の銀河が存在すると考えられる[8][9]。大部分の直径は1,000から100,000パーセク[10]であり、中には数百万パーセクにような巨大なものもある[11]銀河系間空間英語版は、1立方メートル当たり平均1個未満の原子が存在するに過ぎない非常に希薄なガス領域である。ほとんどの銀河は階層的な集団を形成し、これらは銀河団やさらに多くが集まった超銀河団として知られている。さらに大規模な構造では、銀河団は超空洞と呼ばれる銀河が存在しない領域を取り囲む銀河フィラメントを形成する[12]

語源

英語「galaxy」は、本来は太陽系が所属する銀河系天の川銀河)を指すギリシア語galaxias (γαλαξίας)またはkyklos galaktikosから派生したもので、に広がる「の輪」を意味する[13]ギリシア神話では、神ゼウスが死の運命を持つ人間の女性に産ませた幼子ヘーラクレースを不死にしようと、眠るヘーラーの胸に置いた。子供はほとばしる母乳を飲み、不死となった。しかしヘーラーは目覚め、見知らぬ幼児が乳を飲んでいる事に気づき、突き放した。すると彼女の母乳が夜空に噴き出し、ミルキーウェイの名で知られる軟らかな光の帯となった[14]。天文学における表記では、大文字で始まる単語「Galaxy」は私たちの銀河系を指し、他の無数にある銀河と区別している[15]

ウィリアム・ハーシェルが1786年に星雲目録を纏めた際、例えばM31などに「spiral nebula」(渦巻く星雲)という表現を用いた。これらが後に星々が集まった巨大な塊だということが分かり、本来の距離が判明すると、「island universes」(島宇宙)と呼ばれるようになった。しかし単語「Universe」(宇宙)は存在すべてを包括する言葉であったため、島宇宙という表現は廃れ、代わりに「galaxy」(銀河)という語が使われるようになった[16]

日本語の「銀河」は中国語の「銀河」(または「天河」)を由来とし、これは天の川の見た目の色を元に名づけられている[17]

種類と形態論

ハッブル分類による銀河のタイプ分け。Eは楕円銀河の種類、Sは螺旋銀河の種類を指す。SBは棒渦巻銀河である。表の左側は「早期型」右側は「晩期型」とも呼ばれる[注 1]

銀河は、主に楕円型・渦巻型(渦巻・棒渦巻)・レンズ状を含む不定形がある[18]ハッブル分類はこれをより包括的に記述した分類である[18]。しかしあくまで外観上の特徴を捉えた考察であるため、スターバースト銀河のように星形成の程度や活動銀河のような活発な中心部を持つものなど、おのおのの重要な特性を反映していないという指摘もある[7]

楕円銀河

ハッブル分類では、楕円銀河はその楕円率によって区分され、正円に近いもの E0 から始まり高楕円率の E7 までがある[19]。この区分は、視角による見かけの形状ではなく、銀河そのものがどの程度の楕円体であるかで評価される。楕円銀河の内部には何らかの構造がほとんど見られず[18]、一般には比較的小さな星間物質で構成されている。したがって、この種の銀河は散開星団の下限に含まれ、星形成が活発ではない。そして、多くは古く寿命を経た星が任意の方角にある重心を回っている状態にある。このような特徴は、銀河よりも遥かに小さな球状星団と似通った部分がある[20]

知られている最大の銀河は楕円銀河である[21]。このような楕円銀河は、衝突や合体など銀河同士の相互作用によって形成されたと考えられる。そのため、渦巻銀河などと比較すると巨大なものになり、しばしば大規模な銀河団の中心近くで発見される[22]。例えば、おとめ座銀河団の中心にある巨大楕円銀河M87は、中心部にあるブラックホールは太陽質量の30億倍以上(天の川銀河中心のブラックホールは太陽質量の400万倍)もあり、現在でも1000以上の伴銀河を引き連れている[23]スターバースト銀河は、楕円銀河へ成長する過程のひとつと捉えることができる[20]。なお、このような銀河団の中心に存在する巨大な楕円銀河はcD銀河へ分類される[18]

子持ち銀河。渦巻銀河の構造が解かれている例。

渦巻銀河

渦巻銀河は、薄い円盤状の回転する星々や星間物質で構成され、通常は中心部に近くなるほど古い星が多くなる。そして、中央の銀河バルジから比較的明るい渦巻き腕状の構造が伸びている[18]。ハッブル分類では、渦巻銀河は S で示され、小文字 (a,b,c) で腕の粗密やバルジの規模を表す[19]。Sa は湾曲度合いが大きく個別の識別が不明瞭な腕を持ち、大きなバルジを持つ銀河を指す。Sc に分類される銀河の腕は開放的で、そのバルジは小さい[24]。渦巻銀河のうち、わずかな腕だけの銀河を羊毛型旋回銀河英語版[25](または毛ふさ状渦巻銀河[26])と言い、逆にしっかりと識別可能で湾曲具合が激しい腕が観察できる銀河をgrand design spiral galaxyと言う[27]

渦巻銀河の腕は、銀河を一様に回転する星の相互作用から、対数螺旋に近似した形状を持つ。星々と同様に、腕はバルジを中心に回転し、その角速度は一定である。この渦巻く腕は高密度の物質が集まる領域、もしくは密度波と考えられている[28]。星がこの腕の領域に入ると恒星系の宇宙速度が影響を受け、腕部分を抜けると元に戻る。これは、自動車が道路で渋滞にはまると速度が落ち、抜けると早くなる現象と酷似している。そしてこの高密度な状態が星形成を促進するため、腕は輝いて見える。つまりは、腕部分には若い星が多く存在する[29]

NGC 1300。棒渦状星雲の例。

渦巻銀河の大多数は、バルジから両方向に伸びる直線的な棒状の星の帯を持ち、渦巻構造と接続している[30]。ハッブル分類では SB で表し、小文字 (a,b,c) は渦巻銀河と同様に腕の粗密を表す[19]。この棒構造は、バルジ部分や他の銀河から寄せられた銀河潮英語版による密度波によって作られた一時的なものと考えられている[31]。また多くの棒渦巻銀河は、棒構造に沿ってガスがバルジに流れ込むため、活動的である[32]

天の川銀河は直径約30キロパーセク、厚さ約1キロパーセクの棒渦巻銀河である[33]。約2000億 (2×1011) の星があり[34]、全重量は太陽の6000億倍 (6×1011) である[35]

ホウグ天体英語版、リング銀河の例。
NGC 5866、レンズ状銀河の例。

その他の形態

他の銀河との相互作用によって変わった特性を持つ異形の銀河がある。リング銀河(または車輪銀河)は、環状の星々が露出した中心部を取り巻いている構造を持つ。これは、比較的小さな銀河が渦巻銀河の中心部を通過することで生じると考えられる[18][36]。このような衝突は、赤外線分析の結果から多重環構造が見つかったアンドロメダ銀河でも起こったと考えられる[37]

レンズ状銀河は、楕円銀河と渦巻銀河双方の特徴を有する中間型に位置する。これはハッブル分類では S0 で示される。レンズ状銀河は不明瞭な渦巻き状の腕がありながら、楕円形状のハロを持つ[38]。ガスの量に乏しく、星形成は盛んではないと考えられる[18]

これ以外に、形態論上容易に分類できない銀河も多く、これらは一括して不規則銀河と呼ばれ、何らかの構造を持つがハッブル分類には当てはめられない種類は Irr-I 、構造を持たない種類は Irr-II と識別される[39]。ガス成分が多く、星形成は活発だと考えられる[18]

矮小銀河

大きな楕円・渦巻銀河が目立つが、宇宙のほとんどの銀河は規模が小さく、これらは矮小銀河と言い[18]、天の川銀河の1/100程度に当たる数十億個の星を持つに止まる。最近、銀河系から約100パーセク程度の距離に、非常に小さな矮小銀河が発見された[40]

多くの矮小銀河は、大きな銀河を周回していると考えられる。天の川銀河は、少なくとも12個ほどの矮小銀河を伴っており、さらに未発見の300-500個程度があるものと思われる[41]。矮小銀河の区分には、矮小楕円銀河矮小渦巻銀河・不規則銀河といったものがある[18]。矮小楕円銀河の形状は大きな楕円銀河とかけ離れているため、矮小楕円体銀河とも呼ばれる。

天の川銀河周辺にある27個の矮小銀河を調査した結果によると、星の総数が数千から数百万とあったが、その中心部の質量はおしなべて太陽質量のおよそ1000万倍であることが判った。これは、銀河質量においてダークマターが占める割合の高さを示し、また、規模の下限からウォームダークマターによって起こされる重力結合の限界を知ることができる可能性も示唆された[42]

異例な変動や活動

相互作用銀河

触角銀河は、衝突を経て結果的に合体した銀河である。

集団の中にある銀河は、その直径と比べるとお互いの距離が近い。そのため、銀河間には相互作用が頻繁に働き、銀河に変化を与える重要な役割を果たす。銀河同士が接近すると、銀河潮英語版によってひずみや曲がりが生じ、さらにはガスや塵を交換させるようになる[43]

2つの銀河が互いに近づく際、通り抜けるに充分な相対的速度を持つ場合には、合体ではなく衝突が生じる。この過程で中の星々がぶつかり合うことは希で[44]、一般的にはやがて2つの銀河は通り過ぎてゆく。しかしガスや塵には合体が起こる。これが星間物質を掻き混ぜ、圧縮させると、爆発的な星形成に繋がる[44]。衝突は、棒や環、または尾っぽのような構造を銀河にもたらす[44][43]

相互作用の極端な例は、銀河の合体である。これは、銀河の接近速度が遅く、徐々に重なり合いながら単一の大きな銀河へ成長する。その形は、合体前と大きく変貌する場合がある。ただし大きさが極端に違う場合は銀河の捕食 (Galactic cannibalism) と呼ばれ、小さな銀河は形を崩し、大きな銀河には比較的変化が生じない。天の川銀河は、現在いて座矮小楕円銀河おおいぬ座矮小銀河を捕食しつつある[43]

M82は典型的なスターバースト銀河。星の生成率は通常の10倍に達する[45]。中心部から上下に広がる赤い放射は電離した水素ガスである[46]

スターバースト銀河

恒星は、銀河内の巨大な分子雲で作られる冷たいガスから生成される。いくつかの銀河において、この星生成が例外的に活発な現象が発見され、これらはスターバースト銀河と呼ばれる。そこでは、銀河によっては通常の100-1000倍規模の星が生まれ、この過程で発せられる強い赤外線を観測できるものを超光度赤外線銀河という[47]。しかしながら、このような状態が続くと銀河内のガスが急激に消費されるため、スターバースト状態は銀河の寿命から考えれば非常に短い1000万年程度しか持続しないと考えられる。初期の宇宙では、スターバースト銀河は一般的だったと推定され[48]、現在でもすべての恒星生成の15%を占めている[49]

スターバースト銀河は塵やガスが豊富で、大質量の星々が電離した雲で囲まれたHII領域を持つ[50]。これらの大質量星が起こす超新星爆発超新星残骸を撒き散らし、周囲のガスなどに強い作用を与える。そして、ガス領域の至る所で新しい星の生成を連鎖反応的に起こす。これは、利用可能なガスのほとんどが消費されるか広く分散してしまうまで続く[48]

スターバースト銀河はしばしば相互作用銀河と関係する。この一つの例がM82であり、近接するより大きな銀河M81からの影響を受けている[46]。不規則銀河の存在は、宇宙におけるスターバースト活動のかたまりを示している場合がある[51]

活動銀河

電波を放つ楕円銀河M87の中心部から放たれる放射。

観察された銀河の中には、非常に活動的な種類のものがある。すなわち、銀河から放出されるエネルギーの大部分が星やガス・星間物質とは異なる部分を元にしている。これらは活動銀河と呼ばれる。

このエネルギー発生源は、銀河中心に存在する超大質量ブラックホール (SMBH) 周囲に形成された降着円盤である。活動銀河中心核の放射現象は、降着円盤の物質がブラックホールに落ち込む際の銀河潮に由来する[47][52]。この物質のうち約10%程度が、中心部から双方向に1組の宇宙ジェットとなり、光速に近い速度で噴出してゆく。ただし、このメカニズムははっきりと判明していない[53]

活動銀河のうち、高エネルギーの放射線を発するものがあり、X線が検知される種類は光度によってセイファート銀河クエーサーと呼ばれる[47]ブレーザーとは宇宙ジェットが地球の方向へ放たれている種類である。電波銀河は、宇宙ジェット部分あらゆる周波数の電波を放出する銀河である。これらは、観察者の視角に基づいた活動銀河の分類である[53]

活動銀河は、スターバースト銀河と同様に低電離中心核輝線領域 (LINER) との関連が指摘される。LINERタイプの銀河から放たれる放射は、弱くイオン化された物質である[54]。近隣に存在する銀河のうちおよそ1/3はLINERタイプのの中心部を持っていると考えられる[52][54][55]

銀河の形成と進化

銀河の構造および進化に関する研究は、銀河がどのようにして生まれ、そして宇宙の歴史においてどのように変化していったのかという疑問を明らかにしようとする。この分野におけるさまざまな理論は広く受け入れられているが、一方で天体物理学のなかで活発な研究が行われている分野でもある。

ヨーロッパ南天天文台のL. Calçadaによる、若い銀河の想像図

形成

現代、初期の宇宙形成モデルはビッグバン理論に基づいている。ビッグバン発生から約30万年後、水素ヘリウム原子核が合成され、さらに自由電子を取り込む再結合をへて元素が形成された(ビッグバン原子核合成)。ほとんどの水素はイオン化されておらず光子の運動に干渉しなかった。この時点では星は形成されておらず、宇宙は「暗黒時代」と呼ばれる時期にあった。この状態に変化を与えたものが、原始的物質の密度の変動(まはた異方性)であり、コールドダークマターハロの中でバリオンが凝集を始めた[56][57]。このように、初歩段階ではダークマターが先に凝集を始め、そこにガスが集まった構造物が、現在の銀河となったと考えられる[58][59]

2006年、赤方偏移の度合いが非常に高い銀河IOK-1が発見された。偏移量6.96は、ビッグバン後7億5000万年に相当し、これは確認された最古の銀河のひとつと考えられている[60]。他にも、Abell 1835 IR1916英語版のような高い赤方偏移の銀河発見もあり、IOK-1が示す時代とその構造は信頼されるものとなった。これら初期の原始銀河は、宇宙がいわゆる暗黒時代にあった頃に成長を続けていたと考えられる[56]

今のところ、この初期銀河の詳細な形成過程は判明しておらず、天文学上の大きな未解決問題のひとつである。提案されている理論には、大きく分けてトップダウンモデルとボトムアップモデルがある[58]。トップダウンモデルとは、エデン・リンデンベル・サンデージ (ELS) モデル[61]のように、宇宙開闢から1億年経過頃に大規模なガスの収縮が起こり、それが分裂しながら超銀河団が形成された[58]という考えである[62]。ボトムアップモデルは、サーレ・ズィン (SZ) モデル[61]のように、最初は銀河系質量の1/100程度に相当する比較的小規模なガスのかたまりが生じ、そこから生じた球状星団の集まりが段々と集まりながら大きな銀河を形成するようになったというものである[58][63]。しかし、初期銀河の観測実績はほとんど無く、銀河誕生モデルは謎のままである[58]

銀河の先駆体が収縮を始めた後、その中に種族IIIの恒星による銀河ハロが現れるようになる。ほとんどが水素とヘリウムからなるこれらの星は一様に巨大で[64]、比較的早く超新星爆発を起こし重金属を星間物質に撒いたと考えられる[65]。 この現象は周囲の水素元素を電離し、泡状に広がったと考えられる[66]

左下のアイ・ツヴィッキー18英語版は、新しく形成された銀河と見なされる[67][68]

進化

宇宙開闢から10億年の間に、鍵となる構造が現れるようになる。球状星団、巨大なブラックホール、金属量に乏しい種族IIの恒星による銀河バルジである。超大質量ブラックホールの発生は、総物質量に制限を加えることで銀河の進化を促す重要な役割を果たした[69]。この初期の頃、銀河では盛んに星が形成される[70]

次の20億年にかけて、蓄積された物質は銀河円盤を形成するようになる[71]。銀河は一生を通じて星間雲や矮小銀河との合体を通じて物質を吸収し続ける[72]。この物質はほとんどが水素やヘリウムだが、恒星の誕生と死が繰り返されるうちに重元素が増えてゆき、その中に惑星を持つようになる[73]

銀河の発展は相互作用と衝突が大きな影響を与えた。初期宇宙では、銀河の合体は一般的な出来事であった。そしてそれらは形態論から外れた形ばかりだった[74]。恒星同士程度の距離があれば、銀河衝突による惑星系への影響はほとんど無い。しかしながら、渦巻銀河の腕を取りまとめる星間ガスや宇宙塵などの重力がはがされると、触覚のような長い腕が伸びた状態になる。例として、NGC 4676[75]触角銀河[76]が知られる。

この相互作用は天の川銀河にも働いており、近傍のアンドロメダ銀河と秒速約120[77]-130kmで近づき合っている。そして50-60億年後には衝突する可能性が指摘されている。この衝突において活発な星形成が行われた後、二つの銀河は一度通り過ぎると考えられるが、その際に太陽系がアンドロメダ銀河側に移されてしまう可能性も3%程度ある[77]。そしてふたたび近づき、最終的には一つの楕円銀河になると考えられる[77]。過去にも、天の川銀河は小型の銀河と何度も衝突しており、その証拠は次々と見出されている[78]

このような大規模な相互作用が起こることは希である。時間が経過するとともに、同規模の銀河が衝突する事例は少なくなる。ほとんどの明るい銀河では、頻繁に衝突が発生した時期は約100億年前であり、過去数10億年間にわたり抱える星の総数は大きく変化していないと考えられる[79]

大規模構造

大深度宇宙を調査すると、銀河同士が近く結合した様子が高い頻度で見つかる。最近の10億年では、同規模の銀河と有意な影響を及ぼし合わない孤立した銀河は比較的少なく、観測からはわずか5%程度しか見つかっていない。これらも過去には合体を経験していたり、小さな衛星銀河を持っている可能性はある。孤立銀河[80]は他銀河との相互作用でガスが取り去られる事が無いため、標準的な銀河よりも星形成の割合が高い[81]

セイファート銀河の六重奏。コンパクト銀河群の例。
宇宙の大規模構造を示すシミュレーション。画像は幅4億光年を示す。

巨視的には、ハッブルの法則で明らかになった通り宇宙は膨張しており、それに引きずられて個々の銀河の間隔は基本的に広がっていると考えられる。しかし局地的には、銀河相互に働く引力によって拡張に逆らっている。この銀河の群集は、ダークマターの集まりが銀河をひきつけて、宇宙の初期には形成されていた。そして群集はさらに集まり、大きな集団を形成するようになった。この集合が進展する過程でガスもまた集まり、銀河内部の熱量を高め、30 - 100メガケルビンにまで達する[82]。このような集まりの質量のうち、70-80%をダークマターを占め、10-30%が熱いガスであり、銀河を構成する物質は残りのわずか数%でしかない[83]

宇宙のほとんどの銀河は、ほかの多くの銀河から重力の影響を受けている。その形は3-50個ほどの銀河が集まった銀河群と呼ばれる小規模な集団に始まり[84]フラクタル状の階層的段階の集団を構成する。200万光年程度の狭い領域に纏まった銀河群はコンパクト銀河群と呼ばれる[84]。最も一般的な集団は50-1000個ほどの銀河が集まった銀河団であり[85]、宇宙そして銀河中のバリオン物質がつくる主要な構造である[86]。このような状態を維持するために、銀河群はビリアル定理で示されるように飛び出さない程度の速度を保ち、重力で繋がっていなければならない。その一方で運動エネルギーに欠けているとやがて合体し[87]BC銀河英語版が時とともに潮汐力で周囲の銀河を破壊し取り込むように、単一の巨大な楕円銀河に組み込まれやすい[88]

超銀河団とは、個別なり集団なりの万単位の銀河を含む、直径1億光年にも達する銀河の集まり[89]。そしてこれらは、広大な薄幕と繊維が空隙を包むような宇宙の大規模構造を作り上げる[89][90]。この規模からの視点を以って、銀河分布は等方性と均質性があるものとみなせる[91]

天の川銀河は、局部銀河群と呼ばれる約1メガパーセクの領域で集団を形成する銀河の集団に属す。アンドロメダ銀河は天の川銀河と並ぶ大きさを持ち、その他は矮小銀河である[92]。この局部銀河群そのものは雲状のおとめ座銀河団の一員であり、さらに大きな視点から見るとこれさえおとめ座超銀河団に含まれる[93]。そしてこの超銀河団も、他の銀河団とともにケンタウルス座の方向にあるグレートアトラクターに引きつけられている[89]

銀河の未来

現在、星形成が盛んに行われる場所はおしなべて小さく、冷たいガスがあまり消耗されていない銀河である[74]。天の川銀河のような渦巻銀河では、星間に漂う水素の分子雲が密集するような場所でしか新しい恒星は生まれない[94]。楕円銀河のガスはほとんど消費されているため、新しい星が生み出される事はほとんど無い[95]。星形成の材料は有限であり、恒星が水素を重い元素に合成し続ければ、やがて尽きて新たな星は誕生できなくなると考えられる[96]

1000億年ほどが経過すると、天の川銀河などはおとめ座銀河団の各銀河と合体し、超巨大楕円銀河に纏まってしまうと考えられる。そして、それまでに宇宙の膨張は続き、他の銀河は見かけ上光速を超える速度で遠ざかるため観測できなくなってしまう[97]

「星の時代」が衰えを見せ、小さくより寿命が長い赤色矮星ばかりが銀河系の中心要素となり、よもや恒星が誕生しなくなるのは10兆から100兆年(1013 – 1014年)[98]後と見られている。そして星の時代末期は、コンパクト星褐色矮星、より冷えた状態の白色矮星黒色矮星中性子星、そしてブラックホールによって銀河が作られている状態となり、見かけの色も暗い赤色を経てやがて輝きを失う[98]。最終的に、重力の緩和時間を過ぎれば、全ての星は超大質量ブラックホールに飲み込まれるか、あるいは衝突を繰り返して銀河間空間に放り出されるかの結果が待っている[96][99]

なお、ダークエネルギーが異なる未来図を描く可能性もある。宇宙を膨張させる謎の力とされるダークエネルギーが将来増加すれば、銀河は纏まるよりも早く加速度的な膨張の中で膨れ上がり、やがて引き裂かれる事も考えられる。このシナリオはビッグリップと呼ばれる宇宙の終焉像の一現象である[100]

観測の歴史

銀河系の銀河核

天の川銀河の考察

ギリシア哲学デモクリトス(紀元前450年 - 前370年)は、天の川(ミルキーウェイ)と呼ばれる光の帯は、遠くにある星だと述べた[101]。それに対しアリストテレス(紀元前384年 - 前322年)は、巨大で数多く互いに近接した星々が発する灼熱の呼気が発火することで天の川が輝いていると、そしてこの発火は天の運動と連動している領域である大気の上部で起こっていると考えた[102]ネオプラトニズムオリンピオドロス(495年 - 570年)は、天の川が大地と月の間で起こる現象ならば、時期と場所によって異なる様相を見せるはずであり、また離れた場所から観察すれば視差が確認できるはずだが、そのような事は無いとアリストテレスの説を批判した。彼は天の川は「天」にあるとみなし、この考えはイスラム世界へ影響を与えた[103]

イスラムの天文学英語版では、イブン・アル・ハイサム(965年-1037年)が初めて天の川の視差観測に挑み[104]、有意な結果を得られなかったことから「これは地球から非常に遠くにあり、大気中の現象ではないと断定できる」と考えた[105]ペルシア人アブー・ライハーン・アル・ビールーニー(973年 - 1048年)は天の川を、「星雲状の星が無数の破片となり集まったもの」であるという見解を示した[106][107]アンダルスイブン・バーッジャ(?-1138年)は、天の川が互いに接触するほど近接した星々で構成され、大気上の屈折効果で繋がったように見えるという説を述べ[102][108]、その証拠として木星と火星のを観測した結果を示した[102]シリア生まれのイブン・カイイム・アルジャウズィー英語版(1292年 - 1350年)は、天の川を「球形に固められた無数の小さな星」であると説明した[109]

天の川が無数の星で成り立っていることは、1610年にガリレオ・ガリレイ光学望遠鏡を用いて研究し証明された[110][111]。1750年、トーマス・ライトは著作『宇宙の新理論 新仮説』にて天の川を、太陽系を非常に大規模にしたような、数多い星が重力で引き合いながら寄せ集まった状態の回転体だと考えた。そして、天の川が空に架かる帯状である理由は、円盤の内側から見ているためだと述べた[112]

1785年にウィリアム・ハーシェルが提唱した天の川銀河の形。無数の星で形成され、太陽はほぼ中心にあると仮定された。

最初に天の川銀河の形状と太陽の位置を記述する試みは、1785年にウィリアム・ハーシェルによって行われた。彼は天空の星を丁寧に数え、太陽系がほぼ中心に位置する銀河系の図を作成した[113][114]。ただしこれは、全ての星が放つ真の明るさは一定という前提に立っていた[115]。1920年にはヤコブス・カプタインが考察の末、中心近くに太陽を持つ直径約15キロパーセクという小さな楕円銀河系図を作成した。ハーロー・シャプレー球状星団の一覧を基礎にする手法から、根本的に異なる太陽が中心から離れた約70キロパーセクの平板な円盤状銀河の図にたどり着いた[112]。これらの考察は、銀河平面に存在する宇宙塵による吸光を考慮していなかったが、1930年になってロバート・トランプラー散開星団の研究を通じて吸光の度合いを測り、現在考えられる直径約10万光年の銀河系の姿を描き出した[115][116]

ウィリアム・パーソンズが1845年に描いたM51のスケッチ。これは現在子持ち銀河として知られる。

系外銀河の識別

10世紀、イスラムの天文学者アブド・アル・ラフマン・アル・スーフィーアンドロメダ銀河について最古の記録のひとつを残し、これを「小さな雲」と記した[117]。彼はまた、イエメンで観察した大マゼラン雲の識別も行った。これはヨーロッパからは見えず、16世紀にフェルディナンド・マゼランが航海中に観測するまで知られていなかった[118][119]

1750年に天の川が円盤状の星の集まりという説を述べたトーマス・ライトは、また夜空に見られる星雲の中には同じような形状を持つものがある可能性を示唆した[112][120]イマヌエル・カントは1755年の論文でアンドロメダが孤立した天体だと述べたが、太陽系になる前のガス円盤という考察に止まった[121]

18世紀末にはシャルル・メシエメシエ天体の一覧を完成させた。この中には109個の明るい星雲状天体が含まれ、後にウィリアム・ハーシェルによって5000個の星雲リストまで拡張された[112]。1845年、ウィリアム・パーソンズが製作した新しい望遠鏡によって、楕円状と螺旋状の星雲を見分ける事が可能になった。さらに彼はいくつかの星雲について個々の光源を見分け、イマヌエル・カントがかつて主張した説の裏づけを行った[122]

1912年にはヴェスト・スライファーが明るい星雲について分光法を用いた解析を行い、その成分が太陽系に存在する化学物質か否かを調べた。ところが、これらは大きく赤方偏移していることが判明し、銀河系の宇宙速度よりも速く遠ざかっている事が判明した[115]。したがって、これらの星雲は銀河系の重力場に捉えられておらず、その一部とは言いがたい事が示された[123][124]

1899年に撮影された大アンドロメダ星雲の写真。後に、この星雲は銀河であることが判明した。

1917年、ヒーバー・ダウスト・カーチスが大アンドロメダ星雲(メシエ天体M31)の中に新星アンドロメダ座S星)を発見した。さらに写真記録を辿り、新たに11個の新星が見つかった。彼は、これら新星が銀河系内で発生するものようりも平均10等級光が弱い事に着目し、その距離が約15万パーセク離れているとはじき出した。彼は、螺旋状星雲とは独立した銀河であると考える、いわゆる島宇宙仮説 (island universes hypothesis) の提唱者となった[125]

1920年、ハーロー・シャプレーヒーバー・ダウスト・カーチスの間で、天の川や螺旋状星雲および宇宙の次元についての議論、いわゆるシャプレー・カーチス論争が行われた[126]

この問題は1920年代初頭に決着を見た。1922年、天文学者のエルンスト・エピックはアンドロメダ星雲までの距離を理論的に求め、銀河系外の天体であると主張した[127]エドウィン・ハッブルは、ウィルソン山天文台に据えられた新造の100インチ望遠鏡を用いて螺旋状星雲中の星々やケフェイド変光星を観察し、その距離を求めた。その結果、これらが銀河系の領域をはるかに超える遠い場所にある事を突き止めた[115][128]。1926年ハッブルは銀河の分類を発表した[129]

銀河の回転曲線問題を示すグラフ。横軸は中心からの距離 (Distance) 、縦軸はその位置にある星の速度 (Velocity) 。理論的には (A) の関係が予測されたが、観測結果は(B) を示した。

現代の研究

1944年、ヘンドリク・ファン・デ・フルストは恒星間にある原子水素ガスが放つマイクロ波である21cm線の存在を予言した[130]。これは、1951年に観測された。この放射線は宇宙塵による吸収の影響を受けないため、ドップラー効果を測れば銀河内におけるそれぞれの運動位置を確定できるため、天の川銀河の研究に役立った。この観測によって、天の川銀河にも棒渦巻銀河のような構造があるかも知れないという仮説が提唱された[131]

1970年代、ヴェラ・ルービンの研究から銀河の回転曲線問題が提唱された。銀河中の星からガスまでの視認可能な物質の総量が、これら物質の回転速度から考えられる値に足りていないというものである。この辻褄を合わせるため、巨大な質量を持ちながら不可視のダークマターが存在すると説明された[132][133]

最も遠くにある銀河のひとつ UDFy-38135539[注 2]

1990年初頭、ハッブル宇宙望遠鏡が天体観察能力を格段に進歩させた。その成果の一つに、もし天の川銀河がダークマターを失えば、本質的には微小に過ぎない星々だけでは維持できないという事が確認された[134]。また、ハッブル・ディープ・フィールドと呼ばれる夜空の星が無い部分へ長時間露光することで捉えられる領域を撮影した結果から、宇宙には約1250億個の銀河がある証拠が見つかった[135]。人間が視認できない電磁スペクトルを検知する電波望遠鏡や赤外線カメラまたはX線望遠鏡などの技術開発は、ハッブル宇宙望遠鏡では撮影不能な観測を実現した。特に、銀河面吸収帯と呼ばれる天の川によって視認できない領域の先を調査可能とし、数多い銀河の発見に至った[136]

可視光線で観察したアンドロメダ銀河。一般的な恒星や宇宙塵が反射する光が見られる。
紫外線で観察したアンドロメダ銀河。若い大質量星の放射が青く見られる。
赤外線X線で観察したアンドロメダ銀河。赤外線を示すオレンジ色は内部の若い星によって温められた宇宙塵の分布を示す。X線を示す青色は、死を迎えた巨大な星の放射を捉えている。

観測天文学

天の川銀河の外にも銀河が存在する事が判明してから、初期の段階ではもっぱら可視光線の観察が行われた。ほとんどの星は可視光線領域に放射の最高点があり、銀河の観察においても可視光天文学英語版の主要な対象となる。また、イオン化されたHII領域や宇宙塵がつくる腕の観察などでは、スペクトル分析が用いられる。1970年代からはCCDが導入され、高感度の検出が可能になった[137]

しかし、星間物質中に存在する宇宙塵は可視光線で把握しづらい。そこで、赤外線を観察する手法が用いられる。これは、巨大分子雲や銀河中心の観察にも有効である[138]。また、赤方偏移を起こしている宇宙の初期段階に形成された銀河の観察にも使われる。赤外線は大気中の水蒸気二酸化炭素に吸収されやすいため、観測には高地の天文台や宇宙望遠鏡が使われる[139]

最初の非可視光線による銀河観測は、活動銀河を対象に、電波が用いられた。5キロヘルツから30ギガヘルツの間の電波は、大気の干渉をほとんど受けず透過する[140]。大きな電波干渉計は活動銀河が銀河バルジから放つ宇宙ジェットを捉えることができる。また電波望遠鏡は、初期宇宙に存在し、のちに銀河形成の材料となったイオン化されていない水素が崩壊時に放つ21cm線の観察を可能とする[141]。このような分野は電波天文学と呼ばれる[142][143]

紫外線天文学X線天文学は非常に詳しい銀河の現象を観察できる。遠い銀河で、星の物質が強い潮汐力によってブラックホールに引きずり込まれる際、紫外線の発光が起こる[144]。銀河団の中に漂う熱せられたガス成分はX線の観察によって図案化できる。また、銀河中心に位置する超大質量ブラックホールの存在も、X線天文学がもたらした成果のひとつである[145]

関連項目

参考文献

  • 桜井邦朋『新版 天文学史』(第1刷)ちくま書房、2007。ISBN 978-4-480-09069-0 
  • 編集長:竹内均ニュートン2011年8月号、雑誌07047-08」、ニュートンプレスエラー: year に「年」の漢字は付けないでください。月や日まで含める場合や「年」の漢字を付ける必要のある場合は year を使用せず date に記入してください。 
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脚注

注釈

  1. ^ ハッブルは分類において、表の左側に置いた楕円銀河が変化し、右側の渦巻銀河になると考えた。しかし現在では、これら銀河の形態は誕生時の条件に左右されると考えられている。(ニュートン2011年8月号、pp.66-67、ハッブルがえがいた銀河の系統樹沼津ら 2007、p.158
  2. ^ 最も遠い銀河の発見は常に更新されている。現時点では、2011年1月に発見されたUDFj-39546284が132億光年の距離にある人類が観測した最遠(すなわち最古)の銀河とみなされるが、今後の観測や次世代望遠鏡の運用で更新される可能性がある。(ニュートン2011年8月号、pp.84-85、人類が見た、最も遠い銀河の姿

脚注

  1. ^ Sparke & Gallagher III 2000, p. i
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脚注2

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  1. ^ Graham, A. W.; Guzmán, R. (2003). “HST Photometry of Dwarf Elliptical Galaxies in Coma, and an Explanation for the Alleged Structural Dichotomy between Dwarf and Bright Elliptical Galaxies”. アストロノミカル・ジャーナル英語版 125 (6): 2936–2950. arXiv:astro-ph/0303391. Bibcode2003AJ....125.2936G. doi:10.1086/374992. 

外部リンク

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