イマジン (ジョン・レノンの曲)

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イマジン
ジョン・レノンシングル
初出アルバム『イマジン
B面 イッツ・ソー・ハード
1971年
労働階級の英雄
1975年
リリース
規格 7インチシングル
録音 1971年
ジャンル ソフト・ロック
ポップ
時間
レーベル アップル・レコード
(1971年)
パーロフォンEMI
(1975年)
作詞・作曲 ジョン・レノン
オノ・ヨーコ
プロデュース フィル・スペクター
ジョン・レノン
オノ・ヨーコ
チャート最高順位
ジョン・レノン シングル 年表
人々に勇気を
(1971年)
イマジン
(1971年)
ハッピー・クリスマス(戦争は終った)
(1971年)

スタンド・バイ・ミー
(1975年)

イマジン
(1975年)

スターティング・オーヴァー
1980年
テンプレートを表示
イマジン
ジョン・レノン楽曲
収録アルバムイマジン
リリース1971年9月9日
録音1971年
ジャンルロック
時間3分01秒
レーベルアップル・レコード
EMI
作詞者ジョン・レノン
オノ・ヨーコ
作曲者ジョン・レノン
オノ・ヨーコ
プロデュースジョン・レノン
オノ・ヨーコ
フィル・スペクター
イマジン収録順
イマジン クリップルド・インサイド
(2)

イマジン」(英語: Imagine)は、1971年に発表されたジョン・レノンの代表曲である。

解説

ジョンのソロ時代のアルバムイマジン』のタイトル・ナンバーである。ジョンのソロ作品の中で極めて人気が高く、1999年BMIは "Imagine" を top 100 most performed songs of the 20th centuryとした。2002年にはギネスブックを発行しているギネス・ワールド・レコーズ社が31,000人以上から取った「英国史上最高のシングル曲は?」というアンケートの結果、「ボヘミアン・ラプソディ」に次ぐ第2位を獲得し、2004年に『ローリング・ストーン(Rolling Stone)』誌が選んだ「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500(The RS 500 Greatest Songs of All Time)」では3位にランクされた。2005年1月に the Canadian Broadcasting Corporation はリスナーによる投票で本作を過去100年のうちで最も偉大な歌とした。

ジョンは完成当時「やっと(ポール・マッカートニー作の)イエスタデイみたいないい曲ができた」と喜んだという[1]。なお、「イマジン」の原曲はビートルズ在籍時にすでに存在しており、1969年の「ゲット・バック・セッション」で演奏されたテープが残されている。

歌詞

国家宗教所有欲によって起こる対立や憎悪を無意味なものとし、曲を聴く人自身もこの曲のユートピア的な世界を思い描き共有すれば世界は変わる、と訴えかける。人類愛平和を勧める歌として多くの人々に愛唱されてきたが、共産主義的思想であるという批判も存在し、ラジオテレビなどでは時に放送禁止になったりもする。反戦歌であるためイギリスではフォークランド紛争湾岸戦争の時期にBBCは放送を規制したり[2]アメリカ同時多発テロ事件によるクリア・チャンネル社のメモにもリスト入りした。

「Imagine (想像しなさい)」と呼びかける形で始まる歌詞[注釈 1]について、ジョンは、オノ・ヨーコの詩集『グレープフルーツ』から拝借したと語った。ヨーコの詩集『グレープフルーツ』の中にある詩「ツナフィッシュ・ピース・サンドウィッチ」には「想像して、千の太陽が一度にのぼるところを…」というくだりがあり、ジョンはそのフレーズがいたく気に入って曲のタイトルなどに使用したという訳である。ヨーコが第二次世界大戦時を東京で過ごしたことが、その平和希求の歌詞に反映したのではないかともいわれている。

発表当時、本曲の作詞者にヨーコの名は加えられていなかったが、後にジョンは「あの当時は自分勝手で男性的だった」とヨーコを署名に加えなかったことを恥じていたという。このことが影響してか、2017年6月に本作はヨーコとの共作と認定されている[3]。なお、元となったヨーコの詩集『グレープフルーツ』は曲が発表された年にイギリスで発行されている。

近年、曲の歌い出しである「天国は存在しない」の部分が葬儀にふさわしくないとして、イギリスの葬儀では使用が禁止されている[4]

「宗教もない」については、死の直前のインタビューで「完全に自由な信仰」だとジョン・レノンは語った。なお、アメリカ合衆国のキリスト教徒には "(Nothing to kill or die for) and no religion, too" の一節が嫌悪され、カバーされる場合において、節そのものが削除されたり、極端な場合では"no"が"one"に変えられたりすることがある、とデズモンド・モリスは述べた[5]。他にも、2011-12年のニューヨークの新年カウントダウンイベントではシーロー・グリーンが当節を "and All religion's true" に変えて歌い、賛否両論を受けた[6]。インタビューによれば、楽曲に権利を持つオノ・ヨーコは歌詞の改変を認めていない。

シングル盤

1971年、「イッツ・ソー・ハード」とのカップリングでアメリカ日本などでシングル・カットされた。アメリカでは最高第3位であった[7]イギリスでは、アルバム『ジョンの魂』収録曲「労働階級の英雄」とのカップリングで4年後の1975年になってシングルとして発売され、最高第6位、ジョンの死後の1981年にチャートに再登場して全英1位となった。映画のサウンドトラック・アルバムに収録されシングル・カットと何度もリエントリーされそのたびに世界各地のヒット・チャートをにぎわした。

クレジット

カバー

本作には「イエスタデイ」、「サムシング」と並び膨大な量のカバーが存在し、クイーンボン・ジョヴィニール・ヤングデヴィッド・ボウイマドンナアヴリル・ラヴィーンア・パーフェクト・サークルRCサクセション布施明Mr.Children等が演奏している。また、あくまでテレビの演出の一環としてであるが、クリントン大統領もカバーした。

Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ』では、2003年本木雅弘が、2007年樹木希林がこの曲の日本語訳の詞を朗読した。

最近では、アウラ・ヴェーリスによる「イマジン~ピアノとチェロによるジョン・レノン・クラシックス」(日本コロムビア:2012年12月)での収録がある。

補足

脚注

注釈

  1. ^ 1963年にジョンは、"Imagine"同様に「想像しなさい」と呼びかける形で始まる楽曲"I'll Get You"を発表している(ポール・マッカートニーとの共作名義)。その歌詞は"Imagine I'm in love with you, it's easy cause I know." と続く。

出典

  1. ^ ジョン・レノン「やっと“イエスタデイ”みたいないい曲ができた」”. BARKS. ジャパンミュージックネットワーク株式会社 (2013年6月29日). 2018年10月30日閲覧。
  2. ^ 森達也『放送禁止歌』光文社知恵の森文庫、2003年 149-150頁 ISBN 9784334782252
  3. ^ ジョン・レノンの名曲「イマジン」、オノ・ヨーコさん共作と認定”. 産経ニュース (2016年1月3日). 2018年10月30日閲覧。
  4. ^ イギリスの大手葬儀社「Co-operative Funeralcare」の調査による。
  5. ^ リチャード・ドーキンス神は妄想である』P10より
  6. ^ Golgowski, Nina (2012年1月2日). “Cee Lo Green changes lyrics to Lennon's Imagine to include pro-religion message enraging fans”. Daily Mail (London). http://www.dailymail.co.uk/news/article-2081011/Cee-Lo-Green-changes-lyrics-Lennons-Imagine-include-pro-religion-message-enraging-fans.html 2018年10月30日閲覧。 
  7. ^ Blaney, John (2007). Lennon and McCartney: Together Alone (1st ed.). Jawbone Press. ISBN 978-1-906002-02-2 

外部リンク

John Lennon