呉座勇一

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呉座 勇一
(ござ ゆういち)
人物情報
生誕 1980年(40 - 41歳)
日本の旗 日本東京都練馬区
出身校 東京大学文学部日本史学科
学問
研究分野 日本中世史
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呉座 勇一(ござ ゆういち、1980年[1][2][3] - )は、日本中世史を専門にする歴史学者国際日本文化研究センターの非常勤の機関研究員を務める。東京都練馬区出身[2][4]

略歴[編集]

1999年3月に海城高等学校を卒業した[5]

2003年3月に東京大学文学部日本史学科を卒業した[6]

2008年3月に東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を単位取得し満期退学した[1][7]

2011年6月に東京大学の博士号(文学)を取得した[7]博士論文は「日本中世の地域社会における集団統合原理の研究 領主の一揆を中心として」[8]

2012年4月には同研究科の研究員となり[7]、2014年4月には東京大学大学院総合文化研究科の学術研究員となった[7]

2015年4月には国際日本文化研究センター客員准教授となった[7]

2016年10月から、国際日本文化研究センターの助教を務める[7]

2021年10月から、国際日本文化研究センターの非常勤の機関研究員を務める[7][9]

研究・活動内容[編集]

一揆の研究[編集]

主な研究テーマは一揆[7]。大学時代の指導教員は歴史学者の村井章介であった[1]

呉座が著したベストセラー『一揆の原理』では、「一般的に一揆といえば江戸時代百姓一揆が代表的と見なされる中で、中世の一揆は一味神水などの宗教儀礼によって成立する人々の統合原理であり、偏在するのみである江戸時代よりも広範に社会に存在していた」とし、中世の一揆の方がより本来的であると指摘している。

呉座が博士論文で述べた中世後期領主一揆論は『日本中世の領主一揆』として出版された。

応仁の乱の研究[編集]

呉座の著書『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中公新書)の出版によって日本国内で日本中世史ブームが起こり[10]、同書に続くように亀田俊和観応の擾乱』、峰岸純夫享徳の乱』などが出版された。

百田尚樹への批判[編集]

2018年小説家百田尚樹が著した『日本国紀』を呉座は歴史学者として批判し[11]、また同書の監修を務めた久野潤とも論争を繰り広げた[12][13]

不祥事[編集]

女性蔑視発言[編集]

2021年、呉座が自身のTwitterアカウントにおいて、自身の関係者のみが閲覧できる設定(いわゆる鍵つきアカウント)としていた上で、女性を蔑視する発言や女性への誹謗中傷を繰り返していたことが明らかになった[14]

北村紗衣への攻撃[編集]

誹謗中傷の主たる対象の1人はフェミニズム研究者の女性[9]北村紗衣(武蔵大学准教授、当時)[15]であり、呉座は長期間にわたり北村を名指しで攻撃していた[16]。内容は次のようなものであった[14]

さえぼう【編者注:北村のハンドルネーム】の権利主張こそ「私はこんなにすごい研究者なのに女だから正当に評価されない!」というのが根底にあって、エリートとしての義務を果たそうとしているところを見たことがない

ぶっちゃけ、さえぼうは「自分は凄いのに(女性だから女性差別の日本社会では?)正当に評価されていない」と言いたいだけだよな。ポスドクが言うならわかるんだが、もう後進を指導していく立場なんだから、社会問題にみせかけた自分語りはそろそろやめたらどうなのか

これらの発言は当初は呉座の関係者のみが閲覧できるものであったが、閲覧者の一部がそのスクリーンショットを撮影して北村へ送信するなどして北村本人へ伝わっていった[14]。北村は連日の攻撃により執筆業に支障をきたすほどの苦痛を受け、涙を流すこともあった[17]

抗議と謝罪[編集]

北村はこれらの発言に対し、呉座に抗議を行った[18]SNS上でも、その内容が誹謗中傷またはミソジニーであるとして呉座への批判が高まった[19]

呉座は「一連の揶揄、誹謗中傷について深く反省し、お詫び申し上げます」と謝罪文を投稿した[18]

余波[編集]

呉座は翌2022年放送予定のNHK大河ドラマ鎌倉殿の13人』で時代考証担当の一人として務める予定であったが、2021年3月23日、呉座本人の申し出により降板した。NHKは番組公式ツイッターで「自身のツイッター投稿の一部内容が不適切であった責任を取り、降板したいとの申し出がありました。番組制作サイドもその事実を確認し、降板していただくことにしました」と発表した[20][18][19]

呉座が勤務する国際日本文化研究センター(日文研)は3月24日、所長の井上章一の名で謝罪を掲載した。所長および副所長が呉座へ厳重注意を行ったうえで「引き続き経緯を精査し規則等に照らし適切な対処を行います」と報告した[21][22]

2021年4月6日、呉座は当該の自身のTwitterアカウント(@goza_u1)を1週間後に削除すると報告し、あらためて謝罪した[23]

日文研の人事権を持つ人間文化研究機構は、2021年9月13日付で呉座に停職1か月の懲戒処分を下した[9]

受賞歴[編集]

著書[編集]

単著[編集]

  • 一揆の原理 日本中世の一揆から現代のSNSまで』洋泉社、2012年9月26日。ISBN 978-4800300195
  • 『戦争の日本中世史―「下剋上」は本当にあったのか』新潮社新潮選書〉、2014年1月24日。ISBN 978-4106037399
  • 『日本中世の領主一揆』思文閣出版、2014年2月28日。ISBN 978-4784217212- 博士論文
  • 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱中央公論新社中公新書 2401〉、2016年10月19日。ISBN 978-4121024015同書は発売後約10か月で発行部数が40万部を超え、室町時代を扱う歴史解説書としては異例の売上となった[28]
  • 『陰謀の日本中世史』KADOKAWA角川選書〉、2018年3月9日。ISBN 978-4040821221
  • 『日本中世への招待』朝日新聞出版朝日新書〉、2020年2月13日。ISBN 978-4022950574
  • 『頼朝と義時 武家政権の誕生』講談社講談社現代新書〉、2021年11月17日。ISBN 978-4065261057

編書[編集]

共書[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 呉座、2014
  2. ^ a b c 【決定のお知らせ】第12回角川財団学芸賞”. 角川文化振興財団 (2014年10月2日). 2019年1月15日閲覧。
  3. ^ 教養がある人ほど「陰謀論」に引っかかる バカだから騙されるわけじゃない”. プレジデントオンライン (2018年6月2日). 2019年1月15日閲覧。
  4. ^ 呉座 勇一 - 基本データ”. Facebook. 呉座勇一. 2021年9月3日閲覧。
  5. ^ 同級生、今度はラジオ出演!|同期会・同窓会ひろば” (日本語). 海城学園同窓会 海原会. 2019年1月15日閲覧。
  6. ^ 呉座 勇一 - 研究者”. researchmap. 2019年1月15日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h 呉座 勇一”. 国際日本文化研究センター. 2021年10月18日閲覧。
  8. ^ 日本中世の地域社会における集団統合原理の研究 : 領主の一揆を中心として”. CiNii Dissertations. 2019年1月15日閲覧。
  9. ^ a b c 日文研の元助教に懲戒処分 長期にわたりSNSで不適切発言繰り返す” (日本語). 京都新聞. 2021年10月20日閲覧。
  10. ^ 「文藝春秋」編集部. “室町時代がブーム 「応仁の乱」の次は“足利尊氏と弟の対立””. 文春オンライン. 2021年4月17日閲覧。
  11. ^ (呉座勇一の歴史家雑記)通説と思いつきの同列やめて:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2021年4月17日閲覧。
  12. ^ 勇一, 呉座 (2019年1月10日). “『日本国紀』監修者・久野潤氏の反論に応える①” (日本語). アゴラ 言論プラットフォーム. 2021年4月17日閲覧。
  13. ^ 勇一, 呉座 (2019年1月11日). “『日本国紀』監修者・久野潤氏の反論に応える②” (日本語). アゴラ 言論プラットフォーム. 2021年4月17日閲覧。
  14. ^ a b c 西澤 千央 (2021年4月1日). “「匿名で悪口スクショが続々と…」呉座勇一氏“中傷投稿”問題、渦中の北村紗衣氏が語る顛末”. 週刊文春. https://bunshun.jp/articles/-/44495 2021年9月3日閲覧。 
  15. ^ 北村紗衣”. 2021年10月21日閲覧。
  16. ^ 松尾 (2021年3月23日). “大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、時代考証の1人が降板!SNSでの不適切投稿で自ら申し出”. エンタメRBB. イード. 2021年3月25日閲覧。
  17. ^ 西澤 千央 (2021年4月1日). “自分を責める気持ちが湧いてきて…呉座勇一氏“中傷投稿”問題、北村紗衣氏が語る「二次加害の重み」”. 週刊文春. https://bunshun.jp/articles/-/44496 2021年9月3日閲覧。 
  18. ^ a b c 呉座さんが大河の時代考証降板 22年、不適切投稿で申し出」『共同通信』、2021年3月23日。2021年8月7日閲覧。
  19. ^ a b 来年NHK大河「鎌倉殿の13人」時代考証・呉座勇一氏が降板 ツイッターに不適切投稿 自ら降板申し出」『スポニチアネックス』、2021年3月23日。2021年3月23日閲覧。
  20. ^ 「鎌倉殿の13人」時代考証の呉座勇一氏が降板”. 産経新聞. 産経新聞社 (2021年3月23日). 2021年3月23日閲覧。
  21. ^ 花澤茂人「SNSで女性研究者を中傷 呉座勇一助教を日文研が注意」『毎日新聞』、2021年3月24日。2021年3月25日閲覧。
  22. ^ 国際日本文化研究センター教員の不適切発言について”. 国際日本文化研究センター (2021年3月24日). 2021年3月26日閲覧。
  23. ^ 呉座勇一氏ツイッターアカウント1週間後に削除へ 不適切投稿を改めて謝罪”. 日刊スポーツ (2021年4月6日). 2021年7月7日閲覧。
  24. ^ “『応仁の乱』が第52回「書店新風賞」の特別賞を受賞”. 中央公論新社. (2017年12月19日). http://www.chuko.co.jp/news/103666.html 2019年1月15日閲覧。 
  25. ^ 官報』7404号、2018年12月6日
  26. ^ 紺綬褒章伝達式が挙行されました | トピックス | 信州大学
  27. ^ 紺綬章は業績ではなく寄付行為によって授与される
  28. ^ 【広角レンズ】「室町本」に熱視線 現代に重なる!?中世史が面白い (1/3ページ) SankeiBiz (2017年9月18日)

外部リンク[編集]