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小和田哲男

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小和田 哲男おわだ てつお
人物情報
生誕 (1944-02-01) 1944年2月1日(82歳)
日本の旗 日本 静岡県静岡市
出身校 千代田区立番町小学校
千代田区立麹町中学校
城北高校
早稲田大学教育学部
早稲田大学大学院文学研究科
子供 小和田泰経
学問
研究分野 日本中世史
特に戦国時代史、後北条氏今川氏
研究機関 静岡大学
学位 文学博士早稲田大学
称号 静岡大学名誉教授
公益財団法人日本城郭協会理事長
岐阜関ケ原古戦場記念館館長
主な業績 『今川氏家臣団の研究』(2001年)
『今川氏とその時代―地域研究と歴史教育』(2009年)
学会 国史学会静岡県地域史研究会静岡古城研究会織豊期研究会武田氏研究会中世史研究会日本古文書学会日本史研究会日本史攷究会日本城郭史学会日本歴史学会民衆史研究会歴史科学協議会歴史学研究会日本城郭協会戦国史研究会歴史教育者協議会歴史地理学会地方史研究協議会
主な受賞歴 早稲田大学小野梓記念学術賞(1965年)
公式サイト
小和田哲男オフィシャルサイト
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小和田 哲男
YouTube
チャンネル
活動期間 2020年4月25日[1][2] - 現在
登録者数 5.68万人
総再生回数 約795.3万回
チャンネル登録者数・総再生回数は
2026年1月10日時点。
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小和田 哲男(おわだ てつお、1944年昭和19年〉2月1日 - )は、日本歴史学者文学博士[3]静岡大学名誉教授[4]日本城郭協会理事長[3]岐阜関ケ原古戦場記念館館長。研究分野は、日本中世史、特に戦国時代[4]後北条氏[5]今川氏[6]

経歴

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静岡県静岡市生まれ、東京都育ち。家族や親戚から「母方の先祖が武田家臣の馬場信春だ」と聞かされて育った[7]。自身のYouTubeチャンネルでの発言によると、母親の旧姓が馬場であり、実家の家系図によると馬場信春の弟の家系ではないか、とのこと。幼稚園から父親の仕事のために東京で育ち、小さな頃から皇居(江戸城)を目の当たりにしていたことで城への興味が沸いたと述べている。[8]

東京都内の千代田区立番町小学校千代田区立麹町中学校城北高校を経て[9]早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業、1972年大学院文学研究科博士課程満期退学。1985年に「戦国大名後北条氏の領国制 後北条氏研究」で早稲田大学より文学博士の学位を取得。

1973年(昭和48年)に静岡大学教育学部の専任講師、助教授を経て1987年に教授。教育学部長、附属図書館長を務め、2009年3月に定年退任して名誉教授。2011年には武田氏研究会の会長。

歴史学者小和田泰経は子息[10]

研究業績

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  • 今川氏は学生時代からの研究テーマ[6]であり、研究書としての『小和田哲男著作集』中の第2巻『今川氏家臣団の研究』は今川氏家臣団を研究した内容としては現時点では最も詳細な方に入る。特に、桶狭間の戦い織田信長に討たれたためマイナスイメージが強かった今川義元を、経済開発など領国統治の手腕に着目して再評価した[6]
  • 基本的には戦国時代から江戸時代の資料を参考にしている。従来は創作性が強く史料的価値が低くみられていた『甲陽軍鑑』を再評価した酒井憲二の国語学的な研究に賛同し、実証的研究の立場から『甲陽軍鑑』を再評価している[11]。また、その一方で、他の研学者・専門家から「史料の検出方法や解釈に問題がある」との意見も出されている。一例として、未発見の後北条氏分国法『伊勢宗瑞十七ヶ条(仮題)』条文内容の検出をしているが[12]、その史料解釈や方法に問題点があるとされている[13]
  • 日本の城についても研究しており、講演などの際には訪問先の城や城跡に行くよう心がけており、体力づくりのためトレーニングジムに通っている[6]日本100名城の選定委員も務めた。

人物

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  • 小学生の時に江戸城明治時代以降は皇居)の石垣を見て驚く[6]など子供の頃から歴史が好きで、1年生のクラブ活動で歴史部を創設して、顧問の社会科教師に高柳光寿『明智光秀』の輪読を薦められ、明智光秀に関心を持つ[14]
  • 本格的な研究者向けの著作がある一方で、歴史研究の初心者にも読みやすいように図を入れたり文章などに配慮したりした本も多く出版している。『日本史おもしろこぼれ話』のような歴史の余談に関する著作もある。このため特定の戦国武将のファンから反発を受けることもあり、武田信玄が女子供を生け捕りにして売ったことを書いた著作には抗議が来たこともあるという[6]
  • 執筆、講演活動、そしてNHKその時歴史が動いた』や教育テレビNHK高校講座 日本史』などで解説を務める。

大河ドラマの時代考証

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1996年放送の『秀吉』を皮切りに、戦国時代が舞台の作品でNHK大河ドラマ時代考証にも度々携わっている[15]

やりがいを語ると同時に、原作の有る作品では、書かれた当時の既成事実と、研究が進んだ現在の既成事実が異なっていることから来る困難さがある。また、ドラマの面白さと脚本を優先されることも多い。

  • 『秀吉』(1996年)では第4話「黄金兄弟」の脚本で、清州城の百間石垣[注釈 1]3日普請の秀吉が認められたエピソードとしては有名でも、清州城の発掘現場に何回も行っていて研究者に聞いても、「当時の石垣が出てこない」と脚本を否定したが、「発掘面積が2-3%では史実として無いとは言えない」とスタッフに反論され押し切られ放送された。2014年現在も発掘されていない[16]
  • 『江〜姫たちの戦国〜』(2009年)でも、脚本と史実との違いを指摘しても、結局ドラマの演出性が優先されたシーンが製作放送されたこともある。お市とその娘3人が城外へと逃れる時の小谷城炎上は、打ち合わせ後に演出家から電話で「画にならないので少しの火を出したい」と依頼され認めた。しかし、実際のドラマは大規模な炎上にされてしまい、発掘が進んでいる炎上が無い事実と違うとして研究者に批判され、難しいという[17]
  • その一方で、『功名が辻』(2006年)の本能寺の変シーンでは、舘ひろしの信長にテレビドラマ『西部警察』のオートバイショットガン射撃のように、明智軍の銃隊に、信長が奥から火縄銃を持って出てきて銃で反撃するシーンが撮りたいと言われた。もちろん『信長公記』の史料には抵抗は「弓・鑓」とあり、史実にないが、ドラマの面白さを優先して認めてしまった。視聴者には話題になったが、さすがに研究者たちに「何をしているんだ」と批判された[18]

著書

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単著

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共編著

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  • (助野健太郎)『近江の城下町』桜楓社、1971年
  • 浅井氏三代文書集 江州小谷城主』浅井家顕彰会、1972年
  • 『戦国大名今川氏の研究と古文書』駿河古文書会、1974年
  • (本多隆成)『静岡県の歴史 中世編』静岡新聞社、1978年
  • 『図録中世文書の基礎知識』柏書房、1979年
  • 山本大)『戦国大名家臣団事典 東国編/西国編』新人物往来社、1981年
  • 『関が原合戦のすべて』新人物往来社、1984年
  • 『戦国合戦事典 応仁の乱から大坂夏の陣まで』三省堂、1984年のちPHP文庫
  • (山本大)『戦国大名系譜人名事典 東国編/西国編』新人物往来社、1985年
  • 『図説武田信玄 戦国の巨星の生涯』立風書房、1988年
  • (宮上茂隆)『図説織田信長』河出書房新社、1991年
  • 『今川義元のすべて』新人物往来社、1994年
  • 『戦国大名閨閥事典(第1-3巻)』新人物往来社、1996-1997年)
  • 『これで面白くなる!日本の歴史 人物エピソード篇』PHP研究所、1998年
  • (榛村純一)『戦国武将夫妻のパートナーシップ 山内一豊と千代夫人にみる』清文社、2000年
  • 『静岡県の不思議事典』新人物往来社、2000年
  • (菅原正子、仁藤敦史)『日本史諸家系図人名辞典』講談社、2003年
  • 『戦国の女性たち 16人の波乱の人生』河出書房新社、2005年
  • 『山内一豊のすべて』新人物往来社、2005年
  • 浅井長政のすべて』新人物往来社、2008年
  • 『洋泉社MOOK「歴史REAL 明智光秀」』洋泉社、2019年2月、特別インタビュー「明智光秀とは何者なのか?」が掲載
  • 『エイムック4508 本能寺の変と明智光秀』枻出版社、2019年11月、小和田泰経との対談が掲載
  • 『名槍図鑑』ホビージャパン、2021年3月
  • 『地図と読む日本の歴史人物』帝国書院、2024年2月、「源義経」「武田信玄と上杉謙信」「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」「伊達政宗」の執筆を担当

監修

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  • 『天下を目指せ!戦国合戦 パノラマ大図鑑』ポプラ社、2014年
  • 『戦国武将「変わり兜」大全集』双葉社、2015年
  • 『マンガで読む 戦国の徳川武将列伝』戎光祥出版、2016年
  • 『マンガで読む 井伊直政とその一族』戎光祥出版、2016年
  • 『超ビジュアルとクイズで日本史! 歴史英雄列伝』宝島社、2018年3月
  • 『戦国 戦の作法』G.B.、2018年6月
  • 『イラストでみる 戦国時代の暮らし図鑑』宝島社、2018年8月
  • 『400字で読む あらすじ日本史』宝島社、2018年9月
  • 『関ケ原古戦場解説冊子「必見! 関ケ原」』岐阜県、2018年10月
  • 『大江戸 武士の作法』G.B.、2019年1月
  • 『見るだけ日本史年表』宝島社、2019年3月
  • 『ゼロからやりなおし! 戦国史 見るだけノート』宝島社、2019年3月
  • 『戦況図解 信長戦記』三栄、2019年7月
  • 『戦国古文書用語事典』鈴木正人編、東京堂出版、2019年7月
  • 『まんがでわかる! 今川義元ものがたり』たたらなおき作、静岡新聞社、2019年10月
  • 『小学館版 学習まんが人物館「明智光秀」』小学館、2019年11月
  • 『NHK大河ドラマ 歴史ハンドブック「麒麟がくる 明智光秀とその時代」』NHK出版、2019年11月
  • 『しくじり日本史 ざんねんな偉人100』宝島社、2019年12月
  • 『戦国 忠義と裏切りの作法』G.B.、2019年12月
  • 『戦国大名北条氏の歴史-小田原開府五百年のあゆみ』小田原城総合管理事務所編、吉川弘文館、2019年12月 ISBN 9784642083676
  • 『【東日本】御城印 徹底ガイド』メイツユニバーサルコンテンツ、2020年2月
  • 『【西日本】御城印 徹底ガイド』メイツユニバーサルコンテンツ、2020年2月
  • 『残念な死に方事典』ワニブックス、2020年3月
  • 『超リアル 戦国 武士と忍者の戦い図鑑』G.B.、2020年4月
  • 『地図でスッと頭に入る戦国時代』昭文社、2020年6月
  • 『名城の石垣図鑑』二見書房、2020年6月
  • 『隠れた名城 日本の山城を歩く』山川出版社、2020年6月
  • 鬼滅の日本史』宝島社、2020年10月
  • 『戦国 経済の作法』G.B.、2020年10月
  • 『日本の歴史366』主婦の友社、2020年10月
  • 『大江戸 年中行事の作法』G.B.、2021年1月
  • 『ヤバすぎる日本刀伝説』宝島社、2021年2月
  • 『地域別×武将だからおもしろい 戦国史』朝日新聞出版、2021年4月
  • 『縄文時代から現代まで 2時間でまるわかり! 日本史の基本ゆる図鑑』宝島社、2021年5月
  • 『東京の城めぐり』G.B.、2021年6月
  • 『1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365【歴史編】』文響社、2021年7月
  • 『1日1ページ、ファンなら絶対身につけたい 鬼滅の教養365』宝島社、2021年7月
  • 『日本の城200』講談社ポケット百科シリーズ、2021年7月
  • 『眠れなくなるほど面白い 図解 戦国武将の話』日本文芸社、2021年7月
  • 『全国「合戦印」徹底ガイド 見どころ・楽しみ方がわかる』メイツユニバーサルコンテンツ、2021年8月
  • 『古地図で愉しむ! 真説「名城」の秘密』宝島社、2021年12月
  • 『「日本史」の最新常識 驚きの125』宝島SUGOI文庫、宝島社、2022年2月
  • 『鎌倉幕府と北条義時 見るだけノート』宝島社、2022年5月
  • 『カラー版 地形と地理でわかる日本史の謎』宝島社、2022年6月
  • 『マンガで読む 戦国の徳川武将列伝2』戎光祥出版、2022年8月
  • 『徳川家康の素顔 日本史を動かした7つの決断』宝島社、2022年9月
  • 『戦国大名と家臣団の絵事典』成美堂出版、2022年11月
  • 『NHK大河ドラマ 歴史ハンドブック どうする家康〈徳川家康と家臣団たちの時代〉』NHK出版、2022年11月
  • 『歴史バトル図鑑 最強!戦国武将決定戦』ワン・パブリッシング、2022年11月
  • 『徳川家康の地政学 なぜ、家康は天下人となったのか?』成美堂出版、2022年11月
  • 『TJMOOK 大河ドラマ どうする家康 徳川家康とその時代』宝島社、2022年12月
  • 『チャートと地図でわかる 徳川家康と最強家臣団』ホビージャパン、2022年12月
  • まっぷる 大河ドラマ どうする家康』昭文社、2023年1月
  • 『いまこそ行きたい信長、秀吉、家康の城』宝島社、2023年6月
  • 『精密復元イラストでわかった名城のヒミツ』宝島社、2023年7月
  • 『もしも戦国時代に生きていたら』ワニブックス、2023年8月
  • 『NHK大河ドラマ歴史ハンドブック「どうする家康 徹底解説・関ヶ原の戦い編」』NHK出版、2023年9月
  • 『弱者の日本史』宝島社、2023年11月
  • 『このマンガがすごい! comics 応仁の乱』宝島社、2024年12月
  • 『地図でスッと頭に入る 豊臣一族の戦国時代』昭文社、2025年6月
  • 『戦国の合戦と戦い方の絵事典』成美堂出版、2025年10月
  • 『戦国手帳(2026年版)』コミュニティネット、2025年
  • 『「日本の名城」卓上カレンダー(2026年版)』コミュニティネット、2025年

記念論集

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  • 『今川氏とその時代―地域研究と歴史教育』清文堂出版、2009年
  • 小和田哲男先生古稀記念論集刊行会編集『戦国武将と城 小和田哲男先生古希記念論集』サンライズ出版、2014年

時代考証

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脚注

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注釈

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  1. 長さ181.8メートルくらいの大規模な石垣を表わす慣用句

出典

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  1. 毎日新聞 [@mainichi] (2020年9月24日). “多くの大河ドラマで時代考証を務めてきた小和田哲男さんが、ユーチューブに「戦国・小和田チャンネル」を開設しました。”. X(旧Twitter)より2021年2月28日閲覧.
  2. [時の人]大河ドラマ「麒麟がくる」で時代考証 小和田哲男さん 歴史好き増やすことに力」『沖縄タイムス』沖縄タイムス社、2020年8月26日。2021年2月28日閲覧。
  3. 1 2 otonanswer 20201213.
  4. 1 2 biog.
  5. 小和田哲男(小田原ふるさと大使)”. 小田原市. 2022年6月7日閲覧。
  6. 1 2 3 4 5 6 【人間発見】歴史学者 小和田哲男さん 戦国を現代に(5)敗者・弱者の視点大事に■「現場主義」を貫く『日本経済新聞』夕刊2022年5月20日2面
  7. 小和田哲男『三方ヶ原の戦い』(学研M文庫)後書き
  8. 松村邦洋のタメにならないチャンネル【公式】 (2022-12-03), 【どうする家康記念】大河ドラマ時代考証小和田先生に松ちゃんが突撃! 2024年7月21日閲覧。
  9. 記念事業協賛会 小和田哲男会長あいさつ – 番町小学校同窓会”. 2022年5月9日閲覧。
  10. 小和田哲男 (2010年4月28日). 小和田泰経の『戦国合戦事典』のご紹介”. 小和田哲男のブログ. 2021年2月28日閲覧。 “息子が新紀元社『戦国合戦事典 存亡を懸けた戦国864の戦い』(小和田泰経著)という本を出した。”
  11. 小和田哲男『甲陽軍鑑入門 武田軍団強さの秘密』角川文庫、2006年
  12. 小和田哲男「戦国家法史研究への提言:『伊勢宗瑞十七箇条』の確定をめぐって」『月刊歴史手帖』1976年5月号
  13. 下村 1998, p. 413.
  14. 小和田哲男『明智光秀 つくられた「謀反人」』(PHP新書、1998年)後書き
  15. 平成29年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」時代考証 小和田哲男さんNHK静岡放送局(2016年1月7日)2024年10月2日閲覧IA差替え
  16. 『大河ドラマと歴史研究』ゲスト・小和田哲男:YouTube『戦国BANASHI〈ミスター武士道〉』#17:35-#20:15
  17. 歴史を鑑に未来を映す 大河の歴史考証人が語る、史実を学ぶ「本当の意味」とは”. IBM. 2021年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月5日閲覧。
  18. 『大河ドラマと歴史研究』ゲスト・小和田哲男:YouTube『戦国BANASHI〈ミスター武士道〉』#23:18-#25:10

参考文献

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書籍、ムック
インターネット資料

関連項目

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研究対象
ルーツ

外部リンク

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