ねこの博物館

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Japanese Map symbol (Museum) w.svg ねこの博物館
The Cat Museum
The Cat Museum (Shizuoka).jpg
2018年12月8日撮影
ねこの博物館の位置(静岡県内)
ねこの博物館
静岡県内の位置
施設情報
専門分野 ネコ
収蔵作品数 約70点(野生ネコの世界)[1][2]
約2000点(ねこの美術館)[3]
来館者数 34109人(2016年度)[4]
館長 今泉忠明[2]
建物設計 鉄骨2階構造[2]
延床面積 600㎡[2]
開館 1996年3月30日[5]
所在地 413-0232[6]
日本の旗 日本 静岡県伊東市八幡野1759-242[6]
位置 北緯34度53分51秒 東経139度06分25.7秒 / 北緯34.89750度 東経139.107139度 / 34.89750; 139.107139座標: 北緯34度53分51秒 東経139度06分25.7秒 / 北緯34.89750度 東経139.107139度 / 34.89750; 139.107139
最寄駅 伊豆急行線 伊豆高原駅[6]
最寄バス停 伊豆東海バス 大室高原7丁目[6]
外部リンク 公式ウェブサイト
プロジェクト:GLAM
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ねこの博物館(ねこのはくぶつかん)は、日本博物館静岡県伊東市に所在する。ネコについての総合博物館であり、生きているネコと触れ合えることはもちろん、絶滅したネコ科の動物や野生のネコについての標本や情報、ネコの美術品の閲覧なども可能な施設である[7]。姉妹館はまぼろし博覧会と、怪しい少年少女博物館である[8]

沿革[編集]

世界中のネコ科動物の保護繁殖と鳥獣愛護精神の普及などを目的とする日本ネコ科動物研究所(東京都新宿区)の付属施設として、「ネコと触れ合いながら楽しく科学すること」を目的に開設され[2][9]1996年平成8年)3月30日に開館した[5]。この博物館の開館に合わせて、ネコ科動物の研究拠点も同研究所から博物館内に移され、同研究所の標本類が館内に展示された[2]

同研究所所長でイリオモテヤマネコの研究などで知られる動物学者の今泉忠明が館長を務める[2]。今泉の語る設立の抱負によれば、食肉目の中で最も進化を遂げたのがネコ科の動物であり、その一方ではトラの仲間など絶滅の危機に瀕している現実もあることから、ネコに関心を持つことが地球環境への意識にも繋がるのだという[1]。大規模で体系的にネコを分類、展示した博物館としては、日本で初めてとされる[2]

施設[編集]

館内は、1階の「絶滅ネコ類」「野生ネコの世界」、2階の「ねこの美術館」「世界のねこちゃん」の、計4つのコーナーで構成されている[7]。これらに加えて土産店では、ぬいぐるみや文具、食器用品などのネコのグッズが販売されている。人気商品は定番の招き猫であり、他にメモ帳やクリップなど、ビジネスで使える商品もある[3]

研究所というよりペンションを思わせる外観も、リラックスした館内の雰囲気を物語る[10]。玄関には小便小僧ならぬ「小便ネコ」が設置されており[10][11]、入口ではネコのかぶり物をかぶったスタッフが客を迎える、独特な施設である[12]

絶滅ネコ類[編集]

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絶滅ネコ類 - ねこの博物館

数万年から数千年前に栄えた絶滅種のネコ科動物などの骨格標本や復元標本が展示されている[7][9]。ネコの進化を語る上で欠かせないサーベルタイガーを始め、マカイロドゥスホプロフォネウスなど、一般にあまり知られていない太古の動物の頭骨などもある[9]野生動物の保護の大切さを訴える意味も込められたコーナーである[13]

1997年(平成9年)には、約2千年前までヨーロッパに生息していた史上最大のネコ科動物であるケーブライオン(ホラアナライオン)の全身骨格標本と、既に絶滅したバリトラジャワトラの頭骨、計3点の展示が開始された。いずれも日本には1つしかない、貴重な標本である[14]。ケーブライオンの標本はロシアのウラル山中で発見されたもので、全身骨格と共に復元模型も展示されている[14]。この全身骨格は発見例の数がわずかであることから、国宝級との声もある[9]

野生ネコの世界[編集]

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野生ネコの世界 - LINEトラベルjp[3]

世界の生息する野生ネコ28種の剥製標本や骨格標本が、生息別に展示されている[7][9]ライオンやトラといった、日本の動物園で親しむことのできるネコ科の野生動物はもちろん、イリオモテヤマネコ[13]南アメリカコドコドチーター突然変異種であるキングチーター、中国西部のハイイロネコ[9]イエネコの起源とされるリビアヤマネコ[15]、体重約250キログラムの巨大なシベリアトラから[1]、最小のクロアシネコに至るまでが展示されており[16]、希少絶滅種や絶滅危惧種などの展示もある[7]

ネコ科の動物の剥製や標本としては世界一という[10][17]。2019年(平成31年)時点で38種確認されているネコ科の内の28種を陳列しているということから、その規模の大きさが窺える[7]。生息環境に応じて進化した体の特徴や行動パターンなどを解説したパネルが随所にあり、ネコ科のルーツを理解しやすく辿ることが可能なよう、工夫もなされている[1]

ねこの美術館[編集]

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ねこの美術館 - LINEトラベルjp[3]

ネコをテーマにした世界の美術品、工芸品玩具などが展示されている[3][9]。木彫りの彫刻陶器、ぬいぐるみ、招き猫、民芸品、懐かしいネコの玩具、童話の世界のようなネコの町[9]絵画など[7]、世界中のネコのグッズが約2千点並んでいる[9]。『トムとジェリー』のトム[12]ピンク・パンサー[18]ハローキティ[18]ドラえもん[10]、『魔女の宅急便』のジジなど[12]、ネコやネコ科の動物をモチーフとした有名なキャラクターなどもある[7]アジアやヨーロッパはヤマネコを、アメリカや日本は可愛らしい飼い猫をモチーフにするなど、文化の違いがわかる楽しみもある[13]

このコーナーの一角に備わっている「ねこ神社」では、ネコのおみくじが引くことができる。ネコとの相性や、今年のネコ的な運勢の吉凶を占ってくれるという、独特な神社である[3]

世界のねこちゃん[編集]

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世界のねこちゃん - LINEトラベルjp[3]

生きている本物のネコが飼われている[9]アメリカンショートヘアペルシャのように一般的なネコから、スコティッシュフォールド[9]マンチカン[16]、マンチカンとアメリカンカールによる交配種のマンチカール[9]オシキャットのように珍しいネコなど[16]、常時約26種類50匹のネコが客を迎える[9]。ネコたちの様子は、博物館のスタッフブログやTwitterからも見ることができる[7]

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ふれあい広場 - LINEトラベルjp[3]

ここに併設されているコーナー「ふれあい広場」では、客がくつろぎながら実際にネコに触ることができる[3]。ここではネコたちが放し飼いにされており、猫カフェと似たような空間である[3]。喧嘩をするネコ、腹を出して甘えたようにアピールするネコ[3]、元気なネコ、おとなしいネコなど、自由に過ごすネコたちと触れ合うことができる[7]。マンチカンのように珍しいネコと遊ぶことができることや[9]、屋内のために天候を気にせず触れられる点も特長である[3][19]

ふれあい広場にいるネコと、この広場以外の「世界のねこちゃん」展示エリアにいるネコは入れ替えが行なわれており、いつどのネコに触れ合えるかわからないことも特徴の一つである[3]

利用情報[編集]

最新の情報は公式ウェブサイトを参照[6]

  • アクセス:伊豆高原駅より伊豆東海バス「シャボテン公園行(桜並木経由)」または「一碧湖行(桜並木経由)」で、大室高原7丁目で下車し、徒歩約3分
  • 営業時間:9時から17時(入館は30分前まで)
  • 休館日:年中無休(事情で閉館することもあり、要確認[7]
  • 入館料金:大人1300円、中高生1000円、小学生700円(障害者手帳の提示で本人は半額、同伴者は100円引き。公式ウェブサイトには100円引きクーポンがある[7]
  • 坂や階段があるため、車椅子利用者は介護者が2名必要
  • 駐車場:無料、収容台数は20台

反響[編集]

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開館以来、ペットブームを象徴するかのように、家族連れや若いカップル客で賑わっている[13]。客層は若いカップルが中心であり、カップルでもほぼ確実に、女性の方から喜びの声が聞かれる[10]。ネコが好きな者にとっては非常に嗜好をそそられる場所との声もあり、大きな通りの奥という立地条件にも関わらず、休日には多くのネコ好きの客が訪れている[3]。夏休み時期には、子連れで来館する客もいる[15]。特に「ふれあいハウス」では、多くの様々なネコに実際に触ったり、ネコを抱いたりすることができるため、子供たちに人気を呼んでおり[13]、行列ができるほどである[10]。同じく静岡県伊東市に存在するテーマパークまぼろし博覧会とは姉妹館にあたり、まぼろし博覧会と一緒に訪れる客も多い[17]

タレントの大川豊は、東京の歌舞伎町の風俗店で遊んだ帰りに性具の店に寄ってしまうような感覚を持つ博物館を「ゲリラ博物館」と呼び、そのゲリラ博物館の1つとして「ねこの博物館」を挙げている[20]。『別冊アサ㊙ジャーナル[21]』(TBS)、『L4 YOU![22]』(テレビ東京)、『沸騰ワード10[23]』(日本テレビ)などのテレビ番組でも取り上げられた。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d 「猫 生態や歴史にも広がる関心 一味違うブーム」『朝日新聞朝日新聞社、1996年5月4日、東京朝刊、15面。
  2. ^ a b c d e f g h 「標本70体や人形展示(ネコ)」『静岡新聞静岡新聞社、1996年3月30日、朝刊、21面。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n いなもとかおり (2016年6月10日). “猫カフェの先駆け!? 伊豆高原の隠れスポット「ねこの博物館」”. LINEトラベルjp. ベンチャーリパブリック. 2019年10月7日閲覧。
  4. ^ 「来遊1.7%増654万人 昨年の経済指標 伊東商議所冊子」『伊豆新聞』伊豆新聞本社、2017年3月28日、朝刊、1面。
  5. ^ a b 「ペット 茨城・つくば市「〜わんわん動物園」27日に開園」『日刊スポーツ』日刊スポーツ新聞社、1996年4月25日、20面。
  6. ^ a b c d e 営業&交通の案内”. ねこの博物館 (2012年). 2019年10月7日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l ひよしりん (2019年3月5日). “ねこの博物館の見どころやアクセス【静岡県伊東市】”. ねこちゃんホンポ. ピーネストジャパン. 2019年10月7日閲覧。
  8. ^ 松澤茂信 (2017年3月13日). “静岡の超カオス空間『まぼろし博覧会』! 館長のセーラちゃんに話を聞いてきた”. ジモコロ. イーアイデム. 2019年10月14日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n びっくりデータ情報部 2003, pp. 116–119
  10. ^ a b c d e f 都築 1998, pp. 94–97
  11. ^ wanko_1115 (2017年2月5日). “B級感がハンパない! 怖いもの見たさで行きたい伊豆の珍スポット6選”. イコット. カカクコム. 2019年10月7日閲覧。
  12. ^ a b c 3am (2016年8月29日). “【ねこの博物館】が猫好きに話題!カワイイ&シュールなスポット”. カウモ. カウモ株式会社. 2019年10月1日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年6月8日閲覧。
  13. ^ a b c d e 「故郷の博物館、「ねこの博物館」静岡県伊東市」『日本農業新聞』日本農業新聞社、1997年2月26日、13面。
  14. ^ a b 「ネコ科動物絶滅種の骨格標本など展示 伊東の「ねこの博物館」」『静岡新聞』、1997年1月13日、朝刊、19面。
  15. ^ a b 猫の世界は奥深い!!「ねこの博物館」に行ってきました”. ねこのきもちWEB MAGAZINE. ベネッセコーポレーション (2017年11月6日). 2019年10月7日閲覧。
  16. ^ a b c ねこの博物館”. ウォーカープラス. KADOKAWA. 2019年10月7日閲覧。
  17. ^ a b 大竹 2014, p. 134
  18. ^ a b 【伊豆】ねこの博物館に行ってきました(ねこの美術館)”. キャットシッター ねこやま (2017年10月24日). 2019年10月1日閲覧。
  19. ^ 【静岡】雨の日のお出かけに! 室内で遊べるスポット21選。観光にもおすすめ」『じゃらんニュース』リクルートホールディングス、2019年3月15日、1面。2019年10月7日閲覧。
  20. ^ 大川豊「総裁はゲリラがお好き 伊豆高原・謎の博物館集落の実体に挑む!!」『新潮45』第20巻第2号、新潮社、2001年2月1日、 130-131頁、 NCID AN10097006
  21. ^ 別冊アサ(秘)ジャーナル 2010/11/01(月)01:35 の放送内容”. TVでた蔵. ワイヤーアクション (2010年11月1日). 2019年10月7日閲覧。
  22. ^ L4 YOU!”. テレビ東京 (2016年3月25日). 2019年10月7日閲覧。
  23. ^ 沸騰ワード10 2019/03/08(金)19:00 の放送内容”. TVでた蔵 (2019年3月8日). 2019年10月7日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]