猫ちぐら

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猫ちぐら(関川村)の作品例
猫つぐら(秋山郷)の作品例
道の駅関川における猫ちぐらの製作実演風景
江戸後期の猫ちぐら(深川江戸資料館)

猫ちぐら(ねこちぐら)、猫つぐら(ねこつぐら)とは、稲わらを編んで作った猫用のペットハウスの一種。新潟県関川村秋山郷新潟県津南町長野県栄村)、新潟県長岡市小国町民芸品である。関川村では「猫ちぐら」と呼び、秋山郷および長岡市小国町では「猫つぐら」と呼ぶ。

概要[編集]

ちぐら(つぐら)は「稚座」と書き、新潟の方言でのことである。米どころであり多産の新潟地方では乳幼児を稲わらで編んだ籠に入れておく習慣があり、雪に閉ざされる新潟県での冬季における副業として、作られてきた[1]
猫ちぐら(猫つぐら)1個を作るために、製作に要する日数は約1週間、使用する稲わらは約20把である。きれいに編み目を揃え、美しい形状に仕上げるには、鋭い感性と根気、わらを編む指先の力が必要とされる。

江戸後期には江戸でも用いられていた。深川江戸資料館に再現されたものは猫が上から出入りするようになっており、横の口は覗き窓となっている。

現代になって用に作られたちぐら(つぐら)は、製作者の創意により様々な形状のものが存在する。かまくら型のものが一般的であり、籠状のものはほとんどない。猫は狭い空間に入り込む習性があるため、猫ちぐら(猫つぐら)を与えられると自分から入り込んで寝ぐらにするという。

特徴[編集]

  • 材料の稲わらには断熱性・保温性があるため、猫ちぐら(猫つぐら)内の猫は、気温が低い状況でも暖かく過ごすことができる。また、稲わらには湿気を吸放出する作用がある。内部は一定の湿度に保たれ、快適に過ごすことができる。
  • 職人によって作られた猫ちぐら(猫つぐら)は、滑らかな曲線を持つ美しい形である。稲わらの自然な香りと相まって、高いインテリア性を持つ。
  • 人気があるため入手が難しく、希少性が高い。このため、国産稲わら以外の材料(紙紐[2]イグサ、海外産わらなど)を使用し、本物に似せて作られた贋物(がんぶつ、にせもの)が、「〜ちぐら[3]」と呼称されて流通している。海外生産品や輸入植物を材料とした商品については、猫の健康および植物防疫[4]の見地から、正しい方法で消毒されているか確認する必要がある。

脚注[編集]

  1. ^ 『しあわせ猫ちぐら 猫と人とふるさとの写真帖 越後せきかわで、こんだニャンコと人におだよ。』 五月書房“猫ちぐら”編集部編、新潟県関川村・猫ちぐらの会監修、五月書房、2010年7月。ISBN 978-4-7727-0485-4
  2. ^ 一般的に、紙紐の材料として古紙が使われている。古紙利用率の高い日本では、ポリアクリルアミドを主成分とする乾燥紙力増強剤を使って強度を補完することが広く行われている。ポリアクリルアミドは、製紙用の乾燥紙力増強剤の他に、塗料原油の三次回収助剤、廃水処理用の凝集剤にも用いられる。
  3. ^ 概要の通り、ちぐら(つぐら)とは新潟の方言で、「赤ん坊を入れる稲わらで編んだ」を指す。国産稲わら以外の材料で作られたものを「〜ちぐら」と表現することは誤用であり、本物と偽物を取り違える原因となるため注意が必要である。
  4. ^ 植物防疫法で「植物」とは、植物体の全体だけでなく、筵(むしろ)、薦(こも)その他これに準ずる加工品も含まれる。原則として、輸出国の政府機関により発行された検査証明書又はその写しを添付してあるものでなければ、輸入してはならない。輸入の制限「6条第1項」の規定に違反した者、または、 輸入の禁止「7条第3項(16条の3第2項において準用する場合を含む。)」の規定による許可の条件に違反した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金。詳しくは、「植物防疫法」を参照。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]