天然ダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
天然ダム(てんねんダム)は、大雨や地震、火山噴火などの現象で、土砂などにより河川の水の流れを堰き止め、水が大量に蓄積される現象及びその結果形成された地形のこと。
目次 |
[編集] 概要
主に、地震や集中豪雨、火山噴火などに伴う山腹の崩壊、地すべりの流下、火山噴火に伴う噴出物により発生する人工でないダム。日本の国土交通省はこの現象の表記を河道閉塞(かどうへいそく)と呼ぶ。ただし、これは河川または道路の閉塞ではなく、あくまで河川の閉塞のみを指し、道路の閉塞ではない。水が流れる河川のことを水のみち(道)とする、すなわち水路の意味合いとして河道と言っている。
数時間~数日で崩壊し下流に影響を与えるものもあるが、規模が大きい場合には河道を完全に閉塞して湖沼を形成することもある。このような永続的なものは堰き止め湖(せきとめこ)と呼ぶ。
2004年10月23日に発生した新潟県中越地震では、新潟県古志郡山古志村を流れる芋川流域などでこの現象が発生した。天然ダム(てんねんダム)という言葉は学術用語として広く使われ、日本の国土交通省でもこの表記を採用していたが、この表現が「美しい印象を与えてしまう恐れがあり、被災者の心情にそぐわない。」として、同年11月12日、日本の国土交通省はこの現象の表記を河道閉塞(かどうへいそく)に改めることにした。
特に新潟県中越地震以降、マスメディアなどの報道では地震湖、地震ダム、震災湖、震災ダム、土砂崩れダム、土砂ダム、災害ダムなど、発生原因による表現方法や単に異なった表現方法が用いられることが多い。用語の統一は図られていないようで、報道機関によって表現はまちまちであるのが現状である。
[編集] 被害と対策
天然ダムは、構造的に脆弱であり、自重や越流水により容易に崩壊する。この際に、大量の土砂と河川水が混濁して土石流や泥流として流下し大災害を招くこともある。対策としては、ダムの水位を下げる仮排水路の造成と土塊の撤去があげられる。対策にあたっては、流水の浸食に耐えうる仮排水路の整備、水分を含んだ土塊の移動先の確保、移動手段などが問題となる。
[編集] 日本の主な発生地
- 岩手県一関市・磐井川(2008年:岩手・宮城内陸地震)
- 新潟県長岡市芋川(2004年 成因:新潟県中越地震に地滑り)
- 和歌山県かつらぎ町(旧花園村)(1953年 成因:集中豪雨及び台風→紀州大水害)
- 神奈川県の震生湖 (1923年 成因:関東大震災による地滑り)
- 長野県松本市(上高地)の大正池 (1915年 成因:焼岳噴火に伴う火山噴出物)
- 福島県桧原湖一帯の湖沼(1888年 成因:磐梯山噴火に伴う火山噴出物)
- 長野県長野市および千曲川一帯の市町村(1872年 成因:千曲川の閉塞に伴う大洪水)
- 長野県川中島平ほか犀川、千曲川流域 (1847年 成因:善光寺地震)
- 滋賀県大津市の安曇川(1662年 成因:琵琶湖西岸地震)

