三相女神
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三相一体の女神・ヘカテーの3つの姿。
三相女神(さんそうめがみ、Triple Goddess)は、太古の昔から世界を創造した地母神の三相と呼ばれている概念。「三柱女神」、「三相一体の女神」、「トリプル・ゴッデス(Triple Goddess)」とも。
目次 |
由来 [編集]
紀元前7千年紀のアナトリアの村では女神の三相を表す、「うら若き少女(妙齢の処女)」、「成熟した母親」、「老婆」の3つの姿が描かれた太女神を崇拝した[1]、「三相一体の女神には3人の最も高貴なものたち」として知られている[2]。それは満ちる月・満月・三日月(欠ける月)という月の三相でもあり、死と再生を繰り返す永遠の循環をも意味している。多面性を持った複雑な多種の相を持つ女神や魔女などは、刻々と姿を変える月に重ねられたのである。
概念 [編集]
三相一体の地母神の主な概念は、「創造主」・「育成主」・「破壊主」が本来の意味であり、生産、死亡、豊饒、智、海、植物、森、雨、血、生命の循環等を司った。ギリシャ神話などでは、「過去→現在→未来」、「生→死→再生」、「創造→維持→破壊」と「生誕→成長→衰亡」を司どる女神ともされて、「運命を支配する姉妹」、「高貴なる者」、「同様に高貴なる者」、「三番目の者」と呼ばれている。女神の三相は地上においては3種の魔女に擬人化されており、即ち「ヨーギニー(妙齢の処女)」、「マートリ(成熟した母親)」、「ダーキニー(老婆)」である。彼女たちで、この時には「自然の女神たち」と呼ばれた。
三相一体の女神 [編集]
三相女神の3つ姿という典型的な組み合わせは、各神話にて三相一体の女神に代表される下記のリストを挙げる。
- ギリシャ神話
- ヘーベー(妙齢の少女)、ヘーラー(成熟した母親)、ヘカテー(老婆)
- 天界のセレーネー(月の光)、人間のアルテミス(善・悪)、冥界のヘカテー(月の闇)
- モイラ(運命の三女神 - クロートー(創造者)、ラケシス(維持者)、アトロポス(破壊者))
- ホーラ(季節と時間の三女神 - エウノミアー(秩序)、ディケー(正義)、エイレーネー(平和))
- コレー(創造主)、デーメーテール(育成主)、ペルセポネー(破壊主)
- ゴルゴーン(怪物の三姉妹 - ステンノー(力)、エウリュアレー(普遍性)、メドゥーサ(知恵))
- グライアイ(魔女の三姉妹 - エニューオー(戦闘を好む者)、パムプレードー(意地悪な者)、デイノー(恐怖を与える者))
- エリーニュース(復讐の三女神 - アレークトー(止まない者)、ティーシポネー(殺戮の復讐者)、メガイラ(嫉妬する者))
- ムーサ(芸術の三女神 - アオイデー(歌唱(aoide))、ムネーメー(記憶(mneme))、メレテー(実践(melete)))
- ローマ神話
- ユウェンタース(妙齢の少女)、ユーノー(成熟した母親)、トリウィア(老婆)
- ルーナ(妙齢の少女・満ちる月)、ディアーナ(成熟した母親・満月)、トリウィア(老婆・欠ける月)
- 天上のルーナ、地上のディアーナ、冥界のプロセルピナ
- フォルトゥーナ(運命の三女神 - レゲア(支配権の女神)、ボナ(幸運)、マラ(悪運))
- パルカ(運命の三女神 - ノナ(創造者)、デキマ(維持者)、モルタ(破壊者))
- カピトリウム神殿に祀られていた三柱のペルソナ - ユーウェンタス(妙齢の少女)、ユーノー(成熟した母親)、ミネルウァ(老婆)
- エジプト神話
- ハトホル(生)、ネフティス(死)、イシス(再生)
- 北欧神話
- フレイヤ(妙齢の少女)、フリッグ(成熟した母親)、スカジ(老婆)
- ノルン(運命の三女神 - ウルズ(過去)、ヴェルザンディ(現在)、スクルド(未来))
- ケルト神話
- バイヴ・カハ(運命の戦女神 - モリガン、ヴァハ、バズヴ)
- トゥアハ・デ・ダナーンの戦いの三女神 - エリウ、バンバ、フォドラ
- アナ(生)、バド(死)、モルガン・ル・フェイ(再生)
- 生命の母神 - アヌ、ダヌ、タルトゥ
- インド神話
- カーリーの三相 - パールヴァティ、ドゥルガー、ウマー
- 中国神話
- 八洞神仙の三柱女仙 - 麻姑(妙齢の少女)、何仙姑(成熟した母親)、黎山老母(老婆)