フクロウ目

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フクロウ目
GreatGreyOwl23.jpg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
上目 : 新顎上目 Neognathae
階級なし : ネオアヴェス Neoaves
階級なし : コロナヴェス Coronaves
: フクロウ目Strigiformes
学名
Strigiformes Wagler1830

フクロウ目(フクロウもく、梟目、学名 Strigiformes)は鳥類の1目である。

ミミズクと呼ばれるものも同じ仲間で、はっきりとした区別(分類学上の区別)はない。頭部の上方に突き出た耳のように見えるものを羽角(うかく)というが、羽角のない種をフクロウ、羽角のある種をミミズクと呼んでいる。

フクロウとミミズク
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左がアメリカフクロウ、右がワシミミズク

分布[編集]

220種ほどが南極を除く世界中に分布し、グリーンランドにまで生息している。日本には10種ほどが生息している。

形態[編集]

フクロウの首の動き
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頭部を180度以上回転させることが出来る。
(シロフクロウ)

目と耳[編集]

両目が頭部の前面に位置しており、上下にも僅かにずれている。フクロウの眼球は眼窩に固定されているため、眼球を動かせない。その代わり、頭を真後ろに向けたり、上下を反転させたり、自由に回転させることができる。これは頚骨が12-14本と多く、回しやすい構造をもっているためである。[疑問点 ]

フクロウは遠目が利くが、逆に数十センチ以内の近い範囲ははっきりと見ることができない。瞳孔が大きく、弱いに敏感な桿体細胞網膜に多いため、夜目がきく(ただしその代償として昼間は眩しすぎるため、目を細めていることが多い)。フクロウの目の感度は人間の100倍。他の多くの鳥類と異なり、両目が正面にあるため立体視が可能で、静止していても対象までの正確な距離を把握できる。

両耳は、耳穴が左右でずれた位置に存在し、奥行きも違っている。 左右非対称であることにより、音源の方向を立体的に認識することが可能になっている。また、パラボラ型の顔面の羽毛が対象の発するわずかな音を集め、聴覚を助ける役目をする。

暗所に強い目と、驚異的な聴力がフクロウ目の夜間ハンティングを可能にしている。

くちばし、翼、足[編集]

ワシのような形をしたくちばしをもつ。目の周囲を縁取るようにはっきりとした顔盤という羽毛が生えた部位がある。耳角と呼ばれる耳のように見える羽は耳ではなく、耳は顔盤のすぐ後ろに位置している。耳の位置は左右で異なっている。

フクロウ目の羽毛は柔らかく、風切羽の周囲には綿毛が生え、はばたきの音を和らげる効果があるため、ほとんど音を立てることなく飛行できる。

(あしゆび)のうち、いちばん外側の第4趾の関節が非常に柔軟で、多くの鳥類のような三前趾足(第1趾のみが後ろで前3本後1本)から対趾足(前2本後2本)に切り替えることができる。

生態[編集]

多くの種が夜行性で、フクロウ目は数少ない夜行性の鳥類(鳥類全体の約3%)の中で大きな割合を占める。 肉食で小型の哺乳類や他の鳥類、昆虫などを鋭い爪で捕獲し捕食する。一部にはを捕食する種もみられる。の洞穴を住処とし[要出典]て単独またはつがいで生活する。

種類によっては、刺激を受けると、外見上の体の大きさを変えるものもいる。

系統と分類[編集]

フクロウ目は、スズメ目などと共に land bird クレードに含まれるが、land bird クレードの初期に分岐した類縁関係のはっきりしない目のひとつである[1][2]

2科27属220種が現生する[3]。このほかいくつかの化石科がある。

フクロウ目は古くは、猛禽類として分類されてきた。カール・フォン・リンネは、タカ類ハヤブサ類モズ類と共にタカ目 Accipitres に分類した。

1990年代のSibley分類では、現在のフクロウ目・ヨタカ目アマツバメ目ズクヨタカ科の構成種を含めていた。彼らは狭義のフクロウ目とヨタカ目(ズクヨタカ科を含む)は姉妹群だとしており[4]、それらを合わせた群の名称がフクロウ目となったのは命名規則のためである。

フクロウ目とヨタカ目は夜行性捕食性という生態が共通しており、頭骨にも共通点が発見された(ただしアマツバメ目とも共通である)[5]。2000年代前半までは、これらが近縁であるという説は、同じ目に分類するかどうかは別としてある程度の支持を得ていた[6]。しかし2004年、夜行性に関連したAanat遺伝子の分析により、両目の夜行性は収斂進化によるものだとされ[7]、さらにそれに続く包括的な分子系統により現生鳥類全体の系統が明らかになると、両目の類縁性は否定された[8][9]

文化[編集]

神話や伝承[編集]

カラスやミヤマガラスのほうが知能は高いが、フクロウは古代ギリシャでは女神アテナの従者であり、「森の賢者」と称されるなど知恵の象徴とされている。 古代エジプトではヒエログリフの「m」の文字をフクロウを表すものとしたが、しばしばこのヒエログリフを復活と攻撃のために足の折れたいけにえのフクロウとして記述した。

日本ではフクロウはの象徴とされ、フクロウを見かけることは不吉なこととされていた。現在では、「不苦労」、「福郎」のゴロ合わせから福を呼ぶものとも言われている。

青森県北津軽郡嘉瀬村(現・五所川原市)では、死んだ嬰児の死霊を「タタリモッケ」といって、その霊魂がフクロウに宿るといわれた[10]岩手県和賀郡東和町北成島(現・花巻市)ではフクロウを「しまこぶんざ」といい、子供が夜更かししていると「しまこぶんざ来んど」(フクロウが来て連れて行かれる、の意)といって威す風習があった[11]

アイヌの人々は、シマフクロウを守護神コタンコロカムイとして、エゾフクロウ(フクロウの北海道産亜種)を猟運の神として崇めている。

ホピ族(北アメリカの先住民)でもフクロウは不潔で不気味な生き物とされている。2003年にアメリカの教育委員会が多文化への対応のために児童の教科書のフィクションの項目を再調査したとき、北アメリカの先住民の文化によって従来の蛇やサソリに対するそれのように、フクロウに関する記述や問題を子供たちが怖がってテストが混乱しないように、フクロウについてのこれらの物語や問題を新しい教科書やカリキュラムから取り除かなければならないとの結論に達した。

逆にヨーロッパではしばしば学問の神、英知の象徴とされる。

近年、アジアなどで食用や飼育、様々な用途で密輸され、摘発されるケースがある。

キャラクター[編集]

  • ファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズにフクロウが登場することから、一時期ペットとしての人気が高まったが、あまり飼いやすい鳥ではない。
  • 1998年長野オリンピックのマスコットキャラクターもこれをモチーフとしていた。
  • また、静かさを感じさせるイメージから騒音規制の標識のイラスト、知的なイメージからかメガネ量販店「メガネスーパー」の商標、夜行性な所から、コンビニエンスストアで24時間営業を表すマークにも使われる事もある。
  • 科学忍者隊ガッチャマン』シリーズのみみずくの竜や『鳥人戦隊ジェットマン』のイエローオウルといったアニメや特撮のヒーローのモチーフになる事もあった。いずれも、ずんぐりとした体型のキャラクターが役どころになっている。
  • 藤田和日郎の漫画『邪眼は月輪に飛ぶ』では、その眼で見られると命を奪われる邪眼を持つフクロウが登場しているが、これは古来より伝えられてきたフクロウの不吉な側面に由来したものである。
  • アメリカ合衆国のファンタジー小説『ガフールの勇者たち』はフクロウ世界の冒険と戦いを描いた物語であり、主人公のメンフクロウを始めとして、カラフトフクロウやシロフクロウなど、さまざまな種類のフクロウたちが大勢登場する。
  • 池袋駅 - 石像「いけふくろう」がある

出典[編集]

  1. ^ Ericson, Per G. P.; Envall, Ida; et al. (2006), “Diversification of Neoaves: integration of molecular sequence data and fossils”, Biol. Lett. 2: 543–547, http://www.biomedcentral.com/1471-2148/3/16 
  2. ^ Hackett, S. J. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320 (5884): 1763–1768 
  3. ^ Gill, Frank; Donsker, David, eds. (2010), “n-owls.html”, IOC World Bird Names (version 2.4), http://www.worldbirdnames.org/n-owls.html 
  4. ^ Sibley, Charles G.; Ahlquist, Jon E.; Monroe Jr., Burt L. (1988), “A classification of the living birds of the world based on DNA-DNA hybridization studies”, Auk 105 (3): 409–423, http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v105n03/p0409-p0423.pdf 
  5. ^ Christidis, Les; Boles, Walter E. (2008), Systematics and Taxonomy of Australian Birds, CSIRO Publishing, ISBN 9780643096028 
  6. ^ 盛岡弘之 (2006), “鳥綱”, in 松井正文, 脊椎動物の多様性と系統, バイオディバーシティ・シリーズ 7, 裳華房, ISBN 4-7855-5830-0 
  7. ^ Fidler, A. E.; Kuhn, S; Gwinner, E (2004), “Convergent evolution of strigiform and caprimulgiform dark-activity is supported by phylogenetic analysis using the arylalkylamine N-acetyltransferase (Aanat) gene”, Mol. Phylogenet. Evol. 33 (3): 908–21 
  8. ^ Ericson, Per G. P.; Anderson, Cajsa L.; et al. (2006), “Diversification of Neoaves: integration of molecular sequence data and fossils”, Biol. Lett. 2 (4): 543–547, doi:10.1098/rsbl.2006.0523, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1834003/ 
  9. ^ Hackett, S. J.; Kimball, Rebecca T.; et al. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320: 1763–1768 
  10. ^ 民俗学研究所編著 『綜合日本民俗語彙』第2巻、柳田國男監修、平凡社1955年、867頁。
  11. ^ 管野環他「岩手県和賀郡東和町 調査報告書」、『常民』29号、中央大学民俗研究会、1993年1月、 163頁。