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'''細菌'''(さいきん、'''真正細菌'''、{{lang-la|bacterium}}、複数形 bacteria '''バクテリア''')とは、生物の主要な系統([[ドメイン (分類学)|ドメイン]])の一つで[[古細菌]]、[[真核生物]]ととも全生物界を三分する。細菌と合わせて[[原核生物]]とも呼ばれる。真核生物と比較した場合、構造は非常に単純である一方、はるかに多様な[[代謝]]系や栄養要求性を示す。生息環境も[[生物圏]]と考えられる全ての環境に広がっており、その生物量は膨大である。[[腸内細菌]]や発酵細菌、あるいは[[病原体|病原菌]]として人との関わりも深い。語源は[[ギリシャ語]]の「小さな杖」({{lang|el|βακτήριον}})に由来している<ref>http://www.etymonline.com/index.php?term=bacteria</ref>
'''細菌'''(さいきん、'''真正細菌'''、{{lang-la|bacterium}}、複数形 bacteria '''バクテリア''')とは、[[古細菌]]、[[真核生物]]とともに全生物界を三分する、生物の主要な系統([[ドメイン (分類学)|ドメイン]])の一つである。語源は[[ギリシャ語]]の「小さな杖」({{lang|el|βακτήριον}})由来してい<ref>http://www.etymonline.com/index.php?term=bacteria</ref>。細菌と古細菌は、合わせて[[原核生物]]とも呼ばれる。真核生物と比較した場合、非常に単純な構造を持つ一方、はるかに多様な[[代謝]]系や栄養要求性を示す。


細菌は、[[大腸菌]]、[[枯草菌]]、藍色細菌([[藍藻|シアノバクテリア]])など様々な系統を含む生物群である。[[球菌]]や[[桿菌]]、螺旋菌などの形状をとることが多く、通常1-10 µmほどの微小な生物である。核を持たないという点で[[古細菌]]と類似するが、古細菌と細菌の分岐は極めて古い。遺伝システムや[[タンパク質]]合成系の一部に異なる機構を採用し、[[ペプチドグリカン]]より成る[[細胞壁]]、[[エステル型脂質]]より構成される[[細胞膜]]の存在で古細菌とは区別される。1977年までは古細菌は細菌に含まれると考えられていたが、現在では両者はドメインレベルで別の生物とされる。
== 概要 ==
細菌は、[[大腸菌]]、[[枯草菌]]、藍色細菌([[藍藻|シアノバクテリア]])など様々な系統を含む生物群である。形状は[[球菌]]か[[桿菌]]、ラセン菌が一般的で、通常1-10 µmほどの微小な生物である。核を持たないという点で[[古細菌]]と類似するが、古細菌と細菌の分岐は極めて古い。遺伝システムや[[タンパク質]]合成系の一部に異なる機構を採用し、[[ペプチドグリカン]]より成る[[細胞壁]]、[[エステル型脂質]]より構成される[[細胞膜]]の存在で古細菌とは区別される。1977年までは古細菌は細菌に含まれると考えられていたが、現在では両者はドメインレベルで別の生物とされる。


細菌は[[地球]]上のあらゆる環境に存在しており、その[[代謝]]系は非常多様である。個体数は5×10<sup>30</sup>と推定されており、その[[生物量]]も膨大である。[[光合成]]や[[窒素固定]]、[[有機物]]の分解過程など物質循環において非常に重要な位置を占めている。食品関係においては[[チーズ]][[納豆]]、[[ヨーグルト]]といった[[発酵]]過程において[[微生物]]学発展以前から用いられきた。また、[[腸内細菌]]群は食物過程は欠かすことできい一要素である。一部のものは病原細菌としてヒトや動物[[感染症]]の原因になる。[[対立遺伝子]]を持たず、遺伝子型がそまま表現型をとり、世代時間が短変異体が得られやす。あるいは形質転換系の確立などもあいまっ近年の[[分子生物学]]を中心た[[生物学]]は細菌を中心発展しきた。大腸菌などは分子生物学の有なツールとして現在でも頻繁に使用されている
生息環境は非常に広く、例えば土壌、水、[[熱水泉|酸性温泉]]、[[放射性廃棄物]]、そして[[地球の地殻|地殻]][[地下生物圏]]などに至るまで、細菌は[[地球]]上のあらゆる環境[[生物圏]]存在している。個体数は5×10<sup>30</sup>と推定されており、その[[生物量]]も膨大である。また、その[[代謝]]系は非常に多様である。[[光合成]]や[[窒素固定]]、[[有機物]]の分解過程など物質循環において非常に重要な位置を占めている。[[熱水噴出孔]][[冷水湧出帯|冷水湧出]]帯などの環境では、[[極限環境微生物|極限環境]]に生息する細菌や古細菌によって、硫化水素や[[メタン]]など海水中に溶解した学化合物がエネルギー変換され、そ環境中に生息する様々生命体を維持するために必な栄養を提供している。細菌はまた植物や動物[[共生]]および[[寄生]]の関係になる物も多られいる。食品関係において[[チーズ]]、[[納豆]]、[[ヨーグルト]]といった[[発酵]]過程おい[[微生物]]発展以前からいられてきた


[[腸内細菌]]や[[発酵]]細菌、[[病原体|病原菌]]として、人間を始めとする動物との関わりも深く、それらの生物は何百万もの細菌と共存しているとみなすことができる。例えば[[腸内細菌]]群は、食物の消化過程には欠かすことのできない一要素である。体内および体内のバクテリアのほとんどは無害であるか、[[免疫系|免疫系の]]保護効果によって無害になっている。多くのバクテリア、特に腸内のバクテリアは、宿主となる動物にとって有益な存在であるといえる。
これまで[[ストレプトマイシン]]や[[クロラムフェニコール]]、[[テトラサイクリン]]などなど様々な細菌産生の[[抗生物質]]が発見されてきた。その製造や免疫系の新薬開発の上でも細菌の調査研究は非常に重要である。


最近の大半は、病気などを引き起こす存在ではない。しかし極一部のものは病原細菌として、ヒトや動物の[[感染症]]の原因になる。例えば[[コレラ]]、[[梅毒]]、[[炭疽症|炭疽菌]]、[[ハンセン病]]、[[腺ペスト]]など、いくつかの種類の細菌は[[病原性細菌|病原性で]]あり、[[感染|感染症]]を引き起こす。最も一般的な致命的な細菌性疾患は、[[気道感染|呼吸器感染症]]である。これまで[[ストレプトマイシン]]や[[クロラムフェニコール]]、[[テトラサイクリン]]などなど様々な細菌産生の[[抗生物質]]が発見されてきた。[[抗生物質]]は細菌感染症の治療や農業で使用されており、その製造や免疫系の新薬開発の上でも細菌の調査研究は非常に重要である。一方で、病原性細菌の[[抗生物質耐性]]の獲得が社会的な問題となっている。
== 呼称 ==
各言語での呼称はラテン語が'''Bacterium'''、日本語および中国語が「'''細菌'''」である。[[1828年]]、[[クリスチャン・ゴットフリート・エーレンベルク]]が、[[顕微鏡]]で観察した微生物が細い棒状であったため、ギリシア語で小さな杖を意味する{{lang|el|βακτήριον }}から造語し、ラテン語で“Bacterium”と呼んだことに由来する。この複数形が'''Bacteria'''である<ref>{{cite web|url=https://www.etymonline.com/word/bacteria|title=bacteria &#x7c; Origin and meaning of bacteria by Online Etymology Dictionary|publisher=Online Etymology Dictionary|accessdate=2020-04-18}}</ref>。


さらに細菌、[[下水処理]]や[[石油流出|流出油]]の分解、鉱業における金、パラジウム、銅、その他の金属の回収、などの[[生物工学|バイオテクノロジー]]分野でも広く利用されている。
英語でもこれがそのまま取り入れられているが、しばしば単数形としてBacteriaが誤って使用される。Bacteriumの発音は、[[ラテン語]]でバクテーリウム、[[英語]]ではバクティリアムに近い。日本語の「細菌」の語の発案者は不明であるが、1895年(明治28年)には「細菌学雑誌」が創刊され、19世紀末には既に使われていた{{要出典|date=2020年2月}}。


[[対立遺伝子]]を持たず、遺伝子型がそのまま表現型をとり、世代時間が短く変異体が得られやすい。あるいは形質転換系の確立などもあいまって近年の[[分子生物学]]を中心とした[[生物学]]は細菌を中心に発展してきた。大腸菌などは分子生物学の有用なツールとして現在でも頻繁に使用されている。
なお、「細'''菌'''」には'''菌'''という漢字が使用されているが、狭義の[[菌類]](真菌)には含まれない。同様に、細菌とは別グループの生物である「古'''細菌'''」には'''細菌'''という語が使われているが、この記事が説明する狭義の細菌に含まれない。分類学上の「菌類」(Fungi)、「細菌」(Bacteria)、「[[古細菌]]」(Archaea)は、それぞれ別々の独立した生物である{{要出典|date=2020年2月}}。


ほとんどの細菌種は未だ十分に研究がされておらず、その生態や機能が不明である。研究報告がなされた細菌種は約2%に過ぎず{{Sfn|Krasner|2014|p=38}}、実験室での[[培養]]系が確立していないものが大半である。細菌の研究は、[[微生物学]]の一分野である細菌[[細菌学|学]]として知られている。
このほかの呼称としては、真正細菌(Eubacteria)やMonera(モネラ)などがあるが、いずれも古い用語であり、使用頻度は下がっている。真正細菌(Eubacteria)は、かつて古細菌が細菌とみなされていた時代に(Archaeabacteriaと呼ばれていた)、これと区別するために使用されていた単語である。ただし、現在でも[[トーマス・キャバリエ=スミス]]ら著名な研究者の一部がこの語を用いている{{要出典|date=2020年2月}}。


== 歴史 ==
== 呼称 ==
各言語での呼称は、ラテン語が'''Bacterium'''、日本語および中国語が「'''細菌'''」である。[[1828年]]、[[クリスチャン・ゴットフリート・エーレンベルク]]が、[[顕微鏡]]で観察した微生物が細い棒状であったため、古代ギリシア語で小さな杖を意味する{{lang|el|βακτήριον }}(''baktḗrion'')から造語し、ラテン語で“Bacterium”と呼んだことに由来する。この複数形が'''Bacteria'''である<ref>{{cite web|url=https://www.etymonline.com/word/bacteria|title=bacteria &#x7c; Origin and meaning of bacteria by Online Etymology Dictionary|publisher=Online Etymology Dictionary|accessdate=2020-04-18}}</ref><ref>{{LSJ|bakthri/a|βακτηρία|shortref}}.</ref><ref>{{OEtymD|bacteria}}</ref>。日本語の「細菌」の語の発案者は不明であるが、1895年(明治28年)には「細菌学雑誌」が創刊され、19世紀末には既に使われていた{{要出典|date=2020年2月}}。
[[ファイル:Jan Verkolje - Antonie van Leeuwenhoek.jpg|thumb|240px|right|自作の顕微鏡を用いて初めて微生物を観察した[[アントニ・ファン・レーウェンフック]]]]
[[発酵]]に関しての研究は古代から進められてきたが、細菌の発見自体は[[17世紀]]である。[[1676年]]に[[アントニ・ファン・レーウェンフック]]によって発見され原生動物と合わせて“animalcules”(微小動物)と呼ばれた。[[1828年]]、[[クリスチャン・ゴットフリート・エーレンベルク]]は、[[顕微鏡]]で観察した微生物が細い棒状であったため、ギリシア語で小さな杖を意味する{{lang|el|βακτήριον }}から“Bacterium”と呼んだ。


なお、「細'''菌'''」には'''菌'''という漢字が使用されているが、狭義の[[菌類]](真菌)には含まれない。同様に、細菌とは別グループの生物である「古'''細菌'''」には'''細菌'''という語が使われているが、この記事が説明する狭義の細菌に含まれない。分類学上の「菌類」(Fungi)、「細菌」(Bacteria)、「[[古細菌]]」(Archaea)は、それぞれ別々の独立した生物である{{要出典|date=2020年2月}}。
[[1859年]]には[[ルイ・パスツール]]が、[[アルコール発酵]]が微生物によって引き起こされることを示し、さらに発酵が自然発生的な現象ではないことを示した。このとき、パスツールは発酵を起こす微生物を細菌だと考えたが、実際には[[菌類]]である。また、[[ロベルト・コッホ]]によって細菌培養法の基礎が確立され、[[炭疽菌]]、[[結核菌]]、[[コレラ菌]]が[[病原性]]の細菌によって引き起こされることが証明された。


このほかの呼称としては、真正細菌(Eubacteria)やMonera(モネラ)などがあるが、いずれも古い用語であり、使用頻度は下がっている。真正細菌(Eubacteria)は、かつて古細菌が細菌とみなされていた時代に(Archaeabacteriaと呼ばれていた)、これと区別するために使用されていた単語である。ただし、現在でも[[トーマス・キャバリエ=スミス]]ら著名な研究者の一部がこの語を用いている{{要出典|date=2020年2月}}。
20世紀に入ると培養法が確立されたことも相まって細菌の研究が進んでいく。それまでは、多くの病気が細菌によって引き起こされることが分かっても、[[対症療法]]しか存在しなかったが、[[1910年]]、[[パウル・エールリヒ]]と[[秦佐八郎]]によって初の[[抗菌剤]][[サルバルサン]]が開発され、[[1929年]]には[[アレクサンダー・フレミング]]によって[[抗生物質]][[ペニシリン]]が発見された。
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== 起源と初期の進化 ==
細菌の[[知識]]が深まるにつれ、[[分類学]]上での細菌の位置づけはしばしば[[変更]]されている。発見時は2界説に従い植物界に振り分けられ、[[1866年]]には[[エルンスト・ヘッケル]]によって単細胞生物をまとめた原生生物界に組み入れられた(3界説)。[[1930年]]頃になると原核生物と[[真核生物]]の違いが認識され、2帝説[[原核生物|原核生物帝]]([[1937年]])、次いで4界説(のち5界説)[[モネラ界]]([[1956年]])が提唱された。現在に至る一般の細菌のイメージは5界説における原核生物に対応している([[藍藻|藍色細菌は、旧名藍藻]]の概念としては除くこともある)。しかし、[[1977年]]、[[カール・ウーズ]]らによって原生生物界の単系統性に疑問が投げかけられ、メタン生成菌(のち高度好塩菌と一部の好熱菌も)を除く原核生物として、'''Kingdom Eubacteria'''(真正細菌界)が定義された。[[1990年]]には[[16S rRNA系統解析|16S rRNA配列]]に基づいて、[[古細菌|当時の古細菌]](メタン生成菌、[[高度好塩菌]]、一部の[[好熱菌]])を除く原核生物として'''Domain Bacteria'''(細菌ドメイン)が定義され、同時に古細菌はDomain Archaea ([[古細菌|古細菌ドメイン]])として新たに定義された。歴史的な由来から付けられた名前が存続している「古細菌」は、その名前から細菌より古いグループという印象を受けるが、両者はさらに古い時代に存在した共通祖先から分岐した対等なグループ同士であり、どちらも同等に起源は古い。
[[ファイル:PhylogeneticTree,_Woese_1990.PNG|右|サムネイル|細菌、[[古細菌]]、[[真核生物|真核生物の]][[系統樹]]。下部の縦線は、[[最後の普遍的な共通の祖先|最後のユニバーサル共通の祖先を]]表しています。 <ref name="pmid2112744">{{Cite journal|date=June 1990|title=Towards a natural system of organisms: proposal for the domains Archaea, Bacteria, and Eucarya|journal=Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America|volume=87|issue=12|pages=4576–79|bibcode=1990PNAS...87.4576W|DOI=10.1073/pnas.87.12.4576|PMID=2112744|PMC=54159}}</ref>]]
細菌の祖先は、約40億年前に地球上に最初に出現した、単細胞の生命体であると考えられている{{Sfn|Hall|2008|p=84}}。その後の約30億年の間、ほとんどの生物は微視的であり、細菌と古細菌が支配的な生命体であったと考えられる<ref name="pmid314752122">{{Cite journal|date=July 2019|title=Human microbial ecology and the rising new medicine|journal=Annals of Translational Medicine|volume=7|issue=14|pages=342|DOI=10.21037/atm.2019.06.56|PMID=31475212|PMC=6694241}}</ref><ref>{{Cite journal|date=July 1994|title=Disparate rates, differing fates: tempo and mode of evolution changed from the Precambrian to the Phanerozoic|journal=Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America|volume=91|issue=15|pages=6735–42|bibcode=1994PNAS...91.6735S|DOI=10.1073/pnas.91.15.6735|PMID=8041691|PMC=44277}}</ref><ref>{{Cite journal|date=August 2001|title=Environmental diversity of bacteria and archaea|journal=Systematic Biology|volume=50|issue=4|pages=470–78|DOI=10.1080/106351501750435040|PMID=12116647}}</ref>。[[ストロマトライト]]などの細菌の[[化石]]が存在しているものの、独自の特徴的な[[形態学 (生物学)|形態]]などを持っていないため、細菌の進化の歴史を調べたり、特定の細菌種の起源を特定したりするために使用することは困難である。一方で遺伝子配列を利用することで、細菌の[[系統学]]的な進化プロセスを推定することができ、これらの研究から、細菌が古細菌/真核生物の系統よりも初期に分岐したことが示されている<ref>{{Cite journal|date=December 1997|title=Archaea and the prokaryote-to-eukaryote transition|journal=Microbiology and Molecular Biology Reviews|volume=61|issue=4|pages=456–502|DOI=10.1128/.61.4.456-502.1997|PMID=9409149|PMC=232621}}</ref>。細菌と古細菌の最新の共通の祖先は、おそらく25-35億年前に生息していた[[好熱菌|超好熱菌]]の一種であると考えられている<ref name="pmid298942972">{{Cite journal|date=June 2018|title=Twitch or swim: towards the understanding of prokaryotic motion based on the type IV pilus blueprint|journal=Biological Chemistry|volume=399|issue=7|pages=799–808|DOI=10.1515/hsz-2018-0157|PMID=29894297}}</ref><ref>{{Cite journal|date=December 2003|title=The universal ancestor and the ancestor of bacteria were hyperthermophiles|journal=Journal of Molecular Evolution|volume=57|issue=6|pages=721–30|bibcode=2003JMolE..57..721D|DOI=10.1007/s00239-003-2522-6|PMID=14745541}}</ref><ref>{{Cite journal|date=November 2004|title=A genomic timescale of prokaryote evolution: insights into the origin of methanogenesis, phototrophy, and the colonization of land|journal=BMC Evolutionary Biology|volume=4|page=44|DOI=10.1186/1471-2148-4-44|PMID=15535883|PMC=533871}}</ref>。32億年前の初期の陸上環境においても、最初に上陸を果たした生命体は細菌であった可能性がある<ref name="NG-201807232">{{Cite journal|last=Homann, Martin|date=23 July 2018|title=Microbial life and biogeochemical cycling on land 3,220 million years ago|url=https://hal.univ-brest.fr/hal-01901955/file/Homann%20et%20al.%202018%20-%20accepted-1.pdf|journal=[[Nature Geoscience]]|volume=11|issue=9|pages=665–671|bibcode=2018NatGe..11..665H|DOI=10.1038/s41561-018-0190-9|postscript=et al.}}</ref>。


細菌はまた、古細菌と真核生物という大きな進化の分岐にも関与していた。この分岐において、真核生物は、真核細胞の祖先(古細菌と近い関係にあると考えられている)に対して細菌が細胞内に侵入し、[[内生生物|内部共生]]になった結果として生じたと考えられている<ref>{{Cite journal|date=January 2007|title=Evaluating hypotheses for the origin of eukaryotes|journal=BioEssays|volume=29|issue=1|pages=74–84|DOI=10.1002/bies.20516|PMID=17187354}}</ref><ref name="Dyall">{{Cite journal|date=April 2004|title=Ancient invasions: from endosymbionts to organelles|journal=Science|volume=304|issue=5668|pages=253–57|bibcode=2004Sci...304..253D|DOI=10.1126/science.1094884|PMID=15073369}}</ref>。これは、[[アルファプロテオバクテリア綱|Alphaproteobacterial]]細菌が始原的真核細胞と[[共生]]形態になり、現在の全ての真核生物が持つ[[ミトコンドリア]]や[[ハイドロジェノソーム]]となった、というシナリオである。また他に、ミトコンドリアを既に保持している真核生物がさらに[[藍藻|シアノバクテリア]]を細胞内に取り込み、今日の藻類や植物が持つ[[葉緑体]]を形成したと考えられている。このことは、原発性内部共生([[:en:Primary_endosymbiosis|primary endosymbiosis]])として知られている<ref name="pmid34018613">{{Cite journal|date=May 2021|title=Why is primary endosymbiosis so rare?|journal=The New Phytologist|volume=231|issue=5|pages=1693–1699|DOI=10.1111/nph.17478|PMID=34018613}}</ref>。
カール・ウーズにより提唱された3ドメイン説(細菌、古細菌、真核生物)は現在も広い支持を得ているが、各ドメインの進化上の関係性は現在も議論が続いている。近年になって[[分子系統学|分子系統解析]]の進歩、および真核生物に非常に近縁の古細菌([[アスガルド古細菌]])が発見されるに至って<ref>{{Cite journal|last=Zaremba-Niedzwiedzka|first=Katarzyna|last2=Caceres|first2=Eva F.|last3=Saw|first3=Jimmy H.|last4=Bäckström|first4=Disa|last5=Juzokaite|first5=Lina|last6=Vancaester|first6=Emmelien|last7=Seitz|first7=Kiley W.|last8=Anantharaman|first8=Karthik|last9=Starnawski|first9=Piotr|date=2017-01|title=Asgard archaea illuminate the origin of eukaryotic cellular complexity|url=http://www.nature.com/articles/nature21031|journal=Nature|volume=541|issue=7637|pages=353–358|language=en|doi=10.1038/nature21031|issn=0028-0836}}</ref>、真核生物は古細菌の一部から進化したとする説が優勢になりつつある(2ドメイン説とも呼ばれる)。2ドメイン説では、細菌は原始の地球に出現した生命体の2つのグループの内の一つということになる(もう一つは古細菌)。さらに近年では、それまで知られていた細菌のグループとは全く別系統に属する新種の細菌グループ(Candidate Phyla Radiation;CPR)が見つかり、その規模は既知の細菌全体に匹敵するとも推測されている(分類の項の進化系統樹を参照)<ref name=":0">{{Cite journal|last=Hug|first=Laura A.|last2=Baker|first2=Brett J.|last3=Anantharaman|first3=Karthik|last4=Brown|first4=Christopher T.|last5=Probst|first5=Alexander J.|last6=Castelle|first6=Cindy J.|last7=Butterfield|first7=Cristina N.|last8=Hernsdorf|first8=Alex W.|last9=Amano|first9=Yuki|date=2016-05|title=A new view of the tree of life|url=http://www.nature.com/articles/nmicrobiol201648|journal=Nature Microbiology|volume=1|issue=5|pages=16048|language=en|doi=10.1038/nmicrobiol.2016.48|issn=2058-5276}}</ref>。そのため細菌ドメインの範囲は現在もさらに拡大している。


== 生育環境 ==
== 生育環境 ==
細菌は、通常の土壌や湖沼はもちろん、地殻、[[大気圏]]、[[熱水鉱床]]、水深11000m以上の[[海底]]、[[南極]]の氷床などといった、[[生物圏]]とされている地球上のほぼ全ての環境に分布する<ref name="pmid33114255">{{Cite journal|date=October 2020|title=Extremophilic Microorganisms for the Treatment of Toxic Pollutants in the Environment|journal=Molecules (Basel, Switzerland)|volume=25|issue=21|page=4916|DOI=10.3390/molecules25214916|PMID=33114255|PMC=7660605}}</ref><ref name="pmid17331729">{{Cite journal|date=April 2007|title=Life in acid: pH homeostasis in acidophiles|journal=Trends in Microbiology|volume=15|issue=4|pages=165–71|DOI=10.1016/j.tim.2007.02.005|PMID=17331729}}</ref>。地球上には、約2×10 <sup>30</sup>細胞もの細菌が存在していると見積もられている<ref name="pmid30760902">{{Cite journal|date=April 2019|title=Bacteria and archaea on Earth and their abundance in biofilms|journal=Nature Reviews. Microbiology|volume=17|issue=4|pages=247–260|DOI=10.1038/s41579-019-0158-9|PMID=30760902}}</ref>。細菌は湖や海、北極の氷、[[熱水泉|地熱温泉{{sfn|Wheelis|2008|page=362}}]]などでも豊富に見られ、硫化水素やメタンなどの溶解した化合物をエネルギーに変換することで、生命を維持するために必要な栄養素を作り出している<ref name="pmid34203823">{{Cite journal|date=June 2021|title=Molecular Physiology of Anaerobic Phototrophic Purple and Green Sulfur Bacteria|journal=International Journal of Molecular Sciences|volume=22|issue=12|page=6398|DOI=10.3390/ijms22126398|PMID=34203823|PMC=8232776}}</ref>。特に土壌は細菌が非常に豊富に存在する環境であり、数グラムに約1億個のバクテリアが含まれている。細菌は有毒な廃棄物を分解し、栄養素をリサイクルする存在として、土壌生態学の観点からも不可欠な存在である。細菌は大気中にも見られ、1立方メートルの空気中には約1億個の細菌細胞が存在している。海洋には約3×10 <sup>26</sup>細菌が存在しており、人間が呼吸する酸素の最大50%を供給している存在であると見積もられている{{Sfn|Pommerville|2014|p=3–6}}。一部の細菌は[[芽胞]]という乾燥に強い形態をとり、風や水などで伝播される{{要出典|date=2020年2月}}。
[[生物圏]]とされているほぼ全ての環境に分布する。通常の土壌や湖沼はもちろん、上空8000mまでの[[大気圏]]、[[熱水鉱床]]、水深11000m以上の[[海底]]、[[南極]]の氷床などといった、我々には生育困難な環境からも生育ないし存在が確認されている。ただし、生育には必ず水分が必要であり、乾燥に対してはきわめて弱い。しかしながら、一部の細菌は[[芽胞]]という乾燥に強い形態をとり、風や水などで容易に伝播されるので、結果として人工的に作り出さない限りは細菌の存在しない状態を得ることは困難である。


また[[多細胞生物]]体内部や表面にも多数の細菌が付着ないし生育している([[共生]]。ただし、[[健康]]な生物体の[[血液]]中、[[筋肉]]、[[骨格]]など[[消化管]]以外の臓器からはほとんど検出されず、無菌に保たれる。消化管においては食物の分解プロセスの一部を担っている。このような共生の例は[[ルーメン (解剖学)|ルーメン]]やマメ科植物の根圏における[[窒素固定菌]]の共生などに見ることができる。また、一部の昆虫類では菌細胞と呼ばれる共生細菌を維持するための細胞を分化させ、その細胞質内に細菌を共生させるが、これら細胞質内共生細菌のなかには、[[カルソネラ・ルディアイ]]のように宿主の細胞外で生存あるいは増殖が出来ないものがある。
また[[多細胞生物]]体内部や表面にも多数の細菌が付着生育しており、[[共生]]関係にある。ただし、[[健康]]な生物体の[[血液]]中、[[筋肉]]、[[骨格]]など[[消化管]]以外の臓器からはほとんど検出されない{{要出典|date=2020年2月}}。消化管においては食物の分解プロセスの一部を担っている。このような共生の例は[[ルーメン (解剖学)|ルーメン]]やマメ科植物の根圏における[[窒素固定菌]]の共生などに見ることができる{{要出典|date=2020年2月}}。また、一部の昆虫類では菌細胞と呼ばれる共生細菌を維持するための細胞を分化させ、その細胞質内に細菌を共生させるが、これら細胞質内共生細菌のなかには、[[カルソネラ・ルディアイ]]のように宿主の細胞外で生存あるいは増殖が出来ないものがある{{要出典|date=2020年2月}}


[[生物量]](バイオマス)も相当量存在すると考られおり、土壌4000m<sup>2</sup>あたり2トンの微生物(真菌、古細菌を含む)を有していると考えられている。また海洋においては、栄養状態にかかわらず1mLあたり50細胞程度の細菌が存在しており(沿岸や生物の死体周辺ではmLあたり10<sup>5</sup>細胞以上生息している)、海洋ひとつとってみても地上の真核生物量をはるかに凌駕する計算がなされている。
[[バイオマス(生態学|バイオマス]]の観点から、細菌は植物を超えている<ref name="Bar-On">{{Cite journal|date=June 2018|title=The biomass distribution on Earth|url=http://www.pnas.org/content/early/2018/05/15/1711842115.full.pdf|journal=Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America|volume=115|issue=25|pages=6506–11|DOI=10.1073/pnas.1711842115|PMID=29784790|PMC=6016768}}</ref>。土壌4000m<sup>2</sup>あたり2トンの微生物(真菌、古細菌を含む)を有していると考えられている。また海洋においては、栄養状態にかかわらず1mLあたり50細胞程度の細菌が存在しており(沿岸や生物の死体周辺ではmLあたり10<sup>5</sup>細胞以上生息している)、海洋ひとつとってみても地上の真核生物量をはるかに凌駕する計算がなされている{{要出典|date=2020年2月}}


== 形状 ==
== 形状 ==
[[ファイル:Bacteria shape.png|thumb|200px|様々な形態を持つ細菌]]
[[ファイル:Bacteria shape.png|thumb|200px|様々な形態を持つ細菌]]
[[ファイル:Bacterial_morphology_diagram.svg|代替文=細胞の形態と配置|左|サムネイル|{{Sfn|Krasner|2014|p=74}}]]
大きさはおおむね0.5-5 µm程度であり、[[古細菌]]と同規模で真核生物よりは一桁小さい。[[桿菌]]の中で長いものは15 µmほどになる。
細菌は様々な細胞[[形態学 (生物学)|形態]]や配置を示す。一般に、大きさはおおむね0.5-5 µm程度であり、[[古細菌]]と同規模で真核生物よりは一桁小さい。[[桿菌]]の中で長いものは15 µmほどになる。ただし、肉眼でも見ることができるサイズになるものもあり、例えば''Thiomargarita namibiensis''は500 µmほどに<ref>{{cite journal|year=2001|title=Big bacteria|journal=[[Annual Review of Microbiology]]|volume=55|pages=105–37|doi=10.1146/annurev.micro.55.1.105|pmid=11544351|vauthors=Schulz HN, Jorgensen BB|s2cid=18168018}}</ref>、''[[:en:Epulopiscium_fishelsoni|Epulopiscium fishelsoni]]は''700 µm程度にも達する<ref name="Williams2011">{{cite journal|last=Williams|first=Caroline|year=2011|title=Who are you calling simple?|journal=New Scientist|volume=211|issue=2821|pages=38–41|doi=10.1016/S0262-4079(11)61709-0|name-list-style=vanc}}</ref>。逆に、最小のバクテリアとしては、わずか0.3 µmの''[[マイコプラズマ|マイコプラズマ属]]の種が知られている''<ref>{{Cite journal|date=November 1975|title=Mycoplasma hominis: growth, reproduction, and isolation of small viable cells|journal=Journal of Bacteriology|volume=124|issue=2|pages=1007–18|DOI=10.1128/JB.124.2.1007-1018.1975|PMID=1102522|PMC=235991}}</ref>。これよりも小さい細菌が存在する可能性も示唆されているが、十分に研究されていない<ref name="Velimirov2001">{{Cite journal|year=2001|title=Nanobacteria, Ultramicrobacteria and Starvation Forms: A Search for the Smallest Metabolizing Bacterium|journal=Microbes and Environments|volume=16|issue=2|pages=67–77|DOI=10.1264/jsme2.2001.67}}</ref>。


細胞外観は古細菌に酷似し、かなり倍率の高い光学顕微鏡で観察しても藍藻類などを除き、古細菌とほとんど見分けが付かない。最大の細菌''Thiomargarita namibiensis''は最大750 µmにも達し、肉眼でも見える。その他らせん菌など様々な形態が観察されている。桿菌ではしばしば細胞壁が連なって長大な糸状になる。[[多細胞生物]]のような複雑な高次構造を持つものはいないが、群体や[[菌糸]]を形成するものもいる。なかでも[[粘液細菌]]は[[細胞性粘菌]]とよく似た生活環を持つことで知られる。
細胞外観は古細菌に酷似し、かなり倍率の高い光学顕微鏡で観察しても藍藻類などを除き、古細菌とほとんど見分けが付かない。その他らせん菌など様々な形態が観察されている。桿菌ではしばしば細胞壁が連なって長大な糸状になる。[[多細胞生物]]のような複雑な高次構造を持つものはいないが、群体や[[菌糸]]を形成するものもいる。なかでも[[粘液細菌]]は[[細胞性粘菌]]とよく似た生活環を持つことで知られる。


== 細胞の構造 ==
== 細胞の構造 ==
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== 細菌ドメインの主な分類 ==
== 細菌ドメインの主な分類 ==
確立した分類いまだに存在しない。[[メタゲノミクス|メタゲノム]]情報の蓄積により新しく発見される種もいまだに増え続けていただし、大まかな枠組みは存在する。例えば
細菌は系統学的に分類されてるが<ref name="tba">{{Cite web|accessdate=2017-09-09|title=生物分類表 - 真正細菌ドメイン|date=2012年12月04日|url=http://www2.tba.t-com.ne.jp/nakada/takashi/taxonomy/bacteria.html|author=仲田崇志|publisher=きぐれ生物学}}</ref>、[[メタゲノミクス|メタゲノム]]情報の蓄積などにより新しく発見される種も増え続けており、分類体系は確立していない。大まかな枠組みとして


* [[テッラバクテリア|テラバクテリア]]
* [[テッラバクテリア|テラバクテリア]]
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* [[CPR群|CPR]]
* [[CPR群|CPR]]


の単系統性は比較的受け入れられている<ref name=":0" />。ただし、共通祖先からの分岐順序は今も結論は出ていない。例えばかつて、最も古くに分岐したと推測されていた[[アクウィフェクス門|アクウィフェクス]]や[[テルモトガ門|テルモトーガ]]は近年では位置付けが大きく変わっている。
の単系統性は比較的受け入れられている<ref name=":0">{{Cite journal|last=Hug|first=Laura A.|last2=Baker|first2=Brett J.|last3=Anantharaman|first3=Karthik|last4=Brown|first4=Christopher T.|last5=Probst|first5=Alexander J.|last6=Castelle|first6=Cindy J.|last7=Butterfield|first7=Cristina N.|last8=Hernsdorf|first8=Alex W.|last9=Amano|first9=Yuki|date=2016-05|title=A new view of the tree of life|url=http://www.nature.com/articles/nmicrobiol201648|journal=Nature Microbiology|volume=1|issue=5|pages=16048|language=en|doi=10.1038/nmicrobiol.2016.48|issn=2058-5276}}</ref>。ただし、共通祖先からの分岐順序は今も結論は出ていない。例えばかつて、最も古くに分岐したと推測されていた[[アクウィフェクス門|アクウィフェクス]]や[[テルモトガ門|テルモトーガ]]は近年では位置付けが大きく変わっている。
== 歴史 ==
[[ファイル:Jan Verkolje - Antonie van Leeuwenhoek.jpg|thumb|240px|right|自作の顕微鏡を用いて初めて微生物を観察した[[アントニ・ファン・レーウェンフック]]]]
[[発酵]]に関しての研究は古代から進められてきたが、細菌の発見自体は[[17世紀]]である。[[1676年]]に[[アントニ・ファン・レーウェンフック]]によって発見され原生動物と合わせて“animalcules”(微小動物)と呼ばれた。[[1828年]]、[[クリスチャン・ゴットフリート・エーレンベルク]]は、[[顕微鏡]]で観察した微生物が細い棒状であったため、ギリシア語で小さな杖を意味する{{lang|el|βακτήριον}}から“Bacterium”と呼んだ。


[[1859年]]には[[ルイ・パスツール]]が、[[アルコール発酵]]が微生物によって引き起こされることを示し、さらに発酵が自然発生的な現象ではないことを示した。このとき、パスツールは発酵を起こす微生物を細菌だと考えたが、実際には[[菌類]]である。また、[[ロベルト・コッホ]]によって細菌培養法の基礎が確立され、[[炭疽菌]]、[[結核菌]]、[[コレラ菌]]が[[病原性]]の細菌によって引き起こされることが証明された。

20世紀に入ると培養法が確立されたことも相まって細菌の研究が進んでいく。それまでは、多くの病気が細菌によって引き起こされることが分かっても、[[対症療法]]しか存在しなかったが、[[1910年]]、[[パウル・エールリヒ]]と[[秦佐八郎]]によって初の[[抗菌剤]][[サルバルサン]]が開発され、[[1929年]]には[[アレクサンダー・フレミング]]によって[[抗生物質]][[ペニシリン]]が発見された。
{{節スタブ}}

細菌の[[知識]]が深まるにつれ、[[分類学]]上での細菌の位置づけはしばしば[[変更]]されている。発見時は2界説に従い植物界に振り分けられ、[[1866年]]には[[エルンスト・ヘッケル]]によって単細胞生物をまとめた原生生物界に組み入れられた(3界説)。[[1930年]]頃になると原核生物と[[真核生物]]の違いが認識され、2帝説[[原核生物|原核生物帝]]([[1937年]])、次いで4界説(のち5界説)[[モネラ界]]([[1956年]])が提唱された。現在に至る一般の細菌のイメージは5界説における原核生物に対応している([[藍藻|藍色細菌は、旧名藍藻]]の概念としては除くこともある)。しかし、[[1977年]]、[[カール・ウーズ]]らによって原生生物界の単系統性に疑問が投げかけられ、メタン生成菌(のち高度好塩菌と一部の好熱菌も)を除く原核生物として、'''Kingdom Eubacteria'''(真正細菌界)が定義された。[[1990年]]には[[16S rRNA系統解析|16S rRNA配列]]に基づいて、[[古細菌|当時の古細菌]](メタン生成菌、[[高度好塩菌]]、一部の[[好熱菌]])を除く原核生物として'''Domain Bacteria'''(細菌ドメイン)が定義され、同時に古細菌はDomain Archaea ([[古細菌|古細菌ドメイン]])として新たに定義された。歴史的な由来から付けられた名前が存続している「古細菌」は、その名前から細菌より古いグループという印象を受けるが、両者はさらに古い時代に存在した共通祖先から分岐した対等なグループ同士であり、どちらも同等に起源は古い。


カール・ウーズにより提唱された3ドメイン説(細菌、古細菌、真核生物)は現在も広い支持を得ているが、各ドメインの進化上の関係性は現在も議論が続いている。近年になって[[分子系統学|分子系統解析]]の進歩、および真核生物に非常に近縁の古細菌([[アスガルド古細菌]])が発見されるに至って<ref>{{Cite journal|last=Zaremba-Niedzwiedzka|first=Katarzyna|last2=Caceres|first2=Eva F.|last3=Saw|first3=Jimmy H.|last4=Bäckström|first4=Disa|last5=Juzokaite|first5=Lina|last6=Vancaester|first6=Emmelien|last7=Seitz|first7=Kiley W.|last8=Anantharaman|first8=Karthik|last9=Starnawski|first9=Piotr|date=2017-01|title=Asgard archaea illuminate the origin of eukaryotic cellular complexity|url=http://www.nature.com/articles/nature21031|journal=Nature|volume=541|issue=7637|pages=353–358|language=en|doi=10.1038/nature21031|issn=0028-0836}}</ref>、真核生物は古細菌の一部から進化したとする説が優勢になりつつある(2ドメイン説とも呼ばれる)。2ドメイン説では、細菌は原始の地球に出現した生命体の2つのグループの内の一つということになる(もう一つは古細菌)。さらに近年では、それまで知られていた細菌のグループとは全く別系統に属する新種の細菌グループ(Candidate Phyla Radiation;CPR)が見つかり、その規模は既知の細菌全体に匹敵するとも推測されている(分類の項の進化系統樹を参照)<ref name=":0" />。そのため細菌ドメインの範囲は現在もさらに拡大している。
下の分類表<ref name="tba">{{Cite web|accessdate=2017-09-09|title=生物分類表 - 真正細菌ドメイン|date=2012年12月04日|url=http://www2.tba.t-com.ne.jp/nakada/takashi/taxonomy/bacteria.html|author=仲田崇志|publisher=きまぐれ生物学}}</ref>は、あまり受け入れられていない分類名も一部含まれていることに注意。
* [[ネジバクテリア亜界]]([[:en:Negibacteria|Negibacteria]])
**[[エオバクテリア下界]]([[:en:Eobacteria|Eobacteria]])
***[[デイノコッカス-サーマス門]]([[:en:Deinococci|Deinococci]])
**** [[デイノコックス綱]]([[:en:Deinococci|Deinococci]])
***** [[デイノコック目]]([[:en:Deinococcales|Deinococcales]])
***** [[テルムス目]]([[:en:Thermales|Thermales]])
*** [[クロロフレクサス門]]([[:en:Chloroflexi|Chloroflexi]])
****[[アナエロリネア綱]]([[:en:Anaerolineae|Anaerolineae]])
***** [[アナエロリネア目]]([[:en:Anaerolineales|Anaerolineales]])
**** [[カルディリネア綱]]([[:en:Caldilineae|Caldilineae]])
**** [[クロロフレクスス綱|クロロフレクサス綱]]([[:en:Chloroflexi|Chloroflexi]])
*****[[クロロフレクスス目|クロロフレクサス目]]([[:en:Chloroflexales|Chloroflexales]])
***** [[ヘルペトシフォン目]]([[:en:Herpetosiphonales|Herpetosiphonales]])
**** [[デハロコッコイデス綱]]
**** [[テルモミクロビウム綱]]([[:en:Thermomicrobia|Thermomicrobia]])
***** [[テルモミクロビウム目]]([[:en:Thermomicrobiales|Thermomicrobiales]])
***** [[スファエロバクター目]]([[:en:Sphaerobacterales|Sphaerobacterales]])
**** [[クテドノバクター綱]]([[:en:Ktedonobacteria|Ktedonobacteria]])
***** [[クテドノバクター目]]([[:en:Ktedonobacterales|Ktedonobacterales]])
***** [[テルモゲマティスポラ目]]([[:en:Thermogemmatisporales|Thermogemmatisporales]])
** [[グリコバクテリア下界]]([[:en:Glycobacteria|Glycobacteria]])
***[[シアノバクテリア門|藍色細菌門]]([[:en:Cyanobacteria|Cyanobacteria]])
****[[シアノバクテリア綱|藍色細菌綱]]
**** [[グロエオバクター綱]]([[:en:Gloeobacterophyceae|Gloeobacterophyceae]])
***** [[グロエオバクター目]]([[:en:Gloeobacterales|Gloeobacterales]])
**** [[ネンジュモ綱]]([[:en:Nostocophyceae|Nostocophyceae]])
***** [[シネココックス亜綱]]([[:en:Synechococcophycidae|Synechococcophycidae]])
****** [[シネココックス目]]([[:en:Synechococcales|Synechococcales]])
***** [[ネンジュモ亜綱]]([[:en:Nostocophycidae|Nostocophycidae]])
****** [[クロオコックス目]]([[:en:Chroococcales|Chroococcales]])
****** [[ユレモ目]]([[:en:Oscillatoriales|Oscillatoriales]])
****** [[ネンジュモ目]]([[:en:Nostocales|Nostocales]])
***** 所属亜綱不明
****** [[シュードアナベナ目]]([[:en:Pseudanabaenales|Pseudanabaenales]])
*** [[スピロヘータ門]]([[:en:Spirochaetes|Spirochaetes]])
**** [[スピロヘータ綱]]([[:en:Spirochaetes|Spirochaetes]])
*****[[スピロケータ目]]([[:en:Spirochaetales|Spirochaetales]])
*** [[フィブロバクター属|フィブロバクター門]]([[:en:Fibrobacteres|Fibrobacteres]])
**** [[フィブロバクター綱]]([[:en:Fibrobacteria|Fibrobacteria]])
*** [[ゲンマティモナス・アウランティアカ|ゲンマティモナス門]]([[:en:Gemmatimonadetes|Gemmatimonadetes]])
**** [[ゲンマティモナス綱]]([[:en:Gemmatimonadetes|Gemmatimonadetes]])
***** [[ゲマティモナス目]]([[:en:Gemmatimonadales|Gemmatimonadales]])
*** [[クロロビウム門|緑色細菌門]]([[:en:Chlorobi|Chlorobi]])
****[[クロロビウム綱|緑色細菌綱]]([[:en:Chlorobea|Chlorobea]])
*****[[クロロビウム目|緑色細菌目]]([[:en:Chlorobiales|Chlorobiales]])
**** [[イグナウィバクテリウム綱]]([[:en:Ignavibacteria|Ignavibacteria]])
***** [[イグナヴィバクテリウム目]]([[:en:Ignavibacteriales|Ignavibacteriales]])
*** [[バクテロイデス門]]([[:en:Bacteroidetes|Bacteroidetes]])
**** [[バクテロイデス綱]]([[:en:Bacteroidia|Bacteroidia]])
***** [[バクテロイデス目]]([[:en:Bacteroidales|Bacteroidales]])
**** [[フラボバクテリア綱]]([[:en:Flavobacteriia|Flavobacteriia]])
***** [[フラボバクテリウム目]]([[:en:Flavobacteriales|Flavobacteriales]])
**** [[スフィンゴバクテリア綱]]([[:en:Sphingobacteriia|Sphingobacteriia]])
***** [[スフィンゴバクテリウム目]]([[:en:Sphingobacteriales|Sphingobacteriales]])
**** [[シトファーガ綱]]([[:en:Cytophagia|Cytophagia]])
***** [[シトファーガ目]]([[:en:Cytophagales|Cytophagales]])
*** [[プランクトミケス門|プランクトミセス門]]([[:en:Planctomycetes|Planctomycetes]])
****[[プランクトミケス綱|プランクトミセス綱]]([[:en:Planctomycea|Planctomycea]])
***** [[プランクトミセス目]]([[:en:Planctomycetales|Planctomycetales]])
**** [[フィシスファエラ綱]]([[:en:Phycisphaerae|Phycisphaerae]])
***** [[フィシスファエラ目]]([[:en:Phycisphaerales|Phycisphaerales]])
*** [[クラミジア|クラミジア門]]([[:en:Chlamydiae|Chlamydiae]])
**** [[クラミジア綱]]([[:en:Chlamydiae|Chlamydiae]])
***** [[クラミジア目]]([[:en:Chlamydiales|Chlamydiales]])
*** [[ウェルコミクロビウム門]]([[:en:Verrucomicrobia|Verrucomicrobia]])
**** [[ウェルコミクロビウム綱]]([[:en:Verrucomicrobiae|Verrucomicrobiae]])
***** [[ヴェルコミクロビウム目]]([[:en:Verrucomicrobiales|Verrucomicrobiales]])
**** [[オピタタス綱]]([[:en:Opitutae|Opitutae]])
***** [[オピツツス目]]([[:en:Opitutales|Opitutales]])
***** [[プニセイコックス目]]([[:en:Puniceicoccales|Puniceicoccales]])
**** [[スパルトバクテリア綱]]([[:en:Spartobacteria|Spartobacteria]])
***** [[クトニオバクター目]]([[:en:Chthoniobacterales|Chthoniobacterales]])
*** [[レンティスファエラ門]]([[:en:Lentisphaerae|Lentisphaerae]])
**** [[レンティスファエラ綱]]([[:en:Lentisphaeria|Lentisphaeria]])
***** [[レンティスファエラ目]]([[:en:Lentisphaerales|Lentisphaerales]])
***** [[ヴィクティヴァリス目]]([[:en:Victivallales|Victivallales]])
*** [[プロテオバクテリア門]]([[:en:Proteobacteria|Proteobacteria]])
****[[アルファプロテオバクテリア綱]]([[:en:Alphaproteobacteria|Alphaproteobacteria]])
***** [[ロドスピリルム目]]([[:en:Rhodospirillales|Rhodospirillales]])
***** [[リケッチア目]]([[:en:Rickettsiales|Rickettsiales]])
***** [[ロドバクター目]]([[:en:Rhodobacterales|Rhodobacterales]])
***** [[スフィンゴモナス目]]([[:en:Sphingomonadales|Sphingomonadales]])
***** [[カウロバクター目]]([[:en:Caulobacterales|Caulobacterales]])
***** [[リゾビウム目]]([[:en:Rhizobiales|Rhizobiales]])
***** [[パルヴルアーキュラ目]]([[:en:Parvularculales|Parvularculales]])
***** [[コルディイモナス目]]([[:en:Kordiimonadales|Kordiimonadales]])
***** [[スネアチエラ目]]([[:en:Sneathiellales|Sneathiellales]])
***** [[キロニエラ目]]([[:en:Kiloniellales|Kiloniellales]])
**** [[ベータプロテオバクテリア綱]]([[:en:Betaproteobacteria|Betaproteobacteria]])
***** [[バークホルデリア目]]([[:en:Burkholderiales|Burkholderiales]])
***** [[ヒドロゲノフィルス目]]([[:en:Hydrogenophilales|Hydrogenophilales]])
***** [[メチロフィルス目]]([[:en:Methylophilales|Methylophilales]])
***** [[ネイッセリア目]]([[:en:Neisseriales|Neisseriales]])
***** [[ニトロソモナス目]]([[:en:Nitrosomonadales|Nitrosomonadales]])
***** [[ロドシクルス目]]([[:en:Rhodocyclales|Rhodocyclales]])
***** [[プロカバクター目]]([[:en:Procabacteriales|Procabacteriales]])
**** [[ガンマプロテオバクテリア綱]]([[:en:Gammaproteobacteria|Gammaproteobacteria]])
***** [[クロマチウム目]]([[:en:Chromatiales|Chromatiales]])
***** [[アシドチオバチルス目]]([[:en:Acidithiobacillales|Acidithiobacillales]])
***** [[キサントモナス目]]([[:en:Xanthomonadales|Xanthomonadales]])
***** [[カルディオバクテリウム目]]([[:en:Cardiobacteriales|Cardiobacteriales]])
***** [[チオスリックス目]]([[:en:Thiotrichales|Thiotrichales]])
***** [[レジオネラ目]]([[:en:Legionellales|Legionellales]])
***** [[メチロコックス目]]([[:en:Methylococcales|Methylococcales]])
***** [[オセアノスピリルム目]]([[:en:Oceanospirillales|Oceanospirillales]])
***** [[シュードモナス目]]([[:en:Pseudomonadales|Pseudomonadales]])
***** [[アルテロモナス目]]([[:en:Alteromonadales|Alteromonadales]])
***** [[ビブリオ目]]([[:en:Vibrionales|Vibrionales]])
***** [[エアロモナス目]]([[:en:Aeromonadales|Aeromonadales]])
***** [[エンテロバクター目]]([[:en:Enterobacterales|Enterobacterales]])
***** [[パスツーレラ目]]([[:en:Pasteurellales|Pasteurellales]])
**** [[δプロテオバクテリア綱|デルタプロテオバクテリア綱]]([[:en:Deltaproteobacteria|Deltaproteobacteria]])
***** [[デスルフレラ目]]([[:en:Desulfurellales|Desulfurellales]])
***** [[デスルフォビブリオ目]]([[:en:Desulfovibrionales|Desulfovibrionales]])
***** [[デスルフォバクター目]]([[:en:Desulfobacterales|Desulfobacterales]])
***** [[デスルファルクルス目]]([[:en:Desulfarculales|Desulfarculales]])
***** [[デスルフロモナス目]]([[:en:Desulfuromonadales|Desulfuromonadales]])
***** [[シントロフォバクター目]]([[:en:Syntrophobacterales|Syntrophobacterales]])
***** [[デロビブリオ目]]([[:en:Bdellovibrionales|Bdellovibrionales]])
***** [[ミクソコックス目]]([[:en:Myxococcales|Myxococcales]])
**** [[εプロテオバクテリア綱|イプシロンプロテオバクテリア綱]]([[:en:Epsilonproteobacteria|Epsilonproteobacteria]])
**** [[カンピロバクター目]]([[:en:Campylobacterales|Campylobacterales]])
**** [[ナウティリア目]]([[:en:Nautiliales|Nautiliales]])
**** [[ζプロテオバクテリア綱]]
*** [[放線菌|アシドバクテリア門]]([[:en:Acidobacteria|Acidobacteria]])
****[[アクチノバクテリア綱|アシドバクテリア綱]]([[:en:Acidobacteria|Acidobacteria]])
***** [[アシドバクテリウム目]]([[:en:Acidobacteriales|Acidobacteriales]])
**** [[ホロファガ綱]]([[:en:Holophagae|Holophagae]])
***** [[ホロファガ目]]([[:en:Holophagales|Holophagales]])
***** [[アカントプレウリバクター目]]([[:en:Acanthopleuribacterales|Acanthopleuribacterales]])
*** [[アクウィフェクス門]]([[:en:Aquificae|Aquificae]])
**** [[アクイフェックス綱]]([[:en:Aquificae|Aquificae]])
***** [[アキフェックス目]]([[:en:Aquificales|Aquificales]])
*** [[デフェリバクター門]]([[:en:Deferribacteres|Deferribacteres]])
**** [[デフェリバクター綱]]([[:en:Deferribacteres|Deferribacteres]])
***** [[ジオビブリオ目]]([[:en:Geovibriales|Geovibriales]])
*** [[サーモデスルフォバクテリア門]]([[:en:Thermodesulfobacteria|Thermodesulfobacteria]])
**** [[サーモデスルフォバクテリア綱]]([[:en:Thermodesulfobacteria|Thermodesulfobacteria]])
***** [[テルモデスルフォバクテリウム目]]([[:en:Thermodesulfobacteriales|Thermodesulfobacteriales]])
*** [[ニトロスピラ門]]([[:en:Nitrospirae|Nitrospirae]])
**** [[ニトロスピラ綱]]([[:en:Nitrospira|Nitrospira]])
***** [[ニトロスピラ目]]([[:en:Nitrospirales|Nitrospirales]])
*** [[フソバクテリウム門]]([[:en:Fusobacteria|Fusobacteria]])
**** [[フソバクテリア綱]]([[:en:Fusobacteriia|Fusobacteriia]])
***** [[フソバクテリウム目]]([[:en:Fusobacteriales|Fusobacteriales]])
*** [[シネルギステス門]]([[:en:Synergistetes|Synergistetes]])
**** [[シネルギステス綱]]([[:en:Synergistia|Synergistia]])
***** [[シネルギステス目]]([[:en:Synergistales|Synergistales]])
*** [[カルディセリクム門]]([[:en:Caldiserica|Caldiserica]])
**** [[カルディセリクム綱]]([[:en:Caldisericia|Caldisericia]])
***** [[カルディセリクム目]]([[:en:Caldisericales|Caldisericales]])
** 所属下界不明
*** [[エルシミクロビウム門]]([[:en:Elusimicrobia|Elusimicrobia]])
**** [[エルシミクロビウム綱]]([[:en:Elusimicrobia|Elusimicrobia]])
***** [[エルシミクロビウム目]]([[:en:Elusimicrobiales|Elusimicrobiales]])
*** [[アルマティモナス門]]([[:en:Armatimonadetes|Armatimonadetes]])
**** [[アルマティモナス綱]]([[:en:Armatimonadia|Armatimonadia]])
***** [[アルマティモナス目]]([[:en:Armatimonadales|Armatimonadales]])
**** [[クトノモナス綱]]([[:en:Chthonomonadetes|Chthonomonadetes]])
***** [[クトノモナス目]]([[:en:Chthonomonadales|Chthonomonadales]])
**** [[フィンブリイモナス綱]]([[:en:Fimbriimonadia|Fimbriimonadia]])
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== 脚注 ==
== 脚注 ==

2022年1月8日 (土) 15:53時点における版

細菌
大腸菌 (Escherichia coli)
地質時代
太古代先カンブリア代) - 現代
分類
ドメイン : 細菌 Bacteria
和名
細菌/真正細菌

細菌(さいきん、真正細菌ラテン語: bacterium、複数形 bacteria バクテリア)とは、古細菌真核生物とともに全生物界を三分する、生物の主要な系統(ドメイン)の一つである。語源はギリシャ語の「小さな杖」(βακτήριον)に由来している[1]。細菌と古細菌は、合わせて原核生物とも呼ばれる。真核生物と比較した場合、非常に単純な構造を持つ一方で、はるかに多様な代謝系や栄養要求性を示す。

細菌は、大腸菌枯草菌、藍色細菌(シアノバクテリア)など様々な系統を含む生物群である。球菌桿菌、螺旋菌などの形状をとることが多く、通常1-10 µmほどの微小な生物である。核を持たないという点で古細菌と類似するが、古細菌と細菌の分岐は極めて古い。遺伝システムやタンパク質合成系の一部に異なる機構を採用し、ペプチドグリカンより成る細胞壁エステル型脂質より構成される細胞膜の存在で古細菌とは区別される。1977年までは古細菌は細菌に含まれると考えられていたが、現在では両者はドメインレベルで別の生物とされる。

生息環境は非常に広く、例えば土壌、水、酸性温泉放射性廃棄物、そして地殻地下生物圏などに至るまで、細菌は地球上のあらゆる環境(生物圏)に存在している。個体数は5×1030と推定されており、その生物量も膨大である。また、その代謝系は非常に多様である。光合成窒素固定有機物の分解過程など物質循環において非常に重要な位置を占めている。熱水噴出孔冷水湧出帯などの環境では、極限環境に生息する細菌や古細菌によって、硫化水素やメタンなどの海水中に溶解した化学化合物がエネルギーに変換され、その環境中に生息する様々な生命体を維持するために必要な栄養素を提供している。細菌はまた、植物や動物と共生および寄生の関係になる物も多く知られている。食品関係においてはチーズ納豆ヨーグルトといった発酵過程において微生物学発展以前から用いられてきた。

腸内細菌発酵細菌、病原菌として、人間を始めとする動物との関わりも深く、それらの生物は何百万もの細菌と共存しているとみなすことができる。例えば腸内細菌群は、食物の消化過程には欠かすことのできない一要素である。体内および体内のバクテリアのほとんどは無害であるか、免疫系の保護効果によって無害になっている。多くのバクテリア、特に腸内のバクテリアは、宿主となる動物にとって有益な存在であるといえる。

最近の大半は、病気などを引き起こす存在ではない。しかし極一部のものは病原細菌として、ヒトや動物の感染症の原因になる。例えばコレラ梅毒炭疽菌ハンセン病腺ペストなど、いくつかの種類の細菌は病原性であり、感染症を引き起こす。最も一般的な致命的な細菌性疾患は、呼吸器感染症である。これまでストレプトマイシンクロラムフェニコールテトラサイクリンなどなど様々な細菌産生の抗生物質が発見されてきた。抗生物質は細菌感染症の治療や農業で使用されており、その製造や免疫系の新薬開発の上でも細菌の調査研究は非常に重要である。一方で、病原性細菌の抗生物質耐性の獲得が社会的な問題となっている。

さらに細菌、下水処理流出油の分解、鉱業における金、パラジウム、銅、その他の金属の回収、などのバイオテクノロジー分野でも広く利用されている。

対立遺伝子を持たず、遺伝子型がそのまま表現型をとり、世代時間が短く変異体が得られやすい。あるいは形質転換系の確立などもあいまって近年の分子生物学を中心とした生物学は細菌を中心に発展してきた。大腸菌などは分子生物学の有用なツールとして現在でも頻繁に使用されている。

ほとんどの細菌種は未だ十分に研究がされておらず、その生態や機能が不明である。研究報告がなされた細菌種は約2%に過ぎず[2]、実験室での培養系が確立していないものが大半である。細菌の研究は、微生物学の一分野である細菌として知られている。

呼称

各言語での呼称は、ラテン語がBacterium、日本語および中国語が「細菌」である。1828年クリスチャン・ゴットフリート・エーレンベルクが、顕微鏡で観察した微生物が細い棒状であったため、古代ギリシア語で小さな杖を意味するβακτήριον baktḗrion)から造語し、ラテン語で“Bacterium”と呼んだことに由来する。この複数形がBacteriaである[3][4][5]。日本語の「細菌」の語の発案者は不明であるが、1895年(明治28年)には「細菌学雑誌」が創刊され、19世紀末には既に使われていた[要出典]

なお、「細」にはという漢字が使用されているが、狭義の菌類(真菌)には含まれない。同様に、細菌とは別グループの生物である「古細菌」には細菌という語が使われているが、この記事が説明する狭義の細菌に含まれない。分類学上の「菌類」(Fungi)、「細菌」(Bacteria)、「古細菌」(Archaea)は、それぞれ別々の独立した生物である[要出典]

このほかの呼称としては、真正細菌(Eubacteria)やMonera(モネラ)などがあるが、いずれも古い用語であり、使用頻度は下がっている。真正細菌(Eubacteria)は、かつて古細菌が細菌とみなされていた時代に(Archaeabacteriaと呼ばれていた)、これと区別するために使用されていた単語である。ただし、現在でもトーマス・キャバリエ=スミスら著名な研究者の一部がこの語を用いている[要出典]

起源と初期の進化

細菌、古細菌真核生物の系統樹。下部の縦線は、最後のユニバーサル共通の祖先を表しています。 [6]

細菌の祖先は、約40億年前に地球上に最初に出現した、単細胞の生命体であると考えられている[7]。その後の約30億年の間、ほとんどの生物は微視的であり、細菌と古細菌が支配的な生命体であったと考えられる[8][9][10]ストロマトライトなどの細菌の化石が存在しているものの、独自の特徴的な形態などを持っていないため、細菌の進化の歴史を調べたり、特定の細菌種の起源を特定したりするために使用することは困難である。一方で遺伝子配列を利用することで、細菌の系統学的な進化プロセスを推定することができ、これらの研究から、細菌が古細菌/真核生物の系統よりも初期に分岐したことが示されている[11]。細菌と古細菌の最新の共通の祖先は、おそらく25-35億年前に生息していた超好熱菌の一種であると考えられている[12][13][14]。32億年前の初期の陸上環境においても、最初に上陸を果たした生命体は細菌であった可能性がある[15]

細菌はまた、古細菌と真核生物という大きな進化の分岐にも関与していた。この分岐において、真核生物は、真核細胞の祖先(古細菌と近い関係にあると考えられている)に対して細菌が細胞内に侵入し、内部共生になった結果として生じたと考えられている[16][17]。これは、Alphaproteobacterial細菌が始原的真核細胞と共生形態になり、現在の全ての真核生物が持つミトコンドリアハイドロジェノソームとなった、というシナリオである。また他に、ミトコンドリアを既に保持している真核生物がさらにシアノバクテリアを細胞内に取り込み、今日の藻類や植物が持つ葉緑体を形成したと考えられている。このことは、原発性内部共生(primary endosymbiosis)として知られている[18]

生育環境

細菌は、通常の土壌や湖沼はもちろん、地殻、大気圏熱水鉱床、水深11000m以上の海底南極の氷床などといった、生物圏とされている地球上のほぼ全ての環境に分布する[19][20]。地球上には、約2×10 30細胞もの細菌が存在していると見積もられている[21]。細菌は湖や海、北極の氷、地熱温泉[22]などでも豊富に見られ、硫化水素やメタンなどの溶解した化合物をエネルギーに変換することで、生命を維持するために必要な栄養素を作り出している[23]。特に土壌は細菌が非常に豊富に存在する環境であり、数グラムに約1億個のバクテリアが含まれている。細菌は有毒な廃棄物を分解し、栄養素をリサイクルする存在として、土壌生態学の観点からも不可欠な存在である。細菌は大気中にも見られ、1立方メートルの空気中には約1億個の細菌細胞が存在している。海洋には約3×10 26細菌が存在しており、人間が呼吸する酸素の最大50%を供給している存在であると見積もられている[24]。一部の細菌は芽胞という乾燥に強い形態をとり、風や水などで伝播される[要出典]

また多細胞生物体内部や表面にも多数の細菌が付着生育しており、共生関係にある。ただし、健康な生物体の血液中、筋肉骨格など消化管以外の臓器からはほとんど検出されない[要出典]。消化管においては食物の分解プロセスの一部を担っている。このような共生の例はルーメンやマメ科植物の根圏における窒素固定菌の共生などに見ることができる[要出典]。また、一部の昆虫類では菌細胞と呼ばれる共生細菌を維持するための細胞を分化させ、その細胞質内に細菌を共生させるが、これら細胞質内共生細菌のなかには、カルソネラ・ルディアイのように宿主の細胞外で生存あるいは増殖が出来ないものがある[要出典]

バイオマスの観点からも、細菌は植物を超えている[25]。土壌4000m2あたり2トンの微生物(真菌、古細菌を含む)を有していると考えられている。また海洋においては、栄養状態にかかわらず1mLあたり50細胞程度の細菌が存在しており(沿岸や生物の死体周辺ではmLあたり105細胞以上生息している)、海洋ひとつとってみても地上の真核生物量をはるかに凌駕する計算がなされている[要出典]

形状

様々な形態を持つ細菌
細胞の形態と配置
[26]

細菌は様々な細胞形態や配置を示す。一般に、大きさはおおむね0.5-5 µm程度であり、古細菌と同規模で真核生物よりは一桁小さい。桿菌の中で長いものは15 µmほどになる。ただし、肉眼でも見ることができるサイズになるものもあり、例えばThiomargarita namibiensisは500 µmほどに[27]Epulopiscium fishelsoni700 µm程度にも達する[28]。逆に、最小のバクテリアとしては、わずか0.3 µmのマイコプラズマ属の種が知られている[29]。これよりも小さい細菌が存在する可能性も示唆されているが、十分に研究されていない[30]

細胞外観は古細菌に酷似し、かなり倍率の高い光学顕微鏡で観察しても藍藻類などを除き、古細菌とほとんど見分けが付かない。その他らせん菌など様々な形態が観察されている。桿菌ではしばしば細胞壁が連なって長大な糸状になる。多細胞生物のような複雑な高次構造を持つものはいないが、群体や菌糸を形成するものもいる。なかでも粘液細菌細胞性粘菌とよく似た生活環を持つことで知られる。

細胞の構造

細菌の基本的な構造。細胞膜の外側には細胞壁(この画像ではそのさらに外側に莢膜)がある。細胞内小器官は存在せず内容物は混ざっている
Desulfovibrio vulgaris(グラム陰性菌)

外観は古細菌と酷似するが、各構成素材は異なる場合がある。細胞構造は外部から、べん毛線毛莢膜細胞壁ペリプラズム細胞膜細胞質などから構成されている(べん毛、線毛、莢膜は持たないものもいる)。細胞質には、細胞膜に付着する形でゲノムDNA(核様態という形に凝集)、プラスミド、また電子伝達系などの一部のタンパク質が存在し、リボソームやその他のタンパク質は細胞内部に混ざっている。また、種によっては内部構造としてチラコイドや気泡、顆粒、DNAを包む核膜様構造(プラクトミケス門の一部のみ)が見られることもある。

膜外構造

べん毛は全ての細菌が持っているわけではないが、細胞の移動のために使用される器官である。フラジェリンというタンパク質が重合した直径20 nmほどのらせん状の繊維で、基部が水素イオン濃度勾配やナトリウムイオン濃度勾配をエネルギー源にして回転する。古細菌のべん毛と見た目は酷似するが、その起源と構造は異なると考えられている。鞭毛よりも小型の繊維構造に線毛がある。ピリンというタンパク質が主要構成分で、数nmほど。他の細菌や感染宿主との接合や定着に使われる。

細胞壁はその構造によりグラム(染色)陽性菌とグラム(染色)陰性菌に分けられる。共にペプチドグリカンの構成単位にN-アセチルムラミン酸を持ち、古細菌と細菌を区別する特徴の一つになっている。グラム陽性菌では多量のペプチドグリカンから成るが、グラム陰性菌ではタンパク質を多量に含み、ペプチドグリカンの外側に外膜と呼ばれる構造を持つ。グラム陽性菌と陰性菌共に、細胞壁と細胞膜の間にペリプラズム(空間)と呼ばれる間隙があり、物質取り込みなどに関与するタンパク質が見つかっている。

膜内構造

細胞膜は真核生物と同じくsn-グリセロール3-リン酸脂肪酸が結合したエステル型脂質であり、sn-グリセロール1-リン酸にイソプレノイドアルコールが結合している古細菌とは明確に区別される。細胞膜には電子伝達系や各種輸送体、各種センサーなどに関連するタンパク質が分布している。

内部構造は真核生物の様な明瞭な単位膜系はあまりないが、種によってはチラコイド、DNAを包む核膜様構造(プランクトミケス門の一部のみ)が見られることもある。DNAはHUと呼ばれるタンパク質と結合して核様態という形で凝集しているが、真核生物や古細菌の様にヒストンに巻きついてクロマチン構造をとることはない。DNAは環状一分子が一般的だが、稀に直線状のDNAを持つものや、複数のDNAを持つものもいる。

成長と増殖

増殖は単純な2分裂のものが多い。この場合ほとんど同じクローンが二つできる。早いものでは分裂した後10分で再び分裂する。しかしながらいくつか異なる増殖様式も知られている。同時に3つ以上に分裂する場合や、出芽によって増えるもの、接合してDNAの一部を交換するもの、芽胞などを形成するものが存在する。

増殖に際してはDNAの複製が行われる。DNA複製は真核生物、細菌で異なる点がある(古細菌ではよく分かっていないが真核生物に類似すると考えられている)。細菌では大腸菌で最もDNA複製機構の研究が進んでいる。複製はDNA上に一箇所存在する複製開始点から開始され、双方向へ複製が進んでいく。詳細はDNA複製を参照。

物質循環と代謝の多様性

前項にてあげたが、細菌は生物量としても真核生物を凌駕している。またその呼吸活性においても同様で、多細胞生物体と細菌1gの呼吸活性を比較すると細菌のほうが数百倍大きいと言われている。肥沃な土壌4000m2あたりの細菌の呼吸活性は数万人の人間に等しいとされる。これは細胞が小さく体積あたりの呼吸活性を示す表面積の割合が大きいこと、世代時間が短いことがその要因であろう。呼吸速度(炭素水素酸素の循環)のみならず、生物を構成している窒素硫黄の地球全体の物質循環に寄与しているが、後者の多くは酸素を嫌う嫌気性呼吸を伴う。

窒素循環

窒素は大気中では安定した不活性な気体であるが、光反応燃焼などの高熱によって硝酸イオンアンモニウムイオンとして自然界に存在する。これを有機物の形で取り入れ脱窒していく過程を窒素循環と呼ぶ。これに加え、ある種の細菌は大気中の窒素分子から窒素化合物を合成する窒素固定というプロセスを獲得し、窒素循環に寄与する。窒素はタンパク質アミノ基に含まれるなど生物体の構成要素として非常に重要である。植物は無機態のアンモニアおよび硝酸同化、有機物態窒素の利用が可能であるが、窒素固定は唯一窒素固定菌のみが獲得した能力である。また、有機体窒素のアンモニア化、アンモニアを硝酸まで酸化する硝化過程、硝酸塩を気体の窒素まで還元する硝酸還元(脱窒)過程など、窒素の循環に多様な代謝系を持って循環に寄与している。

硫黄循環

硫黄は主に地殻中に豊富に存在し、元素状硫黄は不溶性だが、これも光反応や高熱により硫化水素硫酸イオンとして自然界に存在する。これを有機物の形で取り入れ、再び水溶性の硫酸塩や硫化水素として排出していく過程を硫黄循環と呼ぶ。有機物中に存在する硫黄は反応性が高く重要なアミノ酸に含まれている(メチオニンシステインなど)。硫酸塩のみが植物によって同化されるが、有機物態硫黄の分解(最終産物は硫化水素)、硫黄酸化(硫化水素から硫酸塩に戻す)、硫酸還元(硫酸塩を異化的に還元する)などは細菌に特有な代謝系である(古細菌にもこのような代謝系を有するものが見つかっている)。

分類方法

全生物の系統樹の例。この系統樹では、古細菌・真核生物の系統に対して、細菌(真正細菌)が圧倒的に優勢となっている。
※細菌の右半分(紫色)を占めるCPR群は、2010年代に報告された未培養系統群。

種の概念

古細菌を含めた原核生物の分類は、形態や表現型のみをもって分類を行うことができる多細胞生物体の分類学とは方法を異にする。原核生物は染色体を1つのみ所持し、対立遺伝子を持たず、かつ、無性的に増殖するために交配を必要としないので動植物に適用されるべき種の概念は当てはまらないことになる。相同組み換えは人間の観察する範囲内において確認されるものの、自然界における頻度を考えると、進化に関与しているかどうかは疑問である。また微生物の個体というものを主として認識するのは困難であり、微生物学的種として認識されているものは同じ遺伝子を持つクローンの集合体(菌株の集団)である。

このような多分子系の実験にて表れる表現形質を徹底的に調べて微生物の種を分類していくのが微生物学における分類学である。そのパラメータとしては、以下のようなものがあげられる。

  • グラム染色(陰性か陽性か)
  • 構造的あるいは解剖学的性質(直接観察)
  • 化学的性質(脂質の構造など)
  • 生理・生化学的性質(最終電子受容体など代謝系)
  • 生態学的性質(生育環境、他微生物や宿主との相互作用など)

特に、動植物においては最も重要な構造的解剖学的性質の決定が微生物では困難なために(個性を見出すことが困難なために)、3つの機能的属性に依存して分類が行われる。グラム染色法はその細胞外マトリクスへの取り込み機構は明らかになっていないが、明らかにグラム染色以下の形質を反映するために現在でも有用なツールのひとつである。古細菌概念提唱前はこの点で混乱を招いたことがあったが、現在ではほぼ解決されている。

原核生物の主要系統を描いた系統樹の例[31]。左側が細菌(バクテリア)。この系統樹では、グラム陽性菌がある程度系統的にまとまっている。

また近年の分子生物学的発展に伴い、適用の難しかった数値分類学的な(いわゆる客観的な)分類法が重要になってきている。特に16S rRNA系統解析DNA - DNA分子交雑法といったメソッドは新種認定のための必須事項である。塩基配列決定が困難であった時代はGC含量によって大まかな分類が可能と考えられてきたが、現在でも重要なデータであることは確かだが、含量によって分類以外の特徴を示すことができない。

なお、微生物の新種の記載をおこなっている科学雑誌International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiologyでは、DNA-DNA交雑を行うことが近縁な2種を分類する最も根拠ある方法としている。とはいえ現在では、DNA-DNA交雑法は、ゲノムレベルでの比較を行うaverage nucleotide identity(ANI)法に取って代わられつつある。正式に発表されている細菌種は約7000種であり、植物や動物と比較すると少なく感じられるが、種の定義自体が異なっており単純に比較はできない[注釈 1]。また、まだ発見されていない種を含めると100万種以上存在するとも言われている。

栄養的分類

微生物の代謝にて注目すべき点は、エネルギー源および炭素源である。それぞれの資源としてどのようなものを利用できるかによって以下のような分類がある。

  • エネルギー源
    • 光栄養生物 - 光をエネルギー源として利用できる(光リン酸化を行なえる)
    • 化学栄養生物 - 化学エネルギーをエネルギー源として依存する(酸化的リン酸化を行なう)
  • 炭素源

これらの、エネルギー源および炭素源の組み合わせによってすべての生物の栄養要求性を説明できる。動物は主として有機物を酸化してエネルギーを得る化学合成従属栄養生物であり、植物は光エネルギーにて二酸化炭素を還元して固定する光合成独立栄養生物である。しかしながら微生物には、これら以外にも光合成従属栄養性と化学合成独立栄養性を示す生物群がいる。

この二つの特徴ある生物群のうち、化学合成独立栄養性を示すものについては物質循環の中でも重要な役割を担っている。また硫黄酸化細菌水素細菌などは、太陽エネルギーに依存しない生態系である深海熱水孔地下生物圏での一次生産者の役割を果たしていると考えられている。なお、本項の詳しい説明は栄養的分類を参照。

命名と分類単位

命名は国際原核生物命名規約に従って行っている。細菌においては特に属名+種形容語が基本の呼称とされる。分類には属以上の単位として科、目、綱、門、界、ドメインなどが与えられているが、属の割り当てが微生物の中では最も重要である。属以上の分類単位はあくまで他の微生物との相対的地位であり、生物そのものの表現型を示すものではない(微生物はそれほどまでに多様でいまなお分類は混乱している)。界は細菌では使用されることが少なく、門やドメインも国際原核生物命名規約に規定されている分類階級ではない。

細菌分類の大綱として最も有名なものにBergey's Manual of Determinative Bacteriologyがある。現在では、Bergey's Manual of Systematic Bacteriologyという名前に変わっている。また、ドイツ刊行のThe Prokaryotesも総ページ数4000を超える大著となっている。大方支持されているのはBergey's Manualのバージェイ式分類であり、それにのっとった分類がなされている。

近年では、16SrRNAだけでなくゲノム規模の比較に基づいてより正確な分類を目指す動きが活発となっている(例えばGTDB)。その結果、古典的によく知られた細菌の分類が解体されることも珍しくなく、現在も絶えず新しいグループの追加と既存のグループの書き換えが進んでいる(例えばデルタプロテオバクテリアの解体)。GTDBによれば、2021年7月時点で、127の門(Phylum)が記載されている。

細菌ドメインの主な分類

細菌は系統学的に分類されているが[32]メタゲノム情報の蓄積などにより新しく発見される種も増え続けており、分類体系は確立していない。大まかな枠組みとして、

の単系統性は比較的受け入れられている[33]。ただし、共通祖先からの分岐順序は今も結論は出ていない。例えばかつて、最も古くに分岐したと推測されていたアクウィフェクステルモトーガは近年では位置付けが大きく変わっている。

歴史

自作の顕微鏡を用いて初めて微生物を観察したアントニ・ファン・レーウェンフック

発酵に関しての研究は古代から進められてきたが、細菌の発見自体は17世紀である。1676年アントニ・ファン・レーウェンフックによって発見され原生動物と合わせて“animalcules”(微小動物)と呼ばれた。1828年クリスチャン・ゴットフリート・エーレンベルクは、顕微鏡で観察した微生物が細い棒状であったため、ギリシア語で小さな杖を意味するβακτήριονから“Bacterium”と呼んだ。

1859年にはルイ・パスツールが、アルコール発酵が微生物によって引き起こされることを示し、さらに発酵が自然発生的な現象ではないことを示した。このとき、パスツールは発酵を起こす微生物を細菌だと考えたが、実際には菌類である。また、ロベルト・コッホによって細菌培養法の基礎が確立され、炭疽菌結核菌コレラ菌病原性の細菌によって引き起こされることが証明された。

20世紀に入ると培養法が確立されたことも相まって細菌の研究が進んでいく。それまでは、多くの病気が細菌によって引き起こされることが分かっても、対症療法しか存在しなかったが、1910年パウル・エールリヒ秦佐八郎によって初の抗菌剤サルバルサンが開発され、1929年にはアレクサンダー・フレミングによって抗生物質ペニシリンが発見された。

細菌の知識が深まるにつれ、分類学上での細菌の位置づけはしばしば変更されている。発見時は2界説に従い植物界に振り分けられ、1866年にはエルンスト・ヘッケルによって単細胞生物をまとめた原生生物界に組み入れられた(3界説)。1930年頃になると原核生物と真核生物の違いが認識され、2帝説原核生物帝1937年)、次いで4界説(のち5界説)モネラ界1956年)が提唱された。現在に至る一般の細菌のイメージは5界説における原核生物に対応している(藍色細菌は、旧名藍藻の概念としては除くこともある)。しかし、1977年カール・ウーズらによって原生生物界の単系統性に疑問が投げかけられ、メタン生成菌(のち高度好塩菌と一部の好熱菌も)を除く原核生物として、Kingdom Eubacteria(真正細菌界)が定義された。1990年には16S rRNA配列に基づいて、当時の古細菌(メタン生成菌、高度好塩菌、一部の好熱菌)を除く原核生物としてDomain Bacteria(細菌ドメイン)が定義され、同時に古細菌はDomain Archaea (古細菌ドメイン)として新たに定義された。歴史的な由来から付けられた名前が存続している「古細菌」は、その名前から細菌より古いグループという印象を受けるが、両者はさらに古い時代に存在した共通祖先から分岐した対等なグループ同士であり、どちらも同等に起源は古い。

カール・ウーズにより提唱された3ドメイン説(細菌、古細菌、真核生物)は現在も広い支持を得ているが、各ドメインの進化上の関係性は現在も議論が続いている。近年になって分子系統解析の進歩、および真核生物に非常に近縁の古細菌(アスガルド古細菌)が発見されるに至って[34]、真核生物は古細菌の一部から進化したとする説が優勢になりつつある(2ドメイン説とも呼ばれる)。2ドメイン説では、細菌は原始の地球に出現した生命体の2つのグループの内の一つということになる(もう一つは古細菌)。さらに近年では、それまで知られていた細菌のグループとは全く別系統に属する新種の細菌グループ(Candidate Phyla Radiation;CPR)が見つかり、その規模は既知の細菌全体に匹敵するとも推測されている(分類の項の進化系統樹を参照)[33]。そのため細菌ドメインの範囲は現在もさらに拡大している。

脚注

注釈

  1. ^ 仮に細菌の種の定義を動物に適用すると、目や科レベルの分類群が全て同一の種に属すと判断されうる

出典

  1. ^ http://www.etymonline.com/index.php?term=bacteria
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関連項目

外部リンク