「日本語の一人称代名詞」の版間の差分
TAKASUGI Shinji (会話 | 投稿記録) →我・吾(われ・わ): 「われ」でないものを除去 |
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:現代では創作の世界において人智を超えた存在・人ならざる者が使用する場合が多い。ただし「我が家」・「我が国」のように、”私の~”という意味の言葉ではしばしば用いられる。現在、関西圏ではニ人称にも相当する。 |
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2008年7月12日 (土) 03:14時点における版
日本語の一人称代名詞は、日本語において、一人称すなわち話し手を指す代名詞である。英語、フランス語、中国語など他の多くの言語と異なり、現代日本語には文法的に名詞とはっきり区別される代名詞がなく、様々な語を一人称代名詞として使え、それぞれ文体や立場が異なる。また同じ語でも平仮名か漢字かでも読み手に与える印象が異なる。
役割語
フィクション、特に漫画やアニメの脇役の一人称代名詞は、役割語であることが多い[1]。このため現実には使われないような代名詞もある。
少年漫画の主人公の一人称代名詞は、昔は「僕」であったが、1960年代後半の『巨人の星』や『明日のジョー』などから「俺」が主流になった。ヒーロー像がエリート少年から野性的な少年に変わったためと考えられる[1]。
一人称と二人称
日本語では、一人称が二人称に転用される事が多い。例えば、「自分」は近畿地方の一部で二人称としても用いられてきたが、現在では他の地方でも用いられる事が多くなっている。東北地方の一部では「我(われ)」が短縮したもの(または「我」の古い言い方)と思われる「わ」が一人称としても二人称としても用いられている。
ちなみに、古くは一人称に用いられていたと思われる「手前(てまえ)」が訛った「てめえ」は、現在では相手を罵るときに用いられる言葉になっている。ただし、現在でも江戸噺家の中には一人称としての「てめえ」を用いる噺家もいる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。
一人称代名詞
この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
普通
私(わたし)
- 日本人が最も多く使用する一人称である。公の場ではたとえ男性であっても自分の事をわたし、もしくはわたくしと言うのが礼儀とされている。ただし、未成年の男子は僕を使う事が推奨されている。
- 女性が常用する場合は「あたし」「うち」とは言わない、ややまじめな女性の言葉とされている。特に創作の世界ではまじめな女性・理知的な女性・おとなしい女性などに使われる。私的な会話では男性はあまり使わないが、親しい先輩や上司に対してはくだけた場面であっても私を使う社会人男性も結構いる。また、創作の世界では非常に真面目で理知的な男性が「僕」の代わりに使うこともある。
- なお正確には「私」と書いて「わたし」と読むのは間違いである。
私(わたくし)
- 「私」の正訓。わたしという表現がさらに改まった表現であり、公の場で最も使うべき言葉であるが、改まりすぎていて堅苦しい印象からか「わたし」ほどは使われない(ビジネスなどの場で「わたくしども」という言い方はよく使われる)。
- なお創作の女性が常用する場合はお嬢様言葉としての使用法や身分の高い女性・学者・詩人など非常に理知的な女性の一人称としての使用法が多い。
僕(ぼく)
- 主に未成年の男子が使用したり成人男性が友人や家族の間で使ったりするが(特に俺を使うことに嫌悪感や拒否感を持つ成人男性が使用することが多い)、成人男性(特に年配が多い)がビジネスなど公の場で「わたしでは気取り過ぎている」として使用する事が多い。
- 本来は女性が用いることに拒否反応が強いが、漫画等のキャラクターでは少女にも多く使われる(ボク少女)。「ボク」のボにアクセントをつけて読む人と、クにアクセントをつけて読む人がいるが、「ボク」だと幼い印象を、「ボク」にすると青年らしい印象を与えやすい。青年が「ボク」を使うと、多くの場合気弱な性格と見られがちであり、イントネーションには注意する必要があるが、実際にはさほど気にする必要はない。
- ポピュラー音楽の世界では、特にフォークソング・ニューミュージック、ニューミュージックの後継としてのJ-POPの歌詞において多用される。この場合、普段の会話では「僕」を使用しない歌手や、歌手が女性であっても「僕」を使う場合がある。ちなみに、二人称である「君」も多く使われている。
- 例外として、二人称で使われる事もある(例:僕、どうしたの?)。その場合、(特に小学生ぐらいまでの)男の子を坊やの代わりに指すのが通例である。
- 従来は男性の謙称であり、『古事記』において速須佐之男命(スサノオ)や因幡の白兎などがしばしば自分を「僕」と呼んでいるが、これは「あ」または「やつこ」と訓じられる。平安時代頃からの文書では「やつがれ」と訓じられていた。これを「ボク」と音読みして一般的な人称として用いるようになったのは、幕末、吉田松陰に感化された松下村塾門弟が盛んに用い、それが他の尊皇攘夷の志士たちに広まってからといわれる。
- 字意には、「しもべ」「したがう」意を含む事から、謙遜して自らを呼ぶ際に用いるが、辞書にしばしば「対等か目下の人に用いる」と記載されているので、その解釈から上司や初対面の人に「僕」を用いるのは間違いだとする主張もある。
自分(じぶん)
- 体育会系の男性に多いが、非体育会系の男性(内向的でおとなしい・不器用な人が多い)が使う事もある。一般的な一人称の言えない人が使うことが多い一方で、ストイックな印象で軍隊的といわれる一面もある。
- 力士や野球選手に多いが、刑事ドラマ「西部警察」で渡哲也が演じた主人公・大門圭介が用いたのは有名で、流行語にもなった。渡自身は基本的に一人称は「私」を使っているが、2006年に缶コーヒージョージアのCM(木村拓哉と共演)で復活。この他にタレントの風見しんごらも用いる。
- 抽象的な表現であるため、近年は女性も用いる人が増えている。
- 関西圏では、相手の事を指して「自分」(手前→「てめえ」の用法変化と相似)と言い、二人称でも使われる。
こっち
- 一人称が言えない人物が使ういわば一人称の代用品のような言葉。「自分」以上に内向的な用語である。
自分を指差す
- 厳密には一人称というよりは一人称が異様なまでに言えない人物が自分の事を指し示すために取る方法。他にろう者も使う。ただし一人称が普通に言える人物の場合も時と場合によっては使う表現ではある。
親しい場合
俺(おれ)
- 多く男性に使用されている。主に私的な場面において広く通用しているが、相手を自らと同等もしくは見下した言い方とされ、公の場では失礼とされる。
- 「おれ」は「おのれ」の転化で、鎌倉時代以前は二人称として使われたが次第に一人称に移行し、江戸時代には貴賎男女を問わず幅広く使われた。明治以降になると共通語では女性の使用者はほぼいなくなったが、東北地方を中心に方言では根強く残っている。
- 西日本では年をとると「わし」に移行することが多い。特に広島などでは「俺」は気取った一人称とされ、通常の場ではあまり使われない。また、アクセントは「れ」に付けるのが一般的であるが、一部地域では「お」にアクセントを付けて使用することもある。
- 参照:おれおれ詐欺
- 他に漫画などのキャラクターでは女性も使う例も多い(俺女)。
儂(わし)
- 中国地方、近畿地方、九州地方、北陸地方など西日本全般や愛知・岐阜で用いられている。これらの地域では子供や若者でも普通に使うことが多いが、近年はメディアの影響から、若い人を中心に俺も使われるようになってきた。主に男性の一人称であるが、一部地域においては(主に老人が)男女にかかわらず用いている。
- 私的な場面に於いて俺を使用することに拒否感があるものの、僕を使用するのも恥ずかしいと考える成人男性が敢えてこの儂を使用することもある。ごく一部の地方では女性が使う場合もある。例えば愛知の一部では女性の「わし」がよく使われるが、普通の「わし」という言い方というより「わたし」の「た」の音が抜けたような発音で、「わっし」に近い。
- 創作の世界では老人・博士・権力者等(主に男性)が使用することが多い(老人語も参照)。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津勘吉。『戦国BASARA』では武田信玄が使用。常用している著名人としては小林よしのり、井脇ノブ子、鳥山明が有名。
あたし
- わたしのくだけた言い方である。日本の多くの女性は「わたし」かこの「あたし」を使う女性が多いが、改まった場では「わたし」ときちんと発音すべきとされている。
- また、かつての東京では職人や商人が好んで使い、現代でも落語家が使用する場合もある(桂歌丸など)。男性のオネエ言葉でよく使われる一人称でもある(池畑慎之介、おすぎ、ピーコなど)。山口百恵・NOKKO・椎名林檎・CHARA・YUKI・aikoなど一部の女性歌手の歌詞に意図的に多用される。また、例えば矢井田瞳のように歌詞上は「私」とあるが、実際には「あたし」と歌っているような例もある。
- 女性が複数登場する漫画では特定の女性のみが使用する場合も見られる(例:『名探偵コナン』の遠山和葉、『スクールランブル』の周防美琴)。
あたい
- あたしのさらにくだけた表現であり、主に蓮っ葉な女性が使う。
- 現在では日常では殆ど使用されないが、創作の世界では時々見られる。例としては『三丁目の夕日』の大木戸ミチコ、『おねがいマイメロディ』のクロミ、『おじゃる丸』のアカネ、『BLOOD+』のルルゥ、『バンジョーとカズーイの大冒険』のカズーイ、『東方Project』のチルノが使っている。他にかつての鹿児島方言などにも見られた。
- 常用している著名人としてはまちゃまちゃや桜塚やっくんが有名(ただしこの二者は職業柄のキャラクターとしてであり、プライベートでは用いていないとみられる)。
わい、わて
- 江戸時代末期以降の近畿地方で用いる一人称。わいはわしが、わてはわたいがくだけたもので、わいは専ら男性が用いる。現在では近畿地方でも使用するのは老年層の少数だが、漫画作品などで関西弁を喋るキャラクターが出てくる場合、この一人称を使う場合が多い(例としては『南国少年パプワくん』のアラシヤマ、『ケロロ軍曹』アニメ版のカララ、『はじめの一歩』の千堂武士、『ドカベン』の岩鬼正美、坂田三吉、新世紀エヴァンゲリオンの鈴原トウジなど)。
わだす
- 「わたし」を東北なまりにしたもの。元々、女性の「わたし」という表現がなかった地域に共通語「わたし」が流入して成立。
うち
- 頭高では近畿など特定の地方で主として女性が用いる一人称(近畿方言)。平板では現在では中高生男女共に用いる事が多い。幼年でも家族などの影響で使う女子もいる。この単語においてはアクセントは重要。
- 2004年頃から関東においてもギャル語の一つとして広まった。なぜ関東まで広まったのかは不明である。
- フィクションにおいては関西弁で喋る女性キャラクターに多く、『じゃりン子チエ』の竹本チエ(大阪市西成区出身・在住の設定)、『うる星やつら』のラム、『魔法先生ネギま!』の近衛木乃香(京都出身)や和泉亜子、『学園アリス』の佐倉蜜柑、『ハヤテのごとく!』の愛沢咲夜(関西出身)、『炎神戦隊ゴーオンジャー』の炎神ベアールVなどが使用。男性で使う人もいる。
己等(おいら)
- 主に地方の男性が使用する。かわいこぶるときに男女とも使用する事もある。ちなみに「俺等」もしくは「俺ら」と書いて「おいら」と呼ぶ表現もあるが、「おれら」とまぎらわしいので最近はあまり使われない。
- 映画「嵐を呼ぶ男」で石原裕次郎が唄った歌が有名。
- 常用している著名人としてはビートたけしや西村博之、モーニング娘。在籍当時の矢口真里、ブログ内での真鍋かをりが有名。ちなみにぜんまいざむらいのぜんまいざむらいも使用している。
おら
- 漢字では「俺ら」。「おいら」から派生[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。した。使用されるのは主に関東以北で、現代では「俺ら(おら)東京さ行ぐだ」という歌詞にもあるように、似非方言で使用される場合が多い。漫画作品では『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけや『ドラゴンボール』の孫悟空が使用している。
おい、おいどん
- 九州、特に南九州地方の男性が使う。通常の会話では、若い男性は「おい」を使い、年配の男性や、戦前生まれの方達の中では、女性でも「おいどん」を使う人がいる。松本零士の作品『男おいどん』で知名度が上がる。また、九州出身の場合は「俺」と「おい」の中間的発音の人がいる(蛭子能収が代表)
- ただ、創作の世界で使われている事例の方が多いと思われる(例:「おいに任せろ!」、「おいどんもそげん思う!」など)。
- また、君、あなたの意味でも使われる。「おい!こら!」は喧嘩などの威嚇で使われるが、本来の意味は「君、これは何?」である。
うら
- 北陸・甲信越の男性が使う。昔は女性も使っていた。ただし若い世代では使われなくなっている。しかし白山麓などでは今も良く使われている。「おら」の地方変種と思われる。風林火山 (NHK大河ドラマ)で甲斐の農民の娘・ミツが使用していた。
わ、わー
ワン、ワー
- 沖縄方言(ウチナーグチ)での一人称、主に男性が使う。女性は大概は年配の人も含めて自分の名前を一人称にする事が多い。なお沖縄では基本的に主語抜きの話し方が多く一人称も略されることもある。
ぼくちゃん、ぼくちん
- 主に男の子供が使用する。かわいこぶっていたり、ふざけて使う場合がある。『大喜利 (笑点)』に出演した三遊亭小円遊がふざけて使用した。『ビーストウォーズ』のワスピーターが使っている。
- 山本史郎訳の『ホビットの冒険』では、『指輪物語』にも登場するゴクリの一人称に「僕チン」が用いられ、波紋を呼んだ。特殊な変型に「僕僕ちゃん」というのもある。
- テレビ番組ではCGキャラクターがいた場合そのキャラはこの一人称を使うことが多い(一部は、おれ、あたしの時もあるがそれほど多くはない)。例:モグモグGOMBOのゴンボくん、ランク王国のラルフ等
おれっち
- 「俺」の変型で江戸っ子言葉。石原慎太郎のエッセイによると、江戸っ子は「おれたち」「おれら」という俺の複数称を単数称にも使い、「おれら」が崩れたのが「おいら」であり「おれたち」が崩れたのが「おれっち」であるという。
- 『魔法先生ネギま!』のアルベール・カモミールや『TEEN TITANS』のビースト・ボーイ、『封神演義』の黄天化、『家庭教師ヒットマンREBORN!』のランボ、『炎神戦隊ゴーオンジャー』の炎神トリプターが使う。
おりゃあ、ぼかぁ、わたしゃ、あたしゃ、わしゃあ、おらぁ
- 一人称を崩した表現で「ゃあ」や「ぁ」を既成の一人称につけ足す表現がある。「あたしは」「ぼくは」等が短く発音された言葉。「あたしゃ」は『ちびまる子ちゃん』で、主人公のまる子(時に他の女性キャラ)が使っていることで有名。
自分の名前
- 主に未成年の女性や乳幼児期の子供が使っている。使い方は、自分の下の名前(または苗字)をそのまま呼んだり、言いやすくして省略したり(例 あやか→あや)、自分の名前に「ちゃん」や「くん」や「たん」をつけたりするなど、種類は様々である。また、成人の男女が幼児と会話する時に使われる事がある(「○○ちゃん(自分の名前)と遊ぼうか?」など)。「私」や「あたし」を使う女性にとって「自分の事を自分で呼ぶ人は嫌い」と思っている人が結構いるようである。乳幼児期の子供の場合は、母親が呼ぶ略称(例:達也→たっくん)を使う。ただし沖縄では、成人した女性であっても自分の下の名前を自称に使うことが多く、成人男性でも自分の下の名前を一人称に使う人もいる(ウチナーヤマトグチも参照)。
- 上戸彩が自分の事を「彩」と自分の名前で呼ぶ癖は有名。篠原ともえ、湯浅卓は苗字である「篠原」、「湯浅」を一人称に使っている。
- 外国語の場合、英語を含めて欧米の言語では動詞の活用が人称変化したり、人称代名詞の格変化があるといった文法上(文法カテゴリー』の理由から、自分の名前で呼ぶ事はない。一方、東アジアでは特にインドネシア語、ベトナム語の話者によって自分のことを名前で呼ぶことが行われている。
親族呼称
- 「父さん」「母さん」「姉さん」「兄さん」「じいちゃん」「ばあちゃん」「おじさん」「おばさん」など。家族の間で使われる言葉で、子供や孫を中心に据えて家族の自分の立場を表現する。
- バリエーションは多彩で頭に「お」を付けたり「さん」の代わりに「ちゃん」を付けたり「父さん」「母さん」のかわりに「パパ」「ママ」、「じいちゃん」「ばあちゃん」の代わりに「じーじ」「ばーば」を使用するなど実に様々である。なお、「お兄さん」「お姉さん」「おじさん」「おばさん」の表現の場合は家族関係でなくても大人が子供に使う表現である。
ミー
- 英語で用いられているmeを、日本語的な発音で呼称したもの。通常の生活でこの一人称が用いられる機会はないが、フィクション作品の個性的な登場人物(『おそ松くん』のイヤミ、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』のペガサス・J・クロフォードなど)が使う事や、ギャグとして使用される場合がある。
ビジネス文書
小職(しょうしょく)、当方(とうほう)
- 話者本人及び、話者の属している場所、団体などを含めて言われる場合が多い。ビジネスなど、比較的改まった場で使用される。
- 「小職」は、「役職」についている人ではなく、「官職」についている人が役人としての自分をへりくだって表現する語(→#本職)
職業
先生
- 小・中・高校で教師が児童・生徒に対して使う一人称。特に小・中学校において「私」「僕」ではなく「先生」を使う教師が多い。たまに苗字を含むときもある。医療業界でも医師などが使用する例がある二人称はともかく一人称は一般的でないでしょう。小児科医が子どもに対して用いるなら分からないでもないですが。[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。
本官
本職
- 弁護士や弁理士、司法書士等が自分を指す言葉。「当職」「小職」という場合もある。前記警察官等の官職にある者も使う。職務を遂行している立場としての「自分」を指すので、もっぱらビジネス文書や報告書等で用いられる。
- ここでの「職」は「(利益追求のためではなく)社会正義や公に益するための職(≒公僕)」というニュアンスを持つため、教職員や正義感の高いマスコミ関係者が使うこともあるが、例えばセールスマンが使うのはふさわしくない。
編集子(へんしゅうし)、筆者
自分の名前、自分の愛称
- 芸能人(若い女性アイドルである事が多い)などが、「自分の名前を覚えてもらう」という営業目的で用いる。自分の名前を一人称とする場合は、一般的に親しい相手に用いる事が多いが、営業目的なので初対面の相手や不特定多数に対して用いている部分が異なる。演じている芸能人としてのキャラクターに対する必要性から、自分の愛称を一人称とする事もある。
趣味
当局(とうきょく)
- アマチュア無線家同士の会話や文書で使われる。二人称は貴局(ききょく)と言う。
こちら
- アマチュア無線で使用される。
古風
我輩、吾輩、我が輩、吾が輩(わがはい)
- 夏目漱石の『吾輩は猫である』など。現代では主に創作の世界で悪役のボスが使う事が多い。
- マリオシリーズのクッパ、『キテレツ大百科』のコロ助、『ゼンダマン』のニャラボルタ、『ハリー・ポッター』シリーズのセブルス・スネイプ教授(彼もこの一人称であることが疑問視されている)、『ケロロ軍曹』のケロロ軍曹、『魔人探偵脳噛ネウロ』の脳噛ネウロや『ストレッチマン』のストレッチマンが使用。常用している著名人としてはデーモン小暮閣下が有名。
某(それがし)
- 過去に武士が使用していたとされる。
- 創作に見られる例としては『ルパン三世』の石川五ェ門(初期)、『うたわれるもの』のトウカやゲンジマル・ヒエン、『戦国無双2』の浅井長政、『戦国BASARA』の前田利家、真田幸村、『金色のガッシュベル!!』のアース、『さらい屋 五葉』の秋津政之助、など。
朕(チン)
- かつて古代中国において王侯貴族が使っていたが、始皇帝が皇帝のみ使用できる一人称として独占した。それをならい、日本においても天皇が詔勅や公文書内における一人称として用いた。しかし、戦後は公式文書やお言葉の中から朕の使用は徐々になくなり、今上天皇はわたしを使用している(ただし、戦前においても朕は文書上で使われたのみで昭和天皇なども口語ではわたしを使用していた。もっとも、二・二六事件において取り乱した昭和天皇の「朕は……」という一人称を、電話を受けた一巡査が記憶していた。終戦の玉音放送でも用いられている。)。尚、漢字朕には「兆し」という意味がある。
麻呂・麿(まろ)
- 古代の日本において男性名に使われていたが(柿本人麻呂、坂上田村麻呂など)、平安時代以後一人称として使用されるようになり、身分や男女を問わずに用いられた。現代では主に創作において公家が使う。「おじゃる丸」で坂ノ上おじゃる丸が使用している。
我・吾(われ・わ)
- 文部省唱歌の『我は海の子』など。
- 現代では創作の世界において人智を超えた存在・人ならざる者が使用する場合が多い。ただし「我が家」・「我が国」のように、”私の~”という意味の言葉ではしばしば用いられる。現在、関西圏ではニ人称にも相当する。
余・予(ヨ)
- 平安時代以後使用されるようになった。予・余共に「われ・わ」と訓じる。尚、余を「あまる」「われ」、予を「あらかじめ」「われ」等と訓じられるのは、内閣府訓令『常用漢字』制定に依って、本来別字である餘(あまる)、豫(あらかじめ)の旧字を余(われ)、予(われ)それぞれに統一したからである。現代では、主に文書や演説などで用いられる他、創作の世界において王またはそれに準ずる地位の者が使用する場合が多い。『大長今』では王が自らを「余」と言っており、『暴れん坊将軍』では「余の顔を見忘れたか?」と使われていた。
小生(しょうせい)
- 主に男性が自分を遜って使う。現在でも手紙などの書面では使われている。『∀ガンダム』のギム・ギンガナムや『ヤットデタマン』のジュリー・コケマツ、『名探偵夢水清志郎事件ノート』のカマキリ部長、『黒執事』の葬儀屋(アンダーテイカー)、『リヴリーアイランド』のダークヤグラなどが使用。女性キャラでは、『テイルズオブレジェンディア』のミミー・ブレッド、『みつどもえ』の丸井ふたばなど。
愚生(ぐせい)
- 手紙などの文面で、男性が謙称として使用する場合が多い。
あっし、あちき
- 主に庶民に多く使用された。
- かつて、様々な地方から集められた芸者達が、お国訛りを隠すために使用した「廓言葉」における一人称。さらに訛った「あちし」というのがあるが、これは時代劇などフィクションの中でのみ用いられる。現在でも、一般的な一人称の言えない人(のうち、主に女性)が使う。また、「あたし」がさらに崩れた結果、「あっし」になることがある。
妾(わらわ)
- 女性の一人称。
- 語源は「童(わらべ、わらわ)」であり、意味としては「子供のように未熟な自分」で、本来は謙遜する際に使われる一人称であるが、創作の世界では、逆に『ヤットデタマン』のミレンジョ姫など、女王、王妃など高い地位にある者が、不遜な響きを含ませて使用する場合がほとんどである。
拙者(せっしゃ)
- 主に武士が自分のことを謙って使用した。僧侶の場合「拙僧」になる。
- 現代においては創作の世界で侍や忍者が使用する事が多い。『るろうに剣心』の緋村剣心や『ケロロ軍曹』のドロロ兵長などが使用。著名人では波田陽区がギター侍のネタ披露時に使用。
身ども(みども)
- 武士階級で、同輩か同輩以下に対して使われた。
僕(やつがれ)、手前(てまえ)
- 現在でもビジネスなどで「手前ども」といった形で「こちら」の代わりに使用される。
乃公(だいこう)、此方(こなた)、あて
- 京都で男女ともに使われていた一人称。
私め(わたしめ)(わたくしめ)
- 「め」は自分を卑下する接尾辞である。
傲慢
俺様(おれさま)
- 俺のさらに砕けた言葉であるが、相手を見くびっているとされ、公の場では非常識な言葉とされている。日常でこの一人称を使う人間は少ないが、主に創作の世界(特に児童文学)でプライドの高い自信家ぶりを表現する呼称として用いられる。例としては『アンパンマン』のばいきんまん、『ドラえもん』のジャイアンなどが顕著である。
あたくし
- わたくしの砕けた表現。口語でこの表現を使う者は少ないが、ブログや手紙などでたわむれにこの一人称を使う女性はいる。フィクションでは傲慢・高飛車な女性にこの一人称を使わせることがある。
創作物の中での使用
これらの現代の実社会で使われにくいマイナーな一人称は、創作物、例として時代劇などで舞台となる時代設定・人物の地位等を説明するため(また背景を考えて不自然でないように)使用される場合や、歌詞の中で独特の一人称を用い雰囲気を醸し出すために使用される場合が多い。また、これら一人称をひねって創作したものが(なまらせる例【おで】、 単純に組み合わせる例 【俺ちゃん】、漢字と振り仮名を別のものを用いる例【己(オレ)】 などが主な)特に児童・ティーン向けのアニメ・漫画・小説等作品内においてキャラクターの個性付けなどのために利用されるケースが多い。
脚注
- ^ a b 金水敏 (2003), ヴァーチャル日本語 役割語の謎, 岩波書店, ISBN 978-4-00-006827-7