多摩弁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。2400:4151:c421:6900:803e:4eb1:ff8e:a3b5 (会話) による 2020年6月18日 (木) 16:35個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎表現: べは使わない)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

多摩弁(たまべん)とは、東京都多摩地域神奈川県北部、埼玉県入間地域などその周辺で用いられる日本語の方言で、西関東方言に含まれる。隣接する埼玉弁などと合わせて、武州弁(ぶしゅうべん)とも呼ばれる。

概要

杉並区など東京都区部西部は1896年まで東多摩郡(江戸時代以前は武蔵国多摩郡)に属しており[1]、そこで話される方言もかつては多摩弁と同様のものであった[2]

表現

西関東方言で広く共通するものが多い。

  • あるってく - 歩いて行く。
  • あんよ - あるよ。多摩弁では全般的に語中の「る」は「ん」に転訛しやすい。
  • あによ あんだって - 何よ。何だって。「何」の「な」は「あ」に転訛しやすい。「な」が「あ」と発音されることは東京都全域で発音される傾向にある。「あんだって」はドリフ大爆笑の神様コントに登場する志村けん東京都東村山市出身)扮する年老いた神様のお決まりのセリフとして有名である。
  • うざったい うざい - 元々、多摩南西部周辺の野菜の漬物の名前や、植物などがいっぱい生えていて邪魔くさい、不快、気持ち悪いなどの意味(うざってる、うざっしい)であった。区部に伝わるにつれて「むかつく」などの意味に変化した。西多摩郡檜原村が発祥という説もある。1992年リリースのT-BOLANじれったい愛』の歌詞をきっかけとして[3]、現在は東京都以外の地域でも使われるようになった。
  • えんでる - 茶碗などにヒビが入っていることを「えむ」と言う。   用例「この茶碗、えんでるから茶が漏るよ」
  • おかっこま - 正座。特に小さい子供などが、澄まして座っている様子をいう。
  • 落っこちる - 落ちる。
  • おっぺす - 押す。
  • かがみっちょ[4] - トカゲ。表皮が鏡のように光っていることから。
  • きない -来ない。話者の中には動詞「来る」の未然形に「き」を使うものがいる[5]
  • こわい - 硬い。用例「メシがこわいじゃんか」
  • 七面倒くさい - しちめんどくさいと読む。面倒くさいの意。略して「しちめんどい」と言う場合もある。
  • 〜じゃん - 〜ではないか。甲州弁由来の表現。
  • だぁよ - だよ。
  • ちゃける - 壊れる。
  • どどめ - 桑の実。
  • はけ - 崖(がけ)。
  • パチ - 嘘っぱち。 用例「おめぇ、パチこいてんべ?」東京都区部でも使用されることがある。
  • へつる - 少しだけ減らす、削る。
  • まっかちん - アメリカザリガニ。色が真っ赤であったことからで、主に南多摩で使われる。
  • まっと - もっと。  用例「まっと、がんばれ」
  • がめる - 疲れる。  用例「穴掘り仕事は、がめるなぁ~」

脚注

  1. ^ 1896年に南豊島郡と合併して豊多摩郡となり、1932年に東京市に編入された。
  2. ^ 例えば、『杉並の伝説と方言』では、多摩弁が杉並の方言として紹介されている。
  3. ^ それ以前に1982年-1987年連載の漫画『湘南爆走族』でも注釈付きの用例がみられる。
  4. ^ 日本言語地図 第5集』大蔵省印刷局、1972年3月https://mmsrv.ninjal.ac.jp/laj_map/2019年6月24日閲覧 
  5. ^ 方言文法全国地図第2集―活用編1―』財務省印刷局、1991年https://www2.ninjal.ac.jp/hogen/dp/gaj-pdf/gaj-pdf_index.html2019年6月24日閲覧 

関連項目