生活協同組合

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生活協同組合(せいかつきょうどうくみあい、略称:生協(せいきょう)、CO・OP(コープ))は、一般市民が集まって生活レベルの向上を目的に各種事業を行う協同組合である。

生協は市民自らの手による生活事業組織である

概説[編集]

19世紀英国の実業家であるロバート・オウエンが、働く者の生活安定を考えて、工場内に購買部などを設けた「理想工場」をスコットランドニューラナークに設立したことにさかのぼる。その後、マンチェスター郊外のロッチデールにおいて、生活用品を高く買わされていた労働者達が、資金を集めて、商品を安く購買できる自分達の企業を作ったのがロッチデール先駆者協同組合であり、これが世界で最初の生活協同組合である。

各国の概況[編集]

日本[編集]

日本では、内務大臣の品川弥二郎や平田東助が中心となって、資本主義の弊害是正、中産階級の育成、庶民の生活安定を目的として、ドイツの協同組合を見習って、1900年(明治33年)に産業組合法を制定した。産業組合には、信用、販売、購買、利用の4つの業種があり、同法に基づき、各地に産業組合が設立され、これが農業協同組合(農協)、信用金庫(信金)、生活協同組合の母体となった。生協は現在の日本においては消費生活協同組合法(昭和23年7月30日法律第200号)に基づくものを消費生活協同組合といい、一般に「生協」と呼ぶ場合、市民を組合員とした市民生協を指す場合が多い。以下、特に断りのない限り日本の生活協同組合について記す。

2005年末現在

  • 組合数:1,097組合
  • 組合員数:6,032万人
  • 出資金:1兆1,300億円
  • 購買事業高:2兆9,256億円
  • 店舗数:2,668店

生協は組合員からの出資金で運営している。組合員は生協を利用することが可能であり、運営にも参加できる。原則として生協の利用は組合員のみに限られている。出資金は脱退時に払い戻される。

生協の事業としては、食品や日用品、衣類など商品全般の共同仕入れから小売までの生活物品の共同購買活動(店舗販売、宅配)が中心であるが、それ以外にも共済事業、医療介護サービス、住宅の分譲、冠婚葬祭まで非常に多岐にわたる。 生協の中には、サラ金多重債務者の生活再建のために低利融資する消費者信用生活協同組合(岩手県[1]、映画館を運営するみやこ映画生活協同組合(岩手県)、俳優声優など芸能人のマネジメント業務(芸能事務所)を行う東京俳優生活協同組合東京都)、都市ガスの供給を行う栄ガス消費生活協同組合新潟県)のようなユニークな組合もある。また、各地域の生協が共同出資し運営しているコープ総合葬祭「ゆきげ」神奈川県22生協の共同出資)などのような組織もある。

生協組織には日本生活協同組合連合会(日本生協連)や全国生活協同組合連合会(全国生協連)、都道府県単位の生活協同組合連合会、全国大学生活協同組合連合会といった連合会もある。単位生協は各連合内で共同仕入れや共同事業を行うことも多いが、それぞれの生協は独立して経営されており競合する部分もある(例:共済事業では日本生協連の「CO-OP共済(たすけあい共済)」、全国生協連の「県民(都民・府民・道民)共済<ただし神奈川県では「全国共済」>」、全労済の「こくみん共済」、独立生協(「神奈川県民共済」「ライフ共済(愛知)」など)が競合する)。

一般的に、組合員が運営し、組合員自身が利用するという形態上、利益の追求よりも、消費者の立場に立った運営が行われている。大規模スーパーと比較して必ずしも安いわけではないが、消費者側の視点を持って販売されているという安心感を打ち出している。いわば、消費者の消費者による消費者のための組合である。

法制度[編集]

消費生活協同組合法に基づく組織については、

  • 法人税優遇あり(協同組合等指定)
  • 正当な理由なく加入を拒めない(第15条)
  • 組合員は出資義務を負う (第16条)、議決権は出資割合によらず平等である(第2条,17条)
  • 組合を特定の政党のために利用してはならない(第2条)

一例[編集]

日本生活協同組合連合会
各地にある地域生協、職域生協、学校生協、大学生協、医療生協、共済生協など、約500の生協が会員となっている。 会員生協も日本生協連も、それぞれ独立した法人として事業・経営を行っている。
これらの生協の区分けは必ずしも厳密ではなく、大学生協と市民生協が一体化している室蘭工業大学生協、市民生協と職域生協が一体化しているトヨタ生活協同組合や刈谷生協などの例もある。
2008年4月、改正された消費生活協同組合法が施行され、同連合会は共済事業を行うことができなくなったため、新たに連合会を設立し、共済事業(生命共済・火災共済の各事業を除く)を2009年3月21日付けで新連合会である日本コープ共済生活協同組合連合会(コープ共済連)へ移管した。
日本コープ共済生活協同組合連合会(コープ共済連)
生協法の改正により、これまで日本生協連で行ってきた共済事業を引き継ぐ目的に設立された、共済専門の生協の連合会。
全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
共済を扱う、生協である。もともとは労働組合に向けた共済だったが、現在は誰でも組合員になれば利用することが出来る。「こくみん共済」、「火災共済」、「マイカー共済」が主力制度である。
全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)

各地の大学にある購買生協(大学生協)の中央組織。地域ごとの共同仕入れ等を行っているところもある。

日本医療福祉生活協同組合連合会;

略称・医療福祉生協連。医療や福祉に従事する医療生協の全国組織で、全国111の医療生協が加盟。傘下に78病院・350診療所を擁する。

生協の事業連合;
生協は県域・職域により活動が制限されるため、共同で仕入れるなど他の生協と協力したりして大きな事業を行う時等に事業連合を組織している。地域生協では事業連合単位での共同開発商品(プライベートブランド)が多く作り出されている。
サンネット事業連合コープネット事業連合ユーコープ事業連合東海コープ事業連合コープ北陸事業連合コープきんき事業連合コープCSネットコープ九州
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会パルシステム生活協同組合連合会コープ自然派事業連合生活協同組合連合会きらり生活協同組合連合会グリーンコープ連合
都道府県単位の生活協同組合連合会
上記の連合会等とは別に、都道府県単位の連合会がある。各単協は、都道府県単位の連合会と事業毎の連合会の双方に属していることが多い。
全国生活協同組合連合会
都道府県単位の共済の生活協同組合の連合会
例・県民共済愛知県生活協同組合
子会社
生協組織自体は非営利の協同組合であるが、食品製造・加工やコンピュータシステム開発など特定の業務を行う目的で、個別生協や日本生協連などの連合会の出資による子会社(100%出資もある)が存在する。
シンボル
生活協同組合のシンボルとして、虹色の旗が用いられる。[2]

脚注[編集]

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  1. ^ 2010年6月付けで八戸市に相談窓口の開設に合わせ、「岩手県消費者信用生活協同組合」より改称(八戸に相談窓口開設へ 県消費者信用生協岩手日報 2010年5月28日より)
  2. ^ 虹の旗の由来

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

(都・道・府・県民共済<ただし神奈川県に関しては「全国共済」の名称で使われているが、「かながわ県民共済」の名称を使用している神奈川県民共済生活協同組合[1]については上記生協連には属さない。>)