刀削麺

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マーラー刀削麺の例
生地の塊を削りながら鍋に放り込む。削り屑が「刀削麺」になる

刀削麺(とうしょうめん、とうさくめん、ダオシャオミエン、拼音: Dāoxiāomiàn)とは、中華人民共和国山西省発祥のの一種。山西省の名物であり、担々麺炸醤麺伊府麺などとともに中国を代表する麺の一つに挙げられる[1]

概要[編集]

まず小麦粉を水で練り、生地を作る。生地の塊を刃の断面が「く」の字型の包丁で削ぎとり、削ぎ取った断片を沸騰する鍋の湯で茹でる。生地を刀で削って麺の形にするため「刀削麺」と呼ばれる。素早い動作が不可欠なため、料理人は沸騰する鍋の前に立ち、片手に生地の塊を持ち、もう一方の手で包丁を操って生地を削ぎ、削いだ断片を鍋の湯に落としてそのまま茹で上げていく。

生地の「削りくず」を麵とする製法から、麵の形状はヤナギの葉の形になり、また断面が三角形になることで、独特の食感を生み出す。ラーメンと同様にスープに入れたり、あんや黒酢に絡めて食べる。

山西省では日常的に食べられている。スープに入れた「汁麺」よりも、タレで和えた「汁なし麺」として食べる場合が多い。かつては肉は貴重だったので刀削麺の具として用いられることは稀であり、乾燥気候の山西省でも簡単に栽培できるトマトを各家庭でタレに用いていた。西紅柿・鶏蛋麺(トマトと玉子ダレの刀削麺)は山西省で好まれ、同時に山西省出身者が故郷の味として連想する料理である[1]

日本国内では刀削麺は日本人向けにアレンジされ、ラーメンのような汁麺として食べる場合が多い。

生地を削る作業に手間取れば、麺の茹で具合にムラが生じる。麺を削るには手際のよさと、麺を長く均質に削る技術が必要であり、熟練した料理人は確保が難しい。そのため熟練した職人は給料も高く、仕上げる刀削麺は一般的なラーメンに比べて高価になる。2011年には機甲厨神という製品名で自動麺削りロボットが販売されており、日本でも導入する店がある[2][3]

発祥[編集]

元代モンゴル族の統治者は漢民族の反乱を恐れて金属製の武器を取り上げた際に、各家庭の包丁まで没収した上で10軒に1丁の割合で包丁を割り当てて順番に使うことにさせた。調理上の不都合から、薄い鉄片を用いて削った麺を作ったことが発祥という説がある[1][4]

読み方[編集]

「刀削麺」は通例「とうしょうめん」と読まれることが多い。中国語の発音「ダオシャオミエン」に由来する。「とうさくめん」と読まれることもある[5][6]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 中川明紀. “第51回 麺大国・中国 驚きの麺料理バリエーション”. ナショナル ジオグラフィック. p. 2. 2022年4月1日閲覧。
  2. ^ “刀削麺ロボット、その包丁づかいはヒトの3倍速―遼寧省瀋陽市”. Record China. (2011年4月28日). https://www.recordchina.co.jp/b50957-s0-c30-d0000.html 2022年4月1日閲覧。 
  3. ^ 謎のロボットによって作られる「刀削麺」がスゴすぎた”. Hot Pepper (2016年9月15日). 2022年4月1日閲覧。
  4. ^ 辰巳洋「医在厨房:金元時代の食文化」『漢方と診療』第1巻第4号、2010年11月、 p.280、 ISSN 1884-5991
  5. ^ 宮崎正弘「山西省」 『出身地でわかる中国人』PHP研究所、2006年。ISBN 978-4569646206 
  6. ^ 奥野信太郎 『随筆北京』福武書店〈奥野信太郎随想全集〉、1984年、264頁。ISBN 4828811257 

関連[編集]