ツルレイシ

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ツルレイシ
Momordica charantia1.jpg
ツルレイシ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ウリ目 Cucurbitales
: ウリ科 Cucurbitaceae
: ツルレイシ属 Momordica
: M. charantia
変種 : ツルレイシ var. pavel
学名
Momordica charantia L. var. pavel Crantz(狭義)[1]
Momordica charantia L.(標準)[2]
和名
ツルレイシ
ニガウリ
英名
Bitter melon
縦割りと横割りの断面を全形のまわりに並べたもの

ツルレイシ蔓茘枝蔓荔枝学名: Momordica charantia var. pavel)は、主に未熟な緑色の果実野菜として利用するウリ科植物である。また、その果実のこと。一般的にはニガウリ(苦瓜)[3] もしくはゴーヤーゴーヤと呼ばれる。

名称[編集]

標準和名の「ツルレイシ」は、イボに覆われた果実の外観と、完熟すると仮種皮が甘くなるという2つの形質が、ムクロジ科の果樹であるレイシ(ライチ)に似ていることに由来する。つまり、蔓性の植物体に実るレイシの意味である。果肉が苦いため「ニガウリ」とも呼ぶ。農学園芸学では「ツルレイシ」を用いることが多い[4] が、生物学では近年「ニガウリ」を用いることが多い[5]

九州南西諸島各地に地方名がある。沖縄県では沖縄本島首里那覇方言今帰仁方言など)で「ゴーヤー[6][7][8]」、宮古列島宮古方言)で「ゴーラ[9][10]」、八重山列島八重山方言)で「ゴーヤ[11][12]」と呼ぶ。「ゴーヤー」は沖縄の方言で「苦いウリ」を意味する[13]。九州では「ニガゴリ」又は「ニガゴーリ」と呼ぶ地域もある[14]鹿児島県奄美大島では「ニギャグリ」[15] や「トーグリ」[16]、鹿児島県本土、宮崎県南部や長崎県諫早地方[17] では「ニガゴイ」と呼ばれ、諫早地方では「ニガウイ」の名称も併用される[17]

以上のように多くの名称が用いられているが、全て同じ種類の植物である。ただし、幾つかの栽培品種が存在しており、栽培されてきた地域での呼称に倣い、九州地域で栽培されてきた細長く苦味が強い品種を「ニガゴイ」ないし「ニガゴリ」、沖縄地域で栽培されてきた太く苦味が穏やかなものを「ゴーヤー」と呼び分ける場合もある[18][19]

なお、呼び名が似ているツノニガウリ(キワノ)はウリ科のツルレイシ属ではなくキュウリ属に分類される別の植物である。

沖縄方言の普及[編集]

沖縄料理ブームの影響もあり、日本では全国的にも「ゴーヤー」または「ゴーヤ」を使用することが多くなっている。なお、沖縄県内では「ゴーヤー」のほうが一般的だが、その他の都道府県では「ゴーヤ」のほうが一般的という違いがある[20]。「ゴーヤ」という呼称が普及していった経緯は諸説ある。

2001年に放送された沖縄県の小浜島沖縄本島などを舞台にしたNHK連続テレビ小説ちゅらさん[21]擬人化したマスコット「ゴーヤーマン」が登場して、ゴーヤーの名が広まった。また、「沖縄料理の中でも特に人気のある料理であるゴーヤーチャンプルーの材料として、ゴーヤーの名称が知られるようになった」と言われている。

特徴[編集]

熟した果実が裂開したところ(発芽可能なまでに熟した種子が見える)

つる性一年生草本。成長すると長さ45mになる。果実は細長い紡錘形で長さ20〜50cm、果肉を構成する果皮は多数の細かいイボに覆われ、両端は尖り、未成熟な状態では緑、熟すと黄変軟化して裂開する(収穫しても、常温で放置しておいても同じ状態となる)[22]。完熟した種子の表面を覆う仮種皮は赤いゼリー状となり甘味を呈する。果実が黄変軟化しても腐敗しているわけではなく、甘みが出て、生でも食すこともできるが、シャキシャキと歯ごたえのある食感は失われる。元来の野生状態では、この黄色い果皮と赤くて甘い仮種皮によって、果実食のを誘引して種を食べさせ、さらに糞便によって種子散布が行われる。赤いゼリー状の仮種皮に覆われた亀の様な形をした種子は発芽するが、市販の青い果実の中に綿状の部分にある白い種子では、未熟なため、蒔いても発芽しない。

原産と栽培地[編集]

原産地は、インドボルネオなどの熱帯アジアである[23]

日本へは中国を経て渡来した。1603年慶長8年)に長崎で刊行された『日葡辞書』に本種の名が見られる[24]。また、1649年慶安2年)に刊行された林羅山の『多識篇』「巻之三 菜部」に「苦瓜」「豆留礼伊志」「錦茘枝」の名で収録され「救荒」と記されている[25]。しかし、『多識篇』はの『本草綱目』から物名を抜き出して和訓を付したものであり、実際に日本で栽培されていたかは判然としない。沖縄での文献上の記録は1713年の『琉球国由来記』まで下るが、渡来した年代は不明である[26]

日本では南西諸島南九州で多く栽培されている[23]。収穫量は沖縄県がシェアの3割以上を占め、2位以下には鹿児島県、宮崎県熊本県長崎県が続く[27]。なお、1990年までは沖縄本島産のものが、1993年までは八重山産のものがウリ類の大害虫ウリミバエの拡散防止のため、域外への持ち出しが禁止されていたが、不妊虫放飼によるウリミバエの根絶に成功したことにより沖縄県外へ出荷することが可能になり、沖縄県における生産量の拡大につながった[28]。)。

近年[いつ?]では夏バテに効く(体を冷やす)健康野菜ダイエット食品としての認知度が上がり、日本全国で食用栽培されるようになった。

品種[編集]

品種は様々あるが、大別すると一般的な長果型と、太さが8 cmほどになる短果実型がある[29]。長ニガウリは、20 cmから80 cmにもなる品種がある[22]。日本では、南九州で作られているゴーヤーは細長い形で、沖縄で作られているものはずんぐりして果皮が厚く、苦味が少ないと言われている[29]。変わったところでは、白色で苦味が少ない白レイシがある[29]。特徴になっている苦味は品種によって違いがあり、果実表面のイボが大きくて、緑色が薄いものは苦味が少ない傾向にある[13]

中長ゴーヤー
日本で一般的に流通している品種で、果実の長さは25 cmほどある[29]
太レイシ(別名:沖縄あばしニガウリ)
沖縄の品種で、果実は太くずんぐりした形で、実は短く長さ15 cmほどになる[22]。丸みのあるイボや、果皮が肉厚であることが特徴で、中長ゴーヤーよりも苦味が少ない[29]
白レイシ(別名:白ゴーヤ)
果実全体が白いゴーヤーで、長さ20 cm、太さは5 - 7 cmになり、イボは丸みを帯びている[22]。苦味が少ない品種と、苦い品種がある[22]。苦味が少ない品種は、生食することもできる[29]
なめらかゴーヤ
イボが小さめでなめらかなのが特徴で、長さは30 cmほどになる苦味が少ない品種[22]

栽培[編集]

Taiwan 2009 Tainan City Organic Farm Bitter Gourd FRD 7956.jpg

つる性植物のため、栽培に際しては棒や網などを立て掛けて、つるを這わせられるようにして栽培する[30]。日本では、南西諸島や九州のみならず本州全域でも、梅雨以降の夏場で日照が強くて気温が高く、雨も豊富な時期であれば、露地でキュウリなどの在来作物同様に種を蒔いて栽培することができるが、連作障害を生じることから、2 - 3年ほどウリ科野菜を作っていない土地を選ぶ必要がある[30][31]。寒冷地では、ハウス栽培もできる[30]。栽培適温は25 - 30℃で、種まき(育苗)は3 - 4月、植え付けは4 - 5月、収穫は実が黄色くなる前の7 - 9月が望ましい[32]。果実の収穫が目的であれば、多肥を好むので元肥と追肥を十分にやる[30]

完熟した実(左)と食べ頃の実

病害虫にかかりにくいことや、つるが長く伸びる植物であることから、緑のカーテン(グリーン・カーテン)[33] と呼ばれる。日除け代わりにベランダや窓辺に大きめの鉢と這わせるネットを用意して栽培されこともある[34]

丈夫で栽培は容易である反面、大きく育ち過ぎるのが欠点である。つまり栽培に必要なスペースと土の確保が問題になる。十分な収穫を得るには、地面に植える場合は幅が1~2メートルで株の間隔は1メートル以上必要。農家の場合はその2倍以上のスペースを確保することが多い。で栽培するには一株当たりの土の量は最低80リットル、理想的には100リットル程度必要である。根が多くの酸素を消費するため直径が広く出来るだけ浅い鉢が良い。

酸性土壌を嫌うため、土は苦土石灰や消石灰を混ぜておくとよい[30]。種からも育てられるが、市販の苗から育てる方が簡便で、接ぎ木苗を選ぶと連作障害も少なくなる[30]。4 - 5月に苗を植え付けを行う際は、株間は50 cm以上空けて、支柱を立て、水をたくさん与えるようにする[30]。親づるを摘心して子づるを増やすことが重要で、本葉が8枚程度開いたときに本葉5 - 6枚残して枝先(親つる)を切り取り、脇芽(子つる)を4本前後伸ばすようにする[30]。細い巻きひげを延ばして上に伸びていくので、ネットは絡みやすいように細くて頑丈なものを用意して、下から伸びてきた子づるを誘引する[30]

花が開き始めたら1か月に1 - 2回程度、株の間に追肥を行い、株元を軽く耕して株元に寄せてやると良い[34]。肥料が不足すると、すぐに葉が黄色に変色する[34]。受粉は昆虫が行うので、人工的に行う必要はない[34]。実がつき始めたら、水切れしないように管理する[34]。水が不足すると細くて下ぶくれの実になる[34]。緑色の若い実を食べるため、雌花開花後15 - 20日が収穫の適期となる[34]。次々に実をつけていくので、大きくなりすぎないうちに実の上のつるをハサミで切り取って収穫する[34]。収穫後遅れると果実は黄色くなり、そのまま放置すると裂開して、中から赤いゼリー状の仮種皮に包まれた種子が出てくる[34]。ただし、市販の種苗はF1品種が多いため、自家採種した種から結実するとは限らない。

食材としての利用[編集]

主に未成熟な果皮を食用とするが、独特な強い苦味があるので、好き嫌いが分かれる[23]。食材とする果実は、夏場(6-9月)が旬の時期とされ、全体が濃い緑色で、重量感があり、イボは尖っていて張りがあるものが良品とされる[23][22]。切ったときの断面は、種わたが白く、緑色の果肉部分に厚みがあるものが食材として良い[23]。完熟した果実では、種わたが黄色っぽく変色をしている[23]。ゴーヤーの苦味成分はモモルディシンという成分が含まれており、またゴーヤーのビタミンCは加熱しても壊れにくいという特徴がある。

栄養成分[編集]

にがうり 果実 生[35]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 71 kJ (17 kcal)
3.9 g
デンプン 正確性注意 0.3 g
食物繊維 2.6 g
0.1 g
飽和脂肪酸 (0.01) g
一価不飽和 (0.02) g
多価不飽和 (0.04) g
1.0 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(2%)
17 µg
(1%)
160 µg
チアミン (B1)
(4%)
0.05 mg
リボフラビン (B2)
(6%)
0.07 mg
ナイアシン (B3)
(2%)
0.3 mg
パントテン酸 (B5)
(7%)
0.37 mg
ビタミンB6
(5%)
0.06 mg
葉酸 (B9)
(18%)
72 µg
ビタミンC
(92%)
76 mg
ビタミンE
(5%)
0.8 mg
ビタミンK
(39%)
41 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
カリウム
(6%)
260 mg
カルシウム
(1%)
14 mg
マグネシウム
(4%)
14 mg
リン
(4%)
31 mg
鉄分
(3%)
0.4 mg
亜鉛
(2%)
0.2 mg
(3%)
0.05 mg
他の成分
水分 94.4 g
水溶性食物繊維 0.5 g
不溶性食物繊維 2.1 g
ビオチン(B7 0.5 µg

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[36]。別名:つるれいし、ゴーヤ。廃棄部位: 両端、わた及び種子。
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

ニガウリ(ゴーヤー)は淡色野菜に分類されるが、ビタミン類やミネラルをバランス良く含み緑黄色野菜に匹敵する量のビタミンCを含有する[37]。特にビタミンCなどの水溶性ビタミンを多く含むことや、苦味タンパク質(苦味成分として、モモルデシン(momordicin)、チャランチン(charantin)、コロソリン酸ククルビタシン(cucurbitacin))を含むことが知られている[38]

ゴーヤー1本あたりのビタミンC含有量は、キュウリトマト1個の約5倍、レモン1個の約2倍含まれており、また通常ビタミンCは加熱に弱いが、野菜の中でも加熱に強いという特徴を持つ[23][37][39]β-カロテンビタミンEカリウム食物繊維なども豊富で、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1も含まれている[23]。ニガウリ種子と外皮に有害なレクチンが含まれる[40]

調理[編集]

主に苦みのある未成熟果を食する。中の種とわたをスプーンなどで取り除いて、果皮部を使う[22]。切り方として半月切り、輪切り、拍子木切り、さいの目切りにして料理に使われる[22]

苦味を抑えた調理[編集]

苦味成分は果皮表面の緑色の部分に集中している。ワタの部分が苦いという俗説があるが、誤りである[41]。インドには皮やイボを取り除き、ワタはそのまま使う料理もある[42][43]

苦味を抑えたい場合は、

  • 苦味の少ない品種を選ぶ。
  • 表面の緑色のイボや表層を削り落とす、皮を剥く[41]
  • 2 - 3mm幅くらいの薄切りにして熱湯でさっと下茹でする[22]
  • 薄切りを少量の塩を振って揉んでしばらく置き[22]、水分を出した後に軽く洗う。もしくは塩水に漬け一晩置く。
  • 米のとぎ汁で茹でこぼす。
  • 鰹節はゴーヤの苦みを低減する作用があるので、鰹節をまぶす[44]。沖縄料理のゴーヤーチャンプルーには、ゴーヤーの苦味を抑える肉や鰹節などの合わせ食材がよく使われている[29]
  • 旨味成分であるイノシン酸を多く含む魚や肉と一緒に調理することによって、苦味を和らげてゴーヤー自身が持つ旨味を引き出すことができる[23][22]
  • 油を使って高温で調理する[23][22]

などの方法がある。

日本[編集]

代表的なゴーヤーチャンプルーの例

ゴーヤーチャンプルーをはじめとする沖縄料理の食材として広く知られ、現在では日本の日常食材として定着し[37]、炒め物、揚げ物、和え物などの料理への応用も進んでいる。

薩摩料理奄美料理をはじめとする南九州の郷土料理でも好まれる食材であり、九州ではおひたし和え物でよく食べられる。鶏肉キャベツと炒めたり、揚げ天ぷらやチップスにもする。奄美群島では蘇鉄味噌(なりみす)や粒味噌を使った炒め物や和え物もよく食べられる。大分県熊本県には、ナスとニガウリを炒め、水溶き小麦粉でとろみをつけたこねりという料理が伝わっている。この料理は大分県国東地方では「オランダ」とも呼ばれる[45]。また、鹿児島県等では味噌炒めにもされる[19]ピーマンやナス等の野菜と組み合わされることが多い。

種や綿ごと実を薄切りにし、乾燥させてから焙じた後に細かく砕いたものは、ゴーヤー茶として沖縄県で販売されている。味はほうじ茶に似て苦味は無い。

よく洗って種と綿を除いてミキサーにかけ、風味を整えるために蜂蜜などを加えて青汁のように飲む場合もある。干した物を切干大根のように戻して煮物に使うこともできる。

日本以外[編集]

台湾高雄市で白い苦瓜の揚げ物を作っている様子
ホーチミン市の苦瓜スープの例

中国においては凉瓜とも呼ばれ、料理によく用いられる。広東料理では炒め物以外に、豆豉などの風味をつけた蒸し物、スープの具のなどにもされる。台湾料理でも「鳳梨苦瓜雞(台湾語:オンライコークェケー)」のようにパイナップル、鶏肉と煮込んだスープがある。広東省香港台湾などには苦味の少ない白い苦瓜もあり、スープや煮物にはこちらが選ばれることが多い。台湾では梅干の漬け汁を利用して漬物にすることもある。白い苦瓜のジュースは台湾や香港の屋台でも提供されている。

ベトナム料理でも「Mướp đắng(ムオッダン)」などと称して炒め物、スープなどにされるが、特に南部では正月料理の一品として使われることが多い。タイ料理でもスープにされる場合がある。

インド料理スリランカ料理マレー料理ではスパイスで風味をつけて水分が飛ぶまで揚げたものや、鶏卵と一緒に炒めたものがカレーの副菜として現地で売られている。

カリブ海一帯ではツルレイシのつるや葉がハーブの一種として民間治療に使われる[46]

保存[編集]

採れたての果実を早めに使い切るのが基本であるが、丸1本保存するときはポリ袋に入れて乾燥を防ぎ、冷蔵庫で保存する[29][22]。また調理で切って残したものは、わたを切り抜いて水気を除いた果皮をラップに包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫に保存する[29][22]。また茹でて保存するときは、種わたを取って細切りしたものを塩でまぶし、煮たった湯で軽く湯通ししてからざるに上げて冷水に取り、水気を切ってから保存袋に入れて冷蔵保存すれば、2 - 3日ほど持つ[29]

医学的知見[編集]

マウス等による動物実験では血糖降下作用や制作用、妊娠阻害および流産誘発作用が確認されているが、人体に対する医学的有効性を確認できた作用はない。通常の食品として適切に摂取する場合は安全だと考えられている[40]。しかし薬効を期待して、種子や果汁を意図的に多く摂取した場合、下記のような危険情報が報告されている。

血糖に対する作用[編集]

ラットでの動物実験で血糖降下作用が認められているが、ヒト(人)に換算すると9.5kg/bodyという非現実的摂取量であった。人に対する3つの無作為化比較試験のメタ解析では、ニガウリの摂取によりII型糖尿病の改善を認めなかった。カナダでの健康な男性5名を対象とした単盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験でも、血糖低下や食欲抑制などの効果は無かった。ツルレイシの消費量が多いはずの沖縄県での2000年の糖尿病死亡率は県別で男女とも2位であったことも指摘されている[47]。ただし小児においてニガウリ茶の摂取において低血糖性による昏睡痙攣があったという報告もある[48]

制癌作用[編集]

マウスに対する動物実験では、ゴーヤの栄養素はを誘発させる細胞の90%以上を死滅させるとする研究報告がある[39]。抗腫瘍作用(白血病乳がん)、ラット結腸突然変異誘発物質の変異原性の抑制が確認されている[49] と報告されている[50]

妊娠阻害および流産誘発作用[編集]

国立健康・栄養研究所は、その果実は通常の経口摂取では健康上大きな問題は無いが、流産を誘発する可能性があるため妊娠中の摂取は恐らく危険であり、また授乳中の安全性について確認されていないことから、そのような状況下においては摂取は避ける事を推奨している[40]。種子にはモモルカリン(Momorcharin)が含まれており、動物実験で妊娠阻害作用と堕胎作用が確認されている[40][51][52][53]。受精12日後の妊娠マウスに0.02-0.05 mgのモモルカリンを腹腔内投与したところ、90%の胎児が死亡したとされる[54]。またニガウリ果汁を毎日摂取したマウスは、妊娠率が90%から20%に低下することが知られている[40]

その他の作用[編集]

  • ニガウリ摂取により、下痢、胃腸障害、上腹部痛が生じる可能性があるとされている[55]。動物実験では果肉と種子の摂取により障害が起こることが判っている[56][57]。また、タイ王国インドではいずれも果実にリューマチ治療、健胃、下剤の薬効があると考えられている[58]
  • 糖尿病薬治療中の人は種子の摂取により、血糖降下剤の作用増強効果の可能性が示唆されている[56][59]
  • ニガウリ種子の摂取による頭痛も知られている。またニガウリ種子によってソラマメ中毒症状が起こることが知られており、グルコース-6-リン酸脱水素酵素 (G6PD) 欠損症の人は種子を摂取すべきではないとされる[40]
  • ニガウリ茶の摂取によって、小児に痙攣や低血糖昏睡が発生した報告がある[40]
  • LD50(半数致死量)は、ニガウリ果実抽出物を投与:マウス腹腔内681 mg/kgである[40]

ゴーヤーの日[編集]

沖縄県とJA全農(全国農業協同組合連合会)沖縄経済連では1997年5月8日ゴーヤーの日に制定している。これは「ゴー(5)ヤー(8)」の語呂合せと、この時期からゴーヤーの生産量が増えることに因んだものである。また、この数字を逆にした8月5日裏ゴーヤーの日とされており、ゴーヤーの日から裏ゴーヤーの日までの間、沖縄県ではゴーヤーのキャンペーンが行われる[27][60]

脚注[編集]

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Momordica charantia L. var. pavel Crantz” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年7月4日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Momordica charantia L.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年7月4日閲覧。
  3. ^ 「JA熊本市 ニガウリ出荷開始 品質良好、免疫力向上に」『日本農業新聞』2020年4月22日(14面)
  4. ^ 種苗法における「農林水産植物の種類」や参考文献に挙げた園芸図鑑など。
  5. ^ BGPlants YList や参考文献に挙げた植物図鑑・目録など[リンク切れ]
  6. ^ 首里・那覇方言音声データベース 琉球大学附属図書館沖縄言語研究センター
  7. ^ 今帰仁方言音声データベース 琉球大学附属図書館沖縄言語研究センター
  8. ^ 多和田真淳監修・池原直樹著『沖縄植物野外活用図鑑 第2巻 栽培植物』新星図書出版・1979年・135頁(旧石川市の呼称として記載されている)。
  9. ^ 宮古方言音声データベース 琉球大学附属図書館沖縄言語研究センター
  10. ^ 奥平博尚『宮古方言散歩路(平良的表現)』新報出版・1996年・65頁。
  11. ^ おきなわ伝統的農産物データベース 沖縄県農林水産部流通政策課
  12. ^ 【記者席】八重山では「ゴーヤ」八重山毎日新聞』2005年5月11日(2020年4月23日閲覧)
  13. ^ a b 講談社編 2013, p. 104.
  14. ^ 『日本植物方言集(草本類篇)』日本植物友の会、八坂書房、1972年、180頁。
  15. ^ 猪俣繁久 奄美大島笠利町佐仁方言の音声と語彙 p84 大阪学院大学,2003年 ISSN1346-082X
  16. ^ 奄美方言音声データベース
  17. ^ a b 『諫早地方方言集』(諫早方言の会、2000年)87頁。
  18. ^ 今月の旬便り 大阪本場青果協同組合
  19. ^ a b 『鹿児島市医報』48巻1号(通巻563号)「新春随筆 たかがニガウリ、されどニガウリ」山元強(鹿児島テレビ社長)
  20. ^ 「ゴーヤー」VS「ゴーヤ」 「ヤー」と伸ばす沖縄側の主張を聞いてほしい【WEB限定】沖縄タイムス』2021年5月8日(2021年6月20日閲覧)
  21. ^ その後も、2007年まで続編が制作・放送された。
  22. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 89.
  23. ^ a b c d e f g h i j 主婦の友社編 2011, p. 32.
  24. ^ 磯野直秀明治前園芸植物渡来年表」『慶應義塾大学日吉紀要 自然科学』 (42), 27-58, 2007、慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会, NAID 120000805307
  25. ^ 多識編 5巻 国立国会図書館
  26. ^ ゴーヤーの歴史 ゴーヤーパーク
  27. ^ a b 5月8日 ゴーヤーの日|なるほど統計学園 総務省統計局
  28. ^ 『中国四国あぐりレター』第244号 2012(平成24)年5月8日 中国四国農政局
  29. ^ a b c d e f g h i j 主婦の友社編 2011, p. 33.
  30. ^ a b c d e f g h i 主婦の友社編 2011, p. 36.
  31. ^ 連作障害に気をつけましょう 尾張農林水産事務所農業改良普及課
  32. ^ 【家庭菜園のプロ監修】ゴーヤの育て方|プランター栽培や緑のカーテンのコツも! | AGRI PICK”. 農業・ガーデニング・園芸・家庭菜園マガジン[AGRI PICK]. 2021年1月17日閲覧。
  33. ^ 成田健一「緑のカーテンが教室の温熱環境に及ぼす効果 (PDF) 」『環境情報科学論文集』, 2007
  34. ^ a b c d e f g h i 主婦の友社編 2011, p. 37.
  35. ^ 文部科学省日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  36. ^ 厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015年版)
  37. ^ a b c 講談社編 2013, p. 103.
  38. ^ 岡部光, 宮原由美, 山内辰郎「13 ツルレイシ(Momordica charantia L.)果実の苦味成分およびその関連化合物」『天然有機化合物討論会講演要旨集』第24巻、天然有機化合物討論会実行委員会、1981年、 95-102頁、 doi:10.24496/tennenyuki.24.0_95NAID 110006678217
  39. ^ a b 健康・医療「ゴーヤ効果はもはや「治療の域」 野菜で唯一の加熱に強いビタミンC夕刊フジ』2016年8月16日
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  60. ^ 「ゴーヤーの日、旬入り宣言 1本58円で特売」琉球新報』2017年5月8日

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]