晴れ
晴れ(はれ)は、大気がある天体における気象状態の一つであり、基本的に、雲が少ないか全く無い空の状態を指す。日本語としての最狭義では地球でのそれのみを指す。
概説
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地球の場合、「晴れた空」は晴天(せいてん)であり、ヒトにとっての可視光線の色に基づいて青い空、青空(あおぞら)などとも呼ばれる。しかしながら、火星などのように天体が違えば「晴れた空」の色もまた違ったものとなる(■左の画像を参照)[* 1]。さらに言えば、地球の晴天を「青い空」と感じるのはヒトの感覚であって、動物の種ごとに感知している色は若干もしくは大幅に異なる[* 2]。
現代日本での一般的概念では、地球において、雲の色が白く、太陽の見えている時間が見えない時間よりも長い空の状態を指す。
現代日本での学術的概念では、空全体に対して雲の占める割合、すなわち「雲量」が2割以上8割以下の状態を言う。雲の割合が9割以上の場合は「曇り」と表現される。現代日本の天気予報においては、「晴れ」の範疇には「快晴」と「薄曇り」が含まれ、上記に書かれた気象観測上の分類とは異なる。
日本国内の場合、小笠原諸島など低緯度地域にある島嶼では、晴れの日が多い。また、島嶼部以外では宮崎市、松本市などで多い。
関連する事象
- 青空(あおぞら)
- 本項概要、および、当該項目を参照のこと。
- 藍天(拼音:lántiān)
- 青天(せいてん)
- 蒼天(そうてん)
- 碧天(へきてん)
- 晴天(せいてん)
- 上天気(じょうてんき)
- 「晴天」を意味する、やや砕けた表現。用例:「-に恵まれる」
- 好天(こうてん)
- 晴天やそれに近い天気を「好ましい」状態と捉えた場合の表現であり、好天気(こうてんき)とも言う。対義語は悪天(あくてん)、悪天候(あくてんこう)で、雨天やそれに近い天気を「悪い」状態と捉えた場合の表現である。なお、旱魃に悩まされているときなどがそうであるように、晴天は無条件に歓迎される天気ではあり得ない[1]。逆もまたしかりで、雨天は必ずしも悪天ではなく、「旱天の慈雨(かんてんのじう)[* 10]」という言葉があるように、ときとして歓迎される天気である[1]。日本の天気予報でも「よい天気」「悪い天気」という表現は禁じられている[1]。このように晴天は好天とは限らず、雨天も悪天とは限らないが、とは言え、晴天を「悪天」、雨天を「好天」と呼ぶことは慣例として無く、また、一般人の日常会話において「今日はよい天気だ」と言えば、今日の天気は常識的に「晴れ」と受け取られる。
- 疑似好天(ぎじこうてん)
- 山の天気の一種で、「似て非なる紛らわしい好天」という意味。天気が好転したように見えて短時間のうちに再び悪天候となる(悪くすれば大荒れとなる)、その天気を指す[2]。日本では時に日本海側の山岳地帯で頻発することが知られており、山岳遭難の主因の一つとなっている[2][* 11][3]。つまり、最狭義では日本海に面した日本の山岳地帯に独特の気象[2]であり、日本においてはその意味で解説される例が多い。
- なお、「本物に似て紛らわしい」という意味を持つ「疑似」を日本では「擬似」と記す場合も多く、日本語辞書にも掲載されていることから、現代日本語に限って後者を間違いとは言いがたいものの[* 12]、旧来の日本語、および中国語(元は漢語)では「疑似」が正しく、同様に「疑似好天」が本来である。
- 炎天(えんてん)
- 日が照りすぎて暑く不快な天気。用例:「炎天下ではあったが、捜索は続けられた」
- 日本晴 / 日本晴れ(にほんばれ、にっぽんばれ)
- 日本における「晴れ」の強調表現。快晴を意味する語。基本的に、地理的な日本国内の天気に限って用いられるが、人によっては外国の天気に対しても用いられる。
- 五月晴 / 五月晴れ(さつきばれ)
- 晴れ上がり(はれあがり)
- 晴れ渡る(はれわたる)
- 見渡す限りの範囲の天気が快晴という状態を指す表現。あるいは、雲ひとつ無く空が澄んでいる状態を強調した表現。
- 晴れ間(はれま)
晴れ(抽象概念)
人間が直面する事物についても、晴れに譬えられる状況を指してその表現が用いられる。 古来日本の抽象概念として存在する「ハレとケ」の「ハレ」もその一種である。
脚注
注釈
- ^ 火星の天気は基本的に晴れであるが、時おり、塵旋風が発生し、極地では降雪もある。
- ^ ヒトは通常的に3色型色覚であるが、哺乳類の多くは色盲に近く、一方で、昆虫類や鳥類には5色型色覚を有する種もいる。
- ^ 「晴れて青天白日の身となった」
- ^ 蒼は、深い青。
- ^ a b ただし、解説文の少ない辞書の場合に限る。本来的には「青い空」や「蒼い空」が「大きい空」と同義であるはずがない。
- ^ そのほか、日本の岩手県産日本酒の一銘柄である。
- ^ 碧は、青緑色。
- ^ 『大辞泉』は間違いと明記しているが、『大辞林』は間違いとしていない。『漢字源』は「青天霹靂」と「晴天霹靂」を共に掲載。
- ^ ウィキクォートも参照のこと。→
- ^ 「干天の慈雨」とも記す。旱魃が続くときに降る、恵みの雨。これに譬えて、待ち望んでいた物事の実現や、困窮時に差し延べられる救いの手をも意味する。
- ^ 実例を挙げるなら、2012年(平成24年)5月初旬の飛騨山脈(北アルプス)にて、白馬岳に近い小蓮華山山頂付近で6人が凍死した遭難事故。
- ^ それでもやはり、厳密性を背負って言うと、「擬似好天」では「好天によく似せている天気」という意味になってしまい、自然現象としてあり得ない。
出典
- ^ a b c “天気”. (公式ウェブサイト). 気象庁. 2012年7月24日閲覧。 “
よい天気(好天) :意味がいろいろに解釈され誤解をまねきやすいので用いない。少雨のときには、晴れよりも雨のほうがよい天気ともいえる。
悪い天気(悪天) :意味がいろいろに解釈され誤解をまねきやすいので用いない。干天のときには、雨よりも晴れのほうが悪い天気ともいえる。” - ^ a b c “偽りの青空“疑似好天”の落とし穴 - NHKニュースおはよう日本”. NHKオンライン(公式ウェブサイト) (NHK). (2012年7月13日) 2012年7月24日閲覧。
- ^ “「疑似好天」にだまされた?寒気接近前、装備不十分で遭難か”. 47NEWS (全国新聞ネット). (2012年5月8日) 2012年7月24日閲覧。