日産・Be-1

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日産・Be-1
フロント(車体色はパンプキンイエロー)
リア
概要
販売期間 1987年 - 1988年
デザイン 古場田良郎
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 2ドアセミノッチバックセダン
駆動方式 FF
パワートレイン
エンジン MA10S 987cc 直4OHC 52ps
変速機 5速MT
3速AT
前:独立懸架ストラット式
後:4リンクコイル式
前:独立懸架ストラット式
後:4リンクコイル式
車両寸法
ホイールベース 2,300mm
全長 3,635mm
全幅 1,580mm
全高 1,395mm
1,420mm(キャンバストップ)
車両重量 670kg(MT車)[1]
700kg(AT車)[1]
その他
ブレーキ 前:ディスク
後:リーディングトレーリング
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Be-1(びー・わん)は、日産自動車1987年に販売した乗用車である。

初代日産・マーチレトロなデザインを与えた小型車であり、「パイクカー」と呼ばれる分野の先駆けとなった。

概要

1982年に発売された初代マーチ(K10型)のシャーシを利用して開発され、日本国内でのみ販売された。限定販売という触れ込みで発売されたものの非常な人気を得、その後の日産自動車「パイクカー」シリーズの第1弾となった。また、現代の自動車にレトロ・デザインを応用した最初の例であり、1980年代当時主流であった「四角い」カーデザインを、「丸く」する端緒ともなった[2]

経緯

1980年代前半、ホンダ・シティが人気を得ており、日産自動車では自社の小型車マーチを用いての対抗企画を検討していた[3]。本来は「新型マーチ」の企画であった。[4]提案された、服飾デザイナー坂井直樹によるコンセプトが評価され、その試作車が1985年の東京モーターショーに出展された。坂井の企画は当初「市販車として不適切」と社内評価されていたものの、同ショーでの好評を受けて、市販化が決定した。

1987年1月、パンプキンイエロー、ハイドレインジアブルー、トマトレッド、オニオンホワイトの4色のラインナップ、限定10,000台という設定で販売が開始、発売されるや約2カ月で予約完了する好評を得、月産400台の生産計画が600台に増強された[5]

Be-1のフロントフェンダーや前後バンパーの材質には、世界で初めてフレックス樹脂パネルが用いられていた。 フレックスパネルの材料組成は、耐衝撃性の高い変性PPO(ポリフェニレンオキサイド)と耐熱性の高いPA(ポリアミド、通称ナイロン)などから成り、両者の優れた特性をあわせ持つ熱可塑性樹脂であり、以下のような特徴を持っていた。

形状自由度が高い
射出成形により成形されるため、ヘッドランプ周りなど鋼板では成形が困難な部位も成形できた。
塗装品質が良い
耐熱性に優れ、鋼板と同時に140 - 160度で焼き付け塗装ができるため、経時変化による退色の差もなく、長期間にわたる高品質な塗膜の維持や鋼板と同等の塗装の鮮映さを確保できた。
耐衝撃性に優れる
従来の塗料はパネル変形時の伸びに追従できず亀裂を生じたが、フレックスパネル用の特殊なプライマを採用し、材料の持つ高耐衝撃性を活かすことができた。軽微な衝突ならば容易に復元するものだった。

生産は委託生産により1986年から高田工業において行われ[6]、その製作は半ば手作業であったという[要出典]

年表

車名の由来

社内での開発記号であった「B1」をBe動詞化したものである。

トピック

日産自動車は東京都港区の青山通りに「Be-1ショップ」を開店、Be-1オリジナルグッズとして、衣服、バック、時計、財布、文房具などが販売された[7]

  • 1987年10月 通商産業省選定グッドデザイン賞。
  • 1987年12月 日経トレンディ 1987年ヒット商品ランキング・第5位「Be-1グッズ」
  • 1987年12月 住友ビジネスコンサルティング 1987年ヒット商品番付・張出大関・殊勲賞「Be-1」      
  • 1987年12月 JMA総合マーケティング優秀メーカー賞 日産自動車株式会社・少量生産車「Be-1」の開発
  • 1988年01月 日本経済新聞社・年間最優秀製品賞。

主な関連書籍

  • 「Be-1」 The Story of Bran-New Brand リクルート出版 1987年10月初版 ISBN4-88991-085-9 C0075
  • ビジネスコミック「挑戦」日産Be-1開発 芸文社 1987年11月初版 ISBN4-87465-174-7 C0079
  • ビジネスジャンプコミック「人を生かす企業力」 集英社 1988年6月初版 ISBN4-08-863209-5 C0379  
  • エンスーCARガイド「日産パオ&フィガロ&Be-1」 三樹書房 2008年9月初版 ISBN978-4-89522-517-5 C0075  

後年のマーチ・パイクカー

脚注・出典

  1. ^ a b キャンバストップ車は10kg増
  2. ^ http://www.sakainaoki.com/publicity/pikecar02.html
  3. ^ PDの思想委員会編 『プロダクトデザインの思想 <Vol.3>』 ラトルズ、2005年
  4. ^ http://www.sakainaoki.com/publicity/pikecar.html
  5. ^ http://www.nissan.co.jp/MUSEUM/MARCH/PIKE/pike.html 日産ミュージアム「時代の先端を象徴したマーチのパイクカー
  6. ^ http://www.takada-kogyo.jp/company/index.html
  7. ^ http://www.nissan.co.jp/MUSEUM/MARCH/PIKE/pike.html 日産ミュージアム「時代の先端を象徴したマーチのパイクカー

関連項目

外部リンク