新国立劇場

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座標: 北緯35度40分55.82秒 東経139度41分9.06秒 / 北緯35.6821722度 東経139.6858500度 / 35.6821722; 139.6858500

新国立劇場
New National Theatre, Tokyo
新国立劇場
情報
旧名称 第二国立劇場(仮称)
完成 1997年5月26日
開館 1997年10月10日
開館公演 オペラ建・TAKERU
客席数 オペラ劇場:1,814席
中劇場:1,038席〜796席
小劇場:468席〜358席
延床面積 68,879m²
設備 レストラン、託児室、情報センター、リハーサル室、研修所 ほか
用途 オペラバレエ現代舞踊演劇
運営 公益財団法人 新国立劇場運営財団
所在地 151-0071
東京都渋谷区本町1丁目1番1号
外部リンク 新国立劇場
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新国立劇場(しんこくりつげきじょう、英語New National Theatre, Tokyo)は、東京都渋谷区本町一丁目にある歌劇場劇場である。日本芸術文化振興会が設置し、公益財団法人新国立劇場運営財団が委託を受けて運営をしている。オペラ劇場、中劇場、小劇場の3つの劇場が設けられ、オペラバレエ現代舞踊演劇の自主公演が行われている。

沿革

1997年10月10日 - オペラ「建・TAKERU」(團伊玖磨作曲、星出豊指揮)で今上天皇皇后内閣総理大臣橋本龍太郎(当時)臨席の元、杮落とし

施設

ロビー全景

オペラ劇場 (OPERA PALACE Tokyo)

  • 座席数:1,814席
  • 1〜4階の4階層に客席を配置。
  • 主としてオペラ、バレエ等の公演に利用 コンサートが開催されたことは、過去に数回しかない。
  • 最大120人(4管編成)の奏者が入るオーケストラピットは常設であり、公演内容に応じて深さの調整が可能である。
  • 4面舞台をもつプロセニアム形式。上下奥舞台の機構を使用し、度々入れ替え公演が行われている。
  • オペラの字幕装置は舞台左右に設置され、縦書きで表示される。
  • 劇場が愛称を公募し、2007年3月29日オペラパレス(OPERA PALACE Tokyo) と決められた。[1]

中劇場 (Playhouse)

  • プロセニアム形式:1,038席、オープン形式:1,010席
  • 1〜2階の2階層に客席を配置。
  • 主として演劇、現代舞踊等の公演に利用。オペラ、バレエ公演も可能。
  • 4面舞台、仮設オーケストラピットもある。

小劇場 (The Pit)

  • 座席数:340〜468席
  • B1Fにある。
  • 可動式の舞台と座席をもつ。
  • オープンステージによる上演形式を持つ現代舞台公演の公演に利用される。

その他

情報センター (5F)、リハーサル室 (B2F)、研修室、屋上庭園 (5F) など。

  • 鉄骨鉄筋コンクリート造 地上5階・地下4階
  • 延床面積:68,879m²
  • 設計:柳澤孝彦+TAK建築研究所

公演

オペラ

  • 新国立劇場合唱団が専属団体である。
  • 専属オーケストラの他、音楽監督がおらず、演奏は東京フィル東京交響楽団が交代で担当。但し過去に新星日本交響楽団東京都交響楽団NHK交響楽団新日本フィルが演奏したこともある。
  • 若い演出家を育てる目的で、「小劇場オペラシリーズ」が開催されていた。
  • 芸術監督の企画により、中劇場における演奏会形式上演、カヴァー歌手による演奏会形式上演が実施されている。
  • 1999年から、毎年7月に「高校生のためのオペラ鑑賞教室」を実施し、2004年からは「子どものためのオペラ」の上演も行い、次代の聴衆拡大への取り組みも行っている。
  • 開場記念公演のオペラ「建・TAKERU」は、演奏、演出上の問題から数多くの批判を浴びた。
  • 開場記念として上演されたヴェルディ「アイーダ」(ゼッフィレッリ演出)は豪華絢爛な舞台演出であり再演が望まれていた。2003年9月、五十嵐喜芳芸術監督の退任時に再演され、2008年3月には10周年記念として公演されて記録的な成功を収めた。
  • 2000年に、中劇場でオペラが1演目だけ上演された(バルトーク「青ひげ公の城」)。2008年度より、日本人作曲のオペラは中劇場で上演されることとなった。
  • 2001年から2004年にかけて上演されたワーグナーニーベルングの指環」(キース・ウォーナー演出、準・メルクル指揮、東京フィルNHK交響楽団)は、「トーキョー・リング」として歴史的に残る舞台となった。2009年、2010年に再演された(ダン・エッティンガー指揮、東京フィル)。
  • 2003年9月までは、日本人と外国人によるダブルキャストによる上演であったが、2003年10月以降、原則的に外国人が主役を歌うシングルキャストとなった。
  • 2011年3月に新演出の「マノン・レスコー」が上演される予定であったが、東日本大震災の影響を受けて中止した。その後も、日程変更、キャスト変更などが相次いだ。

芸術監督

  • 畑中良輔(〜1999年8月)
  • 五十嵐喜芳 (1999年9月〜2003年9月)
  • トーマス・ノヴォラツスキー(Thomas Novohradsky)(2003年10月〜2007年8月)
    • 若杉弘 (芸術参与 2005年9月〜2007年8月)
  • 若杉弘 (2007年9月〜2009年7月)
  • 尾高忠明(2010年9月〜2014年8月)
  • 飯守泰次郎(2014年9月〜2018年8月)

上演作品

プレミエ(新演出)の上演のみ掲載

上演作品 (1997年 - 2015年)
シーズン 作曲 作品 演出 備考
開場記念 團伊玖磨 建・TAKERU 西澤敬一 世界初演
開場記念 ワーグナー ローエングリン ヴォルフガング・ワーグナー
開場記念 ヴェルディ アイーダ フランコ・ゼッフィレッリ
1998/1999 プッチーニ 蝶々夫人 栗山昌良
1998/1999 モーツァルト 魔笛 ミヒャエル・ハンペ
1998/1999 ヴェルディ ナブッコ アントネッロ・マダウ=ディアツ
1998/1999 R.シュトラウス アラベッラ 鈴木敬介
1998/1999 ロッシーニ セビリアの理髪師 ピエールフランチェスコ・マエストリーニ
1998/1999 フンパーディンク ヘンゼルとグレーテル 西澤敬一
1998/1999 ビゼー カルメン グスタフ・クーン
1998/1999 水野修孝 天守物語 栗山昌良
1998/1999 J.シュトラウス こうもり 寺崎裕則
1998/1999 原嘉壽子 罪と罰 加藤直 世界初演
1999/2000 ヴェルディ 仮面舞踏会 アルベルト・ファッシーニ
1999/2000 プッチーニ マノン・レスコー ピエールフランチェスコ・マエストリーニ
1999/2000 モーツァルト ドン・ジョヴァンニ ロベルト・デ・シモーネ
1999/2000 松村禎三 沈黙 中村敬一
1999/2000 R.シュトラウス サロメ アウグスト・エヴァーディング
1999/2000 マスネ ドン・キショット ピエロ・ファッジョーニ
1999/2000 ヴェルディ リゴレット アルベルト・ファッシーニ
2000/2001 プッチーニ トスカ アントネッロ・マダウ=ディアツ
2000/2001 チャイコフスキー エウゲニ・オネーギン ボリス・ポクロフスキー
ヴェラ・カルパチョワ
2000/2001 バルトーク 青ひげ公の城 ゲッツ・フリードリヒ
2000/2001 團伊玖磨 夕鶴 栗山民也
2000/2001 ヴェルディ イル・トロヴァトーレ アルベルト・ファッシーニ
2000/2001 ワーグナー ラインの黄金 キース・ウォーナー トーキョー・リング
2000/2001 マスネ マノン ジャン=ピエール・ポネル
2001/2002 プッチーニ トゥーランドット ウーゴ・デ・アナ
2001/2002 ヴェルディ ドン・カルロ アルベルト・ファッシーニ
2001/2002 三枝成彰 忠臣蔵 平尾力哉
2001/2002 マスネ ウェルテル アルベルト・ファッシーニ
2001/2002 ワーグナー ワルキューレ キース・ウォーナー トーキョー・リング
2001/2002 ビゼー カルメン マウリツィオ・ディ・マッティーア
2002/2003 ヴェルディ 椿姫 ルーカ・ロンコーニイタリア語版
2002/2003 ドニゼッティ ルチア ヴィンチェンツォ・グリゾストミ・トラヴァリーニ
2002/2003 R.シュトラウス ナクソス島のアリアドネ ハンス=ペーター・レーマンドイツ語版
2002/2003 一柳慧 松本重孝 世界初演
2002/2003 ワーグナー ジークフリート キース・ウォーナー トーキョー・リング
2002/2003 ヴェルディ オテロ エライジャ・モシンスキー英語版
2003/2004 モーツァルト フィガロの結婚 アンドレアス・ホモキ
2003/2004 オッフェンバック ホフマン物語 フィリップ・アルロードイツ語版
2003/2004 間宮芳生 鳴神 市川團十郎
2003/2004 清水脩 俊寛 市川團十郎
2003/2004 ラヴェル スペインの時 ニコラ・ムシン
2003/2004 ワーグナー 神々の黄昏 キース・ウォーナー トーキョー・リング
2003/2004 ヴェルディ マクベス 野田秀樹
2003/2004 ヴェルディ ファルスタッフ ジョナサン・ミラー英語版
2004/2005 マスカーニ カヴァレリア・ルスティカーナ グリシャ・アサガロフ
2004/2005 レオンカヴァッロ 道化師 グリシャ・アサガロフ
2004/2005 R.シュトラウス エレクトラ ハンス=ペーター・レーマン
2004/2005 ベルク ルル デヴィッド・パウントニー英語版
2004/2005 久保摩耶子 おさん 粟國淳 世界初演
2004/2005 モーツァルト コジ・ファン・トゥッテ コルネリア・レプシュレーガー
2004/2005 ベートーヴェン フィデリオ マルコ・アルトゥーロ・マレッリドイツ語版
2004/2005 プッチーニ 蝶々夫人 栗山民也
2005/2006 ワーグナー ニュルンベルクのマイスタージンガー ベルント・ヴァイクル
2005/2006 ロッシーニ セビリアの理髪師 ヨーゼフ・E.ケップリンガードイツ語版
2005/2006 ジョルダーノ アンドレア・シェニエ フィリップ・アルロー
2005/2006 三木稔 愛怨 恵川智美 世界初演
2005/2006 ヴェルディ 運命の力 エミリオ・サージスペイン語版
2005/2006 J.シュトラウス こうもり ハインツ・ツェドニク
2006/2007 ヴェルディ ドン・カルロ マルコ・アルトゥーロ・マレッリ
2006/2007 モーツァルト イドメネオ グリシャ・アサガロフ
2006/2007 ワーグナー さまよえるオランダ人 マティアス・フォン・シュテークマンドイツ語版
2006/2007 プッチーニ 西部の娘 アンドレアス・ホモキ
2006/2007 R.シュトラウス ばらの騎士 ジョナサン・ミラー
2007/2008 ワーグナー タンホイザー ハンス=ペーター・レーマン
2007/2008 ビゼー カルメン 鵜山仁
2007/2008 山田耕筰 黒船-夜明け 栗山昌良
2007/2008 ウェーバー 魔弾の射手 マティアス・フォン・シュテークマン
2007/2008 ツィンマーマン 軍人たち ヴィリー・デッカードイツ語版
2008/2009 プッチーニ トゥーランドット ヘニング・ブロックハウスイタリア語版
2008/2009 モーツァルト ドン・ジョヴァンニ グリシャ・アサガロフ
2008/2009 ショスタコーヴィチ ムツェンスク郡のマクベス夫人 リチャード・ジョーンズ英語版
2008/2009 ロッシーニ チェネレントラ ジャン=ピエール・ポネル
2008/2009 清水脩 修善寺物語 坂田藤十郎
2009/2010 ヴェルディ オテロ マリオ・マルトーネ
2009/2010 ベルク ヴォツェック アンドレアス・クリーゲンブルクドイツ語版
2009/2010 ドニゼッティ 愛の妙薬 チェーザレ・リエヴィ
2009/2010 R.シュトラウス 影のない女 ドニ・クリエフドイツ語版
2009/2010 池辺晋一郎 鹿鳴館 鵜山仁 世界初演
2010/2011 R.シュトラウス アラベッラ フィリップ・アルロー
2010/2011 ワーグナー トリスタンとイゾルデ デイヴィッド・マクヴィカー英語版
2010/2011 プッチーニ マノン・レスコー ジルベール・デフロ 東日本大震災のため中止
2010/2011 モーツァルト コジ・ファン・トゥッテ ダミアーノ・ミキエレットドイツ語版
2011/2012 ヴェルディ イル・トロヴァトーレ ウルリッヒ・ペータースドイツ語版
2011/2012 ドヴォルザーク ルサルカ ポール・カラン英語版
2011/2012 松村禎三 沈黙 宮田慶子
2011/2012 ワーグナー ローエングリン マティアス・フォン・シュテークマン
2012/2013 ブリテン ピーター・グライムズ ウィリー・デッカードイツ語版
2012/2013 ヴェルディ ナブッコ グラハム・ヴィック英語版
2012/2013 香月修 夜叉ヶ池 岩田達宗 世界初演
2013/2014 ヴェルディ リゴレット アンドレアス・クリーゲンブルク
2013/2014 コルンゴルト 死の都 カスパー・ホルテン
2013/2014 マスカーニ カヴァレリア・ルスティカーナ ジルベール・デフロ
2013/2014 レオンカヴァッロ 道化師 ジルベール・デフロ
2014/2015 ワーグナー パルジファル ハリー・クプファー
2014/2015 プッチーニ マノン・レスコー ジルベール・デフロ
2014/2015 ヴェルディ 椿姫 ヴァンサン・ブサール
2015/2016 ワーグナー ラインの黄金 ゲッツ・フリードリヒ
2015/2016 ヤナーチェク イェヌーファ クリストフ・ロイドイツ語版
2015/2016 マスネ ウェルテル ニコラ・ジョエル
2016/2017 ワーグナー ワルキューレ ゲッツ・フリードリヒ
2016/2017 ドニゼッティ ルチア ジャン=ルイ・グリンダフランス語版
2016/2017 ワーグナー ジークフリート ゲッツ・フリードリヒ

バレエ・現代舞踊

  • 新国立劇場バレエ団が専属
  • 演奏は東京フィル東京交響楽団などが担当する。特別録音テープによる上演もあるが、多くは外国人指揮者を招聘し生演奏のオーケストラで上演されている。

ピアニスト

芸術監督

演劇

芸術監督

交通

詳しくは、アクセスマップ参照。

  • 京王新線 初台駅中央口 徒歩1分
  • 路線バス「新国立劇場前」下車
  • ハチ公バス「新国立劇場」下車
  • 首都高速 初台出口・新宿出口
  • 地下駐車場 30分250円(割引あり)
  • 駐輪場 1日100円

特別支援企業グループ

(2014年度)

最近の主なNHKによる公演中継

NHK教育テレビ(現在のEテレ)「芸術劇場」

  • 2006/2007シーズン コンテンポラリーダンス「ガラスノ牙」(2006年12月収録) 振付・美術・照明:勅使川原三郎
  • 2004/2005シーズン 演劇「その河をこえて、五月」(2005年5月収録) 作・演出:平田オリザ
  • 2004/2005シーズン バレエ「ドン・キホーテ」(2005年6月収録)
  • 2004/2005シーズン オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」(2004年9月収録・再放送)
  • 2004/2005シーズン 現代舞踊「KAZAHANA」(2005年2月収録・再放送) 構成・演出・振付・美術・衣裳・照明:勅使川原三郎
  • 2006/2007シーズン オペラ G.ヴェルディ「ドン・カルロ」(2006年9月収録)
  • 2007/2008シーズン バレエ「ラ・バヤデール」(2008年5月収録)

NHK・BS2「ミッドナイトステージ館」

  • 2006/2007シーズン 演劇「イワーノフ/オイディプス王」(2006年11月収録) 構成・演出:鈴木忠志
  • 2006/2007シーズン 演劇「アジアの女」(2006年10月収録) 作・演出:長塚圭史

NHK・BS2「深夜劇場へようこそ」

  • 1999/2000シーズン 演劇「怒濤」(作:森本薫/演出:マキノノゾミ)
  • 2005/2006シーズン 演劇「屋上庭園/動員挿話」(2005年11月収録)

その他

  • 会員組織「The Atre」があり、チケット割引、優先発売などの特典がある。
  • オペラ、バレエ、演劇の研修所が併設されており、研修所修了公演が行われる。
  • 千葉県銚子市に舞台美術センターがあり、大道具等の保管のほか、各種展示が行われている。2010年3月、過去の上演作品で利用された大道具等が倉庫に収まりきらず、コンテナのままの屋外に保管されていること、その一部がカビなどで破損していることが報道された[2]
  • 東京オペラシティが隣接している。
  • 新国立劇場西側の道路は「オペラ通り」と名付けられている。
  • オペラ劇場についての知識を浸透させる目的でオペラ劇場の裏側を見ることができるバックステージツアー(有料)も行われている。
  • 設計の際にはコンペが行われ柳澤孝彦のものが採用された。
  • 開館に至るまでには紆余曲折があった。「二国問題」(仮称:第二国立劇場から)と言われ、バレエ、演劇、オペラそれぞれの部門において論争の的となった。その中で大きなものは、オペラ劇場の客席数である。国内のオペラ関係者は客席数を少なくしてどの席からも見やすく音響的にも優れたものにすることを主張した。それに対して、海外の有名歌劇場を招聘している日本舞台芸術振興会佐々木忠次は座席数をできるだけ多くするように主張した。海外の歌劇場を招聘して日本で公演させるのには莫大な費用がかかる。その費用を回収するために座席数をできるだけ多くしたかったのである。結果としては国内のオペラ関係者の主張が通った。海外歌劇場の招聘団体はオペラ公演には、2011年現在日本で最も適しているのにもかかわらず新国立劇場を使用していない。

脚注

関連項目

外部リンク