さまよえるオランダ人
『さまよえるオランダ人』(さまよえるオランダじん、Der fliegende Holländer )はリヒャルト・ワーグナー作曲のオペラ。
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概要 [編集]
神罰によって、この世と煉獄の間を彷徨い続けているオランダ人の幽霊船があり、喜望峰近海で目撃されるという伝説を元にした、ドイツの詩人ハインリッヒ・ハイネの『フォン・シュナーベレヴォプスキー氏の回想記』(ドイツ語: Aus den Memoiren des Herren von Schnabelewopski、1834年)にワーグナーが着想を得て再構成し、1842年に完成し、1843年に初演された。
登場人物 [編集]
演奏時間 [編集]
1幕形式の場合で約2時間10分かかる。救済が無い初稿は、救済がある最終稿よりも2~3分短い。ワーグナーの全オペラ作品では一番短い。3幕版は今日では実際の上演が珍しいが各幕50分、50分、30分の割合。第一幕の後で一回だけ休憩を取る場合もある。
楽器編成 [編集]
フルート2、ピッコロ、オーボエ2(2番はイングリュッシュ・ホルン持ち替え)、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ(作曲当初はオフィクレイド)、ティンパニ1対、風音器、タムタム、ハープ、弦五部
バンダ:ホルン6、ピッコロ3
あらすじ [編集]
作曲者の欲した形式は1幕形式であったが、当時の未熟な舞台技術によって止むを得ず3幕構成にさせられた。なお現行の楽譜に2つの稿があり、第1稿が荒々しいオーケストレーションの救済のない形(1841年版)、第2稿が幾分穏やかなオーケストレーションで救済のある形(1880年版)の2つの版がある。それぞれの稿の違う部分は、主に序曲の最後と終幕のフィナーレのオーケストレーションである。ウィーン国立歌劇場では、前演出までは第1幕の後に休憩を入れたが、今では完全に1幕形式上演である。現在のバイロイトを初めとして、ほとんどの歌劇場も1幕形式で上演される。
第1幕(第1ビルト) [編集]
舞台はノルウェーのフィヨルドに面した港町。ダラントは一時避難で自らの家のあるここに投錨する。すると遠くから、黒いマストに真紅の帆を立てた幽霊船が現れる。幽霊船の船長のオランダ人は「呪いを受け7年に一度上陸できるが、乙女の愛を受けなければ呪いは解かれず、死ぬことも許されずに永遠に海をさまよわなければならぬ」と嘆く。
ダラントはオランダ人から財宝を渡され、娘ゼンタと引き会わすことを約束してしまう。
第2幕(第2ビルト) [編集]
ゼンタはオランダ人と出会い、その不幸に心打たれ、救いたいと思う。ゼンタはオランダ人の肖像を見ては思いを募らすばかりである。しかし、ゼンタはエリックという青年に愛されているのである。
ゼンタは父とオランダ人に説得され、オランダ人につき従うことを約束する。
第3幕(第3ビルト) [編集]
第1幕の港町に再びオランダ人の幽霊船が現れる。オランダ人に会おうとするゼンタ。それを引き止めるエリック。オランダ人はエリックのゼンタへの愛を見て「裏切られた」と言い、帆をはり去っていく。ゼンタは自らの純愛を岩の上から叫び、貞節を証明するために海に身を投じる。ゼンタの純愛を得た幽霊船は呪いを解かれ死を得て沈没する。そしてオランダ人とゼンタは浄化され昇天していくのである。
余談 [編集]
- “Holländer”には「オランダ人」のほかに「幽霊船」という意味があり。フランス語版の題である“Le Vaisseau fantôme”はまさしく「幽霊船」を指すこともあって、この作品を「さまよえる幽霊船」と訳す場合も受容当初では見受けられた。しかし、劇中でオランダ人自身が「人は私をさまよえるオランダ人と呼ぶ-Den fliegende Holländer nennt man mich」と言っているので、ドイツ語版に関する限り、やはり「さまよえるオランダ人」が最も適当な訳である。
- 作曲当初、オーケストラ編成にはオフィクレイドが使われていた。後に、チューバへと書き換えられている。
- 英語では“The Flying Dutchman”であるが、これを「空飛ぶオランダ人」と意訳してオランダの名サッカー選手ヨハン・クライフのあだ名にした。過去、KLMオランダ航空のマイレージサービスの名称にも使われていた。メジャーリーグで20世紀初頭に活躍した名遊撃手、ホーナス・ワグナーのあだ名でもある。クライフの教え子でもあるオランダの名サッカー選手デニス・ベルカンプは、大の飛行機嫌いとして有名で、「飛ばないオランダ人」(Non-Flying Dutchman)と揶揄された。
- この物語をモチーフにして、設定を現代に移して後日談を描いた映画がある。1951年のイギリス映画『パンドラ』で、エヴァ・ガードナーとジェームズ・メイスンが出演した。
外部リンク [編集]
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