ヴォツェック
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『ヴォツェック』(Wozzeck)作品7は、アルバン・ベルクが作曲した3幕のオペラ。ドイツの劇作家ゲオルク・ビューヒナーの未完の戯曲『ヴォイツェック』をもとにした作品。
目次 |
[編集] 作曲の過程
1914年にウィーンで上演されたオイゲン・キリアン演出による『ヴォイツェック』を観たベルクはオペラ化を思い立ち、全27場をそれぞれ5つの場から成る3幕にまとめた台本を自ら書いたが、この当時のビューヒナー作品集では、主人公の名前をWozzeck(手稿のyをzと読んでいた)としていたため、タイトルは『ヴォツェック』とした[1]。作曲は1917年から始められ、1921年まで書かれた。
[編集] 楽器編成
- ピットのオーケストラ
- 木管楽器:フルート4(全員ピッコロ持ち替え)、オーボエ4(第4奏者コーラングレ持ち替え)、クラリネット(B♭管)4(第1奏者A管、第3・第4奏者E♭管持ち替え)、バスクラリネット、ファゴット3、コントラファゴット
- 金管楽器:ホルン4、トランペット(F管)4、トロンボーン4(アルト1、テナー2、バス1)、チューバ
- 打楽器:ティンパニ(2人・4個)、シンバル各種(合わせ1、吊り1、大太鼓に取り付けたもの1)、大太鼓、小太鼓、タムタム2(大小)、トライアングル、鞭、シロフォン
- その他:チェレスタ、ハープ、弦五部(14型から16型:計50 - 60人)
- 舞台上
- マーチング・バンド:ピッコロ、フルート2、E♭管クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット(F管)2、トロンボーン3、チューバ、シンバル付き大太鼓、小太鼓、トライアングル
- ベルクはマーチング・バンドの奏者がピットのオーケストラから抜き出されることを想定して、総譜の脚注で第1幕第2場の終わりに抜け出せる箇所を示している。
- 酒場の楽団:フィドル(調弦を変えたヴァイオリン)2、C管クラリネット、ギター、F管ボンバルドン(または弱音器を付けたチューバ)、アコーディオン
- 調子の狂ったアップライト・ピアノ(第3幕第3場)
[編集] オペラの劇と音楽構成
- 「ヴォツェック」の劇と音楽は古典的な音楽形式によって細部まで緻密に構成されており、ワーグナーの楽劇以上に両者は不可分である。
| 第1幕<5つの音楽的小品> | |
|---|---|
| 各場 | 構成 |
| 第1場「大尉」 | 組曲[2]~管弦楽後奏 |
| 第2場「アンドレアス」 | ラプソディ、狩りの歌~管弦楽後奏 |
| 第3場「マリー」 | 軍隊行進曲、子守歌~管弦楽移行部 |
| 第4場「医者」 | パッサカリア(シャコンヌ)…12音による主題と21の変奏~導入部 |
| 第5場「鼓手長」 | アンダンテ・アフェットッゥオーゾ(クワジ・ロンド) |
| 第2幕<5楽章の交響曲> | |
| 各場 | 構成 |
| 第1場 | 管弦楽前奏~ソナタ~管弦楽後奏 |
| 第2場 | 3つの主題によるファンタジーとフーガ~移行部と導入部 |
| 第3場 | ラルゴ(シェーンベルクの室内交響曲の編成による) ~移行部と前奏(レントラー) |
| 第4場 | スケルツォ~後奏(ワルツ) |
| 第5場 | ロンド・マルチアーネ・コン・イントロドゥツィオーネ |
| 第3幕<6つのインヴェンション> | |
| 各場 | 構成 |
| 第1場 | 一つの主題によるインヴェンション~管弦楽後奏 |
| 第2場 | 一つの音(ロ音)によるインヴェンション~移行部(ロ音) |
| 第3場 | 一つのリズムによるインヴェンション(スケルツォ)~管弦楽後奏 |
| 第4場 | 6度和音によるインヴェンション~一つ調(ニ短調)によりインヴェンション(管弦楽終結部) |
| 第5場 | 8分音符によるインヴェンション(ペルペトゥム・モビレ) |
[編集] 演奏時間
約1時間35分(第1幕:35分、第2幕:35分、第3幕:25分)
[編集] 配役
| 人物名 | 声域 | 役 |
|---|---|---|
| ヴォツェック | バリトン (またはシュプレッヒシュティンメ) |
貧しい一兵卒 |
| 鼓手長 | テノール | マリーの愛人 |
| アンドレス | リリック・テノール (またはシュプレッヒシュティンメ) |
ヴォツェックの同僚の兵士で友人 |
| 大尉 | テノール | ヴォツェックの上官 |
| 医者 | バス/(バス・ブッフォ) | 生体実験をしている医者 |
| マルグレート | アルト | マリーの隣人 |
| マリー | ソプラノ | |
| マリーの息子 | 歌い手 | |
| 徒弟職人1 | 低いバス/及びシュプレッヒシュティンメ | |
| 徒弟職人2 | 高バリトン/テノール | |
| 1人の兵士 | テノール・ソロ | |
| 白痴 | テノール | |
| 女中たち | 2声 (ソプラノ/アルト) |
|
| 兵士と徒弟たち | テノール、バリトン、バス各6声 | |
| 子供たち | 斉唱 |
[編集] あらすじ
ビューヒナーの戯曲は、1821年に実際に起こったヨハン・クリスティアン・ヴォイツェックという名の元兵士の情婦殺人事件をもとに書かれている。貧しい床屋上がりの兵士が、鼓手長と通じた内縁の妻マリーを殺すという陰惨な内容の物語である。
[編集] 初演
「ヴォツェックからの3つの断章 3 Bruchstücke aus "Wozzeck"」として3つの場面(1. 第1幕第2場・第3場 2. 第3幕第1場 3. 第3幕第4場・第5場)を抜粋し、ソプラノと管弦楽で演奏できるようにしたものが1924年6月11日に、ヘルマン・シェルヘンによってフランクフルトで初演。舞台初演は1925年12月14日にベルリン国立歌劇場でエーリヒ・クライバーの指揮によって行われた。「春の祭典」の120回を上回る137回の稽古を必要とした。
「3つの断章」の日本初演はベルクの作品の中では早く行われており、1937年6月9日に、日比谷公会堂にて、ヨーゼフ・ローゼンシュトック指揮、関種子ソプラノ、新交響楽団が演奏している。しかしながら、全体の初演は戦後しばらく経ってのことである。1963年10月25日、日生劇場にてハインリヒ・ホルライザーとベルリン・ドイツ・オペラによる。
[編集] ビュヒナーの台本による別の作品
ドイツの作曲家マンフレート・グルリットは、この曲と同じ戯曲によるオペラ『ヴォイツェック』を作曲している。『ヴォツェック』初演から約4ヵ月後の1926年4月26日、ブレーメンで初演された。全18場。
[編集] 脚注
- ^ 詳細はヴォイツェック#テクストを参照
- ^ 組曲の構成は以下の通り
1.プレリュード 2.パヴァーヌ 3.カデンツァ 4.ジーク 5.カデンツァ 6.ガボット1&2 7.エア 8.逆行プレリュ-ド
