変なおじさん

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変なおじさん(へんなおじさん)は、日本のコメディアンである志村けんが演じているギャグキャラクター

かつてフジテレビで放送されていたバラエティ番組志村けんのだいじょうぶだぁ』が発祥。現在はバカ殿と並び、志村を代表するキャラクターの一つとして認知されている。

概要

『志村けんのだいじょうぶだぁ』第1回目の放送で初登場。

往年の人気バラエティ番組「シャボン玉ホリデー」(日本テレビ系)で植木等が主役で演じた「お呼びでない、こりゃまた失礼いたしました」のコントを、「汚れ系」のキャラクターも演じられる志村向けにリメイクしたネタと言える。志村はテレビ番組で単独主役を張るようになって以来、バラエティショーの古典である「シャボン玉ホリデー」系の有名なコント数例をリメイクしてヒットさせている。「変なおじさん」はその代表であるが、他にも「ウンジャラゲ」などの例が挙げられる。 また、志村が決める2代目変なおじさん決定戦として、変‐1グランプリが2012年10月27日『めちゃ×2イケてるッ!』で放送された。

特徴・エピソード

顔はシミが数箇所あり、髭は青々としており頭の上部分が禿げ上がっている。初期は衣装が固定されていない普通の服装であったが、後にラクダシャツももひき腹巻という格好に固定される。更にいつの頃からか、変なおじさんのイラストが全身に描かれた肌色のラクダシャツやももひき(夏場は薄手の桃色の綿生地)を着るようになった。

英語名は「ストレンジ・アンクル(Strange Uncle)」[1]「変な」を表す形容詞「strange」と「叔父」を表す名詞「uncle」を合わせた直訳であるが、「Strange Uncle」をそのまま日本語に訳すと「見知らぬおじさん」となる。

コントの基本的なパターンは以下の通り。キャラクターやセリフの違いはあるが、「志村演じる異様な人物『変なおじさん』が集団の中に突如出現して、場違いな行動で場をかき乱し、あげくにオチの決めセリフ一言で皆をズッコケさせる」という構成がこのコントの基本である。

  1. 若い女性が集まる場所(毎回異なる)に、志村が演じる変なおじさんが変装(女子校教室の場合は教師に、病院もしくはその病室の場合は医者もしくは看護婦)などして忍び込み、女性レギュラーにちょっかいを出すのだが、要領が悪いので手の内がばれ、女性レギュラーに見つかってしまう。
  2. 女性たちの悲鳴を聞いた田代まさし肥後克広ダチョウ倶楽部)演じる第三者(主にマンションの隣人や警察官など)[2]が駆けつけ、「どうしましたか?」と尋ねると、女性レギュラーが「このおじさん変なんです!!」と訴える。
  3. 田代→肥後が志村に「なんだ君は!?」と問い詰めると、居直った志村は「今なんつった? 今なんつった?」、「なんだチミはってか!? え!? そうです、私が変なおじさんです」と名乗り、いきなり「変なお〜じさん、だか〜ら変なお〜じさん…」とハイサイおじさんの替え歌を歌いながら踊りだす。
  4. 周囲は唖然となるも、次第に冷静さを取り戻し咳払いなどをする。最後は周囲の雰囲気を察した志村が「だっふんだ!!」というセリフを発し、ガラスが割れるSE(効果音)とともに前者は全員が踊り、後者は全員がズッコケたりするというオチがつく。
  • 志村自身が別の役を演じている途中で変なおじさんに変身したり、変なおじさんと別の役が左右半分で登場するパターンもある[3]
    • 志村けんのバカ殿様』では、一度だけ志村が変なおじさんとバカ殿の一人二役を演じ、映像合成技術を使って2人が鉢合わせする場面が実現した。
  • コントの内容などによっては、以下のような小ネタが加わることがある。
    • 志村が「なんだチミはってか!?」と問われた後、志村が田代の手をつかみ「なななななな」と言い、次に田代が「ばっ」と言った時に手を離す、という行為を数回繰り返すことがあり、最後は志村が田代の腕をつねる場合もあった[4]
    • 末期には志村が「だっふんだ!!」と言ったのち、寄り目にし、頬を膨らませ、唇を尖らせるというおとぼけ顔を作ることもあった。
  • 研ナオコ演じる「変なおばさん」が共に登場することもあり、倍賞千恵子も一度だけ「変なおばさん」として志村と共演した。
    • 研ナオコ演じる「変なおばさん」が初登場した回では、珍しく女性たちの悲鳴が無く、いきなり田代が「What are You?」と問い詰めた。
    • 「変なおばさん」と一緒に登場する時は、女性たちだけでなく田代も悲鳴を挙げ、桑野信義に女性レギュラーが「このおじさん変なんです~!」と訴えた後、田代が「このおばさん変なんです!!」と訴える。当然この後桑野が変なおじさんと変なおばさんに対し「なんだ君たちは!?」と問い詰める。
  • 『だいじょうぶだぁ』終了からしばらくし、志村の深夜番組『変なおじさんTV』で優香が「変なおじさんの娘」として登場し、変なおじさんとその娘が商売をしているおでん屋台でゲストを招く、という設定でトークを行っていた(娘の服装は志村版を黄色くしたもの)。「変なおじさん」は全く登場しない時期もあったが『変なおじさんTV』開始以降再び登場するようになり、『志村けんのバカ殿様』などの特番でも頻繁に見られるようになった。
  • 「変なおじさん」は志村のエッセイ(自伝)のタイトルとしても使われている。そこでは志村は「変なおじさんは自分の分身であり、願望である」と語っている。また、「バカ殿」や「ひとみ婆さん」と並んで、好きなコントキャラクターとして挙げている。また同著では、変なおじさんの踊りのメロディーは、前述の通り喜納昌吉とチャンプルーズの「ハイサイおじさん」を志村流にアレンジしたものであることや、「だっふんだ」は、落語家の桂枝雀の高座で「偉い人がくしゃみをする様」が「だっふんだ」と聞こえたのが面白かったので拝借したことが述べられていた[5]
  • ドリフ大爆笑』では、変なおじさんの弟と加藤茶演じる甥っ子が出てきた事がある。
  • 「志村けんのだいじょうぶだぁ」のコーナーの一つに、志村が豪語したことで生まれた「シリアス無言劇」[6]というコーナーがあるが、これをベースにして変なおじさんがオチで登場するという「引っ掛けシリアス無言劇」なるコントも存在する。この時は田代に「変なおじさんだね?」と言われてしまうパターンで、「それ先に言うかね、『なんだ君は?』って言わないと」「『なんだ君は?』って言ってくれなきゃダメだよ。頼むよ、頼むよ、頼むよ~。」と反論するも田代に「もう、見りゃわかるよ!」と言われてしまう。
  • 松茸狩りの回では、枯葉の山に隠れていたところをいしのようこに足を思いっきり踏まれるというハプニングに遭遇し半泣きだったことがあった。
  • とある回では、変なおじさんではなく変なコイケおじさんというキャラが登場した。
  • 回によっては、上記の基本的なパターンが無いバージョンもある。

主な登場作品

テレビ番組

この他、志村のメイン番組のみに留まらず、『スターどっきり(秘)報告』の寝起きどっきりの仕掛け人や、『進め!電波少年』(日本テレビ)や『人気者でいこう!』(朝日放送)にも出演したことがあった。

その他

変‐1グランプリ

2012年10月27日の『めちゃ×2イケてるッ!』で放送された企画。志村が審査員として出演した(終盤は変なおじさんとしても登場)。

脚注

  1. ^ 水族館で変なおじさんが現れるコントで学術名として使われている。
  2. ^ 2012年10月27日放送の『めちゃ×2イケてるッ!』の企画「変‐1グランプリ」では矢部浩之ナインティナイン)が担当した。
  3. ^ 例:左半分がナース・右半分が変なおじさん。
  4. ^ 第三者役が肥後になってからは無くなっているが、『めちゃイケ』の「変‐1グランプリ」で復活し、志村が矢部の手をつかみ「なななななな」と言い、矢部が「ばっ」と言った時に手を離す、という行為を2回行った。
  5. ^ 朝日新聞に掲載されたコラムでは、「だっふんだ」は咳払いだとしている。元となった演目は覚えていない。
  6. ^ サイレントドラマ仕立てで、タイトルの通りシリアスな作り。「人を笑わせることは簡単だから、人を泣かすことなんて簡単」と酒の席で志村が豪語したことがきっかけで生まれた。