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マンゴー

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マンゴー
マンゴー
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ムクロジ目 Sapindales
: ウルシ科 Anacardiaceae
: マンゴー属 Mangifera
: マンゴー M. indica
学名
Mangifera indica L.
和名
マンゴー
英名
Mango
マンゴーの花
アーウィン種の果実
ペリカンマンゴー種の果実
花切りにしたマンゴー
マンゴー(生)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 250 kJ (60 kcal)
14.98 g
糖類 13.66 g
食物繊維 1.6 g
0.38 g
飽和脂肪酸 0.092 g
一価不飽和 0.14 g
多価不飽和 0.071 g
0.82 g
トリプトファン 0.013 g
トレオニン 0.031 g
イソロイシン 0.029 g
ロイシン 0.05 g
リシン 0.066 g
メチオニン 0.008 g
フェニルアラニン 0.027 g
チロシン 0.016 g
バリン 0.042 g
アルギニン 0.031 g
ヒスチジン 0.019 g
アラニン 0.082 g
アスパラギン酸 0.068 g
グルタミン酸 0.096 g
グリシン 0.034 g
プロリン 0.029 g
セリン 0.035 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(7%)
54 µg
(6%)
640 µg
23 µg
チアミン (B1)
(2%)
0.028 mg
リボフラビン (B2)
(3%)
0.038 mg
ナイアシン (B3)
(4%)
0.669 mg
パントテン酸 (B5)
(4%)
0.197 mg
ビタミンB6
(9%)
0.119 mg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(2%)
7.6 mg
ビタミンC
(44%)
36.4 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(6%)
0.9 mg
ビタミンK
(4%)
4.2 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
カリウム
(4%)
168 mg
カルシウム
(1%)
11 mg
マグネシウム
(3%)
10 mg
リン
(2%)
14 mg
鉄分
(1%)
0.16 mg
亜鉛
(1%)
0.09 mg
マンガン
(3%)
0.063 mg
セレン
(1%)
0.6 µg
他の成分
水分 83.46 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

マンゴー(檬果、芒果、学名:Mangifera indica)は、ウルシ科マンゴー属の果樹、またその果実菴羅(あんら)、菴摩羅(あんまら)ともいう。

植物学上の特徴と分布

原産地はインドからインドシナ半島周辺と推定されている。そのうち、単胚性(一つの種から一個体繁殖する)の種類はインドのアッサム地方からチッタゴン高原(ミャンマー国境付近)辺りと考えられ、多胚性(一つの種から複数の個体が繁殖する)の種類はマレー半島辺りと考えられている。インドでは4000年以上前から栽培が始まっており、仏教の経典にもその名が見られる。現在では500以上の品種が栽培されている。インド・メキシコフィリピンタイオーストラリア台湾が主な生産国で、日本では沖縄県宮崎県鹿児島県和歌山県熊本県で主に栽培されている。

日本では露地栽培により果実を実らせることが難しいため、農家ではビニールハウス栽培を採用している。ハウス栽培を行う目的は高い気温の確保ではなく、マンゴーの開花時期が日本の雨季と重なるため、水に弱いマンゴーの花粉を雨から守ることで受粉をさせ、結実させるためである[1]

マンゴーの木は常緑高木で、樹高は40メートル以上に達する。開花と結実時期は地域により差がある。枝の先端に萌黄色の複総状花序を多数付ける。花は総状花序と呼ばれる小さな花が房状で咲く状態になり、開花後に強烈な腐敗臭を放つ。この腐敗臭により受粉を助けるクロバエ科などのハエを引寄せている。マンゴーの原産地の熱帯地域は、ミツバチにとって気温が高すぎるため、マンゴーは受粉昆虫としてハエを選んだと考えられている。日本のハウス栽培では受粉を助ける昆虫としてミツバチをビニールハウス内に飼っている。果実は系統によって長さ3-25センチ、幅1.5-15センチと大きさに開きがあり、その形は広卵形とも勾玉形とも評される。果皮は緑色から黄色、桃紅色などと変異に富むが、果肉は黄色から橙紅色で多汁。果皮は強靱(きょうじん)でやや厚く、熟すと皮が容易に剥けるようになる。未熟果は非常に酸味が強いが、完熟すると濃厚な甘みを帯び、松脂に喩えられる独得の芳香を放つ。

マンゴーとかぶれ

マンゴーはウルシオールに似たマンゴールという接触性皮膚炎(かぶれ)の原因となる物質が含まれており、高率にかぶれを引き起こすため注意が必要である。痒みを伴う湿疹などのかぶれ症状は食べてから数日経って発症・悪化する場合があり、ヘルペスなどと誤診されることもある。

食材としての利用

熟した実を中心にある種に沿って切り、生のまま食用にするのが一般的だが、ジュースピューレ缶詰ドライフルーツなどにも加工される。香港では果肉またはピューレにゼラチン・砂糖・生クリームなど、ほかの材料を合わせたマンゴープリンが有名である。そのほか、ムースケーキシャーベットスムージーグミなどの洋生菓子も盛んに作られている。また、未熟果を塩漬け・甘酢漬け・チャツネにする。東南アジアでは未熟果に唐辛子入りの砂糖塩につけて食したり、炒め物などの料理に使用したりする。栄養面では、特にビタミンAやβ-カロテンが多い。

地域によってはパパイヤのようにマンゴーの未熟果実を野菜として、おやつとして食する文化が珍しくない。タイベトナムでは緑色の未熟果実が庶民のおやつとして食べられている。これには塩をつけて食べる。ほとんど甘みはなく、未熟な果実の鮮烈な酸味と歯ごたえを楽しむ。台湾では小ぶりのマンゴーの未熟果実を丸ごとシロップ漬けにしたおやつが食べられている。インドではマンゴーの未熟果実を乾燥させ粉末にしたものはアムチュールと呼ばれ、酸味付けのスパイスとして使用される。ガラムマサラにアムチュールを加えた複合スパイスはチャットマサラ(Chaat masala、चाट मसाला)と呼ばれ、インド料理では広く使用される。

品種

アップルマンゴー

アップルマンゴーとは、アーウィン種の俗称。日本での栽培の96%がこの品種である。

キーツマンゴー

果皮が緑色の品種。アップルマンゴーより後の時期に出荷される。アップルマンゴーに比べ、一本の木に多く実がならず、熟する時期が確認しづらい上に大きくて買い手が少なく、流通量は少ない。

ペリカンマンゴー

日本で売られるペリカンマンゴーは主にフィリピン産である。正式な品種名は「カラバオ」である。外観は黄色く、他の品種と比べると酸味がやや強い。名前は実が扁平で、ペリカンのクチバシに形が似ていることに由来する。

各国のマンゴー

日本

日本では植物防疫法によって、侵入を警戒する農業大害虫のミバエ類が発生している国・地域からのマンゴーの生果実の輸入は原則として禁止されている。しかし、輸出国において果実に寄生する対象ミバエ類の完全殺虫処理技術等が確立されれば、各国より申請された品種について日本側(農林水産省)が検討し、問題無いとの結論に至ったものは殺虫処理などの条件を付して日本への輸入が認可されるようになった。殺虫処理技術には飽和水蒸気による果実の加熱処理である蒸熱処理や温水に果実を漬ける温湯浸漬という工程が用いられることが多い。これら条件付き輸入解禁により、1990年代後半ごろから全国のスーパーなどの小売店でフィリピン産などのマンゴー果実が安価で売られ、また菓子などの加工物の原材料としても幅広く用いられるようになり、一気に代表的な熱帯産果物の一種として日本の社会に浸透した。

日本では写真の花切りがマンゴーの切り方として定着している。切り方は中央の平たい種をさけ、魚を3枚におろすように包丁を入れ、切った面にさいの目状に切り目を入れる。そして両手で皮を押して果肉を反り返すと花のような形になる。

タイ

タイでは60種類以上の品種が栽培されているが、条件付で輸入が解禁されたのが1987年で、現在日本へ輸入できるマンゴーはナムドクマイ種・ナンカンワン種・ピムセンダン種・ラッド種・マハチャノ種の計5種類のみである。

日本人には糖度の高さと極め細かな食感が特徴のナムドクマイ種が最も好まれ、日本に輸入されているタイ産マンゴーのほとんどを占めている。ナムドクマイとはタイ語で「花のしずく」という意味で、しずく状のマンゴーの形が名前の由来である。

タイ産のマンゴーは雨季があける11-6月が美味しく、日本にもこの時期に多く輸入されている。外国産のマンゴーではメキシコ、フィリピンについで3番目の輸入量である。

インド

マンゴーの王と呼ばれるアルフォンソ・マンゴーは、3月から5月にかけて実り始め7月頃に終わる。甘く特有の香りがある。雨期の数ヵ月前に数日間雨が降り、その雨により一気に熟する。この雨をマンゴー・レインと呼び、デカン高原では4月中旬から5月初旬に降る。雨期が始まる6月中旬で、アルフォンソ・マンゴーの季節は終わる。デーヴガル産のアルフォンソ・マンゴーが最高だと言われ、実が大きく味が濃い。2006年より条件付で日本への輸入が解禁された。現在輸入できる品種はアルフォンソ種・ケサー種・チョウサ種・バンガンパリ種・マリカ種・ラングラ種である。

台湾

参考資料

  1. ^ 所さんの目がテン番組HP マンゴー