ハンバーガー
ハンバーガー (hamburger) とは、ひき肉(主に牛肉)を薄い円形に固めて(ミートパティという)焼いたハンバーグを、同じく円形に成形して2つ割にしたパン(バンズという)に挟み込んだアメリカ合衆国の料理。サンドイッチの一種である。パンの上部を「クラウン」、下部を「ヒール」という。
解説
アメリカ合衆国を代表する国民食であり、外食産業(ファーストフード)の一つとして世界中にフランチャイズ展開がなされており、知名度が高い。ハンバーグとともに、レタス、トマト、タマネギ、ピクルス、チーズなどの具材をパンに挟み込み、ケチャップ、マスタード、マヨネーズなどのソースで味付けしてある。通常は手づかみで食べるが、ウェットタイプなどと呼ばれるミートソース等液状の食材を用いたものは紙袋(バーガー袋)に入れて食べられる場合がある。付け合せとして、じゃがいもを細く刻んで油で揚げたフレンチフライが添えられることが多い。
現在では、パンの代わりにご飯やレタスを用いたものや、肉の代わりに大豆タンパクなどを用いたベジタリアンのための「ヴェジーバーガー」(Veggie burger)など、チェーン店によって多種多様なメニューが用意されている。
日本ではハンバーガーバンに鶏肉や魚のフライ、焼肉、コロッケなどを挟んだサンドイッチのことも「 - バーガー」と呼称されることがある。これは、back formation(逆形成)と呼ばれる言語学的現象(-burger の接尾辞化)である。アメリカ合衆国でも同様にミートパティ以外のものをバンズに挟んだ物に「 - Burger」の表現が使われている。
歴史
ハンバーガーの誕生や命名の由来については諸説がある。挽き肉料理のルーツは遊牧民・タタールに由来すると考えられているタルタルステーキに遡るとされているが、これがヨーロッパを経由して独自の発展を遂げ、ハンブルク風(=ハンバーガー)ステーキとしてアメリカに伝わったと考えられている。1891年の文献には既に「ハンバーガーステーキ」の文字が見られ、1904年にセントルイスで開催されたセントルイス万国博覧会の会場内でハンバーガーステーキを挟んだサンドイッチが「ハンバーガー」という表記のもとで販売されていたという事実からも、20世紀の初頭には専用の丸いバンと組み合わさり、今日のハンバーガーの原型が誕生していたと考えられる。
このほか、1900年にコネチカット州ニューヘイブンの食堂で開発されたという説や、ウィスコンシン州シーモアのCharlie Nagreenが1885年にハンバーガーを考案したという説もある。Nagreenは当初揚げたミートボールを売っていたがあまり売れなかったため、これを平板状にし、さらにそれをパンの間にはさんだものを販売したという。ニューヘイブンでは、急いでいる客にまかない用だった挽肉を焼いてパンに挟んで提供したのが始まりだと話している。また、ニューヨーク州ハンバーグ村は、ドイツの都市ハンブルクではなく自身がハンバーガーの名称の由来であると主張している。
ハンバーガーは、1940年代にマクドナルド兄弟がカリフォルニア州に開いたドライブインでメニューに出され、評判になったことで、アメリカを中心に各国に広まった。その拡がりは「マクドナルド理論」といい、トーマス・フリードマンより「マクドナルドの店舗がある国同士は戦争をしない」という学説が出されたほどである。この説はアメリカ合衆国のセルビア爆撃で破られた。また、マクドナルドではドナルド・マクドナルドというピエロの姿をしたキャラクターが使われている。詳細はマクドナルドを参照。
また該当国の国内通貨価値を知る上での経済指標として利用される事もあり、これはビッグマック指数と呼ばれる。
日本では、ハンバーガーチェーンが普及する以前から、アニメの「ポパイ」の登場人物としてウインピーという中年男がいつも食べているので知られていた。第二次世界大戦後に駐留した米軍を通じて、本格的に日本にハンバーガーが持ち込まれたとされている。連合国軍最高司令官総司令部に接収された三信ビルディングに1948年秋に開店したレストラン「ニューワールドサービス」で提供されたほか、1950年代には佐世保の米軍基地周辺で売りだされたと言い伝えられている。それら米軍と関係が深い狭い範囲では定番メニューとなっていた。ハンバーグそのものはマルシンハンバーグが1962年に冷蔵食品として売り出しており、ハンバーグステーキは1960年代から知られていたが、バンズに挟んだハンバーガーは銀座の松屋の地下食堂で1966年頃にお目見えした程度であり、広く認知されたものとは言えなかった。1971年、日本マクドナルドが銀座に1号店を開店し、そこから一気に一般化した。
文献
アンドルー・F・スミス『ハンバーガーの歴史~世界中でなぜここまで愛されたのか?』(ブルース・インターアクションズ、2011年)ISBN 978-4-86020-417-4
日本国内の主なハンバーガーチェーン
- マクドナルド
- モスバーガー - 合挽き肉のパティが特徴。注文を受けたのち調理に取り掛かる。
- ロッテリア
- ファーストキッチン
- バーガーキング
- フレッシュネスバーガー
- Becker's(ベッカーズ) - 関東に24店舗を構える。各店舗内でクロワッサンやバンズを焼く。
- 明治サンテオレ
- ドムドムハンバーガー
- アートサンズ(アートコーヒーの系列店)
- サンディーヌ(経営は日本レストランエンタプライズ)
- たいんばーがー (堀切などに店舗有り)
- バーガーエクスプレス
- バーガーキッド
- バーガーワールド
- ワールドバーガーランド
- ココ、サンドイッチ&バーガー
- バーガークラシック
- クアアイナ
- OATMAN DINER - 川越、池袋などに店舗有り。
- ラッキーピエロ - 北海道函館市に13店舗を構える。
- A&W - 沖縄県に25店舗を構える。
- Jef(ジェフ) - 沖縄県に5店舗を構える。
- Rバーガー
- ウェンディーズ - 角型のパティが特徴。2009年12月31日をもって撤退していたが、2011年3月3日再参入を発表。同年12月27日、東京青山に再進出1号店「表参道店」オープン。
撤退したチェーン店
- クイズノス・サブ
- 森永LOVE
- バーガーシティ
- カールズジュニア
- グリコア - 江崎グリコグループ。
- ウインピー
- ハンダス - ミツカングループ。ミツカンの本拠地である半田市に因んだネーミング。
- VICMONT(ビクモン) - 沖縄県で2008年秋まで展開していた。
ご当地バーガー
日本において地域おこしを目的とし、ご当地グルメとして地域の特色を取り入れたハンバーガー「ご当地バーガー」が2000年代以降に活発化し、各地において様々な展開が行われている。
関連項目
- ファーストフード・ネイション - 上の映画化作品。